「相談員の役割」考える研修会開きました(在宅・支援相談研究部会:その6)

そして「(5)本人が町を支える」では、宅配におけるラストワンマイル(お客様へ商品を届ける物流の最後の区間)を、小規模多機能型居宅介護施設の認知症の利用者が担当し、スタッフと共に各家に届けている様子が動画で紹介されました。

手渡しでダイレクトメールを配ることで、利用者と地域住民とのつながりができ、利用者本人が安心して外出できる町の環境を作っているだけでなく、労働の対価として報酬も得ている姿は、リハビリテーションが目指す社会参加の実践そのものでした。

全国からも熱い注目を浴びているこの取り組みについて説明した後、猿渡室長は再び「地域共生社会」のスライドを提示した上で「地域共生社会は『For』から『With』への転換です」と、「誰かのためにしてやる社会」ではなく、「地域の人と資源を循環させ、すべての人が一緒に、支えたり、支えられたりしながら創っていく、誰もが役割と生きがいを持つ社会」である地域共生社会の意義を力説しました。

最後に猿渡室長が、このような取り組みを実践、継続、発展させていくためには「鳥の目(目先のものごとに捕らわれず、マクロな視点から大局観を見る目、機能で解決する力)」、「虫の目(ものごとの細部までつぶさにチェックする目、日々の営みの中で不都合を把握する力)」、「魚の目(過去から現在、そして未来へ続く時代の流れを読む目、過去の潮流や潮目を読む力)」、そして「コウモリの目(固定観念を疑う目、誰のために、何のために自分達が存在するのか)」という4つの目の必要性を述べて講演を締めくくると、会場からは感謝の拍手が惜しみなく送られました。

(つづく)

「相談員の役割」考える研修会開きました(在宅・支援相談研究部会:その5)

 

 「(3)住民と共に本人の暮らしを支える」では制度や、分野ごとの「縦割り」や「支え手」、「受け手」という環境を超えて地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく「地域共生社会」のイメージ図をスライドに提示。その上で猿渡室長が医療機関でソーシャルワーカーとして働く中で、「自宅に退院したい」という患者本人の訴えに対し、「自宅に帰って来てもらうと困る」という家族の声があり、その結果、施設に退院せざるを得ない患者が多かった状況を紹介。

そしてこれを解決するため、小学校区ごとに実行委員会を設立し、認知症SOSネットワークの模擬訓練の取り組みを開始。地域住民に行方不明者役への声掛け等、協力を得ながら訓練を継続する中で、地域への理解が深まっていったとのこと。さらに住民と共に本人の暮らしを支える一環としてNPO法人「しらかわの会」を設立。戸別訪問やサロン事業などの日常生活支援事業をはじめとする様々な事業により、高齢者や障害者などが自宅で安心して生活できるよう活動を展開した結果、白川病院の在宅復帰率が右肩上がりに向上している事を、グラフを用いたスライドで説明されると、参加者は身を乗り出して聞き入っていました。

(つづく)

「相談員の役割」考える研修会開きました(在宅・支援相談研究部会:その4)

(長旅の疲れも見せず、熱のこもった講演をしてくださった猿渡室長)

 当協会在宅・支援相談研究部会が宮崎県医療ソーシャルワーカー協会と共催で開いた研修会、続いては「地域と共にある老健を目指して~認知症当事者と家族が安心して暮らすために~」と題し、福岡県大牟田市の医療法人静光園白川病院医療連携室の猿渡進平室長にご講演をしていただきました。

 同病院の介護グループ長でもある猿渡室長は、九州厚生局の地域包括ケアアドバイザーや理化学研究所の客員研究員、一般社団法人 人とまちづくり研究所理事をはじめ、多くの役職を兼務し、日々社会活動に奔走されています。この日はそのご多忙の合間を縫って、講師を務めて下さいました。

 講義は(1)宮崎県(人口)の現状と将来、(2)改めて、介護老人保健施設とは、(3)住民と共に本人の暮らしを支える、(4)町の中で本人の暮らしを支える、(5)本人が町を支える・・・という内容で進められました。

 この中で「(2)改めて、介護老人保健施設とは」では、在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点である老健独自の職種である支援相談員は、その人らしく地域で暮らしていくために必要な社会的サポートや、家族と施設、家族と利用者といった関係をコーディネートする「相談窓口的な機能」を担っていると指摘。「やりがいがある→能力が上がる→支援レベルが上がる→売り上げが好調→職員がいる→やりがいがある→…」という老健に求められる「良好なスパイラル」の運営において、支援相談員の存在と果たすべき役割がいかに重要であるか強調しました。

(つづく)

「相談員の役割」考える研修会開きました(在宅・支援相談研究部会:その3)

それから川越事務局長は、施設管理者が指導相談員に求める役割として①入退所関連業務、②ベッドコントロール、③医療介護連携、④地域連携・社会貢献活動、⑤営業・マーケティング、⑥リーダーシップ(施設長・事務長補佐)・・・の3つをスライドに示し、それぞれについて、説明していきました。

この中で②ベッドコントロールについては、「支援相談員の業務の中でも最も重要なものです」と前置きし、「支援相談員が入退所やベッドコントロールを担当するということは、否応なく経営の根幹を支えるということです。そのことで支援相談員が相当のプレッシャーを受けていると思います。利用者と施設経営、そして利用者と他職種等の間で色々な板挟みとなり、何を優先すべきか、判断が難しくジレンマに陥ることも多いのではないでしょうか」と会場に問いかけた上で、「しかしそれだけ重要な役割を期待されていることを認識して下さい」と言葉に力を込めると、参加者の目が輝く様子が伺えました。

講義のまとめにあたり、冒頭に発した「支援相談員は老健におけるエンジンです」繰り返した川越事務局長。「施設の収入を確保することと、ケアの質を上げる事。そのどちらも支援相談員がカギを握っています。進める、すなわち加速するのも、停める、つまり減速、停止するのも支援相談員の力量次第です。支援相談員が老健のレベルを決めます。見ている人はちゃんと見てくれています。日々の業務に自信と信念を持ち、有言実行、言行一致で精進して下さい」と訴えて講演をしめくくると、会場からは共感と感謝の拍手がおくられました。

(つづく)

「相談員の役割」考える研修会開きました(在宅・支援相談研究部会:その2)

研修はまず「地域に開かれた介護老人保健施設を目指して~支援相談員の役割を考える~」と題し、介護老人保健施設ひむか苑の事務長で、当協会の川越康史事務局長が講演を行いました。

(講師の川越事務局長)

「支援相談員は老健におけるエンジン。エンジンがかからなければ動きませんし、エンジンの回転数が上がれば、より早く、より強く動くことができます」と切り出した川越事務局長。老健がその使命である在宅復帰・在宅療養支援を行う上で欠かすことのできない地域・利用者家族との関係づくりや、施設内での多職種連携、ベッドコントロール等の要となるのは支援相談員であり、その役割の重要性を、施設管理者が理解することが大事だと説きました。

続いて老健の運営基準における支援相談員について、解釈通知等と照合しながらその配置基準や求められる学識経験等をおさらいした上で、「このように基準が定められていますが、皆さんの現場の業務と比較するとどうでしょうか。『誰の仕事かわからない仕事は相談員の仕事』と言われるくらい、支援相談員の担う業務は多岐に渡り、また施設の数だけバージョンがあるとも言われていますがいかがでしょうか」と会場を見渡すと、参加者はうなずきながら聞き入っていました。

(つづく)

「相談員の役割」考える研修会開きました(在宅・支援相談研究部会:その1)

当協会在宅・支援相談研究部会は令和5年7月15日(土)宮崎市民プラザ4階ギャラリーで研修会を開きました。講演やグループディスカッションなどを通じて、老健における支援相談員の役割について研鑽を深めました。

(会場となった宮崎市民プラザ)

宮崎県医療ソーシャルワーカー協会との共催で開いたこの研修会には、39人が参加しました。開会にあたり、宮崎江南病院附属介護老人保健施設の支援相談で、員同部会の別府和男委員長は、「新型コロナウイルス感染症が今年の5月にやっと5類に移行し、研修会もようやく通常開催できることとなりました。今回の研修会が実りのあるものになることを期待しています」と呼び掛けました。

(挨拶を行った別府委員長)

(つづく)

熱中症を防ごう2023

熱い日々が続いています。これからますます暑さが増すのではないかと懸念されます。「昔は窓からすだれを下ろし、打ち水でもしておけば涼しく過ごせたのに」などとぼやいていてもしかたありません。例年以上に熱中症対策を徹底したいと考える今日この頃です。厚生労働省でも「熱中症予防のための情報・資料サイト」を解説し、注意を呼びかけています。利用者様はもとより、スタッフ自身の熱中症予防にも万全を尽くしながら、楽しく涼しい夏を過ごしましょう。

締め切りまであと10日!「心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会」(県社協)

社会福祉法人宮崎県社会福祉協議会が主催する「心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会」の作品応募は令和5年7月31日(月)までです

この短歌大会は、平成7年にシルバーケア野崎(宮崎市)での短歌講座をきっかけに始まり、平成14年からは「全国大会」として実施されているもの。介護や支援を受けている60歳以上の高齢者と、高齢者の介護を行っている(又は介護の経験のある)家族や施設職員、ボランティア、医療・介護を学んでいる学生の方などが対象です。

応募締め切りは令和5年7月31日(月)となっています(当日消印有効)。締め切りまであと10日に迫りました。詳しくはこちらをご覧の上、奮ってご応募下さい

外国人介護人材日本語研修を開催します(国際厚生事業団)(再)

公益社団法人国際厚生事業団は「介護現場における日本語研修」を開きます。

宮崎県の委託事業として実施されるこの研修は「介護技能向上及び日常生活で必要となる日本語等に関する研修を行うことで、外国人介護人材の就労・定着促進を図る」ことが目的。また、「外国人材同士がコミュニケーションを図れる集合研修を実施し、外国人材同士でネットワークを構築できることで、仕事の悩みや日本の生活スタイルへの戸惑い、孤独感の解消につなげるねらいもあるとのこと。

この研修は、宮崎県内で就労している外国人介護職員であればどなたでも参加でき、参加費は無料です。開催日程や申込方法などはこちらをご覧ください

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