協会活動報告

研修会開きました(栄養給食部会:その1)

 (社)宮崎県老人保健施設協会栄養給食研究部会は118日、宮崎市のひむか苑会議室で研修会を開きました。30名が受講し、講話や研究発表等を通じて研鑽を深めました。

 研修会ではまず、株式会社明治メディカル栄養事業部学術グループの金井正敏さんによる「病態別流動食と経腸栄養」と題した講話がありました。講話は(1)栄養投与ルート、(2)投与量の決定、(3)経腸栄養の下痢について、(4)各病態での栄養管理と栄養剤の選択・・・の4項目について、資料を用いて進められました。

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 まず(1)栄養投与ルートについて。経腸栄養法と静脈栄養法の特徴や両者の比較、栄養管理方法の種類と選択の基準などを踏まえ、栄養管理方法のガイドラインとして「可能な限り経腸栄養を用いる。静脈栄養は、経腸栄養または経口摂取が不可能または不十分な場合に用いられる」ということを学びました。

 次に(2)投与量の決定について。エネルギー、たんぱく質、水分のそれぞれについての必要量を、その計算式を交えて説明がありました。その上で、たんぱく質(アミノ酸)がたんぱく合成に利用されるためには、十分なエネルギーが必要であることや、流動食の総量と水分量は異なること、また脱水の見分け方や脱水の影響を受ける検査項目などが示されました。さらに、食塩を流動食に混ぜると、瞬間的にたんぱく質周囲の水分子が食塩に引きつけられ、たんぱく質が不安定となって増粘、凝固する「塩析」が生じるため、「流動食には混ぜず、白湯と一緒に投与しなければならない」と金井さんは強調しました。

 そして、(3)経腸栄養の下痢について。その原因として(a)栄養剤の投与速度(が速すぎる)、(b)栄養剤の細菌汚染、(c)低栄養・絶食、(d)薬剤(抗生物質、抗がん剤、制酸剤など)、(e)腸内環境の異常・・・などがあり、それぞれの対応策について図を用いて説明がありました。その中で、抗生物質と下痢との関係について金井さんは、抗生物質治療を受ける約20%から30%の患者に下痢がみられるというデータを示し、「抗生物質投与時は、同時に腸内細菌叢に配慮することが大事だ」と指摘しました。

 最後に(4)各病態での栄養管理と栄養剤の選択について。炎症性腸疾患や糖尿病、慢性腎臓病、COPD、肝疾患など、疾患の特徴とその栄養管理についてそれぞれ学習しました。

 講話のまとめとして金井さんは、

1〕経腸栄養実施時は状態を観察しつつ、各個々人に合わせた適切な量を投与する

2〕下痢は経腸栄養の合併症で最も多いものの一つ。原因は多岐にわたるが、投与速度に由来するものが多い

3〕各病態について理解した上で、適切な栄養管理法を選択することで、栄養状態の改善、病状の進行抑制、QOLの改善などをはかることができる

3点を挙げ、経腸栄養実施時における栄養管理の重要性を訴えました。

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(続く)

研修会開きます(ケアプラン部会)

 (社)宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン研究部会は平成25119日(土)、川南町のトロントロンプラザで括的自立支援プログラムケアプラン策定研修会を開きます。

 この研修会は主に初任者が対象ですが、ケアプランを策定したことがない方や、自信のない方、疑問や質問がある方など、どなたでも受講できます。もちろん、老健施設以外の方でも受講可能です。なお、参加費として一人500円が必要です。

 詳しくはこちらをご覧の上、別紙参加申込書にて1225日(火)までにファックスでお申込み下さい(申込先:並木の里 担当 宮田、FAX0983-44-5109、電話:0983-44-6066)。

 多数のご参加をお待ちしています。

研究大会ポスターできました

 第10回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会のポスターが完成しました。 こちら からダウンロードしていただき、各施設内に貼っていただきますようおねがいいたします。

 平成25315日(金)、宮崎市の宮崎観光ホテルで開催する
第10回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会 の大会テーマは「地域を担う老健へ ?Create! Challenge! Change!?」です。大会の詳細および開催案内文書は後日発送するとともに、当ホームページでもお知らせいたします。多数の参加をお待ちしています。

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栄養教室開きました(その3)

 各グループとも調理が終わり、いよいよ試食です。「百聞は一見にしかず」ならぬ、「百聞は一食にしかず」とばかり、受講者は出来上がったソフト食4品を一口一口、興味津々に口に運んでいました。

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 あちこちで聞こえる「美味しい!」の声。しかし受講者は日頃から高齢者の食事に携わるプロ。味覚を楽しむだけでなく、見た目の形や色使い、香り、箸でつかんだ時の取りやすさ、口に入れた時の感触や噛みごたえ、食塊の作りやすさや喉への運び込みやすさ、そして喉ごしなどを一つ一つ確かめながら、ソフト食の特徴を確認していました。また、運営スタッフである老健の栄養士や納富さん達も交え、意見や感想を出し合い、美味しく楽しいながらも、真剣で内容の充実した試食会となりました。

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 「ソフト食はすごく自然で、高齢者にも喜んで食べてもらえると思う」、「巻き寿司の具がとてもやわらかく、高齢者も食べやすい」、「食べる前の見た感じが普通食のように良かった」・・・など、ソフト食を高く評価する声が聞かれました。

 また、「本で見るより自分の目で見て作ることができて勉強になった」、「他のヘルパーの方にも参加してもらえるよう、頻繁に教室があるといい」、「自宅周辺にもソフト食に興味を持っている人が多く、もっと声掛けを大にして開いてもらえるといい」など、この高齢者栄養教室の、より充実・拡大した継続開催を望む声も寄せられ、後味の良い教室となりました。

(終わり)

栄養教室開きました(その2)

 講話に続き、受講者はいよいよ調理実習に取りかかりました。この日のメニューは巻き寿司、鶏の唐揚げ、なすのずんだ和え、そしてあおさのみそ汁の4品。6つのグループに分かれた受講者は、講師の納富さんと、県西地区老健の栄養士達の指導のもと、役割を分担して調理に当たりました。

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 日頃から高齢者の食事作りに携わっている受講者も、いつもとは違う調理法に初めは戸惑い気味。しかし、レシピを見たり、説明に耳を傾けたりしながら徐々に要領を得て、着実にそれぞれのソフト食を作り上げていきました。

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 また、実際に自分の手でソフト食を作ることで、その特徴や、他の食形態との違いなどについて理解を深める良い機会となりました。

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(↑巻きずし)

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(↑鶏の唐揚げ)

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(↑なすのずんだ和え)

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(↑あおさのみそ汁)

(続く)

栄養教室開きました(その1)

 (社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会は1027日、都城市コミュニティーセンター調理室で高齢者栄養教室を開きました。講話や調理実習、試食などを通じて、食事に関する高齢者の特徴や、これに伴うリスク、そして高齢者もおいしく楽しく食事ができる高齢者ソフト食について学びました。

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(会場となった都城市コミュニティセンター)

 県内各地区の持ち回りで開催しているこの高齢者教室、今回は県西地区が担当。老健やグループホーム、訪問介護など、日頃高齢者の食事に携わる26人が受講しました。当日は同地区の会員施設の栄養士12人が朝早くから準備に当たりました。

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(朝早くから準備にかかるスタッフの皆さん)

 はじめに、「高齢者ソフト食について」と題し、潤和会記念病院の管理栄養士、納富祥子さんの講話がありました。「加齢に伴い、味覚や噛む力が衰え、喉の渇に鈍くなったり唾液の分泌量が減って、飲み込む力が弱くなる」と切り出した納富さん。「それにより摂食・嚥下障害が起こると、低栄養や脱水、誤嚥、窒息などを引き起こし、食事も楽しくなくなる」と指摘しました。

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(資料を用いてわかりやすく話す納富さん)

 これに対し、高齢者ソフト食は(1)しっかりとした形があり、(2)口に取り込みやすく(適正なサイズ)、(3)咀嚼しやすく(適正な固さ)、(4)まとまりやすく(食塊形成のしやすさ)、(5)移送しやすく(適正なすべりをもつ食塊)、(6)飲み込みやすい(適正な嚥下スピード)・・・などの特徴があり、それらの問題を解決できると説明。受講者は身を乗り出して聞き入っていました。

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(安全で美味しく楽しい食事を提供しようと真剣に聞き入っていました)

(続く)

「全国大会石川」パンフ届きました

 24回全国介護老人保健施設大会石川in金沢の事務局より大会パンフレットが届きましたので、 PDFファイルにてアップします。閲覧、ダウンロードは こちらからどうぞ。

 24回全国介護老人保健施設大会石川in金沢は、平成25724日(水)から26日(金)の3日間にわたり、石川県立音楽堂、ホテル日空金沢、ANAクラウンプラザホテル金沢ほかを会場に開催されます。大会ホームペーも既に立ち上がっていますので、併せてご案内申し上げます。

研修会開きました(在宅支援部会:その4)

【地域包括ケアの具体像】

(5)提供者

○医療・福祉専門職業務のスライド:地域包括ケアにおけるサービス提供の移行に合わせて政府が提起。

・医師・療法士から→看護師へ(日常生活機能訓練、急変時対応、看取り等々)

・看護師から→介護職へ(服薬管理、経管栄養、機能訓練や認知症ケアのスーパーバイズ等々)

・介護職から→保険外の主体へ(生活援助・・・生活支援等とセットで)

○「改正社会福祉士及び介護福祉士法」によって介護職によるたんの吸引や経管栄養といった医療行為が初めて公式に業務化。今後は法改正なしの省令によって対象行為が拡大していく可能性もある→介護事故の発生や離職率増加などが現場から懸念されている。

○医師や看護師の増員を図る政策でなく、地域包括ケア自身に必然性があるわけではない業務スライドには財政的視点に規定された「効率的なサービス提供体制の構築」という思惑が背景にある。

※なしくずしに業務スライドを進めるのではなく、現段階で医師・看護師の増員、介護食の労働条件・環境整備、それを可能にする報酬引き上げを行った上で、改めて医業と介護業の役割と連携体制、医療行為の危険・侵襲性を踏まえた専門教育・研修のあり方などについて議論する必要がある。

 

【地域包括ケアと「成長戦略」】

○社会保障改革において、「新成長戦略」に基づいて、新たな産業として医療や介護分野を位置づける動きが強まっている。

○地域包括ケアは、医療・介護費の抑制で生み出された保険外のサービスを産業として位置づける視点がある

・厚生年金受給者対象のサービス付き高齢者住宅:新しいマーケット創出の要。

・生活援助の保険外しも、新たな産業を育成する「成長戦略」の一環。

・業務のスライド:「健康関連サービス産業の成長促進と雇用の創出」に資するもの。

 

【終わりに:今後の課題】

※地域包括ケアを真に実現することが求められる。

○そのためには、各項であげたような提供制度改革が必要。

○財源は応能負担を原則に置きながら、利用者負担や保険料、公費負担の在り方を見直し、介護報酬の引き上げを図ることで真の地域包括ケアを保障する改革が求められる。

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(終わり)

研修会開きました(在宅支援部会:その3)

【地域包括ケアの具体像】

(3)居宅:24時間サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)

○施設と同等のサービスを提供する「切り札」として制度化。

※出来高払いである他の居宅サービスの利用と比較して、介護費を抑制するねらいがある包括払い方式の下で、施設並みのサービスが提供され、利用者の介護ニーズを十分満足できるとは考えにくい。

○重度者の食事介助、中度者の突発的排泄ニーズ、周辺症状が強い認知症の場合などは対応困難。

○時間的問題から生活援助の提供が困難になる恐れもある。

24時間サービスは、保険外で身体介護、生活援助、見守り・配食などの生活支援を確保しなければ成り立たず、地域包括ケアにおいて居宅生活が可能なのは、その負担ができる者に限られる。

※〔望ましい改革の方向性〕・・・自己負担率や支給限度を見直した上で、24時間サービスについて、出来高払い方式への転換、他居宅サービスとの併用を可能にすることなどが求められる。その上で既存の訪問介護、夜間対応型訪問介護等の報酬を引き上げ、サービスを充実させる必要あり。報酬引き上げを通じ、生活援助を介護保険制度の中に積極的に位置づけることも不可欠。

 

(4)予防サービス・・・「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」

※地域包括ケアの目的が、介護保険給付の「効率化」にあることを端的に表すのがこの総合事業。軽度者に不十分な在宅生活を余儀なくするものと言わざるを得ない。

○要支援者の予防給付を保険給付から、NPOや自治会など地域による保険給付外の地域支援事業に移すというが、高齢者の社会的孤立が進行している現状で受け皿になるとは想像がつかない。

○「本人の意向を最大限尊重」というが、判断は市町村、実施主体は地域包括支援センター。契約に基づいてサービスを選択・利用するという介護保険の「約束事」を反故にしかねない。ケアプラン作成が十分行われる保証もない。

※各保険者が総合事業の実施を再考するとともに、予防給付の充実、地域包括支援センターにおける公的責任の強化や、地域支援事業・高齢者施策の公費負担による整備などが求められる。

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【参加者は熱心に耳を傾けていました】

(続く)

研修会開きました(在宅支援部会:その2)

【地域包括ケアの具体像】

(1)施設・住まいについて

※地域包括ケアは、既存の病院や特養などの介護保険施設を抑制した上で、サービス付き高齢者住宅を整備し、高齢者が居宅において外付きの訪問介護・看護で生活することを目指している。

○入院は抑制:介護療養病床は新規開設が否定され、報酬改定でも単価引き下げ。

○介護保険施設:整備進まずホテルコスト等の徴集を通じて利用者負担引き上げ→必要なサービス利用できない恐れ。

○一方、「サービス付き高齢者住宅」の積極的整備進められようとしている→厚生年金受給者がターゲット。低所得単身者を中心に「介護難民」化が進む恐れ。

※療養病床削減撤回、特養増設、補足給付の充実などによって、在宅のバックアップとして既存の病床・施設を拡充すべき。その上で居宅介護を充実図るとすれば、公的な高齢者住宅の整備等の推進を基本としつつ、施設と同等の質・量を提供できる居宅サービス体系を構築する必要がある。

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【資料を使ってわかりやすく話される鶴田禎人先生】

(2)地域包括ケアと老健

※「”第二特養化”しているような老健施設が非常に多い。まず老健施設というのは基本的にリハビリを一生懸命にやり、残存機能を高めるなりして、在宅で生活ができるようにして帰す。それをもっと徹底的に行っていただきたい」(厚生労働省幹部の指摘、『老健』20119月より)。

○今次の介護報酬改定で、基本報酬引き下げ&「ベッド回転率」、「在宅復帰率」の指標の導入と、条件を満たした施設を「在宅復帰強化型老健」として報酬増額。

○入所前後訪問指導加算も新設するなど、全体として早期退所を促す改定となった。

○今後:在宅復帰を第一義に掲げる施設と、そうでない施設にこれまで以上に分化されると考えられる。

※しかし、現状は在宅における受け皿不足→入所期間の短縮が拙速に起きてしまうことが懸念される。老健・入所者双方に負担をかける改定と言わざるを得ない。

※政府:老健など介護保険施設に対する明確なイメージを持っているとは言えない。施設側から地域包括ケア時代における自らのあるべき姿を積極的にアピールすべき!

※老健:地域の入所施設として高齢者・家族を支えている現状、医療、看護、リハビリ、認知症ケア、ターミナルなどに関する多様な地域支援機能を発揮できるという特徴・強みを活かせる制度設計・報酬改定を後押しする必要がある。(続く)

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