協会活動報告

フェイスブック立ち上げました

 (公社)宮崎県老人保健施設協会のフェイスブックページを立ち上げました。協会ホームページと連動させながら、協会からのお知らせ、各研究部会主催の研修会案内などを、リアルタイムに行っていく予定です。

 アドレスは以下の通りです↓↓↓

 

https://www.facebook.com/miyazakiroken


   miyazakirokenで検索できます。


 当協会は広く県民の保健、医療、福祉の増進に寄与するため、様々な活動を行っております。今後とも協会へのご理解、ご協力方お願い申し上げます。

エントリー前にご確認を(九州大会)!

 「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」1114日、15日、宮崎観光ホテル)の演題受付締め切りは、823日(金)までです。いよいよ期日が迫ってきました。発表を予定されている皆様におかれましては、下記の項目について十分ご確認ください。

(1)「演題申込書」に必要事項は記載いただけましたか?

・・・特に「連絡先」(住所、電話、申込み担当者名など)に記入漏れがありますと、今後の連絡ができませんのでご注意ください。

(2)原稿入りメディアに記入漏れはありませんか?

・・・抄録原稿を保存した3.5インチFDまたはCD-R「演題」「施設名」「発表者」を記したラベルを必ず添付(もしくは直接印刷)して下さい。また、プリントアウトした抄録原稿1部も必ず添えて下さい。なお、郵送の際にメディアが破損しないよう十分ご配慮下さい。

(3)倫理的配慮はなされていますか?

・・・発表に当たっては、「参加者の同意を得ていること」「データの取得を行う機関等の長の承諾を得ていること」「参加者に対する必要以上の負担、苦痛、不利益を与えていないこと」「秘密保持が保たれていること」「発表の際の個人情報への配慮がなされていること」などの倫理的配慮がなされている事を、今一度十分ご確認くださいますようお願いいたします。

(4)宛先に誤りはありませんか?

・・・抄録原稿と原稿を保存したメディアの郵送先は「〒880-2112 宮崎市大字小松1158 第14回九州ブロック介護老人保健施設大会事務局」です。宛先に誤りがないか、ご確認の上お送りください。

 なお、演題申込書はファックス(0985-47-3967)でお願いします。

(5)その他

 これらに関するお問い合わせは第14回九州ブロック介護老人保健施設大会事務局までお願いします。

  TEL0985-47-3941

  E-mailmiyazaki-roken@junwakai.com

 

 以上につきましては、先ごろ送付しました。「参加のご案内」の7ページから9ページの、「演題募集要項」に詳細を記載しております。よくご覧の上、お急ぎお申し込みください。たくさんのエントリーをお待ちしております。

 また、大会参加の申し込み締め切りは930日(月)までです。たくさんの方のご参加をお待ちしております。

演題締め切り間もなくです!

 「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」1114日、15日、宮崎観光ホテル)の演題受付締め切りは、823日(金)までです。発表を予定されている皆様は、「参加のご案内」の7ページから9ページの、「演題募集要項」をよくご覧の上、指定の書式および申込み方法に従い、お急ぎお申し込みください。たくさんのエントリーをお待ちしております。

 また、大会参加の申し込み締め切り930日(月)までです。たくさんの方のご参加をお待ちしております。

研修会開きます(ケアプラン部会)

 公益社団法人宮崎県老人保健施設協会ケアプラン研究部会は921日(土)、児湯郡川南町の川南町文化ホール(トロントロンドーム)研修室で、包括的自立支援プログラムケアプラン策定研修会を開きます。

 今回の研修会は初任者が対象。ケアプランを策定したことがない方や、自信がない方等を対象に、わかりやすく説明・研修を行う予定です。特に今までに参加されたことがない方は、是非ご参加ください。

 会員施設の方は参加費として一人500円が必要ですが、会員施設以外の方は無料です。受講を希望される方は、別紙参加申込み書により、830日(月)までにファックスにてお申込み下さい。

 申込みおよび問い合わせは、介護老人保健施設 並木の里(担当:宮田、Tel 0983-44-6066Fax 0983-44-5109)までお願いします。詳しくはこちらをご覧ください。

研修会開きました(栄養給食部会、おまけ)

 718日に宮崎市の介護老人保健施設ひむか苑開かれた(公社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会の研修会。「認知症高齢者の食と味の認知を考える」と題し、講演をされた同苑の医師、田代学先生は、同時に県内でも著名な郷土史家でもあります。そして宮崎の文化や歴史などに関する著書も多く出されていますので、そのほんの一部を紹介いたします。

【消えた赤江川 大淀川界隈新風土記】・・・平成7630日発行、印刷:身体障害者通所授産施設やじろべえ

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「大淀川は古くは赤江川とよばれていたのである」。つまり赤江(灘)に注ぐ大河が赤江川と呼ばれるようになったのはごく自然なことだった。ただし、この赤江川が大淀川に改称されたのではなく、「中央、つまり日本国から見たとき、日向国を二分する川は藩政時代には既に小戸川の転訛した大淀川が通称となっていた」、これが正しいのだそうです。変わったのではなく、消えていったということを田代先生は強調されています。

これを口火にし、大淀川に関する色々な事を徹底して調べ上げ、著され一冊です。中でも「ヅンブリ島の十万両」は衝撃的です。大淀川河口近くのヅンブリ島に、なんと十万両が埋められているというのです。1676年(元禄5)、幕府の領地となり、吉村庄屋清水清左右衛門が預かり仰せつかり、その子清蔵が請地を願い出て官の軍用金十万両を島の中ほどに埋めたらしいのです。「水をかぶる」の意の「ヅンブリ」島は、那珂郡田吉村にありましたが、今は陸続きで、丸島付近の大淀川と八重川に挟まれるあたりだそうですが、この十万両の埋蔵金話、果たして真実なのでしょうか。そのほか、寛文2年(1662年)に起きた日向国大地震や、宮崎平野の地名(大字、字、小字)の由来、さらに宮崎市と綾町に電気鉄道を通そうという計画があった話など、興味津々の内容です。

 

【甦れ宮崎城 完結編】・・・1999101日初版発行、江南書房

 

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 ほとんどの県庁所在地には城があったのに、宮崎市にはなかったのか?いいえ、「宮崎城」は実在したのです。宮崎市池内町の介護老人保健施設春草苑前を南に進むと、道の右側に「宮崎城址」の看板が見えます。そこに宮崎城はあったのです。県領主、高橋元種(あがたりょうしゅ、たかはしもとたね、元豊前国香春岳城主)、宮崎城主権藤種盛(ごんどうたねもり)、豊前国中津城主黒田如水、飫肥領主伊東祐兵(いとうすけたけ)、清武城主稲津掃部助(いなつかもんのすけ)などなど、宮崎城にまつわる歴史上の人物が登場し、当時の様子を生き生きと再現します。ただし、宮崎城の戦いは、あろうことか同士討ちだったことが後に判明するなど、読んでいて切なくなるような事実も紹介されています。

 裏表紙には田代先生自ら描かれた「宮崎城合戦之図」が載っており、先生の多才ぶりにも驚かされます。決して大河ドラマのテーマになることはないであろう宮崎城ストーリー。しかし、タイトルの「甦れ宮崎城」からも察せられる通り、なんとか史実を調べ上げ、後生に宮崎城を伝え残そうという、田代先生の熱い思いがひしひしと感じられる名著です。

 

【大淀川ミニ風土記 橋が語る宮崎】・・・2006(平成18325日発行、発行者:財団法人宮崎県建設技術推進機構、宮崎南印刷制作印刷

 

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 宮崎市の天満橋が開通したのを記念して、田代先生が著された”橋物語”です。宮崎市内の大淀川に架かっている(そして架かっていた)12の橋について、その歴史や構造的特徴、さらには周辺情報などが32話にわたって記されています。わずか71ページの中に貴重な写真や、ためになる「ミニコラム」など、盛りだくさんの内容。カバンに入れて「宮崎の橋探検」の旅に出たくなるような作品です。

 

・・・以上の作品は、現在書店では取り扱っていない事も考えられますが、図書館などにはあるかもしれません。田代先生、ためになる講演、そして書籍、ありがとうございます。そして今後さらなるご活躍を祈念申し上げます。

全体会開きます(支援相談部会)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会支援相談員研究部会は920日、宮崎市の宮崎観光ホテルで全体会を開きます。

 講師に一般財団法人潤和リハビリテーション振興財団潤和会記念病院の歯科医師、清山美恵先生を講師に招き、経口摂取と口腔ケアについて学んでいきます。

 なお、この全体会は支援相談員以外の職種の方や、老健以外の事業所の方や一般のお方も受講できます。参加費として老健職員の方は、お一人500円が必要ですが、それ以外の方々は無料です。

 くわしくはこちらをご覧ください。またこの全体会へのお申込みおよびお問い合わせは介護老人保健施設しあわせの里(担当:支援相談員、笠原章寛、電話:0987-55-4800FAX0987-55-4507)までお願いいたします。

研修会開きました(栄養給食部会、その6)

 講演に続き、研修会参加者によるグループワークが行われました。栄養・給食部会が県内各ブロック持ち回りで開催している高齢者栄養教室の今後の進め方などについて話し合い、熱心な意見が交わされました。

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 認知症高齢者の食事について、”食と味の認知”という今までにない観点から学ぶことができた、非常に有意義な研修会となりました。

(おわり)

研修会開きました(栄養給食部会、その5)

【嗅覚・味覚障害と食の記憶障害】

 嗅覚・味覚障害がなく、食の記憶障害もない場合、食べ物を見て、その見た目や臭いと記憶が一致すれば、つまり「思う味が一致」すれば「美味しい」と感じます。

 しかし、嗅覚・味覚障害があって、食の記憶障害がない場合は、「思う味」と違う味となります。つまり、「期待したものじゃなかったので、もう食べない」となったり、食べたけれど「何か変だな?」となるなどして、食の誤認や食への拒否が生じかねません。

 また、嗅覚・味覚障害はないが、食の記憶障害がある場合は、現在の味と対比することができません。味覚に対して不思議な感覚をもつが、学習できないなど、どういう風に食べ物をとらえているかわからなくなっています。

 

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【認知症高齢者の味の再生障害】

 認知症高齢者の食と味の認知を考える上で重要なのは、認知症高齢者の味の再生障害がおきているということです。認知症の人の多くは、私たちが思っている味ではない味を頭の中で、口のなかで再生していると考えた方がいいわけです。

 この認知症高齢者の味の再生障害には、高齢者ゆえの問題として視力障害による情報の減少、嗅覚・味覚の変化による嗜好の変化、食事摂取量減少による亜鉛量の減少、薬剤に起因する亜鉛の排泄促進・吸収障害および唾液量減少などが、また認知症者ゆえの問題として嗅覚・味覚障害や味の記憶障害などが関わっています。

 見て、嗅いで、記憶の情報ができます。そこで味覚の記憶と食べ物の記憶とあわせて、一致したら「このようにして食べよう」という摂食行動が起こります。そして食べてみて口腔内の化学・物質刺激があって、どういうかみ方をすればいいか、という咀嚼行動に出ます。そしてそれは「こんな味だった」という味覚情報として大脳の方に戻されます。それが記憶と一致したときに「美味しい」と感じます。

 もしこの経路のどこかが侵されていたら、情報が行き来しなくなって「美味しい」という合致した答えが出ないのかもしれません。

 

【いずれは私たちもいく道】

 皆さんの施設でも色々な工夫をしていることでしょうが、利用者が果たしてどこまで認知されているか?味をどこまで理解されているか?を考えないといけないと思います。

 認知症高齢者が食と味を認知できないことを考えていたでしょうか。食事の記録をするときはどうしても「食事は何割摂取、嚥下障害、ムセなし」などとなっていたのではないでしょうか。食事の際、「喜びの表情があった、会話があった、”おいしかった”があったかどうか?」などを記録にしないというか考えてないような気がします。

 認知症の方がどんな味で食べられているかをもう一度考えていいのではないでしょうか?私たちもやがて行く道です。その時に少しでもいい物が食べられると思えば、今どうにかすればいいのではないでしょうか。このことは私の反省でもあります。

 Maslowの「人間の欲求5段説」にもある通り、食べることは人間のもっとも原始的な生理*的欲求です。認知症の人はそれによって食べられているかもしれませんが、その人にとって少しでも美味しい物を考えていってあげることも大事ではないでしょうか。私も研究していきたいと思います。皆さんも「”これがおいしいからおいしいですよ”、ではない」ということを頭にいれられた方がいいのではないかと思います。

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(講演終わり)(つづく)

研修会開きました(栄養給食部会、その4)

【味覚障害を起こす疾患〔2〕】

 味覚障害を起こす疾患には他に次のようなものがあります。

 

1)全身疾患:栄養欠乏(鉄欠乏性貧血、ビタミンAB2B12欠乏症など)、糖尿病、高血圧症、胃潰瘍、肝炎、肝硬変、腎炎、感冒、インフルエンザ、脳梗塞・脳出血に伴う中枢神経障害)

2)口腔疾患:舌炎、軟口蓋炎、舌癌、口腔内の火傷、過度な舌清掃、多量の舌苔付着、ジェーグレン症候群、唾液分泌の減少

3)突発性疾患:血清亜鉛値を含め、種々の臨床検査が正常であり、味覚障害の原因が特定できないもの。

4)心因性障害:下面性うつ病や不安神経症などの心因性ストレスが原因となることがある

5)風味障害:味覚は正常でも、嗅覚障害があると、味覚異常を訴えることがある

 

【薬剤と味覚障害】

 服薬している高齢者は、服薬なしの高齢者よりも味覚障害である率が高いとの報告があります。また、5種類以上の薬を服薬している服薬している人の4人に一人が薬剤性味覚障害との報告もあります。

 薬剤による味覚障害は、薬剤による亜鉛に対するキレート能(薬剤が亜鉛を取り込んでしまうこと)があり、尿中への排泄を促進するためと、亜鉛吸収障害によるとされています。

 

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【味覚障害を起こしやすい薬剤】

 味覚障害を起こしやすい薬剤には、亜鉛に関連するものだと心身安定薬、睡眠導入薬、抗うつ薬、降圧薬、利尿薬、抗高脂血症、抗胃炎・抗十二指腸潰瘍薬、解熱鎮痛薬、骨粗しょう症治療薬など、ごく普通の薬にあります。

 次に、唾液の分泌を低下させるものとしては、抗精神病薬、抗うつ薬・抗不安薬、制吐薬、消化性潰瘍薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン薬、ステロイド、筋弛緩薬、抗がん薬、抗てんかん薬、抗ヒ薬、解熱鎮痛薬、利尿薬、交感神経抑制薬、抗不整脈薬、抗ヒ薬、局所麻酔薬などにあります。唾液の分泌が減るということは、食べ物がひっかっかって飲み込めないし、味覚も変わります。

 

【唾液と味覚障害】

 唾液に溶けた物質は、分子やイオンの形となり、味蕾(みらい)の中にある味細胞に味物質が作用し、基本4味のそれぞれの受容体が刺激されると味覚神経が脳へと指令を送ります。この味物質は、唾液などで水溶液に溶解しなければ味覚は生じないため、唾液の分泌量は味覚の感受性に影響を与えるわけです。唾液の分泌量は、一般に加齢とともに減少するといわれますが、個人差があります。

 

【全身疾患と味覚障害】

 味覚障害を来す全身疾患には、次のようなものがあり、亜鉛の吸収を阻害し、排泄を促進する働きの両者、もしくはいずれかを持っています。

1)栄養欠乏(鉄欠乏性貧血、ビタミンAB2B12欠乏症など)

2)糖尿病、高血圧症、胃潰瘍など

3)肝炎、肝硬変、腎炎など

4)感冒、インフルエンザなど

 また、中枢神経障害として脳梗塞や脳出血後遺症などでは、舌で感じた刺激が頭の中に伝えられる途中が障害されて味覚障害を起こします。

 

【認知症高齢者における嗅覚障害】

 パーキンソン病では、まず延髄、嗅球、前嗅覚からレビー小体の形成が認められ、パーキンソン病の初期症状としての嗅覚障害に留意が必要です。また、レビー小体型認知症でもレビー小体の関与による嗅覚障害が生じます。アルツハイマー病では、早期に嗅覚低下を呈します。アルツハイマー病やパーキンソン病の多くは、その罹病初期から加齢以外の原因による嗅覚障害が高い確率でみられ、その低下に自覚がないのが特徴とされています。

 

【脳にはどのような病変が生じるか】

 アルツハイマー病では、海馬と嗅内野が脳内で最初に侵される部位です。臭いは鼻のすぐ上に嗅球があって、これから情報が伝わって嗅覚野に行きます。アルツハイマー病で最初にやられる場所と、臭いをかぐ場所がほとんど一致しています。老人斑ができているということは、においをかぐ力も落ちているということです。認知症が出る前に嗅覚障害が出ているのではないかとも言われています。

 片側の嗅覚野の障害では臭いはわかりますが、両方やられると嗅覚障害、そして味覚障害にまでなってしまいます。アルツハイマー病では両側やられるので味覚障害・嗅覚障害が出ていてもおかしくないと言えます。

 レビ?小体病にはパーキンソン病とレビ?小体型認知症の2つがあります。パーキンソン病の人が認知症になりやすいのは、レビー小体型認知症になるのではないかと最近では言われています。レビー小体病(パーキンソン病・レビー小体型認知症)、多発性脳梗塞の人は、とくに味覚を伝える神経の障害のために、発症早期から味覚障害を来す可能性は十分に考えられます。

(つづく)

研修会開きました(栄養給食部会、その3)

【風味:実際に味わう感覚】

 実はあまり「風味」という言葉が好きではありませんが、他に言葉がありません。日常の味覚の体験は、視覚・嗅覚・温覚・圧覚・触覚などの感覚と記憶などで拡張された知覚で、心理学的な感覚としての味は「風味(ふうみ、flavour)」と、呼ばれることが多いです。

 基本味以外の「辛味物質」「アルコール」「炭酸飲料」などの化学的刺激や、「熱さ」「冷たさ」などの温度、そして「舌触り(つぶつぶ感、柔らかさ、硬さ、滑らかさ)」などの物理的刺激は、味蕾を介することなく刺激として大脳に送られ、5種類の基本味と合わされて総合的な味覚を形成していると考えられています。

 具体的に言うと、味覚(基本味)はそれ単独では存在しえず、大なり小なり、嗅覚あるいは視覚や記憶などに影響を受けます。例えば、レモンの酸味とライムの酸味の成分は同一であり、基本味的には違いがないのですが、風味は視覚、嗅覚あるいは記憶によって両者の違いが強調されて認識されます。

 つまり、「甘い」料理を作ったからといって、認知症の人が「甘い」と感じているかどうかは別問題かもしれなません。                                                                                                                 

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【高齢者の視覚問題】

 100歳以上は100パーセント、80歳以上でも50パーセント以上の方は視覚障害があります。治療可能な障害は約半分(50.8パーセント)。つまり、若い人通りの視覚を持っている人は少ないと言えます。高齢者の眼疾患には老人性白内障、糖尿病性網膜症、緑内障、加齢黄斑変性症、網膜剥離、眼底出血などたくさんあり、どれも視覚障害を来しますが、問題なのは「見えない」ことではなく、「情報の減少」です。”建物がしっかり見える”という情報、”新聞が読める”という情報、”段差が見える”といった情報です。情報が減少すると、例えば段差が見えずに転倒や骨折を起こし、それが引きがねとなって社会的孤立や、うつ、認知症を引き起こすという問題があります。

 もちろん、食べ物が見えるという情報の減少にもつながります。たとえば白内障の人が食べ物を見るとなると白っぽくなります。ということは、食べるときに目で確かめる、目で喜ぶということが阻害されているということを考えるべきです。

 

【高齢者の嗅覚機能低下】

 つぎに臭いについてです。一般的に加齢により嗅覚機能は低下すると言われています。パーキンソン病では、まず延髄、嗅球などからレビ?小体の形成が認められ、パーキンソン病の初期症状としての嗅覚障害に留意が必要です。また、アルツハイマー病やレビー体病でも、レビー体の関与による嗅覚異常が生じます。

 

【高齢者における味覚障害の特徴】

 生理的な加齢現象により、味覚機能は衰え、甘味・塩味・酸味・苦味の基本4味に対する味覚閾値は、個人差はあるものの年齢とともに増大すると言われています。つまり、かなり甘い、かなりしょっぱい味にしないと、味として認識されないと言われています。そうすると若い人と比べ味が薄いと感じ、また基本4味が混ざり合った複雑で微妙な味覚がわからなくなります。

 しかし、その程度には個人差が認められ、(1)全身疾患、治療のための薬剤投与、(2)食生活による亜鉛摂取量の低下、(3)唾液分泌量の低下・・・が複雑に影響していると考えられています。年取ったから味覚障害、ではなく、その前にこのようなことを考えましょう。

 

【味覚障害の種類】

 味覚障害は「ただ味覚が鈍くなった」だけではなく。次のように色々なものがあります。

(1)味覚減退:味を薄く感じる

(2)味覚脱失・無味症:味が全くわからない

(3)自発性異常味覚:実際は何もないのに、口の中で特定の味がする

(4)異味症・錯味症:飲食物が本来の味とは違う味に感じる

(5)解離性味覚障害:特定の味質だけがわかりにくい

(6)部分的味覚障害:舌や口腔内の特定の部位が味を感じない                      

 

【味覚障害を起こす疾患〔1〕:低亜鉛血症が最多】

 疾患とまではいわないまでも、若年者を含めると、味覚障害をきたしやすい病態は、低亜鉛血症であり、全体の50パーセント近くで、その中でも、薬剤による低亜鉛血症が多いとされています。その他、亜鉛摂取不足、病気による亜鉛摂取障害、亜鉛排出過多などが含まれます。

 亜鉛(Zn)は骨やすべての細胞内に分布していて、DNAや蛋白質の合成、糖質の代謝などの生理作用があり、特に新陳代謝が活発な味蕾(みらい)の形成に必要で、不足すると味覚異常をきたしやすくなります。高齢者は食事の量が少ないということで、まず亜鉛の量が少なくなっているのではないかということが指摘されています。

 亜鉛は魚介、肉、海藻、野菜、豆類などに含まれ、特にカキはよい供給源です。

(つづく)

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