(社)宮崎県老人保健施設協会事務長会は3月3日、宮崎市の宮崎観光ホテルで平成24年度介護報酬改定セミナーを開きました。講師に公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)介護保険制度・報酬委員会の委員を務める医療法人金澤会地域医療福祉センターの永廣研二施設サービス部長を熊本市から招き、改定の概要や、介護の質マネジメントのありかたなどについて学びました。
この日のセミナーには、40の会員施設から150人の参加があり、今回の改定に対する関心の高さが伺えました。開会にあたり、同事務長会の川崎豊彦委員長は、「我々事務長会で試算したところによると、現在施設運営およびそれに付帯する事業所運営が厳しいところにきて、さらに厳しい数字をつきつけられたのではないでしょうか。各施設の事務長からも収入が減り、人材の確保ができないという悪循環に陥っているという声が聞かれています。その中でどうやって知恵をふりしぼってやればよいか、ということを本日は指導していただきたいと思います。また、介護職員処遇改善加算をとったらならば、現場の職員の質も上げないといけない。そこで介護の質マネジメントについてもご指導いただきたいと思います。最後までしっかり聞いていただいて、このセミナーがそれぞれの施設でいい方向に活用されることを期待しています」とあいさつしました。
「老健は国の施策のために試されてきた施設じゃないかと思います。今回の改定にあたっても、また試されたのだと思っています。ただ、今回の介護報酬改定については、2025年のあるべき医療・介護の姿を念頭に置いているということもあって、老健はもう一度原点に戻って考えていかなくてはいけないのではないか、と改めて感じた次第です」と切り出した永廣部長は、介護老人保健施設青翔苑の副施設長も兼務されています。「今回は本当に厳しい改定です。昨年4月から務めている全老健の介護保険制度・報酬委員会には、老健と全く関わりのない団体の方もおられるのですが、最初の話し合いの時、『これから老健はどうするのか?ちゃんと方向性を出さないと、他の団体としては応援しづらい』と言われ、これは本当に厳しいな、と思いました。しかし、どうにか頑張ればプラスにもっていける可能性があると考えていますので、いっしょに頑張っていければいいと思います」と呼びかけました。
セミナーは、改定の基本的な考え方や視点にはじまり、各サービスの報酬・基準見直しの内容に関し、入所サービス、短期入所療養介護、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション等のそれぞれについてスライドを用いながら具体的に行われました。
さらに、平成23年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金を円滑に介護報酬に移行することを目的に平成26年度までの間に限り創設された介護職員処遇改善加算について、その考え方を示した上で、介護(医療)の質マネジメントについて講演をしていただきました。これは、質マネジメントシステム(Quality Management System : QMS)の国際規格であるISO9001を介護(医療)に活用することによって、その質を向上させようというもの。現在の介護(医療)は個人の知識や技術に頼るのではなく、(1)チームで行われている、(2)様々な職種で対応している、(3)組織の中で活動が実施される・・・という状況にかんがみ、組織活動をまとめ、組織的な改善を進める仕組みとしての「QMS」の必要性について、その具体的手法に触れながらわかりやすく説明をしていただきました。
参加者からは質問が相次ぎ、予定の時間を超過するほど。満席に埋まった会場は熱気に包まれ、大変有意義なセミナーとなりました。
なお、今回使用された資料は、後日協会ホームページ上から閲覧、ダウンロードできるようにする予定ですので、是非ご参照ください。