協会活動報告

研究大会開催しました〔特別講演その3〕

 宇都先生は最後に食介護・食支援アンケートの結果および、それから見えてきたことについて話してくださいました。このアンケートは、宇都先生が今年の1月中旬から2月中旬にかけて、県内の43会員老健施設、そして個人病院などに対して実施されたもので、実に926人にものぼる回答があったものを集計、分析し、まとめられたものです。ただでさえご多忙な宇都先生、その合間を縫っての作業はさぞかし大変であっただろうと、頭が下がる思いです。

「食介護が必要な対象者はいるか?」の問いに対し、87%の人が「かなりいる」または「いる」と回答した一方で、食事介助の困難点が「よくある」または「ある」と答えた人は63%もいたとのことでした。

食事場面の問題点を職種ごとに尋ねたところ、どの職種も「むせる」、「なかなか飲み込まない」「口に溜めてしまう」などの回答が半数以上あったそうです。とりわけ「むせる」ことに関しては、摂食嚥下機能低下の問題点、さらに食事場面の不安点について尋ねた結果でも過半数がこれを取り上げており、食事介助のむずかしさが浮き彫りなっていることが指摘されました。

今回のアンケートから宇都先生は、(1)どの職種も現場では食事場面での問題点には気づいている、(2)ヘルパー、介護福祉士は現場で食介護・食支援に悩みを抱えながらの毎日である、(3)同じ施設、職種で抱えている悩みはほとんど同じである、(4)その悩みを解決する手段は「他の職種に相談する」であった、(5)食事介助の問題点があり、かつケアプランを立てている職種はケアマネージャーとSTだけであった・・・との結果を示されました。

またこの結果を踏まえ、宇都先生は〔1〕現場からの問題点を集積する必要がある、〔2〕各々が持っているノウハウを集積しておく必要がある、〔3〕ネットワークで繋げる必要がある、〔4〕インシデントを蓄積しておく必要がある、〔5〕嚥下状態を正しく診断・評価する人材が必要である・・・との見解を受講者に説かれました。

限られた時間の中でしたが、盛りだくさんの内容で、学ぶことの多い講演会でした。宇都先生は平成1211月に宮崎摂食・嚥下障害臨床研究会を立ち上げ、歯科医師、リハ医師、脳外科医師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、STPTOTなど90人が会員登録。基礎知識の理解や臨床技術の習得、さらに科学的基礎研究の啓発などを通じて、宮崎県の摂食嚥下障害の臨床の向上を図るために活動中です。現在、施設における標準的なサービスが提供できるよう、相談方法の確立を目指している宇都先生、お忙しい中、貴重な講演をしていただき、本当にありがとうございました。

研究大会開催しました〔特別講演その2〕

  次に、口腔内細菌と、誤嚥性肺炎については、夜間に気付かない間に、唾液や逆流した胃内容物を少量ずつ誤嚥する「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」の説明がありました。これは、口腔細菌を含む口腔や咽頭の分泌物や食物を誤嚥することにより引き起こされる、誤嚥性肺炎(老人性肺炎)を引き起こす可能性が高いという指摘がありました。

 これに対し、口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎を予防する効果があるとのことでした(特に終末期は重要なのだそうです)。

 続いて、在宅で最期まで口から食べる事への取り組みについては、まず胃ろうを自己抜去した翌日から100%経口摂取に移行した要介護高齢者症例が紹介されました。この方は、誤嚥性肺炎を繰り返すため、胃ろうを増設し、また認知症のため、経管注入中は拘束され、ベッド上での生活を送られていたのだそうです。在宅に移って拘束をはずしたところ、2週間後に胃ろうのボタン型バンパーを自分で抜き取ったため、翌日から経口摂取することになったとのことでした。宇都先生はそのために、主治医や歯科衛生士、訪問看護師、訪問リハビリ、ヘルパー、そして家族と、「人間が食べられなくなる、老いていくプロセスをどう受け止めていくか?」ということについて真剣に話し合い、口から食事をするために、評価を行い、食事を工夫し、嚥下訓練を行ったそうです。

 その結果、その方は食事を自分で食べるようになったばかりでなく、自分で歩けるようになったり、家族とピクニックを楽しむまでになったそうです。誤嚥性肺炎も減ったとのっことで、その模様が写真や動画で紹介されると、またまた会場からは驚きの声が上がりました。嚥下リハビリの目的は、「誤嚥しないことではなく、QOLを維持しながら誤嚥性肺炎の発症を防ぎ、生命予後を高めること」との説明に、受講者はうなずいたり、メモを取るなどして、真剣に聞き入っていました。

 この、最期まで口から食べることへの取り組みを紹介した上で、宇都先生は細菌、要介護高齢者の胃ろうの是非について、胃ろうを作ってきた医師の間で論争が起こっていることに言及されました。これは、(1)人工栄養法を導入しない選択肢を示す、(2)本人の益にならないと判断できるときは導入しない、(3)人生の完結に有益なときの導入は妥当・・・等を内容とした指針案を、厚生労働省が昨年124日、初めて公表して以来、マスコミなどでもしばしば取り上げられている問題です。その現状を踏まえ、宇都先生は、「尊厳を守り、最期まで口から食事が取れるよう、継続的な支援が必要。そのために、医療や介護に関わる人が職域を超えて連携し、家族や地域住民とも協力できる在宅医療の構築をめざして取り組んでいる」と、口腔ケアに対する熱い思いを力説。受講者の胸を打っていました。(続く)

研究大会開催しました〔特別講演その1〕

IMG_1822.JPG   続いて、「『最期まで口から食べる楽しみ』を支える ?多職種との連携を通じて?」と題し、ひとえ歯科クリニック院長の宇都仁惠先生の特別講演がありました。宇都先生は鹿児島大学歯学部を卒業、九州大学歯学部病院第一補綴(ほてい)科に入局された後、雁ノ巣病院歯科、産業医科大学歯学科口腔外科などを経て宮崎に帰郷され、2000年に宮崎市保健所健康増進課に勤務されました。その中で予防の大事さを再認識、2002年、再び福岡市のおがた小児歯科医院(障害者歯科では日本の草分け的存在です)に勤務された後、2003年にひとえ歯科クリニックを開業、現在に至っておられます。口腔ケアの重要性が叫ばれる中、その第一人者である宇都先生のお話が聞かれるとあって、会場は満席になりました。

 「食べるということは命にもつながる大切な行為です」と切り出した宇都先生。講演のタイトルを「最後まで・・・」ではなく「最期まで・・・」とされていることからも、その思いを伺い知ることができました。

 講演は(1)口腔ケア指導の成果と口腔ケアの実際、(2)口腔内細菌と誤嚥性(ごえんせい)肺炎、(3)在宅で最期まで口から食べる事への取り組み、(4)食介護・食支援アンケートの結果から・・・の4つの内容について行われました。

 まず、口腔ケアの成果と口腔ケアの実際については、潤和会記念病院にて宇都先生が歯科衛生士と共に、月1回、1病棟ごとに指導介入した事例が紹介されました。病棟職員を対象に基本的口腔ケアマニュアルを作成し、指導した結果、「うまく口を開けてくれない」、「方法や道具が分からない」という悩みが減った一方で、ほとんどの職員が「歯科専門職が必要」と答えたとのことでした。

 また、位相差顕微鏡を使って、実際に口腔内を撮影した映像が紹介されました。口腔内でうごめく細菌のあまりの多さに、受講者からは驚きの声が漏れていました。しかし、口腔ケアを行うことで要介護患者の総細菌数、そしてその中でも桿菌の数が有意に低下したことが説明され、口腔ケアの必要性を実感することができました。(続く)

 

研究大会開催しました(開会式)

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 (社)宮崎県老人保健施設協会(大野和男会長)は316日、宮崎市の宮崎観光ホテルで第9回の研究大会を開催しました。県内40の会員施設から310人が参加。講演や研究発表などを通じて研鑽を深め合いました。

 

 

IMG_1802.JPG 今回のテーマは「今こそ老健、原点回帰! ?利用者の想いを・・・?」。開会にあたり大会会長の大野会長は、介護保険が2000年から始まって12年経ちました。介護報酬改定には厳しいものがあるが、老健施設で働く私たちにとっては、県民、国民の支持が得られるよう、何を持っても質の担保を確保しなければならなりません。介護保険は要介護認定とケアプランの2つがキーワードだと思ってます。要介護認定に伴った質の担保をしっかりやっていかなければなりません。今日はしっかり勉強して、そして楽しくやりましょう」と呼びかけました。(続く)

残念&うれしいお知らせ

 昨日のブログにも記しましたが、第9回(社)宮崎県老人保健施設協会研究大会は216日、盛会裡に終えることができました。ご参加をいただいた皆様はもとより、参加者の留守を預かり、各施設で利用者様のケアに勤しまれた皆様におかれましては、重ね重ね御礼申し上げます。

 さて、40施設、310人の参加者で盛り上がった第9回(社)宮崎県老人保健施設協会研究大会ですが、ここで残念なお知らせをいたさなければなりません。来年度におきましては、この大会は開催をいたしません。そうです。来年の3月、本来ならば記念すべき第10回となるであろう(社)宮崎県老人保健施設協会研究大会は、開催をしないということが既に決定しております。Σ(゚д゚lll)エェーッ!なんでぇーっ(*´д`)。第9回大会のメインテーマは「今こそ老健、原点回帰!」。ということは、第9回で原点に戻ってそれでおしまいということなの(;゚Д゚)?“原点回帰”って、そーゆー意味だったのヽ(´Д`)???

 いえいえ、そうではありません。それはですね、今から述べますところのうれしいお知らせと深い関わりがあります。そのお知らせとは、そのお知らせとは・・・(ドロドロドロドロ:ドラムロールの音です)・・・

 はい、来年、すなわち平成25年の530日(木)と31日(金)の2日間、「第14九州地区介護老人保健施設大会inみやざき」が宮崎観光ホテル(宮崎市)で開催されます。そうです!北は福岡から南は沖縄まで、九州8県の老健施設の役職員がここ宮崎に一同に会し、エリア拡大、参加者増員、そして内容充実して開催することとなってるのです。これに伴い、宮崎県単独での研究大会は開催されない、というわけです。

 時あたかも春分の日。「こいつぁあ春から縁起がいいわいヽ(*´∀`)ノ」などと浮かれているわけにはいきません。第9回研究大会が終わって一息つく間もなく、「第14回九州地区介護老人保健施設大会inみやざき」の開催に向けて、既に準備は始まっています。参加予定人員は1,000人。より充実した大会になるよう、スタッフが一丸となって頑張っていく所存ですのでどうぞご期待下さい。

※「第14回九州地区介護老人保健施設大会inみやざき」は、平成251114日(木)および同15日(金)に開催日が変更となりました。会場は宮崎観光ホテルのままで変わりません。

※※「第10回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会」は、平成25年3月15日(金)宮崎観光ホテルで開催することとなりました。


ついに今日開催です(研究大会)

 9回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会、ついに本日午後2時開会です。参加予定の皆様におかれましては、お気をつけて宮崎観光ホテルにお越しください。

 一方、通常業務にいそしまれている老健職員の皆様におかれましては、大会発表者や参加者を送り出されたことに伴い、平時よりご多忙となっている方もおられるかと存じます。

ほとんどの会員施設より参加をいただいております本大会。参加者の皆様が大会で得たことを各職場に持ち帰り、それぞれの業務の実践に活かせるような、充実した大会にしたいと考えておりますので、研修報告や伝達講習にご期待いただきながら、業務に励まれて下さい。

 なお、9回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会は、本日飛び込み参加が可能です。事前に申し込まれていない方でも大歓迎です。ふるってご参加ください。

 今回の大会テーマは「いまこそ老健、原点回帰! ? 利用者の想いを・・・ ?」。施設の垣根、職種の壁を越えて、熱く語り合う6時間にしましょう!!

研究大会は松山1丁目!

 いよいよ明々後日に迫った9回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会!過去最高の39演題がエントリーされています。発表者の皆様におかれましては、準備はOKでしょうか?

 さて、大会会場は例年通り宮崎観光ホテル。住所は宮崎市松山1丁目11号。なんとも縁起がいい数字ではありませんか。それはさておき、もう一つ気になるのは「松山」という地名。宮崎市の地図を広げて眺めていますと、「松山」をはじめ、「広島」「高松」と、他県の県庁所在地を連想させるような地名が見受けられます。これはいったいどういうことか?移住者が多い土地柄ゆえに、それぞれ愛媛県、広島県、香川県の人たちが移り住んできて命名したとでもいうのか?宮崎市にはアイデンチィチィ、いやアイデンティティーはないのか???

 実は、これらの地名はそれらの県とは無縁なのだそうです。115日の宮崎日日新聞の連載記事「街を興す」の第5回「地名の謎」によると、その昔、宮崎平野はあちこちに松が多く茂っていて、「松山」「高松」は、大淀川の川べりで小高くなっていたことから由来しているのではないか、とのことです。さらに、「広島」は古墳が点在した高地帯で、水害の際にも「島」のように水没しない広い土地だったから名付けられたではないか、と書いてありました。ふぅーむ、なるほどぉー。

 しかし、今は周辺の状況はうんと変わりました。松林を目印に宮崎観光ホテルを目指しても、決してたどり着くことはできませんのでご注意を。あえて目指すとするならば、県庁前の楠並木でしょうか。そこまで来れば、あとは何とかなる!はず(#^.^#)

 とにもかくにも、あと3日です!関係者一同、総力を挙げて準備に当たっています。昨日もお知らせしましたが、事前申し込みが無くとも、当日飛び込み参加OKです!多数のご来場をお待ちしております(^.^)/~~~

飛び込み参加OK(^。^)y-.。(研究大会)

 9回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会がいよいよ今週金曜日、すなわち316に迫りました!先ごろお知らせしましたが、今回の研究発表のエントリーは過去最大の39演題!回を重ねるにつれ、その充実度が高まってきているのは、ひとえに会員施設の役職員の皆様が、日々の業務の内外で、たゆまぬ努力と研鑽を積まれてきたことの表れだと、関係者一同喜びに耐えません。

そこで、会員施設の皆様に朗報です!研究大会への参加を、大会当日も受付いたします!!「業務の都合で行けないはずだったが、その後予定が変わって行けるようになった?(o)/!」という方や、「参加したかったけど、申込み締め切りに間に合わなかった(ToT)/~~~」という方、はたまた「夜の”レクレーション研究発表”だけでも参加して、他の老健施設の人たちと交流を深めたい!」という方・・・。みーんなオッケー!!ヾ(´▽`😉ゝ大歓迎でーす!!キタ――(゚∀゚)――!!

事前にお申込みいただく必要はありません。参加をご希望される方は、当日会場(宮崎観光ホテル)に直接お越しくださった上で、施設名、お名前を仰っていただき、参加費(研究発表までの参加:3,000円、レクレーション研究発表までの参加:4,000円)をお支払いください。

平成24年度は介護報酬も改定され、介護老人保健施設を巡る情勢も諸種の側面において変革が求められようとしてます。そんな中で開催される第9回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会のテーマは『いまこそ老健、原点回帰! ?利用者の想いを?』。これからの老健施設はいかにあるべきか?施設の垣根、職種の壁をとっぱらって、みんなで熱く語り合いましょう?(^o^)/!!

なお、この件に関するお問い合わせは(社)宮崎県老人保健施設協会事務局(電話:0985-47-3941)までお願いします。

「質問への回答」アップしました(報酬改定セミナー)

 33日、(社)宮崎県老人保健施設協会事務長会主催で開いた平成24年度介護報酬改定セミナーは、35日のブログでも紹介しました通り、150名の受講者で会場は満席となりました。多数の、そして熱心な受講をいただき、関係者一同厚く御礼申し上げます。

 さて、その後、講師として熊本市からお越しいただいた公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)介護保険制度・報酬委員会の委員である医療法人金澤会地域医療福祉センターの永廣研二施設サービス部長より、セミナーに寄せらせた質問に対する回答を書面にてお送りいただきましたので、下記の通りPDFファイルにてアップいたします。

なお、セミナー当日使用した資料「平成24年度介護報酬改定の概要」(7日付の「お知らせ」のページにアップしましています)と併せてご覧いただけると、よりおわかりいただけるかと思いますのでご参照ください。

 

【介護報酬改定セミナー”質問への回答”について】

 

アップしたファイル:20120303Q&A.pdf(ファイルサイズ:93.5KB

ダウンロードはこちら

 

※この「質問への回答」も、「平成24年度介護報酬改定の概要」と同じく、アップ期間は318日(日)までとさせていただきますのでご了承願います。


上記通り3月18日もって閲覧終了させていただきました。悪しからずご了承ください。


報酬改定セミナー資料アップしました

 35日のブログにてお知らせしておりました、(社)宮崎県介護老人保健施設協会事務長会主催による介護報酬改定セミナー(33日開催)に使用しました資料を「お知らせ」のページにPDFファイルにてアップしました。ぜひご参照ください。

 ただし、アップ期間は318日(日)までとさせていただきますのでご了承願います。

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