「食介護が必要な対象者はいるか?」の問いに対し、87%の人が「かなりいる」または「いる」と回答した一方で、食事介助の困難点が「よくある」または「ある」と答えた人は63%もいたとのことでした。
食事場面の問題点を職種ごとに尋ねたところ、どの職種も「むせる」、「なかなか飲み込まない」「口に溜めてしまう」などの回答が半数以上あったそうです。とりわけ「むせる」ことに関しては、摂食嚥下機能低下の問題点、さらに食事場面の不安点について尋ねた結果でも過半数がこれを取り上げており、食事介助のむずかしさが浮き彫りなっていることが指摘されました。
今回のアンケートから宇都先生は、(1)どの職種も現場では食事場面での問題点には気づいている、(2)ヘルパー、介護福祉士は現場で食介護・食支援に悩みを抱えながらの毎日である、(3)同じ施設、職種で抱えている悩みはほとんど同じである、(4)その悩みを解決する手段は「他の職種に相談する」であった、(5)食事介助の問題点があり、かつケアプランを立てている職種はケアマネージャーとSTだけであった・・・との結果を示されました。
またこの結果を踏まえ、宇都先生は〔1〕現場からの問題点を集積する必要がある、〔2〕各々が持っているノウハウを集積しておく必要がある、〔3〕ネットワークで繋げる必要がある、〔4〕インシデントを蓄積しておく必要がある、〔5〕嚥下状態を正しく診断・評価する人材が必要である・・・との見解を受講者に説かれました。
限られた時間の中でしたが、盛りだくさんの内容で、学ぶことの多い講演会でした。宇都先生は平成12年11月に宮崎摂食・嚥下障害臨床研究会を立ち上げ、歯科医師、リハ医師、脳外科医師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、ST、PT、OTなど90人が会員登録。基礎知識の理解や臨床技術の習得、さらに科学的基礎研究の啓発などを通じて、宮崎県の摂食嚥下障害の臨床の向上を図るために活動中です。現在、施設における標準的なサービスが提供できるよう、相談方法の確立を目指している宇都先生、お忙しい中、貴重な講演をしていただき、本当にありがとうございました。