「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その2)

そんなマナハウスですが、10年前には30%もの離職があり、中でも「多くのスタッフで、ゆっくり介護をしたい人」が辞めていったそうです。

しかし現在は当時より1割少ない人数である一方、昨年度の離職率は0%。これは介護業務を切り出し、運転手や介護助手、そして清掃員に振り分けるなどしてスリム化を推進したことによるもので、その結果、人件費も当時の60%に抑えることができているとのこと。

介護記録については、2004年10月の開設時から記録システムを導入したものの、パソコン台数が少なく記録の順番待ちをしなければならないという問題が発生。そのようなことからシステムや端末の入れ替え、導入を繰り返し現在に至っているそうで、この日の研修会では現在稼働中のICTツールが紹介されました。その概要は次の通り。

《(1)記録システム》

①申し送り機能を活用し、情報収集。申し送りの内容は赤文字で表示

②各種帳票のカスタマイズができる

③アセスメント様式などダウンロード可

④サポートセンターに問い合わせ可

《(2)記録機器(端末)》

①タブレット:直接記録できる、一斉入力も可能、帳票閲覧もできる

②スマートフォン:直接記録できる、写真撮影し、記録取り込みに活用

《(3)音声入力システム》

①スマートフォンをポケットに入れたまま話すとAIが記録に関連する言葉だけを読み取り記録(ハンズフリー、インカム使用もできる)

②記録システムと連携し、情報共有を一気通貫でできる

③現場で作業しながらリアルタイムに記録できる(PCに戻らなくていい

③職員の声:「慣れるまでに時間がかかったが、繰り返すことで慣れてきた」「記録時間が短くなった

④職員の負担が軽減し、ケアの質向上につながった

⑤記録以外にインカムとして連絡機能がある

《(4)見守り介護ロボット》

①全ベッドに設置、マットレス下に敷く非接触型のセンサー

②離れたところでもWi-Fi環境があればパソコンやスマートフォンで、利用者心拍・呼吸・体動・離着床の状態をみることができる

③呼吸、脈拍が1時間に1回、自動で記録システムに記録される

④2時間ごとの巡視はしない(職員がするより性格)

⑤0.5秒ごとにモニタリングができ、正確に呼吸・脈拍を検知。看取りに活用

《(5)スマートフォン ナースコール》

①スマートフォンで受信、応答できる

②コールの履歴を自動記録

③連打の記録も残る

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その1)

看護・介護研究部会は11月9日(土)JAアズム別館3階302研修室で第2回の研修会「生産性向上の取組み」を開きました。33人が参加し、視察報告や事例発表などを通じ、生産性向上について学びを深めました。

研修会の司会は、視察に同行した介護老人保健施設ひむか苑の黒木慎一さん。開会にあたり「今回の研修で学んだことをそれぞれの施設に持ち帰り、今後の生産性向上に役立ててください」と呼びかけました。

まず、先進地施設視察報告として同部会の坂下和代委員長がマイクを握りました。この視察は同部会が会員老健施設を対象にしたアンケートの結果を踏まえて実施されたもの。視察先は福岡市西区にある社会福祉法人さわら福祉会特別養護老人ホームマナハウス。2004年10月に開設したマナハウスは全室個室ユニット型、特養60床、ショートステイ11床の施設で、介護付有料老人ホームが隣接しています。同部会では10月17日、委員等10名で視察を実施。施設概要や介護ロボット・介護ICT導入経過の説明を受けた後、2つのグループに分かれ、各フロアで導入後の活用常用について説明を受けました。

「医療に強い特養」、「誤嚥性肺炎になりにくい特養」、「地域に根ざした特養」という3つの特色に加え、「介護ロボットを使いこなす介護職」、「胃ろう、喀痰吸引を行う介護職」を全面に出し、「福岡で一番の特養」を目指しているマナハウス、過去8年間の介護職員の離職率は4.2%。これは2023年度における全国の介護職員離職率13.1%、および2022年の全産業離職率15.0%と比べて非常に低い数値となっています。また新卒者の人材も毎年複数名獲得できているなど、魅力ある職場となっているとのことです。

(つづく)

『老健』表紙写真募集中(全老健)

公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)では、機関誌『老健』(2025年4月号~2026年3月号)の表紙写真を募集中です

写真のテーマは「『老健施設』の日常」。全老健の役職員であればどなたでも応募可能です。

応募締切は令和6年12月13日(月)まで。応募条件や応募方法など、詳しくはこちらの全老健会員専用サイトをご参照の上、奮ってご応募下さい。なお閲覧には「ユーザー名」および「パスワード」が必要ですので申し添えます。

外国人雇用管理セミナーのお知らせ(福岡外国人雇用サービスセンター)

福岡労働局福岡外国人雇用サービスセンターは令和6年12月4日(水)14時から「介護職:特定技能外国人の受入れと適正な雇用管理について」をテーマに掲げ、「外国人雇用管理セミナー」をオンラインで開きます(16時終了)。

このセミナーは我が国で就労する外国人労働者が年々増加する中、外国人労働者の雇用管理の改善を促進するとともに、適正な労働条件の確保等を推進するため、外国人労働者を雇用数する事業主等に対して「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に退所するための指針(外国人雇用管理指針)」を積極的に周知するほか、同指針に基づく周知・啓発を実施している厚生労働省が、その一環として開催するもの。

セミナーはZOOMウェビナーを用いたオンラインで開催され、介護職で活躍できる在留資格及び特定技能に関する説明や、特定技能外国人を雇用している事業所の担当者および外国人スタッフへのインタビュー、そして外国人の雇用管理についてのレクチャーがあります。

詳しい内容および申し込み等についてはこちらをご覧の上、令和6年12月4日(水)15時までにお申し込みください

26日オープン!「みやざき介護生産性向上総合相談センター」

宮崎県は令和6年11月26日(火)、『みやざき介護生産性向上総合相談センター』を開設します。

宮崎介護生産性向上相談センター

〒880-0812

宮崎市高千穂通り2丁目1番2号睦屋第3ビル4階

電話:0985-31-0261

FAX:0985-31-0335

介護生産性向上総合相談センターは、厚生労働省が取り組む介護生産性向上推進総合事業のもと、都道府県が主体となり設置するもので、宮崎県では(公財)介護労働安定センター宮崎支部が受託し、11月26日にオープンすることとなりました。

同センターは、介護現場の人材不足が深刻化する中、介護サービス事業所向けにワンストップ型の相談窓口の機能を持ち、介護現場における生産性向上を推進することで、介護職員の負担軽減や介護分野の魅力向上による介護人材を確保することが目的。各種相談への対応や、生産性向上に向けた研修会、介護ロボット・ICT機器の展示や試用貸し出しなどが実施されることとなっています。

またこの事業について理解を深めるため、県内3地区でセミナーと展示会も開催されます。

みやざき介護生産性向上相談センターについてはこちらを、 また県内3地区で開かれるセミナーについてはこちらをご覧ください

日本地域包括ケア学会 第6回大会のご案内

日本地域包括ケア学会は2025年1月12日(日)第6回の大会をハイブリット方式で開催します。時間は13時30分あら17時30分まで。

この大会は「2040年に向けて第2のスタートを切る」をテーマに掲げ、これに関した基調講演やシンポジウムが予定されています。

詳しい内容および申し込み等についてはこちらをご覧の上、令和7年1月8日(水)までにお申し込み下さい

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その19)

同様に「『足』は第2の心臓」について、「血流を回す一番の主役は心臓ですが、筋肉の中に無数に走っている血管を、筋肉が収縮することによって血液の送り出しをアシストしていますが、全身の筋肉も偏りがあります。約6割から7割は下半身に集中しています。だから『足は第2の心臓と言われるわけですし、足を使うと良いです』と説明します。また江戸時代の人の一日の平均歩数は3万と言われていますが、現在推奨されている高齢者の1日の歩数は、諸説ありますが男性が7千、女性が6千5百と言われています」と話したのに続き、「1日の『歩数』・『中等度の歩行』と病気予防の関係」についても、研究データをもとにイラストを用いてわかりやすく解説すると紹介しました。

さらに「歩くことだけが歩数のカウントではないです。料理を20分すれば1400歩に相当する、などといった『歩数換算表』を使い、これを渡して朝起きてから夜寝るまでの自分の行動を足し算し、男性なら7千歩行っているか、女性なら6千5百歩に達しているか、もし足りていなければ換算表から選んだものが目標になります。このようにしてセルフマネジメントすることが非常に重要です」といった実践方法を説き、加えて身体活動の強さを示す「メッツ」にも言及。「自宅での活動も十分運動に置き換わります。そうするとIADLが目標化しやすくなります」と応用法を紹介し、講義を締めくくりました。

その後、会場からの質問にも、わかりやすく丁寧に答えて下さった三浦先生に、感謝の拍手が送られました。

自らの経験と実践に基づき、また豊富なスライドを用いて進められた研修会は、明日からの各施設での取り組みに役立つ、大変有意義な研修会となりました。

(おわり)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その18)

研修もいよいよ終わりに近づきました。株式会社リエンズ看護小規模多機能型居宅介護リエンズおよび住宅型老人ホームリエンズの管理者で、作業療法士そして介護支援専門員の三浦晃先生の講義は「セルフマネジメントに繋げるための学習」に進みました。「利用者へのアプローチも大事ですが、老健は地域貢献活動も大切ですし、加算にも関わってきます。解釈は幅広いのですが、例えば住民教育をする場合もそれに該当します。みなさんがもしそういう立場になったときに一役買えればと思い、私がいつも使っているものをいくつかピックアップしてきました。元気高齢者のフレイル予防は国の大きなテーマです。高齢者の方は自分の健康に興味、関心があります。そういう時にかぎ括弧の中に空欄を設け、『かっこの中に何が入るでしょう』と問いかけるやりかたをするといいです」と言いながら「『  』は第2の脳!」「『 』は第2の心臓!」というスラドを示し、さらに続けました。「『手』は第2の脳、『足』は第2の心臓、ですね。シンプルにインパクトがあるキャッチーなスライドを作っておくと良いです」として「なぜ『手』は第2の脳なのか?」という解説として脳の機能局在の図や、脳の部位と身体の機能の対応関係をまとめた図として知られる「ホムンクルスの図」を示し、前頭葉は使わないと退化することや、脳の中で頭、顔、そして手を司る部分の割合が非常に大きいことから頭と手を同時に使う運動が認知機能に効果があるという話をするとのことでした。

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その17)

「軽度者とIADL」については、まず要介護度別認定者における軽度者の割合が約7割であることに触れた上で、「この7割のうち、フレイルの要素を持っている方が約半数を占めます。この方々は適切に関われば治ります。そこをちゃんと見極めるのがデイケア、通所リハビリテーションの役割です」と、軽度者の在宅生活を支えるためにデイケアの役割が重要であることを強調。続けて要支援者のほとんどは、身の回りの動作は自立しているが、買い物などの生活行為の一部がしづらくなっていることを示すグラフを掲示し、「ADLはおおむね自立、けれどもIADLは軒並み低下していますが、ADLのうち入浴と整容動作は低下が早いです。これは理由があります。お風呂は裸ですし、多い工程を実行しなければなりません。整容動作は巧遅動作、細かい器用な動作と両手の協調動作が必要ですのでやはり低下が早いです。したがって入浴動作と整容動作をちゃんとアセスメントしていくと、ADLの負の連鎖を防ぐことができます。そして今日言いたいのは、IADL。軒並み低下していますが、ここには落とし穴があり、安易に代替えが効いてしまうので、本来できることも代替えし、『できていない』として『低下している』とされているデータも一定割合含まれています。本当にできなくなった方ばかりではありません。できているのに置き換えられているためデータが下がっている場合があるということです。つまりIADLはしっかりと能力を見極める。できるのであればしっかり目標化することが大事です」と注意を促しました。

フレイルに関しては社会的フレイル、身体的フレイル、心理的・認知的フレイルという3種類の多面的なフレイルがあることを踏まえ、フレイルの機序について「老化→併存症→IADL障害→認知・心理障害→社会的孤立→身体的フレイル」というスライドを示しながら「身体的フレイルが出る前段としてIADLの障害が出ると言われています。ここが入口ですので、軽度者についてはここをちゃんとみておくことが大事です。つまり身体的フレイルが出ている場合は、すでにIADL障害が起こっていて、社会的フレイル、心理的・認知的フレイルも起こっているというのが機序のようです。ですからもっと前の段階でIADLに触れておくことが大切です」と言葉を重ねました。

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その16)

「ケース分類と課題分類」に関して「今日、相談員の方も来られていたら参考になるかと思って準備して来ました」と言いながら「ケースのカテゴリー化」というスライドを示しました。これは縦軸に実態について「やっている」と「やっていない」を、そして横軸に能力の「ある」と「なし」に設けたマトリクス図を描いたもの。「新規の利用者の場合はこのマトリクス図を使います。これから入る利用者はどのカテゴリーに入るか?という大雑把な状態を示します。たとえば脳梗塞後遺症が重度で寝たきりの方で能力としてやっていない、実態としてもやっていない、という場合、目標とプログラムは悪化防止と介助方法になります。次に能力がなくてやっている、という場合、目標がリスク管理になります。認知症の方が大腿骨頸部骨折で入院、本当はまだ歩けないけれど歩こうとする場合がこれに該当し、リスク管理重視となります。能力があるけれどやっていない、これは不活発由来の方、フレイルの方がそうですが、目標とプログラムは『引き出して活用する』ということ。残る『能力があって実態としてもやっている』という方の目標とプログラムは『維持・向上に努めること』になります。このように、どこにカテゴライズされるかを最初に打ち出して、具体的な情報を伝えた方が、聞く側としてはわかりやすいです。能力がない方のカテゴリーは重厚なマネジメントが必要です。支援者が手厚く関わることが大事です。これに対して能力がある方のカテゴリーでは、支援者は黒子です。後方的または側方的な立ち位置で、本人は前に立つわけです。このように最初にどのカテゴリーになるかを伝えた方がわかりやすいです」と図解。参加者は納得しながら聞いていました。

次に「課題の優先性」では、縦軸に緊急度、横軸に必要度を取った図を示し、「緊急度も必要度も共に高いところにある課題こそ、先に取り扱うべきで、そこをアピールするはケアマネージャーの役目だと思います。そうすると目標の順番付けも変わってきます」と具体例も交えながら、新規の利用者へのアプローチがわかりやすく説かれました。

(つづく)

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