【「言葉づかいの習慣病」に注意】
研修会も終板になる頃、津田さんは「”言葉づかいの習慣病”なるものがある」と切り出し、受講者をハッとさせました。その「病名」とは、「ほうほう病」、「なります病」、そして「過去にしたい病」の3つ。それはこういう「症状」でした。
○「ほうほう病」:「通帳のほうをお預かりします」、「資料のほうをお持ちしました」など、名詞の後に「ほう」をつけて話すこと。正しくは「通帳をお預かりします」、「資料をお持ちしました」。
○「なります病」:「通帳はこちらになります」など、本来は変化を表す「なります」を、変化しないものにつけて話すこと。
○「過去にしたい病」:「ご注文はこちらでよろしかったでしょうか?」などと過去形で話すこと。「バイト敬語」とも呼ばれる。
これらの「言葉の習慣病」の怖いところは、「伝染すること」。つまり、一人が「通帳のほうをお預かりします」と言い出すと、みんなが「通帳のほうを」と真似し始める恐れがあると、津田さんは受講者に注意を呼びかけていました。
【苦情は氷山の一角】
不満に思っていることを実際に声に出して伝えてくる確率はわずか3パーセント、つまり「氷山の一角」と津田さん。残りの97パーセントは、黙っているが潜在的に不満を持っているのだそうです。そういう人の取る行動は3つ。つまり、(ア)しょうが無いから利用し続ける、(イ)他を利用する、(ウ)直接不満を伝えず、他者に「あそこは悪い、二度と行かない」などと言いふらす・・・。とりわけ(ウ)は”サイレントクレーマー”と言い、怖い存在だと指摘しました。
そして、実際に苦情が発生したらどうするか?次の6点であると教わりました。
(1)素直にお詫び
(2)話をよく聞く:言いたいことを言い終えて落ち着くまで、相手の目を見て聞く。弁解、いいわけなどせず、決して話をさえぎらない。
(3)冷静さを保つ:こちら側が感情的にならないこと。
(4)お客様の立場で考える:「(当行のそういう)決まりですから」などと言って受け付けないのはだめ。決まりが合っていないならば、お客様目線で変えていく。
(5)迅速な対応を心がける
このような苦情への対応を心がけることで、お客様とよりいい関係になることもあると言う津田さん、「”雨降って地固まる”とも言う通り、クレームはチャンスに変わる場合もある」と苦情への適切な対応が大事だと力説しました。
【ほめる、継続、感動。CS向上のポイント】
研修の終わりに津田さんは、CS(顧客満足)を向上させるために、自分たちがやるべきポイントとして「ほめる」、「継続」、「感動すること」の3つを示しました。それは次のような内容です。
1.ほめること:大きな業績を上げた時ばかりでなく、小さなことでもいいからほめること。コツコツ前向きに変わろうとしているのを見逃さず、タイミングよくほめること。
2.継続:最初は「あれ?」と思うこともあるが、続けることで定着する。意識しないでできるように継続する。
3.感動すること:骨格筋と同様に、人には「気づ筋肉(きづきんにく、つまり”気づきの筋肉”)」がある。筋肉は鍛えれば大きくなるが、「気づ筋肉」も同様。それいは感動することが大事。本でも映画でもいいから、ちょっとしたことで感動する事を続けることで「気づ筋肉」が鍛えられる。
(会場からは質問が相次ぎました)
(親切に、そして熱心に答える津田さんでした)
研修は主にスライドを用いて進められましたが、写真あり、ビデオあり、そしてもちろん、歌もあり。受講者全員が満足を得られた研修会に、さすがは”CS向上のプロフェッショナル”だと、津田さんの講演に改めて感動させられた2時間でした。受講者達は「さっそく今日から自分の施設でも実践しよう!」などと充実した研修会となりました。(おわり)