協会活動報告

研修会開きました(ケアプラン部会:その4)

 課題標記の方法に続き、長期・短期目標の設定方法について、次のように説明がありました。

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(1)利用者および家族と共に目標を考える

(2)課題(ニーズ)に対するサービスを提供した場合、〇ヶ月後にはどのような状態となっているかをイメージする

(3)利用者および家族と共に達成できたか、現状はどのような状況かを判断するための具体的な内容とする。できれば数値化が理想である。

(4)課題(ニーズ)に対するサービスを提供し、短期目標を達成し続けた結果、〇ヶ月後にはどのような状態となっているかをイメージする(長期目標)。

 基本的には個々の課題(ニーズ)に対して設定する。また利用者も支援を受けながら達成する到達点とする。

(5)援助目標は、「援助する上での目標」すなわち援助側の目標である。したがって、援助する者として、専門的な判断により設定するものとする。

(6)援助する上での目標は「援助した結果どうなるか」を示すものである。「援助によって利用者が〇〇のような生活を送ることができるようになる」、「○○することができる」というように利用者本人を主語としてとらえる必要がある。

(7)援助目標は、サービスする側の目標であるからといって、「〇〇というケアをする」とならないようにする。「利用者の状態像」を記述するところである。

 

 特に目標設定については、「『転倒なく歩けるようになる』というのではなく、『施設の中で5メートル歩けるようになる』、『杖をついて〇〇メートル離れた店に一人で行ける』など、できるだけ数値化して具体的に書いて下さい」と述べた上で、「そのためにどのような訓練をするか?生活場面ではどのようなことをするか?誰が担当し、何曜日と何曜日の何時から実施するか?など具体的に書いて下さい。実行できないといけないわけですから、確実に実行できるためにはどうやればいいかを考え、作成してください。期間も具体的に『〇〇月〇〇日から〇〇月〇〇日まで』と明記して下さい」と、ケアプランが「絵に描いた餅」にならないよう、具体的で客観的なものにする必要性を強調しました。

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(つづく)

研修会開きました(ケアプラン部会:その3)

 「このように7つの分野からなるケアチェック表を煮詰めていくと、それをチェックするだけで計画書ができあがるのが包括的自立支援プログラムの特徴の一つです」と高齢者ケアプラン研究部会の原貴子副委員長。引き続き施設サービス計画書の記入方法について説明を始めました。7つのグループに分かれた受講者は真剣に聞き入りました。

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 施設サービス計画書(1)には利用者や家族の生活に対する意向や総合的な援助方針を記入するもの。利用者や家族が施設の中でケアを受けながら、どのような生活をしたいと考えているかについて、アセスメント(課題分析)の結果を記載するのがポイントで、「『(本人)自分で歩けるようになりたい』、『(家族)父の思いを尊重したい』など、できれば本人や家族の言葉をそのまま記入してください」とのことでした。また、援助方針は利用者および家族を含むケアチームが目指す共通の方針を記入するもので、「ケアマネージャーの個人的な考えや方向性を書くものではなく、ケアチームとしての総合的な方針を記載するものだということを、しっかりおさえておいて下さい」と念を押しました。

 なお、先に施設サービス計画書(2)を書いた上で、施設サービス計画書(1)を作成するという流れにした方が、長期目標との整合性がとれ、連動させていきやすいとのことでした。

 施設サービス計画書(2)は、「ケアチェック表をそのまま書けばいい」としながらも、課題(ニーズ)については次のように表記することで「『ご用聞きプラン』ではなく、『ポジティブプラン』にしていくことができます」と強調しました。

 

(1)原則は困った状況を改善して、望む生活をしたい

→「○○したい」、「○○できるようになりたい」

(2)利用者がサービス利用を希望する場合には、その要因や背景を記入する

→「○○なので○○したい」(「室外へ出るときに転倒の不安があるので歩行器を借りたい」など)

(3)困難さを全面的に訴える場合

→「○○であるが○○できるようにしたい」、「○○であるが○○にならないようにしたい」(「転倒を減らし、骨折しないように生活したい」など)

(4)本人の訴えがない、認知症や廃用が進行して寝たきりの場合など

→「○○であるが、○○にならないようにしたい」、「○○なので、○○したいと判断した」

(5)疾患の予防や処置など、医学的な知識がないと理解しにくい課題がある場合

→「○○の再発予防が必要です」、「○○なので○○の必要性があります」

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(つづく)

研修会開きました(ケアプラン部会:その2)

 「1.食事・水分摂取に関するケア」、「2.排泄に関するケア」、「3.入浴・清拭に関するケア」、「4.洗面、口腔清潔・整容・更衣に関するケア」、「5.基本動作・リハビリテーション等に関するケア」、「6.医療・健康に関するケア」、「7.心理・社会面に関するケア」の7つの分野にわかれているケアチェック表。それぞれについて「ケア内容」、「ケア提供の場所/使用用具等」、「要介護者等の健康上や生活上の問題点及び解決すべき課題等」が細かく記載され、全てのケアが網羅されているだけでなく、本人の訴えや家族の要望もくみ入れやすいという特徴を踏まえ、原貴子副委員長は次のように記入要項を説明しました。

 

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(1)サービス提供機関が行っている全てのケアについて、「提供」の欄に○を記入する。サービス機関が複数にわたる場合は、記号を○△□などで区別して記入する。

(2)家族が提供しているケア内容がある場合は、「家族」の欄に○を記入する。

→要介護者に対して誰がどのようなケアを行っているかを明らかにする。

(3)「ケアの提供場所/使用用具」について○と種類の記入を行う。

(4)「要介護者等の健康上や生活上の問題点及び解決すべき課題等」を記入する。

→明らかになったケア内容や場所、用具等を照らし合わせ、該当するものがないか検討する。

(5)チェックした項目について、番号とともに具体的内容を記述する(ニーズの文章化、短期目標の設定)

(6)これら一連の作業を7分野にわたり記述し、立案する項目の検討を行う。

(7)立案にチェック後、解決すべき課題の優先順位を検討する。

 

 その上で(7)の「解決すべき課題の優先順位」について原副委員長は「まずは『緊急度』。命に関わることが最重要課題です。本人に苦痛や痛みなどがあると、まわりがいくら『頑張ってやろう』と言ってもできません。ですからそれを解決してやることが大事です。その次に考えるのが『必要度』。本人や家族の希望や介護量の軽減、日常生活活動能力の維持のために必要かどうかを考えて下さい。3番目が『実現可能性』です。在宅生活の維持や将来的に解決すべき課題、QOLの向上などがそうであり、これらの事をそれぞれの項目に当てはめながら検討していって下さい」とポイントを示しました。

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(つづく)

研修会開きました(ケアプラン部会:その1)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン研究部会は726日、宮崎市のJAAZMホールで包括的自立支援プログラム策定研修会を開きました。

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(会場となったJAAZMホール)

 今回の研修会は、ケアプランを策定したことがない人や、今ひとつ自信がない人、疑問や質問を抱える人などが対象に開催したもので、会員老健施設や特別養護老人ホーム、グループホームなど52人が受講しました。予定していた会場が手狭に感じるくらいの参加者数となり、「ポジティブプラン」の作成と実践を通じて、利用者本意のケアを提供しようという気概の高まりがうかがわれました。

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52人を7つのグループに分けた会場、すし詰め状態にあと一歩!という状況でした)

 研修会は部会委員の自己紹介に続き、帳簿類の説明とサービス計画書に関して、同部会の原貴子副委員長(相愛苑)が説明。包括的自立支援プログラムの特徴として、次の3点を示しました。

 

(1)要介護認定と連動している。「介護サービス調査票」がプログラムの一部である。認定アセスメントをそのままケアプラン策定に活用でき、効率性を確保できる。

(2)具体的ケアを検討「ケアチェック表」の活用

・・7つの分野にわかれていて、実際に提供しているケアがスタッフ、家族にわかりやすい。標準的ケア(参考値)を統計的に推測し、ケアの質を確保しやすい。提供している全ケアを網羅している。本人・家族の要望も反映できる。自立とQOLを支援するため「代替ケア」にも配慮している。

(3)在宅での使用を想定している

・・・社会的要因が抽出可能。サービス提供機関、家族の役割を明確化している。

 

 続いて、同プログラムを構成するものとして、(a)介護サービス調査票、(b)かかりつけ医の意見書、()在宅復帰と在宅支援の検討、(d)ケアチェック表・・・の4つを示し、その記入方法の説明に入りました。

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(原副委員長の説明を、受講者は真剣に聞き入っていました)

(つづく)

栄養・給食研修9月に延期

 給食研究部会が710日(木)、14時から宮崎市の介護老人保健施設ひむか苑会議室で予定していた研修会は、台風8号接近のため開催延期を余儀なくされました。

 その後同部会関係者で9月中に開催する方向で、現在日程等を調整中です。詳しい日程などにつきましては、決まり次第改めてお知らせいたします。

ケアプラン研修土曜日です

 726日の土曜日は、当協会高齢者ケアプラン研究部会による包括的自立支援プログラム策定研修会が、宮崎市のJAAZMホール別館301研修室であります。時間は10時から16時まで。

 この研修会はケアプランを策定したことがない方や、いまひとつ自信がない方などを対象に、講義やグループワークなどを通じてわかりやすく学んでいくもので、同部会が例年開催しているものです。今回は50人を超える参加申込があり、参加者間の交流や情報交換など、真剣な中にもわきあいあいと、そして有意義な研修会になるものと期待されます。

 研修会の模様は後日、このホームページ上でもレポートする予定です。参加を予定されている皆様は、どうぞお気を付けてお越し下さい。

走ります!老健みやざき号

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 当協会の公用車、「老健みやざき号(仮称)」がこのほど導入されました。県内の会員施設への訪問や各研究部会の活動時、研修会の取材等々に活用していく予定です。

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 県内の老健施設の資質向上はもとより、広く県民の保健、医療および福祉の増進に寄与するため、「老健みやざき号(仮称)」は文字通り東奔西走します。皆様のもとへお寄りすることもあるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本間先生講演「備えよ常に」アップしました

 本県を直撃した台風8号は、県内のみならず、全国にその被害が及びました。被災された皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。報道でも伝えられた通り、台風から遠く離れた場所でも大きな災害が発生しています。このことは、「自然災害に”対岸の火事”は無い」ということを痛切に感じざるを得ないものです。

 そこで去る419日、当協会が宮崎市のサンホテルフェニックスで開催した第11回の研究大会の中であった特別講演「高齢者施設のリスク・備えよ常に」の内容を、PDF形式にてアップします(ファイル名:「sonaeyotuneni.pdf]、941キロバイト、閲覧・ダウンロードはこちらから

 この講演は、医療法人生愛会理事長で一般社団法人福島県老人保健施設協会会長の本間達也先生を講師にお招きして開いたものです。本間先生は東日本大震災に遇い、利用者や地域住民の命を守るべく昼夜を問わず奔走し、その中で老健施設としての危機管理への重要性を再認識されました。実体験に基づく貴重なお話は、災害の種類を問わず、私達が災害への備えの意識を新たにし、取り組みを強化する上で非常に役立つ、感慨深いものでした。

 本間先生による講演の模様は、写真等を添えてこのブログの中でも連載しましたが、今回は文章のみにしたものをアップします。是非再読されて、それぞれの施設での防災対策の一助として下さい閲覧・ダウンロードはこちらから

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