いよいよ11月14日(木)、15日(金)に迫った「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」。その「大会プログラム・抄録集」が出来上がりました。
いよいよ11月14日(木)、15日(金)に迫った「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」。その「大会プログラム・抄録集」が出来上がりました。
11月14日(木)15時10分から17時30分にかけて、宮崎市の宮崎観光ホテルで、「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会in宮崎」の中の市民公開講座として、長野県の佐久総合病院映画部農村医療の映像記録保存会の若槻健一代表による基調講演と、映画「医(いや)す者として」の上映を行います。この公開講座はどなたでも無料で参加できます。お問い合わせは大会事務局である公益社団法人宮崎県老人保健施設協会(電話:0985-47-3941)までお願いいたします。
ご興味にある方は映画の公式サイト(http://iyasu-mono.com/)もご参照ください。
なお、会員施設におかれましては、この市民公開講座用のPDFFファイルも用意していますので、こちらからダウンロードしていただき、配布・貼付等により宣伝下さいますよう併せてお願い申し上げます。
11月14日(木)、15日(金)に開催します「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」。いよいよあと3週間となりました。発表を予定されている演者の皆様におかれましては、練習に余念がないところかと存じます。
発表データの提出は10月31日(木)必着となっています。こちらの「分科会(口演)演者の皆様へのご案内」を今一度ご覧の上、データの作成・提出方お願い申し上げます。
当協会の広報誌「老健みやざき第28号」のPDFファイル(6.98MB)をアップしました。そのまま見るなり、ダウンロードして楽しむなり、自由にご活用して下さい。「老健みやざき第28号」へのページはこちらからどうぞ。
これだけで終わっては教科書的でおもしろくないと思いますので、それでは現実的な問題に目を向けてみたいと思います。多くの老健は「期待はわかるけど、どうしたらいいかわからない。どう変化していいか不安」と考えていると思います。つまり、「在宅復帰と言うが、帰れない人ばかりではないか。リハビリ機能を減らして、居住系の比率を増やした方がいいのではないか」、「医療ニーズが高い人が増えており、有床診療所を併設するなど、医療機能を強化した方がいいのではないか」、そして「在宅支援の必要性はわかるが、24時間巡回型は地方では経営が困難なのではないか」、さらに「相談対応と言っても、その経費はどうするのか」などといった不安を抱えているのではないでしょうか。しかし将来的にはこれらがなければ地域包括ケアシステムは動きません。なぜならば、24時間在宅での安全・安心を老健に託す人がいるからです。知恵を出してどうにかしなければなりません。相談対応も今はボランティアかもしれませんが、これは地域の人たちのニーズなのです。例えばコンビニによその人が来て道を尋ねたら一銭にもならなくても教えます。そういうことが必要だと思います。親身になって相談に乗ってあげることで、将来金になる事が出てくるかもしれません。
皆さんで考えていただきたいと思います。老人保健施設の我が国での役割、すなわち基本軸は「在宅復帰・在宅療養支援・生活期リハビリの拠点」であり、これは開設当初より変わっていませんし、この潮流は変わりません。ただ、そこに軸を置きながら、それぞれの施設の各地域での役割は違うと思います。老健としての機能や地域の施設に対する期待、そして経営上の課題は違うと思います。
たとえば、JRが全て新幹線になったわけではありません。私の地元には肥薩線が走っています。地方路線は住民の足として必要であり、廃止するわけにはいきません。それでみんなで知恵を出しました。超スローの観光列車というのを走らせ、景色のいいところではスピードをぐーっと落として楽しんでもらったり、居酒屋列車を走らせたり、SLも走らせたりしています。また、祭りにあわせて臨時列車も走らせています。そのようにして生き残るために知恵を出しているわけです。
老健も特養も、現在の施設が将来同じ形で運営されるのが本当にいいのでしょうか。医療の現場の過去を振り返ると、病院の類型も時代とともに大きく変化してきました。昔の地域基幹病院がすべて高度急性期医療に特化してきたわけではありませんし、都会と地方でもそのあり方は違っています。医療と介護は違うかもしれませんが、それぞれの施設のあり方よりも、ダイナミックにかつ柔軟に検討する時期にきているのではないかと思います。今の制度の中でどうやって生き残っていくかを考えていく必要があります。
地域包括ケアシステムの目標年度は2025年です。その間に介護報酬改定は4回、うち診療報酬との同時改定は2回行われます。また、これからの施策は国が大きな方向性を定め、地方自治体がその地域に合った政策を実行する、という我が国の大きな方向性は決まっています。そして地域住民の期待を反映できるかどうかは各地方行政の責任です。その地域で、それぞれの施設の果たすべき役割は何かを考えてほしいと思います。
”Rome was not
built in a day“(ローマは一日にして成らず)と言います。決して甘いものではありませんが、決して余裕がないわけではないと思います。ぜひ大きな流れをしっかり見極めて、この厳しい時期をしのいでいっていただきたいと思います。
老健の潮流で常に求められていたものは寝たきりからの解放、QOLの向上、中間施設・通過施設としての機能、医療職(医師、看護職)の常勤配置、リハ専門職必置、デイケア必須などであり、そこで医療サービスと福祉(介護)サービスの一体的提供、そして生活リハビリ提供の中で在宅復帰と在宅療養支援、つまり在宅限界への挑戦が求められてきました。この流れは平成24年の改定でも退所時関連加算やリハビリ関連加算等へと続いています。そして、地域包括ケア研究会報告書からみた施設の方向性についての報告で見ても、やっぱりこの方向性でいかなければ介護保険施設は「ケアが組み合わされた集合住宅」として位置づけられ、医療・看護・介護サービスは外部の事業者から外付けでの提供、と出ています。
ということは、今回の厳しい改定をどうクリアしていくかが知恵の出しどころです。先に述べた通り、地域包括ケアシステム研究会は、「おおむね30分以内の日常生活圏域において、医療・介護のみならず、福祉・生活支援サービス等が一体的かつ適切に、24時間365日相談・利用できる提供体制を」と報告していますが、私たち老健はその中で生きていくということです。2025年は、生活上の安全・安心・健康が確保され、できる限り住み慣れた地域や故郷での在宅生活が継続できるよう、介護保険施設の本来の機能であるリハビリテーションが充実した在宅復帰支援、在宅生活支援が発揮されるべく、介護保険施設はその機能が評価される、というのが研究会の報告です。類型が評価されるのではありません。今回の改定で新設、あるいは見直された加算項目を見ると、2025年の地域包括ケアの時代において、期待される介護保険施設の方向へ介護老人保健施設の報酬は既に舵(かじ)が切られたと言えます。ここのところはしっかり頭に入れて施設運営に当たっていただきたいと思います。
2025年の老人保健施設は、地域ケアの拠点になれるか?というのが一つです。たとえば認知症について言うと、医療面では認知症疾患医療センターの整備や認知症サポート医の養成が進み、地域ケア面では地域包括支援センターや認知症サポーター、見回りネットワークなどがありますが、実は医療とケアを同時に提供できる拠点、すなわち認知症ケアにおける中間施設がありません。ですから、何か困ったことがあったときに駆け込むところは今の所老健しかないと思います。認知症を例に出しましたが、色々な事について、このようなバックアップが必要だと、私は地域医療をしていてそう思います。
全老健の「老人保健施設の総合的な将来の在り方検討懇話会」中間報告、「2025年のあるべき『介護老人保健施設』の姿について」には、2025年のあるべき介護老人保健施設の機能として(1)多職種協働で必要なサービスを提供、(2)生活機能の維持・回復、(3)利用者の状態にあった住まいへの復帰・在宅生活の継続、(4)在宅ケア支援、(5)地域との連携と地域ケアの拠点・・・の5つをあげています。これはもちろん老健の理念、そして役割であり、これは変わっていないし、これからも変わらないと思います。なぜならこれは地域包括ケアシステムが目指すところと同じだからですし、老健に期待されるところと同じだからです。
これからの介護老人保健施設は、在宅ケア支援施設として地域支援、生活機能の向上を目指した短期間の入所、在宅生活支援のための緊急入所、質の高い生活リハビリなどを提供していかなければなりません。ただし、施設というとどうしてもイメージが入所中心になります。でも老人保健施設はその存在意義を果たそうとするなら、この入所中心のイメージから脱却することが課題だと言えます。そして長期入所のニーズが高ければ、一部な住宅的な機能を持ってもいいのではないか、という開き直りも必要だと思います。このようにして将来老健が様々な機能を備えた”24時間対応ONE STOP
SERVICE STATION“になれば、地域を担えると思います。
平成24年11月に行った、熊本県の介護報酬改定関連加算算定状況等に関する実態調査(回答:68施設/84施設中、回答率81.0%)について説明します。少しずつ加算を取るところが増えてきています。9月の時点で68件中30件、44%が在宅強化型か在宅復帰・在宅療養支援機能加算をとっています。一方、「現時点では在宅強化型への移行は難しい」と考えていたのは38件ありました。また、在宅復帰・在宅療養支援機能加算について「現時点では算定は難しい」、および無回答だったのは22施設、全体の32.4%でしたから、6割強の施設はどうにかして加算をとろうと考えていました。
加算が可能となって理由は、先の6月の実態調査先の所でも述べた通り、「利用者・家族との面談を増やすなど積極的に準備を進めてきたため」が20件と最多でしたが、興味深いのは「在宅復帰に向けスタッフが意識改革したため」が11件あり、スタッフ、特に支援相談員が元気になり、やる気が出てきたようです。訪問リハ、短時間通所リハはまだまだでした。
さて、介護報酬改定を踏まえた今後の課題ですが、まず施設入所(長期入所)のニーズは実態としてありますし、医療ニーズへの対応もどうするのかなど、入所の実態にどう対応していくのか、ということがあります。また、経営実態調査など、経営評価をどうするのか、リハビリ職員の配置は現状でいいのか、といった人員基準等の再検討も必要です。さらに生活期リハビリテーションのあり方や、認知症ケアの対応などは次回改定に向けてまだ全然答が出ていません。
平成24年の改定から見た老健の未来はどうなるのでしょうか。どこの施設でも同じですが、改定や制度改正は、我が国の高齢者施策の大きな流れの中に現在があります。昭和50年代から2025年、さらには2050年へ、という流れの中で、老健が誕生し、介護保険が創設され、地域包括ケアが提唱され、その中で医療と介護の連携、在宅医療との連携をどうするのか、ということが言われています。私は、制度の変革は大きな潮流の中にあると思います。この流れに逆行することはできません。ただ、報酬はその時の財政状況等によりぶれがありますが、問題は報酬の額以上に、その内容に込められたメッセージが大切です。現在の状況はその一断面であって、将来の方向性は、過去の軌跡の延長上にあります。これまでの研究会での話はぶつ切れにはなっておらず、その軌跡は戦艦大和のように緩やかなカーブを描きながら進んでいます。つまり、モーターボートではないから軌跡の方向性が見えにくく、進む方向がわかりづらいけれど、間違いなくかじを切っている方向へ進んでいるから、それを見誤らないでほしいということです。
具体的には、平成の初め頃から老健は急激に増えていていますが、この時に既にかじを切り始めています。平成8年に施設療養費?が設けられました。看護・介護の比率が最初3.6対1だったのが、3対1になり、ケアプラン作成も義務化され、報酬も上げます、となりました。また、老健ができてまだ数年というこのときに長期入所に問題が指摘され、逓減性のペナルティーがつきました。当時「施設療養費なんかとっても無駄だ」と言う人もいましたが、実際今はどうでしょうか。ケアプランは当たり前、3対1でも足りません。ですからその時から準備してきたところと、後から慌ててやったところとでは大きな差がついたわけです。
同じように、今回の改定で創設された強化型老人保健施設は大変だ、在宅復帰支援機能加算は取れない、と思いますが、よく考えてみるとこの在宅復帰とベッド回転率は逓減性のときと同じようなもので、それをバージョンアップしただけです。そしてやはり「やらないほうがいい、従来型で入所させっぱなしにしといた方がいいよ」というのと、そうじゃなくて実際に取り組んでいくのとではどっちがいいでしょうか。私は今回また大きくかじを切っているのではないかなと思います。たぶんこの答えは2025年頃出てくると思います。
もう一つ、リハビリテーション機能強化加算があります。100床に対してリハ職員を2人にして下さい、そのうち1人は常勤にしてください、ということで平成12年に12単位ついた時には、それだとリハ職員1人を雇う金にならないと取り組まなかったところがありましたが、平成15年30単位になり、さらに平成18年にはリハマネ加算や、1対1で行うことが条件の短期集中リハ加算、認知症短期集中リハ加算などが一気に設けられました。ここで慌ててリハスタッフを入れようとしても取り合いになったり、中身も伴わなかったという事が起きました。ということは、平成18年の前の時点から流れはあったわけです。
つまりどの流れも、経営的に見るとその加算をとってもペイしない、ぎりぎりの所で出てくるのです。ですから今回の改定もそうだろうと思います。これは私の深読みですが、そのぎりぎりの所でつけてきた先にはずっと大きな流れがあるような気がします。
さて、今回の改定では特養も療養型も老健も、全ての類型の基本サービス費が引き下げられましたが、老健は在宅復帰・在宅療法支援機能加算が見直されたことから、それが算定できれば要介護3から5の場合は相当分取り戻せると思いましたが、在宅復帰の要件が厳しすぎると感じました。施設内で亡くなった場合、退所者総数には入るけれど、在宅復帰には入っていなかったので条件闘争をやりました。片方で看取りをやりなさいと言いながら、在宅復帰にはならないというのはおかしいと。その結果、死亡者は退所者総数からはずすということになりました。
もう一つは要介護3、4、5は1週間家に帰ればいいじゃないかと交渉しました。回復期リハ病棟は1日帰っても在宅復帰なのに、老健は1月以上。どうして医療と介護ではこんなに違うんだ、と。その結果、要介護4、5の利用者は在宅生活が14日継続すればいいということになりました。少し在宅復帰率が上がる方向で成功したと言えます。これに回転率5パーセント、そして退所した人のうち30パーセントが在宅復帰していれば在宅復帰・在宅療養支援機能加算が算定でき、これまでとトントンで行けるし、要介護4、5の人の割合が増えればプラスになります、と説明して回りました。もう一つは、「在宅」とは何か?をきちんと出してもらいました。病院、診療所、介護保険3施設、それ以外は在宅です。
平成24年6月、つまり改定があって3ヶ月した時に、熊本県老人保健施設協会が行った「介護報酬改定関連加算状況等に関する実態調査(速報)」について話したいと思います。熊本県には87の会員施設があり、そのうち73.6パーセントにあたる64施設から回答があったものです。これによると、全体の22パーセントにあたる14施設が在宅強化型で算定していました。残りの50施設のうち、11施設は在宅復帰・在宅療養支援加算で算定していました。これらがどうして算定できたか?という理由は「利用者・家族との面談を増やすなど積極的に準備を進めてきたため」が12件、「在宅復帰に向けスタッフが意識改革をしたため」が6件などでした。
また、平成23年6月および平成24年6月のそれぞれ1月間に退所された利用者の退所先内訳は、改訂前の平成23年において「自宅等」が48パーセントだったのに対し、平成24年は54パーセントになりました。
所定疾患施設療養費の算定については、肺炎や尿路感染症、帯状疱疹などが対象ですが、結構施設で治療してもらっているようです。一方、訪問リハビリへの取り組みや1?2時間の通所リハの実施はまだまだのようです。
次に当園(リバーサイド御薬園)の状況をお話します。自宅復帰率(※報酬算定上の在宅復帰率とは異なる)は平成23年度の4月/5月/6月/7月(以下同)が58.33%/50.00%/60.00%/25.00% だったのに対し、平成24年度は62.50%/63.64%/66.67%/44.44% でした。また平均要介護度は平成23年度の3.67/3.60/3.57/3.56に対し、平成24年は3.16/3.18/3.24/3.22でした。ここのポイントは平均要介護度が下がっているということです。これは加算を取ろうと在宅復帰を進め、回転率を上げていくと、平均要介護度が下がってくる、ということです。
平成24年度の改訂後の収益を改訂前の月の単位と置き換えた場合の比較(介護職員処遇改善加算分を除く)ですが、4月は従来型基本施設療養費と在宅復帰・在宅療養支援機能加算をとって基本施設療養費で2.32%のマイナス、諸加算分で17.29%のプラスで合計0.42%のプラスとなりました。7月でやっと強化型基本施設療養費をとって4.09%のプラス、諸加算分が4.40%のプラスで合計4.13%のプラスとなりました。
ところが、請求額(短期入所含む、介護職員処遇改善分除く)で見ると、4月で前年対比746,180円のマイナス(-2.82%)、つまり加算をとってもマイナスです。5月、6月もマイナスで、7月でやっと423,070円のプラス(1.59%)となりました。加算をとるのに職員は大変ですが、やっぱりこんなものです。これが実態です。
その理由を分析したのですが、一番は平均要介護度が下がったことです。また、回転させますから空きベッドが出て来るということもありますが、それはショートステイでカバーするとしても、やはり平均要介護度が下がったことが一番きつかったです。
全老健の役員がまとめた「地域包括ケア研究報告書の要約」をスライドに示しますが、この中で大事なのは「介護保険施設は、リハビリテーションを充実し、在宅復帰・在宅療養支援、認知症対応、医療ニーズへの対応等の機能を重点化」するということ、そして「リハビリテーションスタッフが重点配備された施設を中間施設として位置づけ」するということです。これは特別養護老人ホームの皆さんにとっては厳しい文言かもしれませんが、かといって老健にとって優しい文言でもありません。「こうしないと介護保険施設ではないですよ」ということです。もう一つ重要なのは「介護保険施設類型の再編では、施設の類型より機能を評価」するということです。つまり”特別養護老人ホーム(特養)””老人保健施設(老健)””介護療養型医療施設(療養型)”という類型にお金をつけるのではなく、「やっていること」を評価するということです。こういう報告書に書かれたことは、必ず次の時点で生きてきます。
運営基準を見ても、特養と老健と療養型は違いますし、設置根拠や医療に関する給付、そして人員基準も違いますが、同じようなことをしていたら「類型より機能を評価」というところではじかれると思います。したがって、一つの立ち位置を決めなければなりません。それぞれの違いが各施設運営の特徴として出ているか、そこを押さえておかないといけない問題だと思います。
平成15年の改訂で、当時の老健の今後充実すべき機能は「在宅生活への復帰」と言われ、それにつながるリハビリが評価されました。特養は「自立した生活への支援」であり、ユニットケアも導入されました。
平成18年の改定では全体改定率はマイナス0.5パーセントだったのですが、このときにも基本的な視点として中重度者への支援強化や介護予防・リハビリテーションの推進、医療と介護の機能分担・連携の明確化などが言われています。このときに「生活重視型の施設」または「在宅復帰・在宅生活支援重視型施設」のどちらかへ集約すると出ています。このときに思ったのは、「生活重視型の施設」というのは特養であり、「在宅復帰・在宅生活支援重視型施設」というのは老健だ、ということです。このときには療養型は廃止という方向が進んでいましたので、報酬上もこの2つに分けていくという考え方が資料から読めます。このときに老健には「試行的退所サービス費の創設」や、「リハビリテーションサービスの見直し・創設」などが出ています。
このときに、介護療養型医療施設の廃止に伴う「転換型老人保健施設」が登場してきましたが、従来型の老健とは機能が違うので、「医療関係者や、住民の皆さんが誤解するので、できれば名称を変えて欲しい」と言った思い出がありますが、その時に「老人保健施設のあり方を再確認するチャンスだ」と思いました。
(つづく)
(公社)宮崎県老人保健施設協会事務長会は9月21日(土)宮崎市のシーガイアコンベンションセンターで「経営セミナー2013」を開きました。日常生活圏域において医療や介護を包括的・継続的に提供できる「地域包括ケア」の重要性が指摘される中、地域の中で介護老人保健施設が果たすべき役割について学びました。
今回のセミナーのテーマは「どうなるこれからの高齢者ケア ?地域包括ケアにおける施設の役割?(報酬改定からみた方向性)」。講師には(公社)全国老人保健施設協会(全老健)の前会長で現在は理事を務める(一社)熊本県老人保健施設協会の山田和彦会長を招きました。老健施設や特養関係者など、参加者は167名。これは関係者の予想を大きく上回るもので、当日は急きょ会場を変更しての開催となりました。開会にあたり、事務長会の川?豊彦委員長(グリーンケア学園木花)は、「昨今新聞やテレビ、そしてインターネットなどで医療・福祉の問題について色々な情報が出ていますが、いまひとつわからない状況です。そのため私たち施設側の人間、そして利用者もどう対処すればわからず、悩まれているのではないかと思います。この現状を踏まえ、本日は山田先生に膨大な資料をご準備いただき、遠方よりお越しくださいました。今後の報酬改定に向かってどう対処するか、そしてこれからも利用者が安心してサービスを受けながら人生を送れるにはどうすればいいか、考えるヒントにしていただきたいと思います。本日のセミナーがそれぞれの施設運営に役立つことを祈念します」と挨拶しました。
(挨拶に立った川?委員長)
≪講演の骨子≫
私は昨年の6月まで1年半の間、全老健の会長を努めました。今の動きについて十分理解していないところがありますが、みなさんの興味は今後の診療報酬改定、そして介護報酬改定がどうなるかということだと思います。今日はそれを読み解くために役に立つような話ができればいいと考えています。
これから2025年がターゲット年度と言われていますが、地域包括ケアを抜きにしてはこれからの立ち位置はわからないと思います。この地域包括ケアとは、平成20年の社会保障国民会議が報告した「地域包括ケアの推進:医療介護の連携の重要性」の中で、「医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で用意されていることが必要であり、同時に、サービスがバラバラに提供されるのではなく、包括的・継続的に提供できるような地域での体制(地域包括ケア)づくりが必要である。
医療の機能分化を進めるとともに急性期医療を中心に人的・物的資源を投入し、できるだけ入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現し、同時に在宅医療・在宅介護を大幅に充実させ、地域での包括的なケアシステムを構築することにより、利用者・患者の生活の質の向上を目指す」と述べています。それに対して現状は、「医療と介護が分断して提供されており、費用的にも人材的にも非効率」とし、「自宅で療養する患者を取りまく多職種が連携し、方針や目標やケア計画など情報を共有することにより、効率的で質の高いケアが包括的・継続的に提供可能になる」と、日常生活圏域において、医療や介護を包括的・継続的に提供できる「地域包括ケア」の重要性を指摘しています。
この地域包括ケアシステムは、「介護」、「医療」、「予防」、「住まい」、「生活支援」からなる5つの輪が一体的に提供されないといけないということです。具体的には日常生活圏域を「30分でかけつけられる距離」とし、(1)まず高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいを整備して、(2)見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスや権利擁護をすすめ、(3)住民ができる限り要介護状態にならないための予防の取り組みや自立支援型の介護を推進し、(4)&(5)もし必要になったらきちんとした介護サースや、必要な医療を提供しましょう・・・というので、これらが24時間、365日、包括的に切れ目無く行われることが必須ということです。
(ご多忙の中、講演に駆けつけて下さった山田先生)
(つづく)