協会活動報告

「かあさんの家」特別講演のお知らせ

 315日(金)宮崎市の宮崎観光ホテルで開催する第10回(社)宮崎県老人保健施設協会研究大会の特別講演(公開講座)のお知らせです。

 講師にお招きするのは、新聞やテレビなどでその取り組みが紹介され、宮崎のみならず全国から高い関心が集まっている、NPO法人ホームホスピス宮崎の市原美穂理事長です。講演テーマは「最後まで暮らしと『いのち』を支えるためにかあさんの家の実践から」。

 講演時間は1415分から1545分まで。またこの講演は公開講座となっていますので、どなたでも受講することができます(一般の方の受講は無料です)。

 この特別講演に関する問い合わせは(社)宮崎県老人保健施設協会(0985-48-3941)までお願いいたします。たくさんの参加をお待ちしております。

なんと55題もエントリー(◎o◎)/!

 315日(金)、宮崎観光ホテルで開催します第10回(社)宮崎県老人保健施設研究大会。あと1か月を切りました。研究発表予定の皆様におかれましては、スライドや読み原稿の作成およびその練習に余念がないところではないでしょうか。

 さて、その研究発表に前回の39題を大幅に上回る、55題ものエントリーがありました。前年比なんと141%!関係者一同喜びと感謝に念に堪えないとともに、各会員施設とも、利用者様によりよいサービスを提供しようと日々研鑽されていることの表れだと頭の下がる思いです。

 このような状況を受け、当初予定していた8分科会から10分科会に増やすとともに、会場も4会場から5会場にして研究発表を実施することとしました。どの演題も甲乙つけがたい素晴らしい内容で、どこの分科会に行くべきか?迷ってしまうのが悩みの種となってしまうかもしれせません。

 また、例年5団体であったレクレーション研究発表の部も、今年はなんと7団体がエントリー!!例年以上に内容が濃く、熱気あふれる大会になるものと大いに期待されます。

 大会情報は今後随時アップしていく予定です。大会テーマは「「地域を担う老健へ -Create! Challenge! Change!-」。大会を通じ、施設や職種の垣根を越えた交流をはかり、地域を担う老健の足掛かりを築きましょう。

公益法人化認定されました

 宮崎県公益認定審議会がこのほど行われ、審議の結果、社団法人宮崎県老人保健施設協会は「公益社団法人の認定基準に適合すると認めるのが相当である」との答申が出され、認定通知書が交付されるはこびとなりました。

 これを受けて当協会は、平成2541日からの公益法人移行に向けて、法人登記等の事務手続きを進めて参ります。今後はこれまで以上により広く県民の保健、医療および福祉の増進に寄与するべく、関係者一同鋭意努力して参る所存ですので、皆様におかれましては協会への変わらぬご理解、ご協力方賜りますようお願い申し上げます。

研修会開きました(支援相談員部会:その5)

 介護事故を予防するためには何が必要か?新井弁護士は厚生労働省が求めていることとして「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成十一年三月三十一日、厚生省令第四十号)」をまず紹介。そして重要な事項として次の5項目を示しました。

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(1)アセスメントとケアプランの定期的見直し強化・・・個別化・記録化・共有化が重要。記録は家族が読むこともあるし、訴訟の証拠になることもある。リスクアセスメントとケアプランは一度行えばいいのではなく、繰り返し検証しなければならない。また目に見える形で職員と利用者、そして家族と共有していかなければならない。

(2)本人・家族への頻回の連絡・説明責任の実施・・・説明は入所する前からしっかりと。入所後に「違和感を覚えた」という家族も多い。また、免責事項に関して「(事故が生じても)一切施設は責任を負わない」などというのは消費者契約法に反しており無効。

(3)事故防止・対応マニュアルを作成し、研修を行う・・・この2つのマニュアルはそれぞれ別々に作ること。

事故防止マニュアルは、色々なリスクを組み込んで、職員の行動基準を詳細かつ明確に作ることが大事で、裁判ではそれにのっとってやっていたかが問われる。また家族にも開示していれば、「こういうケアをしている」という外部アピールにもなる。責任の所在にも使える。「ひやり・はっと報告書」をもとに、個別具体的に注意事項を基準化すること。他から持って来て作るのでもなければ、作って終わり、でもない。見直しを行うとともに、皆が把握できるよう研修をして初めて意味をなすものである。

 事故対応マニュアルは、事故が起こったときどういう対応をするか?というものだが、事故が起こるとあたふたと慌てて、色々細かくは読めない。従って簡潔で最低限の内容にすること。その中でも緊急救命措置手順は絶対に必要。家族への連絡方法、責任者は一元管理しておくこと。

(4)システム作っても、全体で防止に取り組む意欲がないと絵に描いた餅に過ぎない。施設長のリーダーシップと、職員一人一人の取り組みが必要。

(5)損害賠償保険に入る。

 

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研修会の終わりに新井弁護士は、「介護において、事故は絶対に避けられません。ただし、避けられない事故と、避けられる事故があり、それらを区別する必要があります。避けられないものについては被害の最小化と受容する素地作りが、そして避けられるものについては施設全体で撲滅をはかっていくことが大切です」と訴えました。

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法律の専門家による研修ということで、専門用語ばかりの難しい内容ではないか?という不安もありましたが、新井弁護士の話はわかりやすく、しかも介護保険の現実に即した実際的な内容で、役に立つ充実した研修会となりました。

(終わり)

研修会開きました(支援相談員部会:その4)

 研修会も終盤にさしかかり、今度は介護訴訟の判例に移りました。新井弁護士は「私は介護分野に詳しい法律家だが、これが訴訟に持ち込まれたとき、介護分野に詳しくない法律家が判断して裁きます。『対応が難しい』と現場の実情を言ってもわかってもらえません。それを前提に考えて欲しいと思います。また、裁判官は独立性が保障されているので自分の判断で決められるが、他の裁判官が似たような事例でどのような判断をするかは気になるし、参考にはする。だから介護訴訟の判例は学んでおくべき」と判例の持つ意味を説明しました。

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 「介護事故が起こらないようにするためには、全ての危険を排除すればいいわけです。しかし、全ての利用者に職員がはりついたり、誤嚥がないようにミキサー食ばかりにすることができるか?という介護方法の現実性という問題があります。また、介護保険法第1条は、要介護者が『尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう』福祉サービスを行うことが目的とされています。したがって、介護訴訟の注意義務違反や安全配慮義務違反は、利用者の安全と、利用者の尊厳・自立支援および介護方法の現実性のせめぎ合いの中で判断されます」と前置きした新井弁護士。注意義務の具体的内容として「予見可能性(利用者のリスクに関するアセスメントの妥当性)」と、「結果回避義務(ケアプラン等の妥当性とその実行)」があるとし、ぞれぞれについて、転倒・転落および誤嚥に関する判例に基づき説明を行いました。

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(続く)

研修会開きました(支援相談員部会:その3)

 講演は介護過誤、つまり過失が認められた場合の責任問題に移りました。この責任には〔?〕道義的責任と、〔?〕法的責任とがあり、法的責任にはさらに(1)民事上の責任、(2)刑事上の責任、(3)行政上の責任・・・の3つがあるそうです。

〔?〕道義的責任・・・これは法律によって追求されない倫理上の責任。新井弁護士は「交通事故の際、『先に誤った方が負け』と言われますが、これは間違いです。事故後の言葉によって過失があったかどうかは決められるものではなく、その時何が起こったかが問題になります。むしろ謝罪がないことの方が悪くなります。謝罪はすべきですが、注意しなければならないのは謝罪のしかた。どのくらいの事故で報告、謝罪するのか?誰がどのように謝罪するのかをよく考えて、くれぐれも家族の感情を逆撫でしないようにして下さい」と注意を促しました。

〔?〕法的責任

(1)民事上の責任(損害賠償責任)・・・法律上、損害賠償を支払うのは事業者と職員どちらでもよく、家族はそのどちらか、あるいはその双方に自由に請求できるそうです。ただし、 職員は資力が十分でないことや、事業者には保険会社がついていることなどから、通常は事業者の責任を追及することが多いとのことです。

(2)刑事上の責任・・・基本的には当事者である職員が責任を問われることになりますが、火災事故などの場合には施設長や理事長の刑事責任が追求されるとのことで、その実例を紹介しながら説明がありました。

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 ただし、近年問題になっている高齢者虐待の場合は、「過失犯ではなく故意犯として処罰され、刑が重くなります。身体的虐待だと傷害罪や傷害致死罪をはじめ、(身体拘束したことによる)逮捕監禁罪などがあります。強制わいせつ罪もあります。経済的虐待だと窃盗罪や業務上横領罪などとなります」と、過失犯と故意犯について両者の刑罰の違いを比較しながら説明すると、受講者は身を乗り出して聞き入っていました。

(3)行政上の責任・・・事業者に対しては勧告や公表、措置命令、許可取り消しなどがあり、職員に対しては介護福祉士の登録取消などがあるとのことでした。

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 引き続き、損害賠償の理論について、債務不履行(事業者の契約違反)、不法行為(職員・事業者)、過失相殺や損害の範囲、さらに医療過誤との違いについて学びました。

(続く)

研修会開きました(支援相談員部会:その2)

 介護事後の実情について全国調査は行われているものの、統一的なものは見当たらないそうです。しかし介護事故は増加の一途をたどっており、一番多い介護事故は「転倒」で全体の5割から6割にものぼるそうです。次いで「転落」が約1割。三番目となる「誤嚥」は、死亡事故の原因としてはトップに上がるとのこと。これら介護事故の増加の原因として明言されているものはないものの、新井弁護士は「想像はできる。一つは高齢者が増加したこと。そしてもう一つは介護保険導入後、権利意識が高揚し、声を上げるようになったことなどがあります。そして今後、クレームも増えて来るだろうと言われています」との見解を示しました。

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 介護事故が介護訴訟に発展する理由として(1)骨折から死亡に至ったなど、大きな結果が発生した場合、(2)事業者の誠実な説明や対応が不十分な場合・・・などがあるそうです。これを踏まえて新井弁護士は、「施設に預けた認知症の肉親が転倒して怪我をしたり、体調を崩して入院したりするものの、施設からは事後報告ばかりで納得行く説明もなければ十分な対策もしておらず、結果として死に至らしめることとなり、自分で介護しなかったことを悔いるとともに、施設での介護事故を許すことができない気持ちでいる」という、ある家族の手記を紹介しました。そして、「この事例の死亡原因ははっきりしていないが、少からずこのような気持ちをもっている家族がいるということを理解して下さい。『施設の責任を追及したい』という人は、施設の説明義務が果たされていないというのが一番の原因です」と強調しました。

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(続く)

研修会開きました(支援相談員部会:その1)

 (社)宮崎県老人保健施設協会支援相談員研究部会は125日、宮崎市のニューウエルシティ宮崎で介護事故と介護訴訟についての研修会を開きました。法律の専門家を講師に招き、研鑽を深めました。県内の老健施設をはじめ、特養、グループホームなどから66人が受講しました。

 

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(会場のニューウエルシティ宮崎)

 

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(受付作業に当たる研究部会の委員)

 

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(開会挨拶する清 徳昭研究部会委員長)

 

 研修会の講師は新井法律事務所所長の新井貴博弁護士。宮崎市高齢者虐待防止ネットワーク運営委員会会長のほか、宮崎県発達障害者支援センター連絡協議会委員、宮崎県高齢者虐待防止連絡協議会委員などを務める障害者、高齢者問題のスペシャリストです。同部会では昨年2月、高齢者・障害者の法律相談をテーマにした研修会を開いた際にも新井弁護士に講師を依頼し、今回が2回目。テーマは「『介護事故と介護訴訟』~介護訴訟は何故起こるのか~」。高齢者介護の第一線で働く受講者達にとって、安全で事故の無いケアの提供は最重要課題とあって、会場は熱気に包まれました。研修会の冒頭、新井弁護士は「ほとんどの施設には顧問弁護士がいると思いますが、顧問契約を結んでいるだけではなく、労務問題や契約書のチェックなど、どんどん使って下さい。それが利用者サービスにもなります」と、法律の専門家の積極的な活用を呼びかけました。

 

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(講師の新井貴博弁護士)

 

 「介護事故の示す意味や定義ははっきりしていない」と前置きした新井弁護士。介護事故は「介護行為に起因して生じた事故を総称するもの。介護職員の過失責任を問うものから不可抗力による事故まで含みます」と幅広い意味合いを持つのに対し、介護過誤とは「介護事故の中で、介護職員が当然払うべき注意義務を怠ったために利用者に損害をあたえた場合で、故意にやった場合や虐待なども介護過誤に当たります」と説明し、後者は前者に含まれると図示しました。

 そして、「介護事故や介護訴訟について、裁判所が何を、どのレベルを求めているかを知って反省や改善の材料にしたり、従業員や施設が法的責任を恐れすぎて過度の安全重視に走るあまり、萎縮したサービスになって利用者の利益を損わないために、それらについて学ぶ意味があります」とし、裁判例を知ることで事業者として、そして職員として行動基準を自覚し、自信と責任感をもってサービス提供に取り組む必要があることを説明しました。

(続く)

福祉体験会開きました(リハ部会)

 (社)宮崎県老人保健施設協会リハビリテーション研究部会宮崎市郡・児湯ブロックは122日、市民向け講座として昨年同様、小学生(宮崎市立学園木花台小学校3年生60名)を対象とした福祉体験会を実施しました。

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 視覚障害、体験キットを使用した片麻痺・高齢者体験、車椅子自走・介助体験などを行い、児童本人または身近の人が障害を持つことによって、どんなスキルが必要となるかを学習していただきました。終始積極的な児童たちに振り回されながらも、終了後何名かの児童から「目が見えないで歩くことが、こんなに怖いとは思いませんでした。」、「障害を持った人に、やさしくしなければいけないと思いました。」等、大変だったけどやって良かったなーと思える感想が聞かれました。

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