「地域包括ケア」学びました(在宅・支援相談部会:その3)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会在宅・支援相談研究部会が9月15日、宮崎市の佐土原総合文化センターで開いた合同研修会、つづいては「地域活動の取り組み紹介」と題し、宮崎市赤江地区地域包括支援センターの古川拓矢さんによる講演がありました。

 同センターでの取り組みとして、まず高齢化率が40パーセントで、高齢者のみの世帯(独居・夫婦)の団地において、公民館などの集会場所がないため、団地内にある通所介護事業所を借りてサロンを運営した事例が紹介されました。

 次に、健康運動教室を実施している地区において、市から派遣する健康指導員や看護師のみでは回数的に十分な対応ができないことが課題となっていることに対し、医療機関の訪問リハビリから理学療法士を派遣し、身体機能の評価や体操の指導を実施するようにした事例が報告されました。

 その上で、老健施設などが自治体活動へ参加するメリットとして、(1)施設が自治会に加入することで、自治会行事などが把握できる、(2)自治会の行事へ職員を派遣することで、お祭りや敬老会、介護予防教室などへ参加できる・・・などをあげると、参加者は自施設および地域の状況などと照らし合わせながら聞き入っていました。

 最後に古川さんは「地域の住民などからすると、専門職は敷居が高いイメージがあります。それを解消するためにも自治会や関係機関に所属し、顔の見える関係を築くことが大事です。また自治会をはじめ、関係機関の委員の高齢化が進んでいるため、皆さん達若い力が必要です。そして地域住民の方々と顔を合わせることで、職員個人を覚えてもらい、それが法人のPRにもつながりますし、困った時に地域の人が助けてくれ、仕事がやりやすくなることもあります」と、地域活動に参加することのメリットを説明し講演を締めくくりました。

 その後質疑応答があり、研修会終了となりました。講演をしていただいた成松宏樹さんと、古川拓矢さんには感謝の拍手がおくられました。老健が地域包括ケアの中核施設として果たすべき役割の重要性を学ぶとともに、そのためにも広く地域に根ざした活動を展開していくことの大切さを再確認することができた、大変有意義な研修会となりました。

(おわり)

「地域包括ケア」学びました(在宅・支援相談部会:その2)

 全国および宮崎市における高齢化、要介護者、介護者、認知症高齢者等に関する現状および今後の予測、そして地域ぐるみの支え合いの必要性について説明した宮崎市福祉部介護保険課主任主事の成松宏樹さん。「誰もが、住み慣れた家で、地域で、安心して暮らし続けることができるしくみ」である地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みについて話を進めました。

 宮崎市では「まちぐるみ」、「ひとぐるみ」、そして「地域ぐるみ」でみんなを支える地域包括ケアシステムを市民に親しみをもって取り組んでもらえるよう、独自の愛称を公募により「ぐるみん宮崎」と決定し、様々な取り組みを行っています。

 その一つとして宮崎市地域包括ケアシステム情報誌「ぐるみん宮崎」を今年4月に作成、9万5千部を市内の各家庭に配布しました。A5版カラー、152ページ仕立ての同誌は、マンガやイラスト、写真を豊富に盛り込み、大変わかりやすい内容になっています。

 国がすすめる地域包括ケアシステムは、「住まい」、「介護予防」、「生活支援」、「介護」、「医療」の5つを一体的に提供する仕組みですが、宮崎市はこれに「医療介護連携」、またすべてに関わる項目として「認知症」の7つを「ぐるみん宮崎」の柱とし、この柱を「行政」、「地域包括支援センター」、「関係機関・民間企業等」が下支えするものとなっています。

 成松さんは高齢者が人生の終盤までできるだけ在宅で元気に暮らせることを支援するために宮崎市が始めた「自立支援型地域ケア会議」について、具体的な事例を示しながら説明をしました。介護支援専門員が立てた目標とサービス内容に対し、保険者である宮崎市が会議をコーディネートし、専門職がそれぞれの立場から助言を出し合って自立支援型の目標と支援計画にブラッシュアップしていく内容がスライドに具体的に示されると、参加者は高い関心を示しながら聞きっていました。

 また、「在宅医療・介護連携推進事業」については「高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けるために、医療と介護の一体的な提供体制の構築が必要」とし、同事業に取り組むことで(1)市としての方向性を関係機関とともに検討し、統一的に進めることができる、(2)地域資源、実情を把握し、関係機関が対象者支援につなげるとともに、課題の抽出を行い、対応策を検討することができる、(3)医療・介護関係者の円滑な情報共有により、対象者に適切な支援を提供できる、(4)関係機関の顔の見える関係作りをはかり、相互理解が深まる、(5)市民における在宅医療・介護の理解、終末期ケア(看取り等)の理解が深まる・・・などの成果が期待できることを説明すると、参加者は老健施設としても地域包括ケアの中核施設として、関係諸機関との連携を密にしながら、利用者の在宅復帰、在宅生活支援を推し進め、高齢者が長年住み慣れた地域で生き甲斐のある暮らしを送り続けていけるようサポートすることの重要性を再確認していました。

(つづく)

「地域包括ケア」学びました(在宅・支援相談部会:その1)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会在宅・支援相談研究部会は9月15日、宮崎市の佐土原総合文化センターで合同研修会を開きました。地域包括ケアについて学ぼうと、72人が参加しまし、研鑽を積みました。

 開会にあたり、同部会の別府和男委員長(宮崎江南病院附属介護老人保健施設)が挨拶を行いました。

 研修ではまず、宮崎市福祉部介護保険課の主任主事、成松宏樹さんに「これからの地域包括ケアと介護保険制度の動向~地域包括ケアシステム構築への取組み~」と題し、講演をしていただきました。まず日本の人口構造について65歳以上に対する20~64歳の人口は減少傾向にあり、1965年の「胴上げ型」から2012年の「騎馬戦型」となっており、さらに2050年には「肩車型」に移行しつつあり、「社会保障改革により、支え手を少しでも増やす努力が必要」とのことでした。

 また老年人口のうち、75歳以上は2055年まで増加し、総人口に占める割合は2060年の26.4パーセントまで上昇。一方、年齢階級別の介護保険要支援・要介護認定者数、認定率は75歳を超えるあたりから大きく伸びているため、今後介護保険サービスの給付額は増加し続けることが予想されていることが紹介されました。

 さらに(1)高齢者のいる世帯数および割合の増加、(2)高齢者の一人暮らし世帯割合の増加、(3)宮崎市における主な介護者のうち、60歳以上が60パーセント、70歳以上が29パーセントという現状、(4)認知症高齢者が今後増加するとの見込み・・・などの現状や今後の傾向について説明がありました。

 これに対し、宮崎市が行った調査では(a)家族や地域住民等の認知症に対する理解度の向上をはかるほか、介護者への過重な負担が生じないよう適切なサービス等を提供するなど、「地域全体で見守ることができる体制づくり」を進めていくことが重要となっている、(b)「地域住民の助け合いの必要性」について、65歳以上では約9割、40~64歳でも約8割が「必要」と感じている、(c)要介護認定を受けていない65歳以上でも約3割が「庭の除草や剪定」、「話し相手」、「電球交換」など日常生活の何らかの支援を必要している・・・ことなどがスライドを用いて示され、成松さんは地域ぐるみでみんなを支え合う「地域包括ケアシステム」の必要性を強調しました。

(つづく)

研究発表「申し込み」29日まで(第14回大会)

 当協会主催の「第14回 公社)宮崎県老人保健施設研究大会」(12月23日、於JAアズムホール)の「研究発表」の「申し込み」の締め切りが9月29日(金)に迫りました。申し込みがお済みでない方は「大会概要」の4ページ「(2)研究発表・お申込方法」をご覧の上所定の様式にてお申し込み下さい。

 また既に申し込みを済ませた方の今後の予定は、

(1)抄録データ退出:10月2日~10月27日

(2)パワーポイントデータ提出:10月30日~11月20日

となっています。昨年に引き続き、今年も「1施設1演題以上」を目的としておりますので、奮ってお申込下さいますようお願いいたします。

敬老の日です

台風18号で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、いちはやい復興を祈念いたします。

9月18日は祝日です。敬老の日です。色々ある祝日の中でも、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを主旨とした敬老の日は、私達老健施設で働く者にとって、利用者おひとりおひとりを敬い、介護という仕事に対する想いを新たにするという意味で非常に重要なものだと思います。

もちろん祝日だからといって休みになるわけではありませんが、敬老の気持ちをしっかり持ちつつ、感謝の気持ちで仕事に取り組んで参りましょう。

この機会に、「介護老人保健施設の理念と役割」をおさらいしたいと思います。公益社団法人全国老人保健施設協会が毎月発行している協会機関紙、「老健」からそれを抜粋し、以下に記します。さあ、今日もがんばりましょう!!

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「介護老人保健施設の理念と役割」

 介護老人保健施設は、利用者の尊厳を守り、安全に配慮しながら、生活機能の維持・向上をめざし総合的に援助します。また、家族や地域の人びと・機関と協力し、安心して自立した在宅生活が続けられるよう支援します。

1.包括的ケアサービス施設

 利用者の意思を尊重し、望ましい在宅または施設生活が過ごせるようチームで支援します。そのため、利用者に応じた目標と支援計画を立て、必要な医療、看護や介護、リハビリテーションを提供します。

2.リハビリテーション施設

 体力や基本動作能力の獲得、活動や参加の促進、家庭環境の調整など生活機能向上を目的に、集中的な維持期リハビリテーションを行います。

3.在宅復帰施設

 脳卒中、廃用症候群、認知症等による個々の状態像に応じて、多職種からなるチームケアを行い、早期の在宅復帰に努めます。

4.在宅生活支援施設

 自立した在宅生活が継続できるよう、介護予防に努め、入所や通所・訪問リハビリテーションなどのサービスを提供するとともに、他サービス機関と連携して総合的に支援し、家族の介護負担の軽減に努めます。

5.地域に根ざした施設

 家族や地域住民と交流し情報提供を行い、さまざまなケアの相談に対応します。市町村自治体や各種事業者、保健・医療・福祉機関などと連携し、地域と一体になったケアを積極的に担います。また、評価・情報公開を積極的に行い、サービスの向上に努めます。

台風18号最接近

 台風18号(タリム)はこれから宮崎県に最接近し、県内の一部は既に暴風域に入っていると思われます。そして各地で雨や風による被害も発生しています。

情報を迅速・正確に入手し、諸災害への備えをお願いします。

 

宮崎県防災・危機管理情報

気象庁台風情報

国土交通省川の防災情報

宮崎河川国道事務所

MRT宮崎放送警報・注意報

宮崎県防災・危機管理情報

宮崎県の雨量・河川水位観測情報

台風18号接近中

 台風18号(タリム)はこれから宮崎県に最接近するものと予測されています。情報を迅速・正確に入手し、諸災害への備えをお願いします。

 

気象庁台風情報

国土交通省川の防災情報

宮崎河川国道事務所

MRT宮崎放送警報・注意報

宮崎県防災・危機管理情報

宮崎県の雨量・河川水位観測情報

本日開催!「地域包括ケア」学ぶ研修会(在宅・支援相談研究部会全体会)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会在宅・支援相談研究部会主催の全体会は本日9月15日(金)14時から、宮崎市佐土原総合文化センターで開催します(16時半終了予定)。

 今回の全体会の研修テーマは「地域包括ケアについて」。講師に宮崎市福祉部介護保険課の成松 宏樹様をお招きし、地域包括ケアの制度内容や宮崎市における具体的取り組み事例、そして老健に期待される役割などについてご講義を賜ります。

 参加を予定されている方は気をつけてお越し下さい。

【この全体会へのお申し込み・お問い合わせ

〇介護老人保健施設しあわせの里 支援相談員 笠原 章寛

 TEL0987-55-4800

 FAX0987-55-4507

難問は分割せよ

 写真はご存知、サンメッセ日南にあるモアイ像7体。真っ青で広大な日向灘をバックに立っている7体は、イースター島にある実物を、許可を受けて復刻、制作されたもので、多くの人が訪れる観光スポットとなっています。

 そしてこのモアイにはそれぞれに幸運のジンクスがあり、左から順番に、仕事運、健康運、恋愛運、旅行運、結婚運、金運、学力アップ運、となっているそうです。それぞれが役割を分担しながら、全体としてしっかりとまとまり、沢山の観光客を迎え入れている姿に感動を覚えながらシャッターを切りました。

 「難問は分割せよ」とはフランスの哲学者、デカルトの言葉(「人生の指針が見つかる『座右の銘』1300、別冊宝島編集部 編、宝島社」。介護の現場で高齢者のケアを行う中で生じる課題は複雑多岐にわたります。また利用者おひとりおひとりによってその内容も異なってきます。それらを解決していくためには他職種連携により役割分担し、チームでアプローチしていく事が不可欠。モアイ像を見ながらそのように考えた次第です。

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