ラッパ水仙

 本日、43日の誕生花(の1つ)はラッパ水仙。そしてその花言葉は「尊敬」だそうです。ふむふむ。淡い黄色の花の中に濃い黄色が引き立って、清廉で高貴で凛(りん)とした姿からは、「尊敬」という印象が連想されなくもないです。


 ところが、このラッパ水仙には、ほかの花言葉もあります。それは、「あなたを待つ」、「片想い」、そして「報われぬ恋」。うーん、なんだかこっちの方がしっくりします。見方を変えるとこの花は恋い慕う相手の姿を一目見ようとするかのように、背伸びして遠くを見つめ、今か今かと身を乗り出さんかのごとくたわむ細い茎、待ち焦がれ、そわそわするような葉。こんな綺麗な花を待たせるだけ待たせたあげく、ふってしまうなんて、なんとひどいお相手なのでしょう、と思ってしまいます。「さざんかの宿」ならぬ、「ラッパ水仙の宿」という演歌があってもおかしくないような(T_T)


 このような、美しくも悲しい花言葉を持つのがラッパ水仙の花。しかし、打って変わってラッパつながりで、「ラッパを吹く」となると、「力量以上に大きな事を言ったり誇張して言ったりする。ほらを吹く(広辞苑より)」という意味になってしまいます。これは水仙が悪いのではありません。ラッパに原因があるのです。


 つまり、ラッパは吹き口の方は小さいのに対し、音が出る側は大きく広がっています。ホラ貝も同様です。小さく口をすぼめて息を吹くのに、出てくる音はすごくでかい。そこから「ラッパを吹く」などと不名誉な言われ方をされてしまって、なんだかラッパに申し訳ない気持ちです。


くしくも今日、43日は、東京フィルハーモニーが第1回公演を行った日でもあります(明治43年!)真ちゅうのくだを巻いて作られた金楽器のラッパだけに、「俺たちの奏でる音はみんなに感動を与えるんだぜ!なんで俺たちそんなふうに悪者扱いされなきゃなんねぇんだよ、プンプン<(^´)>」って、くだをまかれるかもしれませんね(※)。


 


(※)「くだをまく」の「くだ」は「管」ではありません糸車の「くだ」のことですので念のため。

いきなりトップギア?

 いよいよ新年度スタートです。老健職員に限らず、社会人、学生など様々な人達が気持ちをあらたにして平成24年度の幕開けを迎えられているのではないでしょうか。

 そんなフレッシュな気分に水をさすようではありますが、どうにも気になる言い回しがありますゆえ、一筆したためんといたす次第でございます。

 「・・・この重責を全うするため、わたくしは最初からギアをトップに入れて、全力で取り組んで参りたいと思う所存です」・・・などという挨拶をテレビなどで耳にすることがあるのです。果たしてこの表現は正しいのでありましょうか?私は違う!と思うのです。

 マニュアルミッションの車(MT車)、つまり4速や5速で、はたまた6速などのシフトレバーと、クラッチペダルがあるやつで、そのクラッチペダルを踏んだまま、おもむろにギアをトップに入れて(4速なら4速、5速なら5速、そして6速なら6速)、つまり、「最初からギアをトップに入れて」スタートしてみると、一体どうなるか・・・。

 ガックン(>_<)!!・・・エンスト、つまりエンジンストップです、はい。当然車もストップです。まれにエンストせずに動き出したとしても、その加速の遅いことこの上なし。「ガタコン、ガタコン」と、いわゆるノッキング(異常爆発)を起こして、故障の原因にもなります。ドラマの名セリフよろしく、「なんじゃこりゃあ!」と叫ばなければなりません。 

つまり、「最初からギアをトップに入れたのでは、スタートすらできない」ということなのです。そうです。乗用車の場合、スタートはローギア、すなわち1速です。それから2速、3速、と入れていきながらスピードを上げ、最後にトップギアに入れる、これが正しい方法だと言えます。

 現在の乗用車は、ほとんどがオートマ車(AT車)となってしまいました。このような言い間違いをたまに耳にするのも、マニュアルミッション車をあまり見かけなくなったからでしょうか。運転免許も「オートマ限定」なるものが出て久しいですし(ちなみに、某有名作家も、自動車免許を持っていなかった頃に、この言い誤りをしていたとカミングアウトしていました)。

 ともかく、平成24年度は始動しました。まずはローギアからのスタートを心掛けましょう。いきなりトップギアに入れたのでは走り出せません。エンストしないよう、ローギアから徐々にシフトアップしていこうではありませんか。

(※)上記の「トップギアに入れて発進する」行為は、車の故障につながるばかりでなく、重大な交通事故を引き起こす恐れもあり、大変危険です。決して行わないで下さい。また、仮にこれを行った結果、事故等を引き起こしたとしても、当方では一切の責任を負いませんので申し添えます。

年度末です

 ついに三月三十日(みそか)です。平成23年度も明日を残すのみとなりました。そして41日からは平成24年度。会員施設の皆様におかれましては、介護報酬改定への対応はお済みでしょうか。今回の改定は、要介護高齢者の在宅での生活をより重視したものとなっており、そのために老健施設の果たすべき役割はますます重要となっています。

 このような情勢に鑑み、(社)宮崎県老人保健施設協会では、宮崎県内の介護老人保健施設の資質の向上、ならびに介護老人保健施設に関する調査研究および知識の普及をはかり、今後の少子高齢化社会における県民の保健、医療、福祉の増進に寄与するため、平成24年度も様々な事業を展開する方針です。

 今後とも協会への変わらぬご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

しゅんかんにご注意

  「春寒」と書いて「しゅんかん」と読みます。広辞苑によれば、「春になっても残る寒さ。はるさむ。残寒」とあります。

 まったく、この季節、思いもよらない寒さが再来することがあります。実際は12月の厳寒の頃に比べると、そこまでの寒さではないはず。でも、「暑さ寒さも彼岸まで」と油断しているからでしょうか、薄着で出歩こうとすると、季節が後戻りしたような寒さに出くわして身が縮む思いをしたりすることもあります。

 幸いなことに、今は天気予報がわりと当たるようになっただけでなく、テレビやネットで、住んでいる所の天気や気温が、細かい時間設定で瞬時にわかるようになりました。これを活用しない手はありません。

 ことさら高齢者においては、天気や気温の急激な変化で体調を崩しかねません。今の時期、前の日よりもうんと寒かったり暖かかったりすることも珍しくありません。情報を有効に活用して、利用者様の体調管理に努めましょう。

 わたくしごとですが、「しゅんかん」と聞くと、「俊寛」を連想してしまいます。またまた広辞苑をひもとくと、「(1)平安末期の僧、真言僧寛雅の子。源雅俊の孫。少僧都。法勝寺執行。1177年(治承1)鹿ヶ谷の山荘で、藤原成親・成経父子や平康頼らと平氏討伐を謀ったが、源行綱の密告により発覚し、鬼界島(きかいがしま)に流され、当地で没。生没年未詳。(2) 能。鬼界島の流人に赦免の使が来たが、俊寛一人だけは許されず島に残され、泣き叫ぶ。鬼界島」とあります。平安時代の僧の人名でもあり、またその名を冠した能楽でもあります。

 中学校の国語の教科書に、この能楽「俊寛」が載っていたのを、今でも凄烈な印象をもって覚えています。鬼界島の流人たちが赦免され、その迎えの船に、喜びをあらわにした人々が続々と乗り込むが、俊寛だけは乗船を許されない。「なぜじゃ?これは何かの間違いであろう!この俊寛のみが許されないはずなどあろうものか!!(といった意味のことを叫びます。さすがにセリフの一言一句までは覚えていません)」と使いの者に詰め寄りますが、悲しいかな、赦免される人の名簿に俊寛の名前はなかったのです。あわれ俊寛!遠く去りゆく船をいつまでも怨じ見ながら、彼は砂浜で泣き叫び、のた打ち回っていたのでした・・・といった内容だったと思います。

教科書にはその舞台の写真が掲載されていて、これがまた強烈な印象を与えるものでしたので、子供心に「俊寛という人は、なんてかわいそうなお方なんだろう。僕が同じ目にあったら、やっぱり悲しくて辛くて、絶望するだろうなあ」と思わず同情したものでした。

同音異義とはいえ、まったく違う話題になってしまいましたが、この時期に「春寒」があると、思わず「俊寛」を連想してしまいますゆえ、ついつい筆がすべってしまいました。おあとがよろしいようで<(_ _)>

研究大会開催しました(レク研究発表)

  6時間にわたる研究大会の最後を飾ったのは、「レクリエーション研究発表」。これは、それぞれの老健施設で行われる各種イベントの際、利用者やご家族、さらには地域住民に喜んでもらおうと、役職員が日常業務にまさるとも劣らない情熱を注いで取り組んでいるアトラクションを披露し、そのノウハウを伝授しようというものです。分科会に散っていた参加者も再び一堂に会し、会場の熱気は最高潮に達しました。

 この日発表を行ったのは、青島シルバー苑、ことぶき苑、春草苑、シルバーケア野崎、そして慶穣塾の5施設。踊りあり、太鼓あり、パフォーマンスあり。どの発表も視覚、聴覚、そして「感動覚」をすこぶる刺激するもので、参加者は写真やビデオを撮るなど、熱心に見学していました。

 「利用者の心を元気にしたいんです!」と、ある施設の代表者がマイクを握りしめて言われていました。この言葉からもわかる通り、どの施設も利用者のQOLを向上させようと、レクリエーションへの取り組みは真剣そのもの。日々多忙な業務の合間を縫っての練習は、さぞかし大変であったろうと察する一方で、同時に各施設におけるスタッフの連携の良さもひしひしと伝わってきました。

 

IMG_1998.JPG春草苑の「万歳三唱クラブ」による発表。さまざまなフォーメーションで繰り広げる「バンザーイ」は、喜びを何百倍にも増幅させる迫力でした!

 

 

 かくして40施設から310人が参加して開かれた第9回社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会は盛会の裡に幕を閉じました。各運営スタッフとも、それぞれの所属施設で業務をこなしながらの準備でしたので、いたらぬ点も多々あったかとお詫び申し上げます。

 先日もお知らせしましたが、来年(平成25年)は、「第14回九州地区介護老人保健施設大会inみやざき」が、530日(木)と31日(金)の2日間、が宮崎観光ホテル(宮崎市)で開催されます。県内だけでなく、九州各県から約1,000人の老健役職員を招いての大会を成功に導こうと、すでに準備を始めているところです。今回の研究大会での反省点を踏まえ、よりより大会にしていきたいと考えておりますので、今後とも協会へのご理解、ご協力方お願いたします。

研究大会開催しました(研究発表)

  特別講演に続いて行われたのは、各会員施設の職員による研究発表です。各々の職場で生じた様々な問題や疑問に、各専門職種が連携して解決への糸口を探求し、試行錯誤を繰り返しながら問題を打開していった一連の過程をまとめ上げて発表された演題数はなんと39!これは今までの大会の中で最多となるもので、いずれの老健施設でも、利用者お一人おひとりを思いやり、より良いケアを提供しようと、日々邁進していることの表れだと言えるのではないでしょうか。

 研究発表は8つの分科会が4つの会場に分かれて行われました。第2分科会の「看護・介護」の部では、トトロみのる園の看護職、波越明美さんが、「入所者の急変時対応を見直して」と題し、急変時の対応の流れと施設間の連絡システムを見直した結果、状態把握と早期対応の向上や、業務の効率化などにつながった事例を報告しました。

 第3分科会の「リハビリテーション」の部では、ひむか苑の作業療法士、廣瀬裕佳さんが、「塗り絵を通して見えてくる認知症高齢者の心理」と題し、治療的作業活動としての「塗り絵」を導入し、色彩心理の観点から観察、評価を行った結果、利用者が無意識に選択する色を通して、完成までの心理的傾向が推測できたことに加え、その色によるセラピー効果も導き出せたことを報告しました。

 第4分科会の「介護」、「栄養」の部では、サンフローラみやざきの介護福祉士、井上和幸さんが、「もう一度母さんの声が聞きたい」と題し、経管注入食の利用者が、経口摂取へ移行したことをきっかけに、本人の表情に変化が現れただけでなく、家族もケアに積極的に関わることで、あらたな生きがいを見出すようになった事例を発表しました。

 第8分科会の「支援相談」「事務」「介護支援専門員」の部では、しあわせの里の支援相談員、笠原章寛さんにより、「施設のイメージと評価」と題し、通所リハビリテーション利用者獲得の一環として、居宅介護支援事業所のケアマネージャーから聞き取り調査を実施し、その結果をもとに自分たちの仕事を見直し、各職種における対策の立案、実行を行ったところ、居宅ケアマネとの関係が深まり、新規利用者を紹介してもらえるようになるなどの成果が現れた取り組みが報告されました。

 いずれの分科会でも会場からは熱心な質問や意見が相次ぎました。それぞれの老健施設や職種が抱える悩みや問題を共有するとともに、優れた取り組み事例からその解決策を学ぶ貴重な機会となりました。

研究大会開催しました〔特別講演その3〕

 宇都先生は最後に食介護・食支援アンケートの結果および、それから見えてきたことについて話してくださいました。このアンケートは、宇都先生が今年の1月中旬から2月中旬にかけて、県内の43会員老健施設、そして個人病院などに対して実施されたもので、実に926人にものぼる回答があったものを集計、分析し、まとめられたものです。ただでさえご多忙な宇都先生、その合間を縫っての作業はさぞかし大変であっただろうと、頭が下がる思いです。

「食介護が必要な対象者はいるか?」の問いに対し、87%の人が「かなりいる」または「いる」と回答した一方で、食事介助の困難点が「よくある」または「ある」と答えた人は63%もいたとのことでした。

食事場面の問題点を職種ごとに尋ねたところ、どの職種も「むせる」、「なかなか飲み込まない」「口に溜めてしまう」などの回答が半数以上あったそうです。とりわけ「むせる」ことに関しては、摂食嚥下機能低下の問題点、さらに食事場面の不安点について尋ねた結果でも過半数がこれを取り上げており、食事介助のむずかしさが浮き彫りなっていることが指摘されました。

今回のアンケートから宇都先生は、(1)どの職種も現場では食事場面での問題点には気づいている、(2)ヘルパー、介護福祉士は現場で食介護・食支援に悩みを抱えながらの毎日である、(3)同じ施設、職種で抱えている悩みはほとんど同じである、(4)その悩みを解決する手段は「他の職種に相談する」であった、(5)食事介助の問題点があり、かつケアプランを立てている職種はケアマネージャーとSTだけであった・・・との結果を示されました。

またこの結果を踏まえ、宇都先生は〔1〕現場からの問題点を集積する必要がある、〔2〕各々が持っているノウハウを集積しておく必要がある、〔3〕ネットワークで繋げる必要がある、〔4〕インシデントを蓄積しておく必要がある、〔5〕嚥下状態を正しく診断・評価する人材が必要である・・・との見解を受講者に説かれました。

限られた時間の中でしたが、盛りだくさんの内容で、学ぶことの多い講演会でした。宇都先生は平成1211月に宮崎摂食・嚥下障害臨床研究会を立ち上げ、歯科医師、リハ医師、脳外科医師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、STPTOTなど90人が会員登録。基礎知識の理解や臨床技術の習得、さらに科学的基礎研究の啓発などを通じて、宮崎県の摂食嚥下障害の臨床の向上を図るために活動中です。現在、施設における標準的なサービスが提供できるよう、相談方法の確立を目指している宇都先生、お忙しい中、貴重な講演をしていただき、本当にありがとうございました。

研究大会開催しました〔特別講演その2〕

  次に、口腔内細菌と、誤嚥性肺炎については、夜間に気付かない間に、唾液や逆流した胃内容物を少量ずつ誤嚥する「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」の説明がありました。これは、口腔細菌を含む口腔や咽頭の分泌物や食物を誤嚥することにより引き起こされる、誤嚥性肺炎(老人性肺炎)を引き起こす可能性が高いという指摘がありました。

 これに対し、口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎を予防する効果があるとのことでした(特に終末期は重要なのだそうです)。

 続いて、在宅で最期まで口から食べる事への取り組みについては、まず胃ろうを自己抜去した翌日から100%経口摂取に移行した要介護高齢者症例が紹介されました。この方は、誤嚥性肺炎を繰り返すため、胃ろうを増設し、また認知症のため、経管注入中は拘束され、ベッド上での生活を送られていたのだそうです。在宅に移って拘束をはずしたところ、2週間後に胃ろうのボタン型バンパーを自分で抜き取ったため、翌日から経口摂取することになったとのことでした。宇都先生はそのために、主治医や歯科衛生士、訪問看護師、訪問リハビリ、ヘルパー、そして家族と、「人間が食べられなくなる、老いていくプロセスをどう受け止めていくか?」ということについて真剣に話し合い、口から食事をするために、評価を行い、食事を工夫し、嚥下訓練を行ったそうです。

 その結果、その方は食事を自分で食べるようになったばかりでなく、自分で歩けるようになったり、家族とピクニックを楽しむまでになったそうです。誤嚥性肺炎も減ったとのっことで、その模様が写真や動画で紹介されると、またまた会場からは驚きの声が上がりました。嚥下リハビリの目的は、「誤嚥しないことではなく、QOLを維持しながら誤嚥性肺炎の発症を防ぎ、生命予後を高めること」との説明に、受講者はうなずいたり、メモを取るなどして、真剣に聞き入っていました。

 この、最期まで口から食べることへの取り組みを紹介した上で、宇都先生は細菌、要介護高齢者の胃ろうの是非について、胃ろうを作ってきた医師の間で論争が起こっていることに言及されました。これは、(1)人工栄養法を導入しない選択肢を示す、(2)本人の益にならないと判断できるときは導入しない、(3)人生の完結に有益なときの導入は妥当・・・等を内容とした指針案を、厚生労働省が昨年124日、初めて公表して以来、マスコミなどでもしばしば取り上げられている問題です。その現状を踏まえ、宇都先生は、「尊厳を守り、最期まで口から食事が取れるよう、継続的な支援が必要。そのために、医療や介護に関わる人が職域を超えて連携し、家族や地域住民とも協力できる在宅医療の構築をめざして取り組んでいる」と、口腔ケアに対する熱い思いを力説。受講者の胸を打っていました。(続く)

研究大会開催しました〔特別講演その1〕

IMG_1822.JPG   続いて、「『最期まで口から食べる楽しみ』を支える ?多職種との連携を通じて?」と題し、ひとえ歯科クリニック院長の宇都仁惠先生の特別講演がありました。宇都先生は鹿児島大学歯学部を卒業、九州大学歯学部病院第一補綴(ほてい)科に入局された後、雁ノ巣病院歯科、産業医科大学歯学科口腔外科などを経て宮崎に帰郷され、2000年に宮崎市保健所健康増進課に勤務されました。その中で予防の大事さを再認識、2002年、再び福岡市のおがた小児歯科医院(障害者歯科では日本の草分け的存在です)に勤務された後、2003年にひとえ歯科クリニックを開業、現在に至っておられます。口腔ケアの重要性が叫ばれる中、その第一人者である宇都先生のお話が聞かれるとあって、会場は満席になりました。

 「食べるということは命にもつながる大切な行為です」と切り出した宇都先生。講演のタイトルを「最後まで・・・」ではなく「最期まで・・・」とされていることからも、その思いを伺い知ることができました。

 講演は(1)口腔ケア指導の成果と口腔ケアの実際、(2)口腔内細菌と誤嚥性(ごえんせい)肺炎、(3)在宅で最期まで口から食べる事への取り組み、(4)食介護・食支援アンケートの結果から・・・の4つの内容について行われました。

 まず、口腔ケアの成果と口腔ケアの実際については、潤和会記念病院にて宇都先生が歯科衛生士と共に、月1回、1病棟ごとに指導介入した事例が紹介されました。病棟職員を対象に基本的口腔ケアマニュアルを作成し、指導した結果、「うまく口を開けてくれない」、「方法や道具が分からない」という悩みが減った一方で、ほとんどの職員が「歯科専門職が必要」と答えたとのことでした。

 また、位相差顕微鏡を使って、実際に口腔内を撮影した映像が紹介されました。口腔内でうごめく細菌のあまりの多さに、受講者からは驚きの声が漏れていました。しかし、口腔ケアを行うことで要介護患者の総細菌数、そしてその中でも桿菌の数が有意に低下したことが説明され、口腔ケアの必要性を実感することができました。(続く)

 

研究大会開催しました(開会式)

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 (社)宮崎県老人保健施設協会(大野和男会長)は316日、宮崎市の宮崎観光ホテルで第9回の研究大会を開催しました。県内40の会員施設から310人が参加。講演や研究発表などを通じて研鑽を深め合いました。

 

 

IMG_1802.JPG 今回のテーマは「今こそ老健、原点回帰! ?利用者の想いを・・・?」。開会にあたり大会会長の大野会長は、介護保険が2000年から始まって12年経ちました。介護報酬改定には厳しいものがあるが、老健施設で働く私たちにとっては、県民、国民の支持が得られるよう、何を持っても質の担保を確保しなければならなりません。介護保険は要介護認定とケアプランの2つがキーワードだと思ってます。要介護認定に伴った質の担保をしっかりやっていかなければなりません。今日はしっかり勉強して、そして楽しくやりましょう」と呼びかけました。(続く)

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