け、けくりかえしはえるとけ?

 宮崎県において「け」は言葉の前にも後ろにもつけて用いられます。「新宮崎市方言辞典」(江南書房)をひもといてみましょう。

(1)「け」(=けぇ):動詞に冠し語勢を強め、感情を強く表現する。例「ケ忘れた、ケ捨てた」。

(2)「け」:終助詞「か、かい」に相当。例「どんげなるちゃろケ(どうなるだろうか)」。

 

 これを踏まえて、418日付日本経済新聞の目を疑うような記事の話です。「何度も生え替わる毛 再生」という見出しが飛び込んできました。東京理科大などが、マウスを使った実験で、毛包という組織を培養し、自然に生え替わる毛を再生することに成功したというのです。人工植毛でもカツラでもありません。自然の毛です。しかも、周期的に何度も繰り返し生え替わるばかりか、どんどん増やせるそうです。とどめとばかりに「人間の大人でも毛髪を増やすことは可能」との研究チームのコメント。こりゃあすごい(≧◇≦)!この記事を読んで飛び上がった人も少なからずいたのではないでしょうか。10年後には再生医療として実用化したいとのことで、これは何だか世界を一変してしまうような予感がするニュース。「髪の毛が、そんなに何度も何度も繰り返し生えるとは本当だろうか?」と叫んでしまいました。ん?ちょっと待って!プレイバック、プレイバック(゜◇゜)。

 ふと「『髪の毛が、そんなに何度も何度も繰り返し生えるとは本当だろうか?』ということを宮崎弁で語ればどうなるだろう?」という思いが頭をよぎりました。そこで、上記(1)および(2)を用いて作文してみました。それが本日のタイトルです。

 「け、けくりかえしはえるとけ?」。つまり「毛、け繰り返し生えるとケ?」。うーん、ちょっと辛いですね。「毛がいっぱい」という意味を込めて「け」を3回使ってみたのですが・・・。どこが辛いか?それは「け繰り返し」の部分です。「繰り返し」に「け」はつけないですね。それどころか、「けくりかえす」は「蹴くり返す」、すなわち「蹴る、蹴飛ばす」という意味の宮崎弁になってしまいます。というわけで「け、けくりかえしはえるとけ?」は却下。無念。

 それはともかく、特に男性にとって、毛髪との別れを喪失体験の一つととらえれば、そのショックは少なからぬものがあると言えます(個人差があるでしょうが)。それが今回の研究成果によって解決できるとすれば、高齢者のみならず、多くの年代層の薄毛に悩む人にとって、垂涎ものの朗報と言えるのではないでしょうか。

先入観は厄介者

  420日の日本経済新聞、一面の「春秋」を読んで、少なからぬ衝撃を受けました。「ものを見るとき、人を見るとき、先入観ほど愛想のいい厄介者はいない」とあったのです。そして文はこう続きます。「これさえあれば見ずして見たような気になれるのだから」。

 この日の「春秋」は、東京で開かれている「セザンヌ展」がテーマでした。セザンヌは先入観や想像力を嫌い、「色はまるで自分たちが望んでいる通りに、気ままに折り合いをつけていく」というそのままの色を画布にのせ、作品にしていったのだそうです。作品を見ながら「春秋」の筆者は、「いかに自分の目が目の役目を果たしていないか」が身にしみたとのこと。つまり、筆者はそれまで、先入観をもってものや人を見てきた、しかしそれは真にその対象を見たということではなく、見ずして見たような気になっていた、つまり、自分の目が目の役目を果たしていなかったということでした。

 私たち老健施設で働く者にとっても、これはとても重要なことだと思いました。日々の業務の中で、「先入観という愛想のいい厄介者」は、私たちにとりついてはいないでしょうか?利用者と接する時に、相手を「見ずして見たような気」になってはいないでしょうか?もしそうだったらこれは大変です。利用者ひとりひとりに応じたケアができないことはおろか、重大な事象を引き起こす原因にもなりかねません。

 「目が目の役割を果たすこと」。利用者の心身の状態は一人ひとり異なりますし、同じ利用者であっても、その状態は常に同じではありません。さらに、私たちの仕事の一つ一つについても、「これはこういうものだから」という先入観を持って取り組めるものは、何一つありはしないと言えるのではないでしょうか。

 東京の国立新美術館まで行って、実際に「セザンヌ展」を観ることはできなくとも、セザンヌが作品に込めた思いをくんで、日々の業務に役立てたい、そう思った記事でした。

OZAKI

 「若者の代弁者」「カリスマ」「教祖」などと言われたロック歌手、尾崎豊が死亡したのが1992年の425日。そうです。ちょうど20年前の今日のことでした。享年26歳。あまりにも早すぎる死に、多くの人々が衝撃を受けました。ただし、その衝撃は最初若者が中心で、尾崎が言うところの「大人たち」には理解されず、雨の中で泣き、叫び、声をからして「15の夜」を歌う若者たちのその姿に衝撃を受けていた人たちも少なくなかったようです。その後、尾崎豊の人となりや、尾崎が歌に込めた思いなどが、様々な世代の人たちに知られ、受け入れられていきました。

 もしご存命であれば、46歳になっていた尾崎豊。介護保険の第2号被保険者です。「信じられぬ大人との争い」をしてきたと『卒業』の中で歌った彼は、果たして現代の若者にとって、「信じられる大人」となっていたでしょうか?『15の夜』で「100円玉で買えるぬくもり」と歌った「缶コーヒー」も、今では120円になりました。『17歳の地図』で「夢見がちな俺はセンチなため息」をついていた尾崎が『46歳の地図』を歌おうとすれば、相当な地図の塗り替えを余儀なくされ、「”口うるさい大人達のルーズな生活に縛られても”忘れなかった素敵な夢はどこに行ったんだろう」と、やはりため息をついていたでしょうか。「大人の代弁者」となって、中年の悲哀を若い世代に訴えていたでしょうか。

 今となってはそれを確かめる術もありません。しかし、尾崎豊は当時の若者、つまり今の中年層にたくさんの名曲を残してくれました。それらの歌は、この世代の人たちがいくつになっても、きっと心に残り続け、そして歌われていくでしょう。

 早いものであれから20年たってしまいました。今夜は久々に、尾崎の曲をじっくり聴いてみようかな、と思います。

リハビリに貧乏ゆすり?

  48日の日本経済新聞を広げて、驚きと興味の声を上げた方も少なくないのではないでしょうか?「貧乏ゆすりに意外な効能がある」という記事が載っていたのです。ガクガクと際限なく膝を揺すり続ける、あの貧乏ゆすり。「行儀が悪いからやめなさい!」と親から膝をピシャッと叩かれ、厳しく戒められた、あの貧乏ゆすり。その貧乏揺すりが健康に良いというのですから、そりゃあ驚きます。

 記事によると、貧乏ゆすりには次のような効果があるそうです。

 

(1)手足の冷えが改善される

・・・貧乏ゆすりを行うことで、ふくらはぎの筋肉が伸び縮みし、血液を心臓へ送り返すことで全身の血行がよくなる。女性に多いむくみの解消や、エコノミークラス症候群の予防にも役立つ。

(2)変形性股関節症の治療に役立つ

・・・軟骨を培養するときに外から刺激を与えると成長しやすいことから、貧乏揺すりをすることで、軟骨を再生する効果が期待できる。軟骨がすり減って炎症を起こし激痛を生じる変形股関節症の治療に活用できる。

 

 実験や実際の治療を通じて、これらの効果が確認されているそうですから、驚きの一方で、「なるほど」と納得させられます。しかも、この「貧乏ゆすり」、副作用はないとのこと。そしてこれらのメリットがありながらも、貧乏揺すりをするのに「お金がかからない」(そりゃあそうだ)ときたら、これは見過ごすわけにはいきません。

 リハビリテーションの実践を通じて高齢者の在宅復帰を目指し、地域社会での生活の継続をサポートする老健として、「貧乏ゆすり」を日々のリハビリに取り入れてみるのも一考の余地がありそうです。ただし、「貧乏ゆすり」なんて、名称がよくありませんよね。記事には「『健康ゆすり』と呼びたい」との専門家のコメントも紹介されていました。「さあ、みなさん!今から『健康ゆすり』を始めましょう。よーい、はじめー!!」という光景が老健で見られるようになるかもしれませんね。

九州大会日程変更しました(重要)

  「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」につきましては、先だって平成25530日および31日の開催を予定している旨告知しておりましたが、事情により、平成251114日(木)および同15日(金)に変更し、開催することとなりました。開催場所は宮崎観光ホテルのまま変更ありません。

 会員施設へは4月19日付文書(全老健宮支部24-1)にてご案内しております。詳しくはこちらをご参照いただきますようお願いいたします。

 

「”じゅんじゅん”のすすめ!」

 早いもので四月も半ばを過ぎました。多くの老健施設で新人職員を迎え、日々その指導、教育が行われていることと思います。慣れない、初めての職場環境で、ストレスが溜まっている新人もいるのではないでしょうか。

 そんな新人育成の心掛けとして、「”じゅんじゅん”のすすめ4箇条」なるものを提唱したいと思います。

 

「”じゅんじゅん”のすすめ 4箇条」

(その1:『恂恂に!』)

 ・・・まめやかに、真心をもって教えましょう。

(その2:『循循に!』)

 ・・・秩序正しく整然と、穏やかに教えましょう。

(その3:『順順に!』)

 ・・・順序を追って、教えましょう。

(その4:『諄諄に!』)

 ・・・ていねいに、繰り返し教えましょう。ただし、一字で「諄い」だと「くどい」となりますからご注意。

 

 いかがでしょうか。4つともすべて「じゅんじゅんに」と読みます。え?同音異義語をならべただけで、こじつけっぽい!?ご指摘ごもっともです。しかし、案外核心をついているかも(^o^)。ご参考いただければ(あわよくば実践いただければ)幸いです。じゅんじゅん。

 

※参考文献:『読めるようで読めない漢字2500』(一校舎漢字研究会)、『広辞苑』

こちらも必読「老健4月号」

 昨日は当協会発行の「老健みやざき 25号」発行のお知らせをいたしましたが、本日は公益社団法人全国老人保健施設協会発行の「老健 平成244月号(Vol.23 No.1)」を紹介します。

 同号では「進めよう口腔ケア」題して、口腔ケアの特集が組まれています。平成24年度の介護報酬改定で「口腔機能維持管理加算」が新設されたことを受け、口腔ケアを巡る背景や現状、そして今後の展望を踏まえ、全国24県の老健施設による口腔ケアの実践例などが紹介されています。その中で、口腔ケアは特定のスタッフによる関わりだけではなく、多職種による連携の重要性が説かれていますので、老健に勤務されている方は、職種を問わず是非なるご一読をお勧めいたします。

また、特集記事とは別に、日本歯科衛生士会の金澤紀子会長のインタビューも掲載されています。それを読むと、歯科衛生士の現状と課題、さらに口腔ケアにおける歯科衛生士の役割などが理解できる内容となっています。

 「老健みやざき 25号」の巻頭は、当協会が316日に開いた第9回研究大会の特集記事ですが、ひとえ歯科クリニックの宇都仁惠先生にお話しいただいた、口腔ケアに関する特別講演の概要が主な内容となっています。その講演会場でも、参加された方々の口腔ケアへの高い関心が寄せられていました。両者を併せてお読みくいただくことで、口腔ケアへの理解がより一層深まるのではないかと思います。

「老健みやざき」発行しました

 DSCN2015.JPG 

 当協会が年2回発行している広報誌、「老健みやざき 第25号」がこのほど出来上がりました。近日中に会員施設を始め、関係機関の皆様のもとにお届けする予定です。ご笑覧いただければ幸いです。

 今回の「老健みやざき」のトップ記事は、316日に当協会が開いた、第9回研究大会の特集。これに続き、協会各研究部会等による研修会報告、そして会員施設の各職種の皆様による「リレーコーナー」さらに、シルバーケア新富の栄養士、織田政子さんによる「人気のおすすめメニュー」と続きます。

 なお、「老健みやざき第25号」は、当ホームページからも閲覧・ダウンロードできるようにする予定です。どうぞお楽しみに。

ついてみマッセ!?

  ビリヤードが大流行したのは、四半世紀以上の前のことでした。各地にビリヤード場ができて、大勢の若者達で順番待ちの状態でした。各地で大会もありました。あのNHK教育テレビでも「ビリヤード教室」が毎週放送され、若者の間でも「昨日の”ビリヤード教室”みたね?」「うん、見た!あの技をさっそく今日ためしに行ってみようや!」などと好評でした。しかしその後、人気は下火となり、ビリヤード場も無くなっていきました。球を上から突いて強い回転を与える「マッセ」という大変高度なテクニックがあったのですが、素人がやると高価なビリヤード台を痛めるためどの店にも「マッセ禁止!!」という張り紙が貼ってあったのも懐かしい思い出です。

 ところが、です。今、高齢者の間でビリヤード人気が再燃してきているらしいのです。330日の宮崎日日新聞に「高齢者に人気 ビリヤード 快感味わおう」という記事が載っていました。認知症予防にも効果がある、というのです。

 記事では、東京の有料老人ホームで開かれているビリヤード教室で、熱心に玉を突く高齢者の様子が紹介されていました。車椅子に乗ったまま、肩の高さで突く人もいるとのこと。

 高齢者がビリヤードをすることの効果として、専門家のコメントが紹介されていました、それによると、

(1)介護予防の基本である「足腰」と「身体のバランス機能」を鍛えるのに最適・・・

これは、太ももやふくらはぎなどの「抗重力筋」が鍛えられるだけでなく、球を突くときのダイナミックな動きで、身体のバランス機能の強化にもつながる

(2)球の全体の配置に気を配りながら、どのように落としていくかを考える過程が、認知症の予防になる

ということでした。うーん、なるほどφ(..)メモメモ。

 ビリヤードの魅力といったら、やはり球をカコーンと突いて、それが別の球にカキーンと当たって転がって、そして穴(ポケット)にスポッと入る時の快感でしょう。それが意図したコース通りだったら、最高ですし、そうでなくてもあたかも狙って突いたかのように決めのポーズをとったりしたものです。

球を突くことで、杖を突かなくてもよいくらい身体機能が向上したら、キュー(球を突く棒)を背中にしょって、さっそうと歩く高齢者の姿を見かけるようになるかもしれません。おまけに認知症の予防になって、生き甲斐にもつながれば、その一石二鳥、いや三鳥になるかもしれませんね。老健のリハの一環としてビリヤード、略して老健リハビリ、いかがなものでしょうか(^o^)

 

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