協会活動報告

第12回研究大会開きました(速報)

 117日、宮崎市の宮崎観光ホテルで第12回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会を開催しました。

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 今大会のテーマである「2025年に向けて 未来への架け橋 その先の笑顔の為にー」のもと、350人の参加がありました。特別講演や研究発表などを通じて参加者同士が研鑽を積み、また施設や職種の垣根を越えた交流を深め合い、大変充実した大会となりました。

 この大会の模様は後日連載する予定です。お楽しみに。

7日は第12回研究大会!

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 第12回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会を117日(土)10時から宮崎観光ホテルで開きます。

 今大会のテーマは「2025年に向けて 未来への架け橋 その先の笑顔の為にー」。講演や研究発表などを通じて2025年問題に向けた老健の在宅復帰支援強化、維持期リハビリテーションの質の向上、さらには地域包括ケアの拠点たる老健のあり方などについて考えるとともに、広く地域にアピールできるよう、互いに研鑽し、実のある大会にしたいと考えています。

 この中で「老健が担う地域ケア」と題し、(公社)全国老人保健施設協会の東 憲太郎会長に特別講演をしていただきます。

大会への参加は、当日受付も可能です。大会に関する問い合わせは(公社)宮崎県老人保健施設協会事務局(〒880-2112 宮崎市大字小松1158番地、TEL0985-47-3941FAX0985-47-3967)までお願いたします。多数の参加をお待ちしています。

全老健「ビギナー研修」開かれました

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 (公社)全国老人保健施設協会(全老健)主催の「平成27年度ビギナー研修会【宮崎会場】」が1021日、宮崎市のニューウェルシティ宮崎で開かれました。

 全国各地で行われているこの研修会、本県での実施は今回が初めて。九州各県から51人の参加がありました。

 午前中はまず「苦情処理の実際」。リスクマネジメントの視点、苦情のとらえかた、利用者様・ご家族と介護者との視点の違い、連携の大切さ、リスク対策、記録の大切さ、初期対応、悪質クレーマー対処法など、事例を通して学びました。

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 次に「感染対策の実際」。マニュアルは効果的に活用されているか、老健施設の特徴と現状をしる、標準予防策、必要な対策と不必要な対策とは?職場での心の感染などをアウトブレイクからの振り返りを交えて学びました。

 そして「誤嚥と摂食嚥下障害のメカニズム」では、筋肉と同じ様に口腔機能の衰えを知る、きざみ食、ミキサー食の危険性、ミールラウンドの実施方法、口腔機能・嚥下機能評価、一つの事例からチームアプローチをしていく。口腔・栄養管理に係る取り組みの充実により、『食べることに価値があるのではなく、「食べることで笑顔になる」ことに価値がある。』ことなどを学びました。

 続いて行われたグループワーク「事故の対応について」は、9テーブルでのワールドカフェ方式で行いました。参加者同士で情報を交換でき、対策も知ることができました。

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最後に講師の先生より、業務で忙しい中かもしれないが、5分でも10分でも時間を作り、コミュニケーションも深めていくことが大切。大変なのは私たちの業界だけではない。老健施設の強みを生かしてほしい。事故はゼロには出来ないが、ゼロに向かっていくことが大切。今日学んだことを明日からの業務に活かしてほしい。と締められました。

R4システムの基礎学びます(ケアプラン部会)

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 (公社)宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン研究部会は1128日(土)13時から宮崎市のJA  AZM別館202号室で「高齢者ケアプランリーダー研修会」を開きます(1230分受付開始、16時まで)。

 今回の内容は「R4システムに関する基礎講座」。「新全老健版ケアマネジメント方式 R4システム」は、老健本来の特色を考慮したケアマネジメント方式で、利用者の利用目的を個々に把握するため、インテークを重視し、ニーズアセスメントや生活機能(ICF)アセスメント等といった新しい考え方が取り入れられており、在宅復帰、在宅生活支援などの老健施設本来の機能や地域・家族とのつながりを重視した、わかりやすいいシステムです。

 同部会で昨年介護支援専門員を対象にしたアンケートの結果、この「R4システム」について知りたいという声が多く寄せられました。そのため今回の研修会には全国規模でR4システムの普及活動に尽力されている介護療養型老人保健施設恵愛荘の谷川敦弘先生を講師にお招きし、R4システムについて基礎から学んでいきます。

 この研修会は参加費として一人500円が必要です。詳しくはこちらをご覧の上、「参加申込書」に必要事項をご記入いただき、1113日(金)までにファックスでお申し込み下さい。なお会場の都合上、参加を制限させていただく場合がありますので、お早めにお願いいたします。

【申し込みおよび問い合わせ先】

〇介護老人保健施設しあわせの里

〇担当:支援相談員 竹内 詠規(たけうち えいき)

 TEL0987-55-4800

 FAX0987-55-4507 

感染予防対策学びました(看護・介護部会:速報)

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(公社)宮崎県老人保健施設協会看護・介護研究部会は1031日(土)、宮崎市のJAアズム別館で「高齢者の感染予防対策」研修会を開きました。

講師に宮崎県健康増進課感染症対策室の片平久美子室長を招き、高齢者の感染症に関する現状や特徴、そして予防策などについて87人が受講し、学びました。

この研修会の模様は後日レポートします。お楽しみに。

在宅復帰施設の役割探りました(在宅支援&支援相談部会)

1017日土曜日14時から、平成27年度 在宅支援部会・支援相談員研究部会共催シンポジウム『在宅復帰施設としての役割』が宮崎市宮日会館11階宮日ホールにて行われました。

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1部では、県内の介護老人保健施設にて在宅復帰施設強化型の加算を算定している施設の支援相談員より、どのように在宅支援を行っているかなどの事例発表をしていただきました。

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介護老人保健施設こんにちわセンター(都城市)
谷口真紀子氏(介護福祉士)「往復入所利用者へのアプローチ -在宅復帰後の利用者・家族負担を少なくするには?-」

介護老人保健施設のべおか老健あたご(延岡市) 時松啓二郎氏(支援相談員)「在宅復帰への取り組み -小規模多機能施設との連携-」

宮崎江南病院付属介護老人保健施設(宮崎市) 別府和男氏(支援相談員)「在宅強化型老健施設への取り組みについて」

以上のタイトルで3施設の取り組みや他職種との連携についてお話しいただきました。それぞれに個性があり環境の設定や年齢や所得による在宅サービスの制限、連携仕方など様々な意見がありました。また、施設として強化型を算定するためのプロジェクトチームの立ち上げや職員への意識向上を目的に在宅復帰状況の報告書を作成し目に見える形での改革を行っている施設の話もありました。

2部はシンポジウムでした。サンヒルきよたけの濵砂泰典事務長を座長に、シンポジニストに宮崎県介護支援専門員協会の長友あかね副会長、宮崎県ソーシャルワーカー協会黒木教裕氏、そして介護老人保健施設おびの里の支援相談員、由地眞利氏と石坂賢司氏を迎えました。

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シンポジニストからは平成24年度より始まった在宅復帰加算について老健としての立ち位置やケアマネージャーとの関係性などの話がありました。医療機関からは、退院を迫られている方で、家族は施設入所を考えているが、老健が入所を受け入れリハビリをした後に、施設退所後に想定できる課題などをしっかり検討できるため、本人や家族の生活スタイルや住環境に合わせた日常生活動作や生活導線の確認を行い退所前に解決すべき課題について一緒に検討することができるなどのメリット等の話が聞けました。また、現場としての在宅復帰についての職員の不満についてどのように対応しているか等の質問に対しても第1部で発表していただいた3施設がしっかりと答えしていました。

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課題として、在宅復帰としてのどのように利用者の受け入れをしていくか、待機利用者の不足などの声がありましたが、医療機関としては「療養病棟の方などの受け入れや、施設として利用者の医療面に対してどこまで対応して頂くかがその施設のメリットになるし信用につながる」との話がありました。この内容については県内の老健が今後検討していく内容になって行くのではないかと思います。在宅復帰を老健が担うことはもちろんですが、地域でどのような立ち位置で取り組むか、特養、小規模多機能、グループホームや有料老人ホームとどのように連携を図っていくかを考えていく場となった気がします。今回研修に参加していただいた各施設の皆様、学生の皆様お疲れ様でした。

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(T)

Masaさん(菊地雅洋氏)第2弾講演会開きました(事務長会&看護・介護部会:その16※最終回)

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講演会終了にあたり謝辞に立った(公社)宮崎県老人保健施設協会事務長会県央ブロック長で、介護老人保健施設シルバーケア新富の東
誠一郎事務長は「北海道には大変な爆弾低気圧が襲来している中、それをくぐり抜けて宮崎に来て頂いた菊地先生、本当にありがとうございます。今日受付をしながら受講者の皆さんの顔を見ていたのですが、『今日はどんな話が聞けるのだろうか?』と不安と楽しみの交じった表情でした。しかし先生が作っていただいた動画『LOVE 明日へつなぐ介護(宮崎バージョン)』が流れると、みなさん目をキラキラさせて、食い入るように見ていました。宮崎に住んでいながら、『宮崎にはこんないいところもあるのだ』と気付かされましたが、我々が介護の仕事に携わる上で『気づきは大事だ』と、一つのメッセージをいただいたのではないかと思います。我々は前を向いて、そして上を見て、たまには振り返ってみたりしながら介護の道を進んでいますが、そこを進むにあたっての、確かな言葉を頂いたと思います。どうか皆さん、今日お帰りになって赤い花になれるよう頑張っていただきたいと思います」と挨拶し、講演会は終了しました。

その後ロビーにて菊地先生の著書の販売およびサイン会が行われました。

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菊地先生は

〇「人を語らずして介護を語るな masaの介護福祉情報裏板

〇「人を語らずして介護を語るな2 傍らにいることが許される者

〇「人を語らずして介護を語るな THE FINAL 誰かの赤い花になるために

〇「介護の詩(うた) 明日へつなぐ言葉

(いずれもヒューマン・ヘルス・システム社)

 などの著書を出されています(上記をクリックするとそれぞれの本のネット購入のページに進めます)。

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 北海道からの長旅に加え、110分の講演をした直後でしたが、菊地先生は休憩も取ることなく長蛇の列をなした受講者ひとりひとりと親しく言葉を交わしながらサインに応じて下さいました。菊地先生の熱い思いを受け止めた受講者は、それぞれの職場で赤い花となって広がっていこう!と意気揚々とした表情で会場を後にしていました菊地雅洋先生、本当にありがとうございました。

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←「その15」に戻る)             (おわり)

Masaさん(菊地雅洋氏)第2弾講演会開きました(事務長会&看護・介護部会:その15)

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 介護の仕事は利用者ひとりひとりの心に咲き、そしてなぐさめる赤い花であり、そうなろうとすることで介護の仕事の素晴らしさが理解できると説いた特別養護老人ホーム緑風園総合施設長の菊地雅洋先生。入浴をかたくなに拒み続けるなど対応が困難だとして他施設から入所されてきた認知症利用者の事例を紹介しました。その方の幸福な生活に結びつけようと親身になった対応を心がけた結果、毎日シャワー浴を楽しまれるようになり、そして「皆さん、私に最期まで付き合ってくれてありがとう。ここに帰って来てよかった」と言って静かに息を止めたこと。さらにデス・カンファレンスでは、家族からも「最期はとても綺麗な身体で棺桶に入ることができました」と大変喜ばれたことなどを説明。その上で、「我々は結果を出したから喜んでいただけたわけです。一生懸命やっても結果が出なかったら、許してくれる人はいません。どうぞ結果を出すまで工夫を続ける人になって下さい。一生懸命やっただけでは我々の仕事の価値は生まれません。一生懸命やった先に結果を求め、結果が出なければ工夫して方法を変えて、そして結果を出して初めて人を幸せにできる介護と言えます。ぜひそのことを忘れないで欲しいと思います」と、結果を出すことの重要性に言及しました。

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 いよいよ講演も最後となり、東日本大震災の際、開設したばかりの施設で起きた悲しい出来事を紹介した菊地先生。「被災地には皆さんに聞こえていないエピソードがまだたくさんあります。そういう国で介護をしているという意味を、是非もう一度振り返って下さい。できることは残された我々に必ずありますので、やっていきましょう。そういう意味で皆さんへの応援歌を作ってきました」と言うと、動画「LOVE 明日へつなぐ介護(宮崎バージョン)」をスクリーンいっぱいに上映しました。

 「明日へつなぐ介護 心をつなげて100年後も色あせない介護を創ろう」と呼びかけるメッセージで始まるこの動画は、「誰かの赤い花になるために宮崎からできること」、「太陽の降り注ぐ町で誰かの心に咲く介護」、「愛する故郷に暮らす人々の心を護る介護」、「美しい故郷を護ってくれた人々に笑顔を贈る介護」などのフレーズが、サンメッセ日南や青島神社、高千穂峡、シーガイア、生駒高原、照葉大吊橋、クルスの海などの宮崎県の景勝地をバックに流れました。北海道在住の菊地先生から郷土宮崎の素晴らしさを再認識させられた受講者は、この宮崎を護り育ててくれた人生の大先輩である利用者の恩に報いるためにも、利用者の心に寄り添う介護をしていこうと決意を新たにしながら見入っていました。

 さらに「あきらめない介護、思い込まない介護」、「介護の常識が世間の非常識という状態をなくす」、「食事とは、栄養以前に人の一番の楽しみです」、「云いあわないと魂は鬼になる」、「傍らにいることが許される者になるために」、「信じよう介護の力、護ろう介護の誇り」、「無限に広がるしあわせ樹形図を描く介護」、「今いる場所で誰かの心に咲く花になれる介護」、「宮崎から介護イノベーション、日本の介護を変える、日本の介護を創る」など、この日の講演の内容を振り返るフレーズもふんだんに盛り込まれており、受講者はそのひとつひとつを反すうしながら鑑賞していました。

 映像の終盤には「他人と過去は帰ることができない、しかし自分と未来は変えることができる」、「こころ通う仲間がいます。つなげましょう。つながりましょう、明日へつなぐ言葉で・・・」と、菊地先生から受講者ひとりひとりの心に力強く響くエールが流れました。

 最後に「誰かの赤い花になるために masa」、「本日の講師:菊地雅洋の明日へつなぐ言葉で語る介護 ご静聴ありがとうございました by masa」のテロップが流れてエンディング。531秒という短い時間の中に、たくさんの学びと感動、そして菊地先生の熱い思いが込められた動画に、会場からはあふれんばかりの拍手が鳴り響きました。

←「その14」に戻る)             (つづく

Masaさん(菊地雅洋氏)第2弾講演会開きました(事務長会&看護・介護部会:その14)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会事務長会と看護・介護研究部会が103日、宮崎市のシーガイアコンベンションセンターで合同開催した「masa氏 第2弾講演会」もいよいよ終盤になりました。400人の受講者で埋め尽くされた会場を見渡しながら講師の特別養護老人ホーム緑風園総合施設長の菊地雅洋先生は「忘れないでほしい事
『我々の職業とは誰かの心に咲き、誰かを慰める赤い花になれる可能性を持つ仕事。』」というスライドを示しながら語りかけました。「介護報酬の問題を耳にしたり高齢者施設での虐待報道などを見せられたりすると『意欲がなくなった』と言う人がいますが、我々の現場から、今我々ができることから幸せを作っていけばいいじゃないですか。そもそも介護というのはひとりひとりの利用者の心に咲き慰める赤い花のように、可能性を持つ仕事だと思います。ひとりひとりが誰かの心に咲く赤い花になろうとすれば、この仕事もおもしろさが見えてくるのではないでしょうか。事前にいただいた質問の中で『20代の介護福祉士。今は体力的に自信があるが、年齢を重ねるとどうなるか不安。仕事を続けていく原動力とは何か知りたい。施設での転落死をテレビで知り原動力が失われそうだ』というものがありましたが、赤い花になることです。そのことを誇りに思ってほしいと思います」。

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 「赤い花」という言葉に受講者からはハッとした表情が伺えました。というのも講演会のサブテーマでもあり、また会場でも販売が行われていた菊地先生の著書「人を語らずして介護を語るな THE FINAL 誰かの赤い花になるために(ヒューマンヘルスケアシ・ステム、税抜き価格1,800円)」のキーワードである「赤い花」という言葉を、菊地先生が講演の本論に入って初めて口にしたからです。

 続いて菊地先生は「やわらかな 日差し溢れる特養に 私を忘れた あなたが笑う」という短歌を紹介しました。これは平成22年度 NHK介護百人一首」に寄せられた8,332首の中から選定された100の中の一つ。70歳代後半のこの作者は、認知症のご主人をやむを得ない理由で特養に預けた女性。入所当初は心配も少なからずあったものの、その特養がとても良い施設であり、職員が親身になって世話をしてくれ、自分の顔すら忘れてしまったご主人ですが、施設を訪れると家でも見せたことがないような笑顔で会話しており、その姿を見て「よかったなあ」と喜んでいる様子をよんだ作品だそうです。

 その上で菊地先生は「このように介護というのは目の前の誰か一人を幸せにすることによって、幸せになるのはその人だけではなく、その周りの色々な人が幸せになります。作者の女性はこのような短歌をよむくらいだから、この気持ちを家に帰っても自分の子供に話すわけですよ。するとそれを聞いた子供達も気持ち良くなります。またそれを聞いた孫たちも『おばあちゃん良かったね』と喜びます。そうすると介護というのは誰か一人を幸せにすることによって、その周りにたくさんの幸せや笑顔を作ることができる素晴らしい仕事だと思います。そういう素晴らしい職業にみなさんが就いていることをどうぞ誇りに思っていただきたいと思います。僕はこのことを『無限に広がる幸せ樹形図。介護はその樹形図を作ることができる尊い仕事である』と思います」と、木々が一本の幹からどんどん枝を増やし伸ばしていくように、介護の仕事も一人の利用者を幸せにすることが数多くの人を幸せにしていく誇りある仕事だと強調しました。

 その一方で菊地先生は、講演の冒頭で紹介した高齢者施設での虐待報道に触れ、「とてもじゃないけれどもそれとはかけ離れた状態です」と厳しく言い放ち、「不幸を作り出すのか、幸せを作り出すのか?どちらを作りたいのかにかかっているのではないでしょうか。どうせ作り出せるものがあるならば、人の悲しみを作り出して、それをあざ笑うような人格になるのではなく、人の幸せを作って、その無限に広がる幸せ樹形図を描く人になってみんなを幸せにし、そのことによって『ありがとう』という言葉をこの宮崎にあふれさせる。それだけで日本は変わるかもしれません。どうぞそういう気持ちを持って介護に携わって下さい」と訴えると、400人の受講者はそれに呼応するようにうなずきながら聞き入っていました。

←「その13」に戻る)             (つづく

Masaさん(菊地雅洋氏)第2弾講演会開きました(事務長会&看護・介護部会:その13)

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 さらに食事の際の車椅子の使用方法、姿勢の工夫、介助の方法などについて実例を交えながら説明がありました。

【車椅子について】

〇車椅子は本来座る道具ではなく移動のための道具。座り心地は配慮されていない

〇普通の椅子の場合、座面に板敷いてあり、2時間座っていても痛くないが、車椅子はスリングシート。折りたたみ可能である反面、その弊害として長時間の座位に適さない

〇椅子の場合、体重は坐骨結節を中心にかかっている。また座る姿勢を適宜変え、体重を分散させている。しかしスリングシートはお尻にピッタリはりつくので分散率が悪くなる。またお尻が下に落ちて腰に負担がかかりやすくなる。つまり車椅子に座るのは椅子に座るより辛いということ。それによって皮膚の発赤や褥瘡形成のリスクとなる

〇車椅子のまま食事するには工夫が必要。長時間座るには手で押して戻るくらいの硬めのクッションで、5センチくらいの厚みがあるものでなければいけない

〇フットレストから足を下ろすこと。フットレストは人を運びやすくするため、前輪よりも前にあるが、足が膝より前にあると前屈位が取りづらい。

〇人は飲み込む時、自然と体を前に傾けるが、この前屈位が取りづらいと、飲み込みにくくなり誤嚥事故を引き起こしかねない(膝より前に足を出して食事をしてみると飲み込みにくさがわかる)

〇このようなことから食事の時にはフットレストから足を下ろすこと。

〇ただし足が床に着かず、宙ぶらりんの状態だと嚥下機能の障害となるため足置きが必要。座位アセスメントをしっかり行い、足置きはフットレストの場所ではなく、膝の直下に置くこと

【食事介助のポイント】

〇立ったまま上から介助するのは危険。利用者はのどが伸び上がってしまい、このまま食べ物を口にいれたら、いつ誤嚥するかわからない。窒息の一番のリスクでもあり、絶対にやってはいけない。

〇緑風園ではスタッフは全員座って食事介助している。立ったままの介助は食事が落ち着かなくなるが、これは認知症の人にとっては特に良くない

〇まっすぐスプーンが出せるように目を合わせて介助する。上を向かせない(立ったままスプーンだけ下から出しても利用者は介助者の顔を見ようと上を向いてしまう)

〇視線が同じ高さになることでお膳の見え方も同じになる。

【食事中の姿勢】

〇椅子に背中が貼り付いている姿勢では前屈ができず、飲み込みが困難

〇殿部に隙間がある→殿部が前にずれてしまっている。この場合坐骨結節に体重がかかっおらず、坐骨にかかっている。これを30分続けると褥瘡ができる恐れさえある

【テーブルの高さの工夫】

〇緑風園では座高が低い人のために20センチ低いテーブルを使っている。一般的なテーブルは身長140センチの人を想定していない

〇背の低い人が普通のテーブルで食事すると顔の高さにお膳が来る。ご飯茶碗は手荷物から見えるが、深皿のおかずは見えなくなる

〇「主食しか食べない」というのは認知症ではなく、おかずが見えていないからではないか→テーブルを低くすることで解決する場合もある

【食器の工夫】

〇白身魚を残す元漁師の利用者。しかしカレイやシャケは食べる→白内障だったその利用者に、白色皿で白身魚を提供していたため、魚が見えなかった

〇三色の色つき皿で出すようにしたところ、食べるようになった

〇逆に認知症の方に模様のあるような皿で提供すると食べない場合がある。食事でもなく、皿でもない、一つの絵のように見えてしまうため。そのような認知症の人には単色の皿で出す工夫を

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←「その12」に戻る)             (つづく

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