協会活動報告

研修会開きました(支援相談員部会:その4)

 続いて、近年テレビ通販やネット通販で利用が伸びている通信販売に関して説明がありました。

 「通信販売はクーリングオフができません」と前置きした上で、宇土先生は次のように注意点を挙げました。

 

【通信販売を利用する上での注意点】

 

(1)購入前に必ず代金の支払い方法や返品・交換できるかどうかなどを確認すること。業者には返品特約をきちんと書く義務がある。

(2)海外の通販サイトに関する相談が全国的に増えている。サイトに会社の名前や住所、電話番号などがあるかしっかり確認すること。メールアドレスだけが書いてあるようなサイトは利用をやめるべき。何かあったときにメールしても無視されるなど、連絡の取りようが無い、ということもあり得る。住所が書いてあっても、調べたら山の中だったというサイトももある。

(3)支払い方法が「個人口座に前払い」となっていたり、一見綺麗なサイトのようでも、よく見ると表現方法や、使用されている漢字がおかしいなど、日本語が変な場合は十分注意して確認すること。相手が外国だと取り返すのが難しくなる。

 

【悪質商法の手口】

 次はいよいよ高齢者を狙う悪質商法の手口について説明がありました。まず、「買え買え詐欺」について、ビデオを用いながらその手口と特徴が紹介されました。

《「買え買え詐欺」の手口と特徴》

◎ダイヤモンドや社債などのへの投資を勧めるもの。ここ数年相談件数が増えてきている詐欺。

◎被害金額が大きいのが特徴。平成24年度おけるその契約金額の平均は475万円で、最高は4500万円。そして実際に支払った金額(被害金額)は平均344万円で、最高は4500万円。

◎役者が何人も出てくる「劇場型勧誘」という手口でだますやり方がほとんど。「社債を出す」という会社、「社債を買い取りたい」という会社の人間が出てきて巧みにだまし取る。さらに「社債購入を勧誘する詐欺被害が拡大している。被害を取り戻すための救済ファンドができたので投資して欲しい」などと追い打ちをかけてだまし取られるという二重の被害に遭うパターンもある。

◎手口は同じだが、その時々で「ネタ」が変わる。2年前だと風力発電など環境関係の会社であったり、1年前だとシェールガス、メタンハイドレートなど、その時々に話題になっているものをネタとして持ってくる。一番近いものは東京オリンピックのSS席がらみのものがあった。

◎「高値で買う」と言っておいて、実際にそれが行われた例は全国で1件もない

 

・・・・・このように、「買え買え詐欺」が悪質で巧妙であることを踏まえ、宇土先生は「『買え買え詐欺』は高齢者を狙って来るので十分注意して下さい。また、『現金を郵便で送って欲しい』などと言って来ますが、現金の郵便では送れません」と注意を促し、さらに「高齢者と日頃から『そんなおいしい話はないよね』話をしておいて下さい。呼びかけをお願いします」と念を押しました。

この「買え買え詐欺」はじめ、「母さん助けて詐欺」、「還付金詐欺」などを「特殊詐欺」と警察では総称しているそうですが、その被害額は昨年度全国で360億円だったのに対し、今年度はすでに400億円を超えると言われています。宮崎県でも昨年末で2億円を超えました。なかなか減らない詐欺です。『自分には電話はかかって来ないだろう、パンフレットは送られてこないだろう』という人が結構いると思いますが、個人情報はどこで漏れているかわかりません。『自分にもかかってくるかも?送られてくるかも?』という心構えでいて下さい」と釘を刺すと、受講者はメモを取るなどして聞き入っていました。

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(「還付金詐欺への対策として、ATMの利用限度額を低く設定しておくのも一つの手です」と教わりました)

 

続いて、「悪質な訪問販売」、そして「点検商法」などについても、ビデオを交えながらその手口や対処法を学んでいきました。

(つづく)

研修会開きました(支援相談員部会:その3)

 「このような消費者トラブルに関する相談事例を見ていると、どんな小さなものでも『自分が巻き込まれたらいやだな』と思います。いろいろ考えなければならず、解決までの時間がかかるし、下手するとお金もかかってしまいます」と宇土先生。「だからトラブルになる前にこのような啓発を色々な所でやっています」と、宮崎県消費生活センターのもう一つの仕事である「啓発」について話し始めました。

 同センターでは、その認知度を上げるため、5年ほど前からオリジナルキャラクターの「アリンコちゃん」を使ってコマーシャルを行っています。この「アリンコちゃん」、若い人たちには段々浸透してきているものの、高齢者にはまだまだ知られていないとのことでした。

 

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(↑「こんなのアリ!?と思ったら・・・あきらめないでまず相談」と、アリンコちゃんがセンターの活用を呼びかけています)

 

【契約とは?】

 続いて契約の成立や、解除に関して学びました。「”アリンコちゃん”がテレビを買った」という想定で設定されたクイズを使って説明があり、次のような事を学びました。

(1)契約は口約束で成立する。購入の申し込みをし、店員が承諾した場合のように、双方の合意があればその時点で契約は簡単に成立する。契約書へのサインや商品の受け取り、代金の支払いなどにより成立するものではない。

(2)原則として一度契約したものは解除できない。一度成立した契約はどちらかの都合で解除することはできない。「一週間以内ならレシートを持って来たら返品・交換できる」などというのは、お店がサービスで行っているものなので、契約の際には十分気をつけること。ただし、未成年者取消権等の例外あり。

(3)訪問販売や電話勧誘販売のように、買い物をしようと思っていないのに、無理矢理契約の場に出されて冷静に検討しないで契約してしまった場合、つまり「不意打ち」のような契約については「もう一度考えてみましょう」という「クーリングオフ(”頭を冷やす”という意味の和製英語)」が設けられており、無条件で取り消すことができる。ただし、取引内容や適用対象、期間などについての決まり事がある。クーリングオフは必ず書面で行い、電話で断るのは絶対しない(「言った」、「言わない」、「担当者がもう辞めた」などのトラブルのもとになる)。

(つづく)

研修会開きました(支援相談員部会:その2)

  そして、最近の消費者トラブルには次のような3つの特徴があると教わりました。

【最近の消費者トラブルの特徴】

(1)相変わらずワンクリック詐欺が多い

 ・・・ネット上で「あなたは18歳以上ですか?」と聞かれて「はい」を押すと「登録料を払え」と言われる。請求画面が消えない事もある。

※絶対に支払わないこと!表示された連絡先に連絡するのも絶対だめ(個人情報をとられてしまうから)!一度連絡すると根掘り葉掘り聞かれ、「職場に行くぞ」と脅しをかけられた事例もある。無視するのが一番。不安なときには消費生活センターに相談を。

(2)高齢者を狙った悪質商法が多い

 ・・・60歳以上の人の相談は年々増加しており、昨年度は全体の36パーセント。今年度上半期だけでも60歳以上は半分を占めている(男女比はほぼ同じ)。

(3)同じようなやり方でも手口がどんどん巧妙になってきている

 

 このような消費者トラブルに対して、助言をしていくのが消費生活センターの仕事ですが、判断能力が乏しい人などには、センターの相談員が業者との間にはいって解決をはかっていく「斡旋」も行っているとのことです。また必用に応じて、他の専門機関などを紹介することもあり、宇土先生は「とりあえずセンターに相談して。活用して下さい」と受講者に呼びかけました。

 

【県の相談窓口】

○《宮崎県消費生活センター

http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/chiiki/seikatu/shouhi/

宮崎市江平西2-120

 相談ダイヤル:0985-25-0999

○《宮崎県消費生活センター都城支所》

 都城市北原町16街区1

 相談ダイヤル:0986-24-0999

○《宮崎県消費生活センター延岡支所》

 延岡市本小路39番地3

 相談ダイヤル:0982-31-0999

※お住まいの市町村の消費者相談窓口でも相談できます。

【相談時間】(祝日、年末年始を除く)

◎月?金曜日:午前9時?午後5

◎平日夜間相談専用電話:0985-25-0999(午後5時?午後7時)

◎土曜日相談専用電話:0985-25-0999(午前9時?午後5時)

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(つづく)

研修会開きました(支援相談員部会:その1)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会支援相談員研究部会は124日宮崎市の宮崎観光ホテルで研修会を開き、悪質商法から高齢者を守るための対策などについて学びました。

 この日の研修会のテーマは『悪質商法から高齢者を守る』。高齢者を取り巻く悪質商法を学び、弱者である高齢者を、介護サービスを提供する事業者や介護支援専門員などがどのように守っていけばよいのか、その対処法を学ぼうと開催したもの。会員施設などから46名が受講しました。

 

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(↑開会にあたり挨拶に立った同部会の清徳昭委員長)

 

 講師には宮崎県消費生活センターで啓発担当をされている宇土智子先生を招きました。

 

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(↑ご多忙の中を縫って講演に来て下さった宇土先生。ありがとうございました)

同センターは宮崎県庁の出先機関で、県内に3カ所あり、「相談」と「啓発」の2つの仕事を行っています。このうち、相談(消費生活相談)については、消費者と事業者との間に起こった色々な契約トラブルについて、消費者から相談を受け付けているとのこと。昨年度同センターが受け付けた相談件数何と8400。相談は月曜日から土曜日の週6日行っているので、1日に30件近くの相談があるとの説明に、会場からは驚きの声が上がっていました。そして宇土先生は「”決して他人事では無い”、と感じて下さい」と言い添えました。

 昨年度の相談内容で最も多かったのは、色々な賞品を買った際の契約の解約に関する相談が最も多く、全相談の半分以上を占めるそうです。その内訳をみると、インターネットに関する相談が一番多く、携帯電話やスマートフォン、パソコンなどで「情報サイト料金を請求された」というものや、「出会い系サイト」、「ワンクリック詐欺」などに関するものが多く、これは若い人に限らず、20代から60代まで、それぞれの年代で一番多く、「高齢者に関してもネット相談が一番多い」と指摘しました。次いで多かったのが借金問題、多重債務に関する相談。3番目が「退去するときに敷金が戻ってこなかった、多額の修繕費を請求された」などといった賃貸アパートに関する相談。そして4番目に多かったのが健康食品に関して「注文していないのに送ってきた」という”送りつけ商法”に関する相談が一昨年から増えてきており、今年度上半期ではこれに関する相談が2番目に多くなっているそうです。5番目が「商品代金の架空請求があった」などという商品取引に関する相談と続くとのことでした。

(つづく)

苦情初期処理セミナー開きます(事務長会)

(公社)宮崎県老人保健施設協会事務長会は215日(土)、宮崎市の(財)潤和リハビリテーション財団本部1階会議室で苦情初期処理セミナーを開催します(1330分受付、14時から1540分まで)。

講師に潤和会記念病院の医療安全管理者の長谷真秀美さんを招き、苦情への速やかな対応方法について学びます。

 この研修会の詳細については、こちらをご覧いただいた上で、介護老人保健施設サンヒルきよたけ(担当:濱砂、FAX0985-84-0700TEL0985-84-0333)までお申し込みください。たくさんのご参加をお待ちしています。

ターミナルケア研修会開きます(看護介護部会)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会看護介護研究部会は223日(日)10時から、宮崎市の古賀総合病院腎センター5階で研修会を開きます(12時まで)。

 今回の研修会テーマは「高齢者施設におけるターミナルケア」。講師に聖路加病院緩和ケア科部長の林 章敏先生をお迎えし、高齢者施設で終末期を迎えられている方にどのようなケアが必要か、わかりやすくご教授いただきます。

参加費として一人500円が必要です。くわしくはこちらをご覧いただき、申込書によりお申し込みください。

この研修会へのお申し込み・お問い合わせは、介護老人保健施設春草苑(担当:仮屋美喜子、TEL0985-39-8899FAX0985-39-8978)までお願いいたします。なお、214日(金)までにお申し込みください。

たくさんのご参加をお待ちしております。

アンケート調査のお願い(在宅支援部会※重要※)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会在宅支援研究部会は、昨年度に引き続き平成25年度も会員施設を対象にした入退所の状況に関するアンケートを実施します。

このアンケートに関するご依頼は、すでに送付申し上げた115日付け文書(公社宮老健協大25-285号)にて、各会員施設に行っておりますが、その中でも記載しています通り、回答用のエクセルファイルを当協会のホームページ(http://www.miyazaki-roken.jp/)の「書式ダウンロード(http://www.miyazaki-roken.jp/download/index.html)」のページにアップロードしております。ご活用いただけますと幸いです。

また、このアンケートの前回分(平成24年度分)について、ご回答がまだお済みで無い施設におかれましては、同様に「書式ダウンロード(http://www.miyazaki-roken.jp/download/index.html)」のページからダウンロードいただき、併せてご回答賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

なお、このアンケート調査の詳細につきましてはこちらをごらんください。また、このアンケート調査に関するお問い合わせは介護老人保健施設サンヒルきよたけ(担当:黒木勝久、TEL0985-84-0333FAX0985-84-0700)までお願いいたします。

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その15)

【活気ある職場の条件】

 活気ある職場の条件として、まず上司や先輩へ期待するものとして、次の8項目があります。

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 次に職場へ期待するものとして、次の8項目があります。

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【まとめ】

 医療・施設などは、人の命を預かっているため、企業など他の業種のパワハラと基準とは、少し異なるところがあります。しかし万が一、管理者がハラスメントと指導の違いへの認識が低かったり、ハラスメントを起こしていたりすると、その部署全体の雰囲気が悪くなったり、被害者がメンタル系の病気になったり、他の職員も「そのハラスメントの様子を見るのが辛い」と退職したり、皆のモチベーションが下がり、生産性が低くなることがあるかもしれません。

 また、現場は患者様・利用者様がいらっしゃり、万が一指導と思って発している職員の怒鳴り声などが、毎日毎日外来・病棟・施設などから聞こえていたならば、病状でしんどい思いをされている皆様に不快感やストレス・不信感を与えてしまうことになってしまいます。

 加えて、内部間のハラスメントだけでなく、患者様・利用者様へのセクハラの問題などにも気をつけましょう。職員側では治療・検査・看護・介護と認識している言動が、患者様・利用者様側には、セクハラと誤解を与えている場合もあるからです。それらの状況を、どのように事前に予防できるかの対策も必要です。

 同時に、職員から患者様・利用者様への暴言などが起こらないための教育・対策も大切です。「ハラスメントは絶対に起こさない」という姿勢をトップ・管理者自らが示して、模範的な行動をとり、職員ひとりひとりもハラスメントを予防しましょう。皆で事前に予防し、日々協力し合い、快適に過ごせる健全な事業所を作りましょう。

 すべての職員が家に帰れば、自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さんであり、お母さんです。そんな人達を職場のハラスメントなんかでうつに至らしめたり、苦しめたりしていいわけはありません。

(終わり)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その14)

【ストレス反応の現れ方】

 ストレス反応は(1)心理面、(2)身体面、(3)行動面・・・に現れます。具体的には次の通りです。

(1)心理面:活力の低下、イライラ感・不安感、抑うつ感

(2)身体面:だるい・疲れやすい、よく眠れない、食欲が低下、頭痛

(3)行動面:酒やタバコの摂取量が増える、食事の量が増えるまたは減る、仕事の能率が落ちる、遅刻や早退、有休が増える

 

 「見逃すな!いつもと違う!仲間の心のサイン」というスライドを示します。このようなサインがあれば、「何かあった、おかしい」と思って下さい。

 

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 ストレス反応からストレス反応へと陥らせないための社会的支援には、次の4つがあります。

(1)情緒的サポート:「やる気」を起こさせ、情緒的に安定させる・・・声掛け、励まし

(2)情報的サポート:問題解決に役立つ情報を与える

(3)道具的サポート:実際に手助けする

(4)評価的サポート:仕事ぶりや業績など適切に評価する

 

【こんなひと言がうれしかった!!】

 さて、これからモチベーションを上げていくことになります。「こんなひと言がうれしかった!!ヤル気がでた!!」というスライドを示します。まずは「仕事を頼まれた時」にかけるひと言です。

 

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 ただし、「頼りにしているよ」や、「期待しているよ」などは1回くらいならいいのですが、3回くらい言うと大きな圧力になってしまいますから注意して下さい。

 次に「仕事が終わった時」にかけるひと言です。

 

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 相手の目を見て声を掛けてあげて下さい。ただし、「よく考えたなー、君にしては」などと言うと逆効果になりますから注意して下さい。

 そして「仕事をしている時」にかけるひと言です。

 

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 特に「仕事には慣れてきた?」は新入社員や復職者などに言うと「受け入れてもらっている」という嬉しい気持ちにさせることができます。

 

【元気にさせる、がっかりさせる】

 ある会社で100人に対し「あなたはどんな言葉や態度でがんばろうと思いますか?また落胆しますか?」というアンケートをとったところ、次のような結果になりました。

《がんばろう:やる気にさせる言葉や態度》

・「ありがとう、頑張ったな」

・小さなことでもほめられた

・上司からのねぎらいのひと言

・「期待しています」

・長所をほめられた

・「一緒にやろうよ」

・気遣う言葉

《落胆、やる気を失わせる言葉や態度》

・無関心、無視、声かけ無し

・家族や仲間の悪口を聞く

・何でも当然、当たり前の態度

・命令口調

・見下した言い方、態度

・「女のくせに」

・身体のことを言われた

 

 最近、日本の科学者達が調べたところ、ほめられた時、脳にそれが刺激されて向上心が高まるということがわかったそうです。互いを尊重し合い、互いの人格を大切にし合って、より良い人間関係を築き上げましょう。

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その13)

【職業生活におけるストレスの状況】

 労働者の約6割が強いストレスを感じているとの調査結果が、厚生労働省より出されています。そんな中、精神障害の労災補償は増加傾向にあります。その精神障害の請求件数の多い業種を見てみると、最も多いのが医療・福祉の「社会保険・社会福祉・介護事業」で111件、第2位が医療福祉の「医療業」で87件となっています(平成24年度)。そして、「上司とのトラブル」を利用とする請求が年々増加しています。ストレスの内容を見てみると、「職場の人間関係」をあげている人が4割以上と、最も多くなっています。また、仕事や職業生活に関して相談できる相手としては上司や同僚、そして家族や友人が圧倒的に多い結果となっています。ただし、上司とのトラブルがあるのに上司に相談はできませんし、家族や友人には相談できてもはたして解決になるかどうかというと難しいです。

自殺に関する周囲の気づきについてですが、労災業務上認定自殺1098事例を分析したところ、上司も家族も高い割合で「なんかおかしいな」と気づいてわかっているという結果が出ています。また自殺企図6ヶ月前からの症状として「精神状態の変化」、「身体状況の変化」、「不眠」などが高い割合で現れています。

 

【ストレスの要因:ストレッサー】

 ストレスの要因となるものを「ストレッサー」と言います。これには(1)物理的なもの(熱、暑さなど)、(2)化学的なもの(酒・タバコ・有機溶剤など)、(3)生物学的なもの(細菌・ウイルス・花粉など)、(4)心理社会的なもの・・・などがあります。

 職場においては人間関係のトラブル(上司や部下との対立、いじめ、セクハラ・パワハラ)、役割の変化(昇級・昇格・配置転換・出向などによるもの)、仕事の質・量の変化(長時間労働や人事異動、トラブルの発生などによるもの)、重い責任の発生(仕事上の事故や失敗によるもの)などが、そして仕事以外では自分の出来事(病気や家庭不和、人とのトラブル、事故や災害など)、自分以外の出来事(家族、親族、友人の死や病気・非行など)、住環境や生活の変化(単身赴任、転居、騒音など)、金銭問題(多額の借金・ローン、収入減など)などがストレスの要因となります。

 この職場のストレス要因に仕事外の要因、さらに個人的要因(年齢、性別、性格、身体的条件、能力、生活経験)が加わって、ストレス反応が身体面や心理面、そして行動面に現れ、そしてストレス関連疾患へと陥っていきます。しかし、そうなる前に上司や同僚、家族などによる社会的支援や、快適な職場環境を整えるなどといった緩衝要因があると大きな違いが出てきます。

 ですから、そのような様子を見かけたら、声を掛けてあげたり、配慮してあげる必要があります。また、相談できるところを紹介してあげたり、そのための休暇をとらせてあげるなどの援助をする事も大事ですが、その際、個人情報にも配慮する必要があります。

 ただし、ここで問題になるストレスは「過度のストレス」です。ストレスは「人生のスパイス」であり、いい仕事をするには「適度のストレス」は必要です。新しい課題に挑戦し、それを乗り越える経験は、人を成長させ、職場に活性化にもつながります。ストレスは少なくても多くてもいけません。「適正なストレス状況」が、最も生産性を高めるということは念頭に置いておいて下さい。

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  (つづく)

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