研修会開きました(在宅支援部会:その3)

【地域包括ケアの具体像】

(3)居宅:24時間サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)

○施設と同等のサービスを提供する「切り札」として制度化。

※出来高払いである他の居宅サービスの利用と比較して、介護費を抑制するねらいがある包括払い方式の下で、施設並みのサービスが提供され、利用者の介護ニーズを十分満足できるとは考えにくい。

○重度者の食事介助、中度者の突発的排泄ニーズ、周辺症状が強い認知症の場合などは対応困難。

○時間的問題から生活援助の提供が困難になる恐れもある。

24時間サービスは、保険外で身体介護、生活援助、見守り・配食などの生活支援を確保しなければ成り立たず、地域包括ケアにおいて居宅生活が可能なのは、その負担ができる者に限られる。

※〔望ましい改革の方向性〕・・・自己負担率や支給限度を見直した上で、24時間サービスについて、出来高払い方式への転換、他居宅サービスとの併用を可能にすることなどが求められる。その上で既存の訪問介護、夜間対応型訪問介護等の報酬を引き上げ、サービスを充実させる必要あり。報酬引き上げを通じ、生活援助を介護保険制度の中に積極的に位置づけることも不可欠。

 

(4)予防サービス・・・「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」

※地域包括ケアの目的が、介護保険給付の「効率化」にあることを端的に表すのがこの総合事業。軽度者に不十分な在宅生活を余儀なくするものと言わざるを得ない。

○要支援者の予防給付を保険給付から、NPOや自治会など地域による保険給付外の地域支援事業に移すというが、高齢者の社会的孤立が進行している現状で受け皿になるとは想像がつかない。

○「本人の意向を最大限尊重」というが、判断は市町村、実施主体は地域包括支援センター。契約に基づいてサービスを選択・利用するという介護保険の「約束事」を反故にしかねない。ケアプラン作成が十分行われる保証もない。

※各保険者が総合事業の実施を再考するとともに、予防給付の充実、地域包括支援センターにおける公的責任の強化や、地域支援事業・高齢者施策の公費負担による整備などが求められる。

IMG_2357.JPG

【参加者は熱心に耳を傾けていました】

(続く)

研修会開きました(在宅支援部会:その2)

【地域包括ケアの具体像】

(1)施設・住まいについて

※地域包括ケアは、既存の病院や特養などの介護保険施設を抑制した上で、サービス付き高齢者住宅を整備し、高齢者が居宅において外付きの訪問介護・看護で生活することを目指している。

○入院は抑制:介護療養病床は新規開設が否定され、報酬改定でも単価引き下げ。

○介護保険施設:整備進まずホテルコスト等の徴集を通じて利用者負担引き上げ→必要なサービス利用できない恐れ。

○一方、「サービス付き高齢者住宅」の積極的整備進められようとしている→厚生年金受給者がターゲット。低所得単身者を中心に「介護難民」化が進む恐れ。

※療養病床削減撤回、特養増設、補足給付の充実などによって、在宅のバックアップとして既存の病床・施設を拡充すべき。その上で居宅介護を充実図るとすれば、公的な高齢者住宅の整備等の推進を基本としつつ、施設と同等の質・量を提供できる居宅サービス体系を構築する必要がある。

IMG_2366.JPG

【資料を使ってわかりやすく話される鶴田禎人先生】

(2)地域包括ケアと老健

※「”第二特養化”しているような老健施設が非常に多い。まず老健施設というのは基本的にリハビリを一生懸命にやり、残存機能を高めるなりして、在宅で生活ができるようにして帰す。それをもっと徹底的に行っていただきたい」(厚生労働省幹部の指摘、『老健』20119月より)。

○今次の介護報酬改定で、基本報酬引き下げ&「ベッド回転率」、「在宅復帰率」の指標の導入と、条件を満たした施設を「在宅復帰強化型老健」として報酬増額。

○入所前後訪問指導加算も新設するなど、全体として早期退所を促す改定となった。

○今後:在宅復帰を第一義に掲げる施設と、そうでない施設にこれまで以上に分化されると考えられる。

※しかし、現状は在宅における受け皿不足→入所期間の短縮が拙速に起きてしまうことが懸念される。老健・入所者双方に負担をかける改定と言わざるを得ない。

※政府:老健など介護保険施設に対する明確なイメージを持っているとは言えない。施設側から地域包括ケア時代における自らのあるべき姿を積極的にアピールすべき!

※老健:地域の入所施設として高齢者・家族を支えている現状、医療、看護、リハビリ、認知症ケア、ターミナルなどに関する多様な地域支援機能を発揮できるという特徴・強みを活かせる制度設計・報酬改定を後押しする必要がある。(続く)

研修会開きました(在宅支援部会:その1)

 (社)宮崎県老人保健施設協会在宅支援研究部会は1020日(土)、宮崎市中央公民館中研修室で研修会を開きました。会員施設等から40人が参加し、地域包括ケアについて学びました。

IMG_2354.JPG

 今回の研修会は、講師に宮崎大学教育文化学部講師で経済学博士の鶴田禎人先生を招き、「地域包括ケアと介護のゆくえ:老人保健施設を中心として」と題し講演をしていただきました。「長寿化や少子高齢化が急速に進む中、単身や夫婦だけで暮らす高齢者世帯が増加している。そのような高齢者の生活を支える新たなしくみとして『地域包括ケア』が提起されています。その定義やねらいについて考え、政府の考え地域包括ケアの提供体制や、現在の具体化の進行状況、そして今後発生が危惧される問題などについて説明していきます」と切り出した鶴田先生。そのあらましについて連載していきます。

 

【地域包括ケアの定義とねらい】

〇在宅生活が困難な要介護高齢者に対し、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」が地域包括ケア。

〇つまり医療、居宅介護、住まい、予防、生活支援といった諸領域が連動しながら、住み慣れた地域にある居宅で、高齢者が最期まで生活できる体制づくりを目指すのが地域包括ケア。

〇しかし、伸び続ける高齢者医療・介護給付費の抑制を「医療から介護へ」、「病院・施設から在宅へ」の掛け声の下で行うのが政府のねらい。つまり地域包括ケアは財政の視点。

※高齢者の在宅生活の安心を保障するという国民の希望に押されながらも、それを利用し、医療・介護費の抑制を可能にする提供システムを作り上げようというのが地域包括ケア。(続く)

10段変速

 かつて・・・40年近く前でしょうか、少年達の自転車の憧れと言えば「5段変速」。松山千春だって歌ってました。変速器はサドルから前にまっすぐ延びるフレームについていて、自動車のギアチェンジみたいに”ガシャガシャ”とやるのがすっごく格好良かったです。しかし、片手運転になるためか、はたまた技術の進歩か、今はハンドルの所にスマートについてますし、車だってオートマが主流になりました。

そうそう、オートマと言ってよいのかどうか、「パーフェクトチェンジ(PC)」を謳った5段変速自転車がありました。これはコントローラーがハンドルについていて、それを操作するとモーターが”ウィーン”と作動して、1速から5速までを「完璧に」チェンジするという画期的な電動変速装置を備えていました。ハンダース(あごいさむさんがいました)が宣伝し、購入すると彼らのプリントされた特性Tシャツがもらえました。ただし、この「パーフェクトチェンジ」、電池が切れたら役に立ちません。変速するには一旦自転車を降りて、ドライバでネジを回さなくてはならないという始末でした。

同様に当時の少年にとって羨望の的だった「フラッシャー」(いわゆる方向指示器で、左右に光がピカピカピカと走って曲がる方向を示してました)、そしてフォグランプ(霧の中でも安全に走れるように、黄色のランプが電池で光って綺麗でした)なども、最初は面白がって使っていましたが、電池が切れたら役立たず。そのうち取り外されてしまったりするものもありました。あわれ。

 その頃、少年達には手も届かなければ足も届かない自転車がありました。それは「10段変速」です。これは凄かった。スポーツ仕様の細いフレーム、細くて大きなタイヤ。そしてそしてドロップハンドル!ちょーかっこよかったです。10段変速を操るレバーはハンドルからペダルに下りるフレームの左右についていました。大学生のお兄さん達が颯爽と乗りこなしていましたが、買い物にはちょっと不向きだったようです。

 そんなこんなと引っ張って来ましたが、ここからが本論です。「人生は、10段変速の自転車のようなもの。誰もが、自分がもっているものの大半は使っていない」という言葉があります。アメリカの漫画家、チャールズ・シュルツという人の言葉です(「生きる力がわいてくる名言・座右の銘1500」、著者:インパクト、ナガオカ文庫)。

 私たちが勤める老健施設は、介護を必要とする高齢者の在宅復帰をサポートする中間施設。そのためには利用者様ひとりひとりについて、できること、できないこと、介助したり自助具を用いればできることなどを正しく評価した上で、必要なところは介助を行い、自力でできることはご自分で行ってもらう、すなわち「リハビリテーション介護」をむねとする施設です。したがって、利用者様が持っている能力を最大限に発揮してもらえるように、全職種、全スタッフが情報を共有し、チームケアを展開していくことが肝要です。自転車よろしく、?段あれば、10段全部を有効かつ適切に使ってもらう、ということが大事なのです。

 それはそうと、現在の自転車事情は随分変わりました。画期的なのは電動アシスト機能。そのすごさは、一目瞭然ならぬ「一乗り瞭然」。坂道なんかグングンです。あと、三人乗り自転車も登場しました。そして10段変速は小学生用自転車にもついてるこの時代、24段変速なんてのもあるから、これって全部使いこなせるのだろうか?と思ってしまいます。

同じように、人間一人一人の価値観や人生観も、複雑多岐になってきたのではないでしょうか。老健の利用者様一人一人が、もっているものをフルに発揮できるようにしなくてはならない、そう思った言葉でした。

「活かされる」場所

 「『活かされる』場所」と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。高級割烹店にドーンと構えられた水槽、その中を悠々と泳ぐ鯛にヒラメに伊勢海老・・・。それもたしかにいいですね。一度は行ってみたいものですね。しかし今回はそういう話ではありません。「”『行かされる』場所”から”『活かされる』場所”へ」という話題です。

 去る1012日、西都市総合福祉センターで行われた同市の介護支援専門員連絡会の全体研修会でのこと。講師は櫻井俊司先生。特別養護老人ホームシルバースターうなまの里で生活相談員と介護支援専門員を兼務されているほか、県の介護支援専門員協会の日向・東臼杵担当理事で、介護支援専門員資質向上事業検討委員会の委員長も務め、各地で研修や講演をするなど活躍中です。介護支援専門員の実務者研修、未経験者更新研修を受講された方なら、多くの方がお世話になっているはずです。

 その桜井先生が「デイサービスセンターは、そこを利用されている方にとって、家族などから”『行かされて』いる場所”なのかもしれません。しかし私たちは、その人が”『活かされて』いる場所”にしなければなりません」と言われたのです。はっとした瞬間でした。

 この話に触れる前、桜井先生が紹介したのはマザーテレサの言葉。「この世の最大の不幸は、貧しさでも病気でもありません。自分が誰からも必要とされていないと感じることです。そして今日の世界における最悪の病は、そういう人に対する愛が足りないということです」・・・。つまり、「自分が誰かから必要とされていること」が、その人を活かすことだと思いました。そのような通所サービスをお一人お一人に提供しなければならない、そしてその内容は百人いれば百通りあるのだ、と。

 補足するように桜井先生は「寝たきりの入所の女性でも、その息子さんが面接に来て、耳元で『お母さん、また来るね』と話しかけ、元気になって帰られる。それは彼女が”必要とされている”ということ」とも言われました。これはつまり「”『生かされる』場所”から”『活かされる』場所”へ」と言えます。

 「生活」という言葉を何気なく使っていますが、この「活」という字の持つ深み、そして重みを再認識させられました。さっそく明日からの仕事に役立てたいと感じた、有意義な講演会でした。

「老健みやざき」アップしました!

 かねてよりお知らせしていましたが、当協会の広報誌
「老健みやざき 第26号」 PDFファイルをアップしました。そのまま見るなり、ダウンロードして楽しむなり、自由にご利用して下さい。
「老健みやざき 第26号」
へのページはこちらからどうぞ。

 なお、今回号の巻頭に掲載しました、隔号企画(予定)の「老健ルポルター寿」。来年度も県内いずこかの会員施設を、広報部会委員のメンバーで訪問、取材したいと考えておりますが、現在のところ訪問先がまだ決まっておりません。「是非うちに来て!!」という施設がありましたら、ご連絡方お願いいたします。

ファイト!ケアマネ試験

  もうすぐですね!!ケアマネ試験。1028日に迫りました。受験を予定されている皆様におかれましては、準備のほどはいかがなものでしょうか?

正しくは「介護支援専門員実務研修受講試験」と称されるこの試験。昨年度は非常に難しかったとの声も聞かれましたが、今年度は介護保険法の改正もあったし、いったいどうなるでしょうか。もう既に問題は作られ、印刷も済んで、この日本のどこかにあるわけです。「ああ、事前に見られるものなら、ちょこーっとだけでもいいから見られないもんだろうか?」と思いたくなる心情はよーく理解できます。だけどそれを実際にやってしまっては犯罪になります。絶対ダメ!そんな事せずに、最後の追い込みをかけましょう!

先述の通り、「介護支援専門員実務研修受講試験」ですから、「ケアマネ試験受かったら、もうその日からケアマネヽ(^^)ノ」ではありません。合格者には、年が明けて行われる「介護支援専門員実務研修」を受ける権利が与えられる、というものです。この「実務研修」がなーかなか大変なんですわ。前期と後期があって、いずれも朝から夕方までぎーっしりのカリキュラム。おまけに前期と後期の間に実際に誰かのケアプランを作成すべく、自宅訪問して情報収集、問題点を抽出して短期・長期の目標を立てて・・・という作業があります。

でも今はそんなことを考えていてもしょうがありません。とにかく合格目指して頑張るのみですね。受験皆様のご健闘を心より祈っております。会場の宮崎大学木花キャンパスへは時間に余裕をもってお出かけください。ファイト!!

問題そのものよりも…

How you think about a problem is more important than
the problem itself — so always think positively.

 

「重要なのは、問題そのものより、問題についてどう考えているかである。だから、常に前向きに考えることだ」

 

 これはプロテスタントの伝道師Norman
Vincent Peale
(ノーマン・ヴィンセント・ピール)の言葉です(『世界のトップリーダー英語名言集』、デイビッド・セイン/佐藤淳子、Jリサーチ出版より)。

 私たちが働く老健施設においても、様々な問題が起こります。その問題自体が問題なのではなく、その問題をどのようにとらえ、考えていくか?それが大事だということです。この言葉を反すうしながら、思い出したことがありましたのでご紹介します。

 それは、当協会ケアプラン研究部会が去る91日に開いたリーダー研修会でのこと。講師の明石(あかいし)二郎先生[(社)大分県社会福祉士会理事、Healing forest ~癒しの森~代表]がこんな内容の話を紹介されたのです。

 

 「糖尿病を患っている女性のご利用者がいました。アンパンが大好きで、ご主人が『妻にアンパンを食べさせたい』と相談すると、『ありえません!』と一喝!味気ない食事の毎日で、その方は意欲も力もなくなっていきました。見かねたご主人はこっそり妻にアンパンを食べさせていた。そしてその現場を職員が発見!施設長も連れてきて『医療的指導』として厳しく叱ったのです」・・・。

 

・・・そりゃあそうだ。糖尿病の方にアンパンなんぞ隠れて食べさせたら大変だ!と思ったのですが、明石先生はこう続けました。

 

 「しかし、福祉の視点に医療を取り入れて考えると『どうやったらアンパンを四分の一切れ食べられるか?』という発想になります。つまり、アンパンを四分の一切れ食べたときに、医療的な視点からどういうことになるのかをフォローしながら、四分の一切れアンパンを食べて喜びが得られ、その人が意欲的に生き生きと生活できるよう、発送を転換することがケアマネージャーには求められてくるのです」・・・。

 

・・・なるほどなあ、これが「問題についてどう考えているか」ということなのではないかなあ、と思いました。常に前向きに、利用者様の視点になって考えることが大事だなあ、と思いました。”ハウシンクアバウト,ア,プロブレム”ですね。

鳴るか!?介護負担軽減の福音

 少々前になりますが、826日付の宮崎日日新聞。「福祉従事者の労災後絶たず」という記事が載っていました。全国はもちろん、県内でも高齢者介護施設などで働く社会福祉従事者の労働災害が後を絶たないという内容です。

 厚生労働省によると、社会福祉従事者の労災の発生頻度は全産業従事者の2.5倍にもなるとのこと。また宮崎労働局によると、県内の老人介護施設、保育施設、障害者などで働く人約25,700人で、昨年休業4日以上となった事故は51件発生しているのだそうです。そのおもな内容はぎっくり腰や骨折など。このような状況を受け、県内4つの労働基準監督署では、社会福祉施設への指導強化に着手した、と記事にはありました。この2.5倍という数値、確かに看過できるものではありません。さらに「今後も高齢化が進むのに伴って介護労働者が増え、労災の増加が懸念される」と将来の見通しについての関係者のコメントが紹介されていました。

 月が替わった913日の同紙。「最期まで自分らしく ?デンマークの高齢者介護視察記?」と銘打った連載記事の中で、デンマークでは「法律で高齢者抱え上げることが禁じられている」とありました。これは介護者の身体的負担を減らそうというもので、同国では電動の介護リフトの使用が徹底しているのだそうです。そればかりか、「リフトを使わずに腰を痛めても労災は認められない」とのこと。少なからぬ驚きをもってこの記事を読みました。

 さかのぼって730日の日本経済新聞の一面トップ記事。「介護ロボ保険対象に」と5段見出しの立った記事では、2015年から介護・福祉に役立つ先端機器(介護ロボット)への公的保険の適用を拡大するという、政府の方針が示されていました。これによれば、介護される人が使用するものに加え、介助者の負担を軽減する機器も候補になっているとこと。これにより介護従事者の人材不足の緩和に役立てる狙いがあるのだそうです。

 介護を巡る我が国や本県の現状、そして高齢者福祉の先進地として知られるデンマークにおける介護の取り組みを鑑みながら、この「介護ロボ保険対象に」の記事のように、私たち老健施設に勤める者にとって、そして何よりも利用者様本人にとって、福音がたくさん鳴り響くといいと思いながら、3つの記事を並べ、読み直してみたのでありました。

研修会開きました(支援相談部会:その4)

櫛橋弘樹先生講演「医療依存度の高い高齢者への対応」骨子}

 

 

【医療依存度の高い要介護高齢者の受け入れ課題】

(1)日中・夜間の職員配置

(2)施設間連携の状況

(3)現場の業務負担

(4)介護職が実施することを検討すべきケア内容

(5)看護師・介護職の連携

 

(1)日中・夜間の職員配置について】

〇日中・夜間の看護職員一人あたりの入所者数を、新規入所者を基本的に受け入れている施設とそうでない施設とで比較すると、IVHによる栄養管理、気管切開(カニューレ有り・無し)経管栄養(経鼻)において受け入れている施設のほうが看護職員一人当たりの入所者数は少ない。

〇夜間においては特にIVHによる栄養管理、経管栄養(経鼻)、酸素療法で看護職員一人当たりの入所者数は少ない。

※医療依存度の高い要介護高齢者へ対応するためには、看護師の日中・夜間の職員数の増員、特に夜間配置の強化が求められる。

(2)施設缶連携の状況】

 夜間に病院や診療所と連携している施設ほど、医療的ケアの必要な新規の入所者を受け入れている。

 今後医療依存度の高い要介護高齢者の受け入れを拡大する課題として、医師の指導・管理、連絡体制の強化が求められる。

(3)現場の業務負担感】

 時間帯によって課題が生じやすいケア内容としては気管切開(カニューレ有り)、喀痰吸引、その他人工呼吸があげられる。

 今後受け入れ拡大にあたっての課題:業務量増加に伴う看護師の不足、医師の指導・管理、連絡体制の強化。

 

(4)介護職が実施することを検討すべきケア内容】

〇介護職の業務を拡大すべきケア内容:「経管栄養」、「人工肛門」、「喀痰吸引」準備や片付けといったケアの一部。

《介護職の業務拡大の検討》

※看護師不足は医療的ケアの受け入れ制限につながっている。

※看護師の大幅な増員は困難であり、今後介護職の業務範囲の拡大は必須。

〇医療的ケアのうち、準備や片付けを介護職が実施することで、看護師の業務負担の軽減になり、他の医療的ケアに専念できる。

※日常的にケア提供や観察が必要である点からも、入所者に近い存在の介護職が医療的ケアに関わることが臨まれる。

 

(5)看護師・介護職の連携:看護師と介護職の連携促進に向けた取り組み】

 食事介助や口腔ケア、疾病管理といったケアの領域において、看護師と介護職とでケア提供上の問題に対する認識の違いが大きい。看護師と介護職とでそれぞれのケア目標を共有するほか、業務手順など、ケア提供方法を共有することが重要。

DSCN2245.JPG

(終わり)

最近の投稿

アーカイブ

カテゴリー

老健みやざきFacebook

TOPへ