協会活動報告

介護保険改定対応セミナー開きます(事務長会・在宅支援部会)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会事務長会および在宅支援研究部会は1115日(土)14時から宮崎市のシーガイアコンベンションセンター4階「蘭玉」で、「介護保険改定への対応セミナー」を開催します(16時まで)。

 講師に社会福祉法人登別千寿会理事で、特別養護老人ホーム緑風園(http://www.ryokufuu.com/)の菊地雅洋総合施設長をお招きし、「介護保険改正にどう対応する? 老健は? 特養は? グループホームは? 居宅支援事業所は?」と題し、講演をしていただきます。

 受講料として老健関係者は1500円が必要ですが、それ以外の方は無料で受講できます。詳しくはこちらをご覧の上、「参加申込書」により介護老人保健施設サンヒルきよたけ(FAX:0985-84-0700、担当:濱砂)まで、1025日(土)までにお申し込み下さい。

高齢者の心理学びました(支援相談員部会:号外)

【市民向け認知症講演会のご案内】

 

 支援相談員研究部会研修会で「高齢者の心理」と題し、とてもわかりやすく、そしてためになる講演をして下さった潤和リハビリテーション財団介護老人保健施設ひむか苑の勤務医、田代学先生のお話が聞ける講演会のお知らせです。

野崎病院認知症疾患医療センターは118日(土)の1430分から、宮崎市の宮崎市民プラザオルブライトホールで市民向け認知症講演会を開きます(1630分まで)。

 この講演会では宮崎市福祉部長寿支援課介護予防係からの同市における介護予防の取り組みに関する行政報告に続き、「認知症の初期症状と本人の気持ち・家族の気持ち」と題した講演があります。講師の田代
学先生は、認知症ケア上級専門士および認知症サポート医であり、そして日本認知症ケア学会九州沖縄2地域部会長も務められています。

 この講演会はどなたでも無料で受講できます。こちらの市民民向け認知症講演会PDFファイルをご覧の上、「講演会参加申込書」により、一般財団法人弘潤会野崎病院認知症疾患医療センターまでファックス(FAX0985-51-3114)でお申し込み下さい。なお、電話での申し込みも受け付けております(TEL0985-51-3111)。

 申込締め切りは1031日(金)となっております。定員は500名ですので、お早めにお申し込み下さい。

研鑽積んで!全国大会

 1015日から17日にかけての3日間、「第25 全国介護老人保健施設大会 岩手」が盛岡市民文化ホール(マリオス)ほかで開催されます。

 大会テーマは「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 震災を乗り越えて めざそう 夢のある老健を」。この岩手大会は当初、2011年に開催する予定で、関係者の皆様が準備を進めていたものですが、同年311日の東日本大震災により見送られていました。

 そして震災から3年余りを経た今、各地からの支援も得ながらついに開催の運びとなりました。「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」と岩手県が生んだ詩人、宮沢賢治の作品を大会テーマに用いている通り、大会会長である長澤茂様をはじめ、大会関係者の皆様のご苦労、ご努力は、並々ならぬものがあったものと、敬意の念に堪えません。

 宮崎県からは32名が同大会に参加予定で、8人が演題を発表されることとなっています。老健施設で働く県内外の方々と忌憚のない意見のやりとりを行い、交流を深め、研鑽を積みあって、よりよい老健、よりよいケアの提供の一助としていただきたいと願っています。

 「第25 全国介護老人保健施設大会 岩手」の大会ホームページこちら、それから大会フェイスブックこちらです。大会への参加者・発表者を岩手県に送り出し、その留守を預かるスタッフの皆さんも、業務の合間に大会の模様をチェックされてみてはいかがでしょうか。

 「第25 全国老人保健施設大会 岩手」の開催を、心よりお慶び申し上げますとともに、大会の成功を、宮崎の空の下からお祈り申し上げます。

高齢者の心理学びました(支援相談員部会:その5)

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 最後に高齢者の総合的評価について学びました。「高齢者の総合的機能評価(CGAComprehensive
Geriatric Assessment
)」は、(1)医学的評価、(2)身体的評価、(3)精神・心理的評価、(4)社会的評価・・・の4項目から高齢者の総合的機能評価を行い、それをもとに適正な医療やケア、そして患者と家族のQOL(生活の質)改善をはかろうというもの。

そのスライドを示した上で田代学先生は「加齢に伴う機能の変化や多くの併存病による心身機能の障害、そしてそれらの影響による日常活動の低下に伴う心身機能の障害が健康の状態を規定し、高齢者の医学的・身体的評価は、青壮年のそれとは本質的に異なる問題を含んでいます」と指摘。さらに社会的評価については「その一つの場として生活の場があります」としながら、高齢者の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加傾向にあること、「老老介護」が進み、認知症患者の介護をする70歳以上の家族の割合がこの30年で3倍以上に増えている現状などを紹介。「高齢者の総合的機能評価は((1)から(4)の)4つが複雑に連動しており、そのこと自体も心理的影響を与えています」と言い添えながら、「重要なのは”活動と参加”を続けること」と強調しました。そしてその理由を()自分を理解してくれる人が、自分にはいるのだという実感、()自分のあり方や行為が自分一人の中で終わらずに「他者につながっている」という実感、()自分が成長している実感・・・を本人が持ち、また周りからももたれるような環境づくりをすることで「幸福感、すなわち良い心理が生まれる」と説明しました。

 また、精神医学上や心理社会的、身体的、そして社会的に高齢者が個人レベルで補償や適応することができない諸問題があることに触れ、「医療や福祉、行政関係者などの介入が必要」と受講者に呼びかけました。

 そしてサクセスフル・エイジング(成功加齢)とは、「良好な機能的能力と社会的関わりによって評価される高齢者像であり、その心理です。そのためには高い自己効力や社会参加、身体活動の継続、そして生産的活動の継続が重要です」と帰結しました。

 2時間が短く感じられるほど内容の詰まった研修会も終わりを迎え、「加齢現象とは単なる衰えではなく、それを補償する方向性も内在していることや、高齢者の心理的過程を悲観的にではなく、死の間際まで心理的成熟や社会との交流の可能性があるものとして捉えていくべきです。そして自らもそうあることを今から準備するべきです」と講演を締めくくると、会場からは感謝の拍手が鳴り響きました。

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 老健施設のみならず、特養やグループホーム関係者など、高齢者に日々接し、寄り添うことを仕事としている受講者にとって、高齢者の心理を様々な角度から考えることのできた、大変有意義な研修会となりました。田代先生、本当にありがとうございました。

(終わり)

高齢者の心理学びました(支援相談員部会:その4)

 支援相談員研究部会主催の「高齢者の心理」を学ぶ研修会。潤和リハビリテーション財団介護老人保健施設ひむか苑の勤務医、田代学先生による講義は「人間関係の加齢変化と適応」に移りました。

 

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 スライドに

(1)退職:職場を中心として人間関係、地位の喪失。伴侶にとっては、自由であった時間の喪失とそれまでの井戸端会議的な関係の縮小

(2)身近な人の死:仲間、友人、親戚、配偶者の死

(3)親子関係:核家族化老夫婦家族、独居老人

 という3つの項目を示しながら、「これらの社会的関係の希薄化からくる危機を一人の力で乗り越えることは困難で、周囲からの精神的、経済的支え、具体的な支援などのソーシャルサポートが必要」と述べ、さらに「高齢者自身も元気な時からそのようなネットワークを形成しようとする姿勢が必要で、それは若い時から必要です」と、スクリーンに「重要」の2文字を大きく浮かび上がらせて強調しました。

 続く「幸福感の加齢変化と適応」では、「多くの高齢者は加齢とともに喪失体験が増え、幸福感は低下すると思われがちだが、近年の研究では老年期の方が中年・壮年期よりも生きがいを持ち、幸福感が高いという結果が出ています」との説明に、意外な表情をする受講者も見られましたが、「高齢者は喪失感や無用感を認識し、そこから抜け出し自分の生を価値や意味のあるものとするためのものを探し、成功することで日々の充実を得ています」と付け加えると、受講者はうなずいて聞き入りました。

また「successful aging(成功加齢・幸福な老い)」という言葉を紹介。これは老年期におけるより良い適応状態を示す言葉とのこと。幸福な老いを測定し、数量化する指標”PGCモラール尺度”では元気で活動性の高い人、つまり身体的に健康だと主観的幸福感が高いとされているのに対し、「社会的健康がより重視されている」という説も増えているのだそうです。この”社会的健康”には(1)社会とのつながりがある、(2)(社会)参加している、(3)仲間がいる、(4)絆がある、(5)ソーシャルサポートがある・・・などの要因があるとのこと。そして身体的健康が低くても社会的健康が維持されている方が、身体的健康は維持されているものの、社会的健康が低い方より、「満足している」と感じている人の割合が約4倍多いと回答している研究データが示されると、受講者は社会とのつながりや参加、社会的支援の大切さを再確認していました。

(つづく)

高齢者の心理学びました(支援相談員部会:その3)

感覚機能の加齢変化と適応について、「要介護状態になる以前から高齢者の心理に影響を及ぼす加齢変化は始まっています」と話始めた田代先生。しかし「それに補償・適応しているために、結果として以前と変わらない生活を送っています。それが”サイン”とは違う”心理”。高齢者の心理を理解するためには、まずこのことを理解しなければなりません」と強調しました。

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五感である視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のそれぞれが加齢に伴い衰えていく中で、特に視覚障害の頻度は65歳から79歳で30パーセントから徐々に増え、100歳では100パーセントになることを示しながら、「高齢者の日常生活に関する情報の減少に直結し、転倒や骨折をはじめ、社会的孤立、うつ・認知症などさまざまな問題につながる」と説明しました。

また聴覚障害やその他の感覚障害についても、それぞれの特徴や問題点を述べた上で、「感覚機能の加齢変化、特に視聴覚機能の低下にはわずらわしさと生活への影響が大きく、多くの高齢者は以前の生活の維持を求めて、おそらく無意識に補償し、それぞれに適応していますが、認知機能に問題がある人の場合は、周囲の人が見守りや介護が必要なサインを見落とさないことが大事です」と指摘しました。

 身体機能の加齢変化と適応については、「運動機能の中でも移動・歩行能力が低下すると生活空間が狭まり、外界からの刺激や対人刺激が少なくなり、精神的な活性化の機会が失われやすくなります。対人交流の頻度の減少は高齢者の閉じこもりの主な原因であり、閉じこもりは要介護状態や寝たきりの危険因子の一つとなります」と述べた上で、「杖やシルバーカーを使うことで低下した能力を補償しながら移動することは、『自分で歩きたい』という気持ち以上に、『以前の交流を保ちたい』という願望の表れです」と、高齢者が従来通りの交流や交際などの「活動と参加」を続けることの重要性を説きました。

 また感覚機能や身体機能と同じく、記憶機能についても加齢に伴い衰退するものの、これらは機能的にも心理的にもその低下を最低限にする補償(適応)がはたらくことによって以前と遜色のない日常生活を送ることができるそうですが、「それにも限度がある」とのこと。ただし意識的・無意識的に補償が行うということは、「以前通りの活動や参加を続けたいという意思であり、心理です」との説明を聞いた参加者は、介助する側がそのことを理解することが重要だとうなずきながら聞き入っていました。

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(つづく)

高齢者の心理学びました(支援相談員部会:その2)

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 加齢と老化の違いについて、加齢とは「『年をとる』ことで、受精から死に至るまでの時間の経過をいい、誰もが平等」であることに対し、老化とは「年齢とともに心身の機能が衰えていくことをいい、記憶力の低下、視力や聴力の低下、運動機能の低下などが代表的で、個人差が大きい」と話し始めた田代先生。高齢者心理学の歴史は浅く、1980年頃までは日本でも「加齢に伴う身体・社会的側面の喪失体験と心理的適応が負の関係を持つ」ことについての実証研究が支持されていたそうです。つまり、

(a)高齢になるにしたがって、退職、引退、子供の独立による生活様式の変化などによって社会的役割が変化する

(b)そのため個人の意識や行動も大きく変化し、社会からの孤立、病気や死に対する不安や恐れは加齢とともに増加する

(c)これにより、興味や意識の低下、自己防衛的受動的・衝動的な行動につながる

・・・というのが従来の考え方だったとのこと。

 これに対して近年は、「記憶力の低下は、知的能力の低下を示すものではなく、判断力や思考能力は衰えにくい」と考えられるようになってきたとのことでした。田代先生は「通念打破ing」というスライドを示しながら、「1980年以降の高齢者研究の中で、旧来の『老人は衰え、病んだ厄介な対象であり、できるだけ老いは遠ざけて若返りを狙うべきだ』とする老年学から『老いても生命力と活動力をできるだけ長く保ち、晩年の成長と自己実現の可能性をはかる』新しい老年学へ転換されている」と説明しました。このように高齢者観が変化してきた背景には、社会参加を続ける健康な前期高齢者が増加したことや、老いや病にもかかわらず、補償的に発揮される高齢者の適応力が発見されてきたことなどがあるのだそうです。

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(つづく)

高齢者の心理学びました(支援相談員部会:その1)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会支援相談員研究部会は920日、宮崎市の宮日会館で今年度第1回の研修会を開き、高齢者の心理について学びました。

 この日の研修会には会員老健施設に加え、グループホームや特養関係者など90人が参加しました。開会にあたり、同部会副委員長の清 徳昭さん(むつみ苑)が挨拶に立ちました。

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(清 徳昭副委員長)

 研修会のテーマは「高齢者の心理」。講師に潤和リハビリテーション財団介護老人保健施設ひむか苑の勤務医、田代学先生をお招きしました。

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(田代 学先生)

メンタルヘルスマネジメント?種マスターや、認知症ケア上級専門士、認知症サポート医などの資格を有する田代先生は高齢者心理のスペシャリスト。この日は内容盛りだくさんのスライドを用いて、わかりやすく話をして下さいました。講義は(1)はじめに、(2)高齢者とは、(3)三段階の高齢者観、(4)感覚機能の加齢変化と適応、(5)身体機能の加齢変化と適応、(6)記憶機能の加齢変化と適応、(7)人格の加齢変化と適応、(8)知能の加齢変化と適応、(9)人間関係の加齢変化と適応、(10)幸福感の加齢変化と適応、(11)高齢者の総合的評価・・・という流れで進められました。

(つづく)

食に関するリハ学びました(リハ部会:その5)

【第2部 各施設での成功事例・取り組みの発表(2)

 

〔食事関連の取り組み:菜花園 理学療法士 濱砂好治さん〕

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介助用スプーンに着目して、6種類のスプーンを用いどれが1番よいのか検討を実施した事例の報告がありました。6種類のスプーンはそれぞれ、中華スプーン・ティースプーン(柄に加工があるもの)・ティースプーン(先端が平たく直線)・デザートスプーン・スープ用スプーン(丸型)・中華スプーンを用意。回答方法として、介護スタッフよりそれぞれを使用していただき食事介助がしやすいスプーンの順位を回答していただく。それぞれのスプーンの利点および欠点を記載していただく。介護者側からの意見が主になります。

さて、第1位はスープ用スプーン(丸型タイプ)でした。大きさは適度で深さがあり汁物も飲ませやすい、食べこぼしがほとんどなく主食、副食ともに使いやすいという意見があがりました。ちなみに、第2位はティースプーン(柄に加工があるもの)、第3位はデザートスプーン、第4位は中華スプーン、第5位は中華スプーン、第6位はティースプーン(先端が平たく直線)でした。現場職員のコメントを総合すると適切な介助用スプーンの特徴としては、適度なスプーンの大きさ、適度なスプーンの深さ、適度な柄の長さ、適度な角度、先端の形状、食事形態による考慮が考えられ、様々なスプーンを用意して使用してみることが大切であると思います。

食事環境の検討について、食事姿勢であったり介助方法であったり、食事形態の見直しであったり、食事環境(箸、スプーン、テーブル、椅子など)だったりと多職種協同して原因を探り、総合的にみていくことが最終的には誤嚥性肺炎のなどのリスク軽減につながると考えます。

百聞は一見にしかず、百聞は一行(行動)にしかずということが大事で、一度実行してみないとわからないことがあります。実行して失敗しても前には進んでいるわけなので、いろんなことを皆と実行することが老健では大事なのかなと思います。食事介助とは排泄、整容、入浴、更衣の中では命に係わる介助であるので、根本的にしっかりリスクを見落とさないようにみんなで取り組む部分なのかなと思います。

 

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〔座位バランスと起居動作:グリーンケア学園木花 理学療法士 前田明人さん〕

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どうして座位バランスがとれなくなってしまったのか、何かしらできるものがあるのではないかという観点から話をいただきました。移動するための手段である車椅子はしかたなく食事とかアクティビティーに使用しているわけだから、工夫がいるんです。車椅子の座面はハンモック状になっていますので中央付近に体重がのってきます。1時間ぐらいじっとしているとおしりの真ん中が痛くなります。そもそも座位保持装置としての機能ではないんです。

座位の姿勢崩れの代表的なものは前方への滑りが挙げられます。仙骨座りです。また、それと同時に側方への傾斜が加わった方がたくさんいます。だいたい右利きの方は右に崩れます。崩れた状態からまっすぐ元に戻ろうとしたとき、どこのどの筋肉がどのように活動して戻れるのか?を考えた場合、非常にわかりやすかったのが、起居動作で主に関与する筋群がすべてです。抗重力的かつ高出力で使用される筋群、、、、つまり、腹直筋、内外腹斜筋、腹横筋、腸腰筋、上肢伸筋群などです。

では、起居動作はどういう動作でしょうか。寝返りから頭を起こし重心を前方にもってきて、肘を付き体重を乗せ、身体を起こして肘から手を伸ばし端座位になる。これら一連の動作のどこができてどこができないのか注意深く分析をしていかないと、座位の崩れを作ってしまうことになります。

頭を上げる所(head up)から肘に体重を乗せる為身体を前方に落とす(on elbow)ことができないかたが多い。セラピストはここにアプローチすることが必要で、一連の動作のどこができてできないかを注意深くみて介助することが大事。起き上がり動作一部介助と聞いたらたぶんここだろうなと思って、手伝いあとは様子をみるとできると思います。

起き上がり動作は、ずいぶん昔の話ですが、廃用症候群が一番の確立で起こるのはどこかと調べた結果、第一位は老人保健施設だったそうです。病院では手厚くリハビリされよかったのか、老健施設ではレベルが落ちる方が多かったそうです。特別養護老人ホームではレベルが落ちる所まで落ちて入所されるので落ちないそうです。老健で機能を落としてしまう。

どうして落とすのか考えると、例えば起居動作が自立されていた方がいるとします。しかし時間がかかる。当然高齢者ですからそういう方が多いです。だから介護者は時間的制約から手伝いますよと言って手伝います。そうすると、ご利用者はありがとうと声をかけてくれます。介護者はいい事をしたと勘違いしますが、これがえらいことになります。

その方のたくさんの筋群を使う場面を奪ってしまう。いわゆる過介護になり、これを続けていくと全介助になってきます。つまり、一生懸命に頑張って動作している方が大変そうだと手伝うとすぐ全介助になり、全介助が続くと座位保持する為の筋力が奪われてくることになります。その結果いろんな工夫がかえって必要になってきます。そういう状態を作ってしまうので、起居動作の自立の方、一部介助の方もどこをどのように介助するのか分らないとなれば、すぐ全介助になりますし、どう介助すればいいのか分らない一部介助はほとんど全介助ですから、そうならないように起居動作介助のリスクをわかって下さい。

また、ベッド上での寝返るスペースを確保する、on elbow-ができるように柵をとってみるなど試して下さい。10名中6-7名はスッとできるようになると思います。

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(おわり)

食に関するリハ学びました(リハ部会:その4)

【第2部 各施設での成功事例・取り組みの発表(1)

〔食事姿勢の成功事例:ひむか苑 理学療法士 菅原展寿さん〕

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車椅子をみていくポイントとしては4つあるかと思いますが、○バックサポートの角度○座面の高さ、幅、奥行き○アームサポートの高さ○フットサポートの位置になります。今回はアームサポートの高さを調節したことで座位姿勢が安定した事例を報告したいと思います。アームサポートの高さを合わせるとは、肩が上がらず、肘が直角にきちんとアームサポートにつく高さに調節することが基本となります。

今回の事例では脳梗塞により、左側片麻痺を呈した方。ADL能力として移動は車椅子レベルで入浴以外はほぼ自立レベル。(車椅子駆動は右側上肢を使用し移動に夢中になると体幹の左側への偏移がみられている。)

この方に対してアームサポートの高さを3cm高くしたところ(今回の事例では座クッションを抜いて結果3cm高くなる)車椅子駆動時や食事時に姿勢崩れが改善された。

アームサポートの高さを調整することで体幹が預けられ筋力低下を補ってくれたのではないかと判断。基本は基本で抑えないといけないが、座位の高さを調整することなど本来であれば基本から逸脱したやり方だが視線を変えると結果も変わってくるのではないかという事。柔軟な目線や考え方が重要ですよ。

 

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〔食事姿勢の基本とケアの統一:こんにちわセンター 理学療法士 中村豪志さん〕

 

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介護現場での声として、ケアの統一が難しい・初めはできていても、いつの間にかされていない、などあがってきます。なぜケアの統一は難しいのか考えてみると、介護現場では食事だけでなく、排泄、入浴、事故など多くを対応しないといけなく、あまりにも多くのことを実行しないといけない。ケア統一のコツとしては、誰がやってもできる事、シンプルで長続きできる事、お金がかからない事が考えられます。充実したケアをするためには、ちょっとしたひと手間をかける事を惜しまない。例えば車椅子フットレストから足を下ろす。ちょっと姿勢が崩れている方を直す。洋服がみだれているのを直すなど手間をかけるのを惜しまない。それを持続する意義を理解し、専門家として責任を持つ。つまり意味を理解しないままだと長続きしないので、なぜそれが大事なことなのか、将来的にどうつながっていくのか理解してプロとして実行して行く事が大事であると思います。

ケアの統一をしていく為には段階があると考えます。第1段階としては、簡単かつ安価で多くの方に適応できる方法を考える。第2段階として関係職員にその方法の意義を理解してもらう。第3段階として常に実施できるような統一方法を考える。これら全段階を経てケアの統一が長続きすると考えます。

以上を踏まえ、食事に関して当施設で取り組んでいる例を挙げてみます。食事の適切な姿勢として足底が床や台に設置している事。座面に対して体幹がほぼ垂直である事。頚部が軽度前屈できる事を理解し、車椅子での姿勢を考えますが、ニトリで購入したクッションを背あてとして、固めを使用し、できるだけメーカーや種類を統一します。漫画週刊誌などを布テープで巻き簡易足乗せ台とします。利用者に合わせて、いろんな高さの台を作ることができ、コストも安く、資源を有効に利用できます。意義を理解し継続する為に食事ケア統一シートを作成し、視覚で確認できるように個別の写真を撮影し注意点を掲示し、食事前にテーブルに配布して全職員が統一できるようにしています。

大切なこととして、当たり前のことを、手抜きせずにやり通すこと、専門家として責任を持つことが大事であると考えています。

(つづく)

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