【分科会スナップ掲載します(6)】
研究発表のスナップ写真、最後は第7分科会(介護分野)です。
(つづく)
【分科会スナップ掲載します(6)】
研究発表のスナップ写真、最後は第7分科会(介護分野)です。
(つづく)
【分科会スナップ掲載します(5)】
本日は6分科会(栄養・給食分野)のスナップ写真をアップします。
(つづく)
【分科会スナップ掲載します(4)】
本日は5分科会(全般)のスナップ写真をアップします。
【分科会スナップ掲載します(3)】
本日は4分科会(支援相談・在宅支援分野)のスナップ写真をアップします。
【分科会スナップ掲載します(2)】
本日は第3分科会(介護分野)のスナップ写真をアップします。
(つづく)
【分科会スナップ掲載します(1)】
(公社)宮崎県老人保健施設協会が4月19日、宮崎市のサンホテルフェニックスで開いた第11回の研究大会。特別講演に続いて研究発表(分科会)がありました。7つの分科会で合計34題の発表が行われました。
いずれの発表も、日々の業務に当たる中で利用者によりよいケアを提供しようと工夫や研究を重ね、新たな発見や業務の改善、そして利用者のADLやQOLの向上がみられたことなどがまとめられたすばらしい内容。会場から人があふれるほどの熱気に包まれた分科会もあるなど、演者と司会、そして参加者が一体となった研究発表となりました。
これらの分科会の中から、いくつかの会場のスナップ写真をアップしていきます。本日は第1分科会(看護・介護分野)です。
【本間達也先生特別講演(15)】
また、「法は不可能を要求せず」と言います。するべきことをきちんとしていて、それでも不幸にして事故などの結果が発生した場合は、法的責任は発生しません。この法的責任の視点からも、(1)リスクに対する感度を高める、(2)マニュアルの作成、カンファレンスや申し送りの徹底、記録化などにより情報を共有する、(3)インフォームドコンセント、(4)これらに関する職員の教育・訓練・・・などするべきことをきちんとする、すなわち基本に忠実であることが大切です。
「過失の最小化」というスライドを示しています。以上のような対策や対応をとっていれば、多くの場合は責任が否定されるはずです。それでも裁判は個別具体的な判断であり、死亡事故が起きた場合、責任が肯定される場合もありますが、このような対策や対応をとっていれば、責任は最小限に評価されるはずです。つまり「結果の発生イコール法的責任の発生」ではない、ということです。
最後になりますが、理不尽な訴えにどのように対応すればよいか、ということですが、まずはそれが理不尽な訴えかどうかを冷静かつ客観的に評価して下さい。そして理不尽な訴えであれば、説明を十分にし、毅然とした対応をすればいいわけです。つまり本日説明した対策をとっていれば恐れることはないのですが、ただし職制上、下位にある職員に任せきりにするのではなく、必ず管理監督者クラスが責任をもって対応して下さい。
このようにして「小さいことを大きく騒いで、結果として小さく納める」というトレーニングを常々施設でやれるかどうかがポイントです。小さい「ヒヤリ」を黙っていると、事が大きくなっても鈍感になってしまいます。要はリスクに対する感度を組織一丸となって高める訓練を日常的に実践することです。
「知識より意識」が大事です。健全な組織風土を常につくろうと組織全体として取り組もうとしているのかどうかが大事なことであり、何度も言いますがスタッフ全員でリスク感度を高めるトレーニングをすることが大切です。
今後最大のリスクになってくるのは人材だと思います。人材のことを各施設がどう考えていくか一番のリスクマネジメントになるのではないかと思います。長時間私の話を聞いていただいてありがとうございました。
(講演おわり)
【本間達也先生特別講演(14)】
最後に医療・介護訴訟などの視点からの危機管理について、お話します。
まず、苦情や要望についての姿勢ですが、苦情対応の大原則は「迅速、傾聴、組織全体で対応」です。一人が苦情を口に出して言うとき、同じ思いを持っている人はその何倍もいるということを忘れないで下さい。そして苦情は業務改善のよい契機と考える姿勢が大切です。
苦情が紛争に発展する要因には、「施設側の要因」と、「利用者・家族側の要因」があります。
まず「施設側の要因」には、次の9つがあります。
(1)職員のコミュニケーション3M:『見捨てる・無視する・見下す』
(2)説明不足・わかりにくい説明
(3)利用者・家族の不安不満を放置(相談・苦情の放置など)
(4)利用者心理の理解不足
(5)言動の不一致や不適切な言動
(6)職員間の連携不足
(7)職員の人格や個人的な状況(業務多忙)
(8)管理者への報告遅延
(9)管理者の事案に対する未介入
次に「利用者・家族側の要因」には以下の4つがあります。
(?)施設への不信・信頼欠如(事故前の不満、事故そのものへの憤り、事故後の対応に対する怒り)
(?)期待値のずれ(施設に対する過度に高い要求水準)
(?)人格の問題
(?)事故後に生じる家庭問題(経済的負担、その他人間関係等の問題)
これらを踏まえ、先ほども述べた通り、物事の本質がどこにあるかをしっかり見抜くことが大事です。一人で考えるのではなく、皆で話し合って方針を出していって下さい。
問題解決の基本ですが、「問題の優先順位を的確に判断する」、「キャンペーンをいろいろ打って意識を上げる」、「ひやりはっと事故報告書を積極的に出す習慣を」、「それらの的確な分析→改善につなげること」、「問題点の共有」、「情報開示」、「迅速な対応とその報告」などがありますが、特に情報開示に関しては隠さないことがとりわけ重要です。
【本間達也先生特別講演(13)】
今までなぜ入所率97パーセントができなかったかということですが、80パーセント台に落ちたときに、「幻の150名待機者」という話がありました。「これだけベッド稼働率が落ちてきたらまずいじゃないか」と言うと、相談員が「いや、150名の待機者がいるから大丈夫です」と答えました。この「150名」という数字は皆信用していたのですが、「これはおかしい、本当に150名いるのか」と分析してみたところ、なんとゼロだったんです。要するに死亡したり、介護付き有料老人ホームに流れていたり、よその老健や特養に行ってキャンセルになっているなどしてゼロだったわけです。
それからもうひとつ、相談員が一生懸命在宅強化型施設にするため復帰率を60パーセントに上げようとして、新しい人を入れる一方で、現場からは「女部屋に男を入れるのか、食堂に置いておくのか」と言われました。「これは現場と支援相談員が対立している。これではうまくいかない」と思いました。そこで去年の8月から相談員と現場スタッフが毎日5時半から5時45分の15分間、利用者や入所待機者の状況などについて話し合いを行いました。その中で、移室があると現場で一方的に移室を決めてしまい、予定していた入所を遅らせることもしばしばあったということがわかってきました。そして「ベッド調整は支援相談員がやるものだ」と思っていたのを改め、現在は現場職員でも移室することによって調整しなければならない入所待機者のことも事前に考えるようになり、ひとりひとりが入所率を意識するようになりました。現場の意見を取り入れることで、今までになくベッド調整に幅が出てきて、その結果、入所率も回復してきています。
在宅復帰推進の課題ですが、「職員の負担が増えるのではないか」とよく言われます。しかし適切な情報収集と適切なケアができれば、法人や施設全体の雰囲気も変わり、「治して帰すんだ」と介護職員のモチベーションも向上して、更なる在宅復帰率アップにつながります。老健職員はプロの集団です。それぞれの専門性を活かし、他職種でチームアプローチを生むことが大事です。
たしかに在宅復帰率は急に上がりませんし、簡単に在宅強化型施設にはなれません。しかしどういうものなにか、一応やってみることです。取り組んでいくことで、家族との関係もフィフティーフィフティーになってきました。それまでは「預けます、お任せします」だったのが、「うちも頑張るけど、おたくも頑張ってね。困った時は応援します」という家族が増えてきました。とにかくあきらめずにやってみることです。地域包括ケアの拠点として、老健での在宅復帰は総力戦です。
【本間達也先生特別講演(12)】
次に在宅復帰の話をさせていただきたいと思います。わたしのところの施設は9年前まで在宅復帰率が2パーセントでした。当時は「在宅復帰なんて絶対できない、受け皿がなくなってしまう」と思っていました。しかし9年経ち、去年の制度改正があってから現在、在宅復帰率は60パーセント以上です。ベッド回転率は97パーセントをキープしています。
実は在宅強化型施設になってから入所率が85.8パーセントに落ちて、これはもう法人全体としてやめようか、と思いました。要介護5の人ばかり入れて満床にしようか、などとも考えましたが、ちょうどその頃、楽天ゴールデンイーグルスが優勝する寸前で、職員もモチベーションが上がっていました。「どこが悪いのか」と話し合って取り組んでいきました。今日はそのエキスだけですが話そうと思います。
「在宅復帰」という言葉は、老健と利用者および家族では意味が違うのではないかと思います。老健側は「リハビリをして家に帰りましょう」とよく言います。これは当然だと思いますが、本当は家族は在宅復帰できない、させたくない、元気になって家に帰ってきても不安なだけで、施設に長くいてほしいという人が圧倒的なのではないかと思います。利用者もやはり「家に帰りたい」と言う人もいますが、「安定してここ(老健)で過ごしたい」という人もいるのではないでしょうか。この矛盾と現実をどう変えていくか、単に在宅復帰させて、それで数字を上げればよいという問題ではないと思います。いかに在宅に老健の機能、つまり専門家の手と目を届けることができるか、という課題取り組んでいる老健は、在宅復帰率高いと言えます。つまり、安心して在宅復帰ができる支援が老健の使命です。
平成24年4月に介護報酬が改定された時入所率が97パーセント、6月に在宅強化型施設を達成したとき94パーセントでした。しかし同年10月に88.3パーセント、昨年7月にはさきほど述べた通り、過去最低の85.8パーセントに落ちました。「何が在宅復帰だ、何が在宅強化型施設だ」と思いました。それだけ回転が早いので、職員はみんな忙しいし、私も入所している利用者とその家族を間違えて診察しそうになったこともあるくらいの目まぐるしさでした。
うちの事務局長は銀行から来ているのですが、その時「先生達の業界は甘くてだめですよ。我々は例えば一ヶ月に預金獲得を100件という目標を立てて回ると、三日ごとに軌道修正するんですよ。それを一週間ごとにやっていてもだめですよ」と言われ、銀行で使っている預金獲得率のグラフと同じようなものを作り、みんなでそれに従って入所率の最低目標ラインを97パーセントに置きながら在宅復帰率を高めようと取り組みました。なぜ97パーセントかとういと、95パーセントにしておくと急変などによりすぐ下がってしまい、80パーセント台まで落ちてしまうからです。そこで97パーセントにしておくと相談員も現場も安心しながらやっていけるわけです。毎日の目標を立てて、目標との誤差を把握することが大切で、それにより今は入所率が回復し、98パーセントや97パーセントということが多いです。ただし、月の半ばに中抜けしますから、月の初めの段階で数値を高く上げておくように努力しています。
(つづく)