協会活動報告

褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その3)

 古賀総合病院皮膚科部長の津守伸一郎先生による研修会は、「1.褥瘡(床ずれ)とは?・・・床ずれに対する基礎知識」、「2.創傷治癒に対する理解・・・キズはどうやって治るのか」、そして「3.褥瘡治療の実際・・・実際行っている処置法(ラップ療法を含めて)、病院と在宅・施設での処置法の違い」という流れで進められました。

 

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【1.褥瘡・床ずれとは?】

 褥瘡(床ずれ)とは、「皮膚・軟部組織の圧迫、ずれによる虚血性壊死であり、身体の一部分(特に骨が出ている部分)が長い時間圧迫されることによりその場所の血流が悪くなり、組織が死んだ状態となってしまう病気」。この長時間持続する圧力とずれが加わると、皮膚表面よりも深部の筋肉や脂肪が虚血になりやすく、壊死になりポケットを形成するため、「褥瘡は中の方から、骨の周りから起こって来ると考えて下さい」と写真やイラストによる説明がありました。

 危険要因保有度による分類として、「起因性褥瘡(危険因子保有者)」、「偶発性褥瘡(危険因子を持たない人)」、「脊損患者の褥瘡(特殊例として分類)」3つ。これに続き、圧迫の時間と壊死との関係について、”200mHgの圧迫が2時間加わると壊死が生じる”ことを、時間軸と圧力軸との関係で示すグラフを用いて説明しながら、「たった一晩、数時間でも悪化し、せっかく治ってきても、それまでの苦労が水の泡になります。ですから体位交換と体圧分散マットレスが大事になってきます」と指摘。

 褥瘡は仙骨部をはじめ、踵骨部、肩胛骨部、大転子部など、骨の突出部位におこりやすいことをおさらいしつつ、「褥瘡の全身的な要因」として、次の4項目を挙げました。

 

(1)  
食事を十分にとれない状態が続き、栄養状態が悪い

(2)  
持病(糖尿病、貧血、心不全、末期がん)がある

(3)  
やせている(皮下脂肪が減少し、骨が出ている)

(4)  
抗がん剤、ステロイド剤(内服、注射)などの薬剤を使用している

 

 特に高齢者の皮膚は、高齢化に伴い、脂腺や汗腺の機能が低下し、乾燥が進むため、皮膚の大切な機能であるバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなるため、「適切なスキンケアが必要です」と強調すると、参加者はメモを取るなどして聞き入っていました。

 これに続き、褥瘡の病期(炎症期、壊死・滲出期、肉芽形成・増殖期、上皮形成・成熟期)や色(黒色期、黄色期、赤色期、白色期)による分類、NPUAP分類(深さによる分類)、DESIGN-P(褥瘡の重症度・経過の評価:※)などについて学んでいきました。

 

(※)DESIGN-Pについては日本褥瘡学会のホームページ(http://www.jspu.org/jpn/info/design.html)に詳細が掲載されていますのでご参照下さい。

(つづく)

褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その2)

 研修会の本論に入る前に、「(褥瘡の)局所療法という話をする前にまず強調しておきたいのは、褥瘡をいかにできないようにするか?つまり予防が重要だということです。そしてもし褥瘡ができたとしても、なぜできたかを理解した上で、局所療法をしていく必要があります」と津守先生。褥瘡を治療していく上で、ベッドやマットレス、車いす、そしてクッションのようなハードウエアの整備、さらに看護・介護といったマンパワーによる体位交換、保清、栄養管理などといった「土台」の部分がしっかりしてこそ、局所治療が生きてくることを訴え、「局所療法だけでは褥瘡は治りません」と断言しました。

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 また、「点滴による栄養と、腸から摂取する栄養では筋肉合成に有意な差が生じる」という研究結果を紹介し、「徐圧や保清に加え、栄養管理も大事です。口から食べられる人はどんな点滴にも勝る治療効果があります」と食事が果たす役割の重要性を言い添えました。

 ラップ療法(Wrap Therapy)1996年、医師である鳥矢部俊一先生により考案された褥瘡の治療法で、ラップや紙おむつなどの日用品を用い、慢性期の医療施設や在宅医療の現場を中心に普及しているもの。津守先生は「創傷管理(特に赤色期以降)を浸出液のコントロールと肉芽形成、表皮化を妨げないという目的からみれば理にかなった方法だと思います。また、褥瘡に対するコスト管理からみれば、安価で有用と言えます」と前置きし、「褥瘡の治療にあたっては医療用として認可された創傷被覆材の使用が望ましい。非医療用材料を用いた、いわゆる『ラップ療法』は、医療用として認可された創傷被覆材の継続使用が困難な在宅などの療養環境において使用することを考慮してもよい。ただし、褥瘡の治療について十分な知識と経験を持った医師の責任のもとで、患者・家族に十分な説明をして同意を得たうえで実施すべきである」という日本褥瘡学会理事会の見解を示しました。その上で、「褥瘡の治療は医療行為です。万が一問題が起きたとき、責任の所在は医師にあります。ラップ療法は簡単な療法と誤解され、医師の目の届かないところで行われ、その結果重篤な創感染が見過ごされることがあります。現場の皆さんが『褥瘡とは何か?』をしっかり理解して、もし問題があるようであれば、医師としっかり連携をとっていって下さい」と言い添え、特に感染症の兆候を見逃さないよう注意を喚起しました。

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(つづく)

褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その1)

(公社)宮崎県老人保健施設協会看護・介護研究部会は67日、宮崎市の古賀総合病院で研修会を開きました。会員施設などから126人が参加し、褥瘡(じょくそう)の予防や治療法について学びました。

この研修会は、同部会が昨年度開いた「褥瘡の予防」に関する研修会に続き、今年度はさらにその治療法まで踏み込んで学ぼうと開催したもので、会員老健施設のみならず、特養関係者なども多数参加し、会場は満席になりました。同部会の上村久美子委員長は「褥瘡の予防と治療は、それぞれの施設で取り組んでいかなければならない問題です。今日はしっかり学んでいきましょう」と挨拶しました。

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(↑挨拶する上村委員長)


講師には古賀総合病院皮膚科部長の津守伸一郎先生をお迎えしました。「今日は『褥瘡治療とラップ療法』というタイトルでお話しさせていただきます。私が医者になって26年になりますが、最初の頃と比べると、褥瘡の治療も段々変わってきました。最初はみんなそれぞれの考え方でやってきましたが、現在は体系立てて考えるような時代になり、またチーム医療として連携を取りながら治療するようになってきました。つまり現在は皆さんが仕事をされている在宅や施設などと、私達の病院とがうまく連携をとりながら、一人の患者さんを社会としていかに支えていくか、ということが重要になっている時代になっていると思います」と、在宅および施設と病院とが連携するとともに、それぞれが役割を十分発揮していくことが大事だと話し始めた津守先生。スライドには「褥瘡の予防とケアの地域連携」というタイトルと、その下には患者を取り囲むようにかかりつけ医(主治医)、病院、通所施設、訪問入浴、市町村、ケアマネジャー、栄養士、理学療法士、薬剤師、ホームヘルパー、家族、訪問看護、在宅褥瘡治療医が配置された模式図が示してありました。

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(↑津守先生)

参加者はひと言も聞き逃すまいと、真剣な表情で聴き入っていました。

(つづく)

会員施設情報更新作業中です

当ホームページの「会員施設一覧」における、各会員施設の情報の更新作業を現在行っているところです。

これは、去る419日に開催した第11回(公社)宮崎県老人保健施設協会研究大会の抄録集を作成するに当たり、県内44の会員施設より施設紹介に関する情報を提供いただき、編集・掲載したものを、協会ホームページにも反映させようと作業を進めているものです。

現在の掲載内容をバックアップした上で、新しい情報に書き換える、という手順で行っているわけですが、これがなかなか簡単ではなく、加えてなにぶん素人作業でありますゆえ、もう少々日数を要するものと思われます。

 更新完了後は、改めて当ホームページ上で告知する他、会員施設の皆様にも別途お知らせ申し上げますので、なにとぞご容赦いただき、今しばらくお待ち下さいますようお願い申し上げます。

研修会開きます(ケアプラン部会)

 公益社団法人宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン研究部会は726日(土)の10時から16時まで、宮崎市のJAAZMホール別館301研修室で、包括的自立支援プログラムケアプラン策定研修会を開きます。

 今回の研修会は初任者が対象。ケアプランを策定したことがない方や、自信がない方等を対象に、わかりやすく説明・研修を行う予定です。特に今までに参加されたことがない方は、是非ご参加ください。

 会員施設の方は参加費として一人500円が必要ですが、会員施設以外の方は無料です。受講を希望される方は、別紙参加申込書により、711日(金)までにファックスにてお申込み下さい。

 申込みおよび問い合わせは、介護老人保健施設 並木の里(担当:宮田、Tel 0983-44-6066Fax 0983-44-5109)までお願いします。詳しくはこちらをご覧ください。

研究大会開きました(その29)

 「与えよう地域の未来に老健力! 社会資源としての存在価値をアピールしよう」の大会テーマのもと、県内44の会員施設から389人が集まった第11回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会。特別講演や分科会、そしてレクリエーション研究発表等を通じ、施設や職種を越えた情報の交換や問題意識の共有が行われるなど、交流が深まり、大変有意義な大会となりました。

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 最後に介護老人保健施設ひむか苑の櫛橋弘喜施設長の万歳三唱で、5時間にわたる大会の幕が下りました。

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(おわり)

研究大会開きました(その28)

【レクレーション研究発表(4)

レクレーション研究発表のトリを飾るのは、ことぶき苑のダンスチーム「きゃりーぶにゅぶにゅ(代表:谷内優子さん)」による「Dancd『にんじゃりばんばん』」。

突然暗くなった会場に、静かに響くナレーション。「時は2014年。ひむかの国、本郷北方に6人の忍びたちが舞い降りた。忍びたちは愛と平和を守るため、過酷な試練をいくつも乗り越え、世の中に愛と笑いをもたらした。今ここに披露すべく、忍びたちがやって来る。おのれの殻を打ち破り、咲き乱れし忍びたちよ、今、点火ぁーーー!!」。

ステージに照明が当たると浮かび上がる、「きゃりーぶにゅぶにゅ」の皆さん。一糸乱れぬパワフルでエネルギッシュでファンタジックなダンスに、会場の熱気は最高潮に達しました。写真ではとてもその全てを伝えられないのが大変残念です。

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(つづく)

研究大会開きました(その27)

【レクレーション研究発表(3)

レクレーション研究発表の3番手はひむか苑の戸井 宏さん。小さい頃から歌うことが好きだった戸井さん。中学の頃からギターを弾き始め、弾き語りやバンド演奏などをしていたそうです。

高校卒業後は名古屋を拠点にライブハウスや路上ライブでオリジナル曲やカバー曲を歌い、ローカルテレビ局への出演や自主制作アルバムの販売などを経て、現在はひむか苑で介護職として働きながら、時々は宮崎市内で路上ライブを行っているとのこと。もちろん、ひむか苑でのレクレーションでは、利用者のリクエストに応じてカラオケや弾き語りを行い、大好評を得ているそうです。

この日の曲目は「上を向いて歩こう」、「卒業写真」、そしてオリジナル曲「その先の向こうへ」。場慣れしたそのステージワークに会場は大いに盛り上がりました。

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(つづく)

研究大会開きました(その26)

【レクレーション研究発表(2)

 2番目の発表はことぶき苑の梅津聖子さんによるピアノ演奏と歌。梅津さんは小学校から高校までバレーボールに打ち込んでいましたが、16歳で発病した病気の後遺症で下半身麻痺となり、車いすでの生活となりました。20歳の時知人の紹介で劇団「SPC」に入団し、表現する事の楽しさを知ったそうです。さらに表現の場を求めていた頃、主催・出演者も障害者である「ゴールドコンサート」との出会いをきっかけに作詞・作曲活動を始め、出場した「第2回ゴールドコンサート」で審査員特別賞を受賞されました。

 オリジナル曲は30曲ほどあり、ことぶき苑で事務補助職員として勤務する傍ら、「真北聖子」として県内を中心にイベントやライブ、さらにラジオ番組のパーソナリティーなども精力的にこなされています。16歳で下半身が不自由になったことで「命の大切さ、そしてそれをつなげることの大切さを身をもって体験できました」という梅津聖子さんのステージに、参加者は聴き入りました。

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(つづく)

研究大会開きました(その25)

【レクレーション研究発表(1)

 389人が参加した第11回(公社)宮崎県老人保健施設協会研究大会。分科会に続いてレクリエーション研究発表が行われました。これは各会員施設のスタッフが、利用者や地域住民を対象に、さらには宮崎県内外で幅広く行って好評を得ている活動の内容を紹介するもので、4施設の個人および団体からのエントリーがありました。参加者は各分科会会場から、国際会議場に集合しました。

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(↑司会はみどりの丘の米良恭昌さん(左)とシルバーケア野崎の野間義史さん)

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(↑挨拶に立った迫田耕一朗協会副会長)

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(↑瀧井 修協会副会長の音頭でレク研究発表がスタート)

 

トップバッターはさざんか苑の米良忠浩さんによるチェロ演奏。日頃は看護師として業務に携わる米良さんですが、第2回宮日音楽コンクール弦楽器部門で優秀賞の栄誉に輝いたほどの腕前!!現在は宮崎シティフィルハーモニー管弦楽団にも所属して活躍中です。この日は「アメージング・グレース」、「浜辺の歌」、「星に願いを」など5曲を演奏。会場をうっとりした雰囲気にしました。

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(つづく)

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