雑談

若さが減ると老いる!?

 12日付ブログで、(社)宮崎県老人保健施設協会支援相談部会が研修会を開き、社会福祉法人愛泉会日南病院疾病制御研究所の峰松俊夫所長に講演されたという報告は既にさせていただいたところです。しかし、その中で峰松所長が「若さが減ると老いる」という、あっと驚く、そして非常に興味深いお話をされたので、ここにその実証実験を踏まえながら紹介したいと思います。

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 ↑まず、「若」と書いた紙を準備します。これを減らしていきますよ。

 

DSCN1221.JPG ↑図のように、右側から紙で隠して「若」を減らしていきます。必ず右側からですよ。左や上下からではだめです。すると・・・!?

 

DSCN1222.JPG ↑いかがでしょうか?「老」という字になりました。この説明に、会場全体が愕然!

 本来の「老」の字は、「腰の曲がった老人が、杖をついて立っている姿」からきた象形文字と言われていますが、こっちの説明の方が説得力ある、と考えさせられました。なぜならば、峰松所長はその後のお話で、高齢者は色々な身体機能・能力が「減っていく」ということを、わかりやすく説明してくださったからです。

 「若さが減って老いる」。そのために高齢者は、生活上いろいろと困ることが生じたり、様々なリスクに脅かされたりする・・・。そのことを私たち老健職員は、しっかりと認識して、日々の業務に当たっていかなければならない、と峰松所長のお話を聞いて痛感しました。

 間違っても「○○さん、こんげなこつもできんとね」などといった事は絶対に言ってはいけないのです。「若」と違って「老」は、色々な機能や能力が「減って」いるのです。その中で高齢者は一生懸命努力して、やろうとしてるのです。だけど、できないこともある。それを嘲ったり、罵ったり、蔑んだりするとは老健職員として言語道断!です。「なぜできないか?」を様々な視点から考えて、どうすればできるか、考究し、工夫する。そしてもし介助が必要ならば、その方にとって最も適した介助方法を考え、提供し、家族等の介助者にも指導する。よってもってADLQOLの向上を目指す。それが老健の使命なのではないでしょうか。

 「目からうろこが落ちる」とはこういうときに使うのだろう、と思いました。本当にためになるお話でした。

仲秋の名月

 

IMG_1210.JPG 昨日は十五夜。おやつがお月見団子だった老健も多かったのではないでしょうか。そして夕刻を過ぎると、袋を下げて「じゅうごやで?す」と家々を回る子供達。お菓子を渡す家の人達。あるいは公民館の駐車場にござを敷いてテーブル出して、月見酒を楽しむ人達、十五夜踊りをする人達、一句ひねる人達・・・。いいものです。風流です。

 十五夜に限らず、こういう日本のならわしは、未来永劫受け継がれていって欲しいものです。モノが溢れて、情報が溢れる現代ですが、その一方で、人の心が渇いていってはいないでしょうか。老健の利用者様がまだまだ若い頃、モノも情報も決して豊かとは言えなかった時代、そのぶん人と人とのつながりは強かったのではないか、と思うのです。四季折々の行事を通じて、あるいは農林漁業などにおける協業を通じて、人と人、家と家、地域と地域は強い絆で結ばれていたのではないでしょうか。

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 不便だったゆえに、今よりも心が豊かだったかもしれない、そんな時代を生きてきた人生の先輩方に、その時のことを聞いてみたいな、と思った十五夜様の夜でした。

研修会を開きました(支援相談部会)

  ()宮崎県老人保健施設協会支援相談部会は10日、宮崎市の宮崎観光ホテルで今年度第1回の研修会を開きました。会員施設はもとより、特別養護老人ホームや病院関係者、そして専門学生など92人が受講しました。

 はじめに、「高齢者施設における医療?高齢者の特徴および感染対策?」と題し、社会福祉法人愛泉会日南病院疾病制御研究所の峰松俊夫所長が講演。その中で、「高齢者は特に脚の筋力が落ちやすい。しかし、筋力トレーニングの効果は脚に現れやすく、実験の結果、肘を曲げる筋力が49%増大したのに対し、膝を曲げる筋力は163%も増大した(」と、トレーニングの必要性を訴えられました。

 

 

IMG_0369.JPG その他にも骨粗鬆症をはじめ、循環器、肝腎機能、代謝系、感覚系、神経系、そしてご専門である感染症についてなど、楽しくてためになる話が盛りだくさんでした。

 引き続き、口腔機能維持管理加算について、宮崎市郡東諸県郡歯科医師会地域歯科担当理事である青山歯科医院の青山修院長に講演していただきました。その中で、青山院長はよく噛むこと、口腔乾燥を予防すること(高齢者は20代に比べ、唾液が7分の1に減るのだそうです)などを踏まえ、「温度、湿度、栄養と、口の中は好条件が揃っており、300種類の細菌が住みついており、その数は1mgの歯垢に1億個以上だ」と、口腔ケアの必要性を強調しました。その一方で、実際に口腔機能維持管理に取り組んでいる施設はまだ少ないことを指摘し、加算算定の要件や、課題の把握、目標の設定等の具体的な進め方について説明して下さり、受講者達はメモを取りながら熱心に聴き入っていました。

 

IMG_0381.JPG 同研究部会の今年度の研修会は、来年2月もしくは3月にもう一度開催する予定です。次回も今回同様、楽しく、ためになる内容になるものと、期待が持たれます。

 

IMG_0372.JPG70歳の男女を対象に週3回、11週間の筋力トレーニングを実施した結果だそうです。

秋袷(あきあわせ)

 秋袷(あきあわせ)とは、広辞苑によれば「秋になり、単(ひとえ)では冷える感じがして着る袷(あわせ)」の事を言うそうです。昨日(8日)、そして一昨日(7日)の明け方は、秋袷が欲しくような肌寒さでした。日中の暑さはまだ残っていますが、季節は確実に移り変わっていることを、まさしく「肌で感じる」ようになった今日この頃です(今朝は蒸し暑かったですけどね)。

 この「袷」を更に広辞苑で調べると、「陰暦四月一日から五月四日までと、九月一日から八日まで着る習慣であった」そうです。陰暦の九月一日とは、陽暦の927日に当たりますから、本当に「秋袷」がいるのは、もう少し先なのでしょうか。ちなみに、「春袷」というのは広辞苑には見当たりませんでした・・・。

 いずれにせよ、気温の日較差が大きくなれば、健康を崩しかねません。利用者様の、そして自分自身の体調管理に務めましょう。

雨車軸の如し

  大粒の雨が激しく降るさまを「雨車軸の如し」と例えた記載が、源平盛衰記にあるそうです。書かれたのは鎌倉時代から南北朝時代にかけて、様々な説があるそうですが、いずれにせよ、そんな昔にも、”車軸”のような太く激しい雨があったということでしょう。

 だけど、当時の車軸(当然、自動車なんてありませんでした)と今の車軸が違うように、今の雨の降り方は、昔とは違うと思うのです。台風12号が紀伊半島を中心に極めて甚大な被害をもたらしました(そして今もなお、危険な状態が続いています)。復旧にはかなりの時間を要するものと懸念されます。被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 しかし、これを対岸の火事などと高をくくることはできません(ましてや、対岸の土砂が、川を渡って家屋を飲み込むという、考えもつかないような事も実際に起きてしまっています)。6年前の96日は、台風14号が宮崎県に記録的な大雨を降らせ、多くの家屋が全半壊の被害に遭った日です。交通網も遮断され、犠牲者も出ました。自然災害の脅威をいやというほど思い知らされました。避難所での生活がどれだけ苦痛かということも。だから、96日になると、毎年そのことを思い出さざるを得ませんでした。そんな折りに、今回の災害。胸が痛みます。

 災害は一度来ればもう終わり、という保証はどこにもありません。常日頃から防災への備えを怠ってはいけないと改めて思いました。

今日もまた医務室に直行

  「今日もまた、医務室に直行ということになります」──。

 世界陸上最終日、男子マラソンで、市民ランナーながら代表入りした川内優輝選手(埼玉県庁)。粘りの走りで18位!大健闘です。まさに全力疾走。ゴールした途端にその場にばったり。それを見たアナウンサーが放ったのが冒頭の言葉です。トップでゴールし、堂々の2連覇を果たしたケニアのアベル・キルイ選手が42.195kmを走り終えたとは思えないような軽い身のこなしでダンスを披露していたのもすごいと思いますが、川内選手の魂の走りはあっぱれです。重ね重ねで恐縮ですが、全力を尽くすというのは本当にこういうことを言うのでしょう。

 だけど、この「今日もまた、医務室に直行・・・」というフレーズ、流行語になってしまうと困ります。川内選手が世界陸上代表入りを決めたのは東京マラソン。この時もそうだったのですが、同選手は医務室直行の常連なのだそうです。スーダラ節よろしく、「これじゃ身体にいいわけないよ、わかっちゃいるけどやめられない」ではいかがなものかと思います。ましてや、時あたかも未曾有のマラソンブーム。美容と健康のために走る人も多いのでしょうが、ゴールする人が次から次にバタバタと倒れては元も子もありません。

 老健におけるリハビリ、特に運動療法も然り。頑張りすぎは本末転倒の結果になりかねません。こだわり、頑張り過ぎる故に、望ましからぬ結果に陥ることを「こだわり症候群」とも言います。老健で「今日もまた、医務室に直行」という事態は絶対に避けなければなりません。適正な内容、頻度を心がけたいものです。

 

 市民ランナーの星、川内選手の話題が先行した男子マラソンでしたが、ご当地、旭化成の堀端宏行選手の堂々7位入賞を忘れてはいけません。恵まれた身体を活かした粘りの走りで追い上げ、日本人最高の見事な結果です。そしてまだまだ発展途上とのことですから、今後に更なる期待が持たれます。ロンドンオリンピックの代表入り、そしてメダル獲得、是非是非目指してほしいと思います。

千兵は得やすく、一将は求めがたし

  多くの軍平はたやすく得られるが、それを統率する良将はなかなか得がたいという意味です(『通俗篇』(武功))。共同通信社が923両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、発足したばかりの内閣の支持率が62.8%に上がったそうです。今、日本はかつてない困難に直面しています。それゆえに、国民が新内閣、そして新リーダーに寄せる期待も大きいのだと思います。

 ただし、リーダーが誰になろうとも、今は国民総力戦でこの試練を乗り越えなければならない時。今自分にできることは何か?常に自問自答しながら行動したいと思います。

欣喜雀躍(きんきじゃくやく)

  喜び、嬉しさのあまり、小躍りして飛び跳ねること。またその動作の様子を欣喜雀躍(きんきじゃくやく)と言います。世界陸上男子ハンマー投げで見事金メダルの栄誉に輝いた室伏浩二選手。オリンピックと世界陸上の両方で一位というのは、日本人では初めての快挙だそうです。

 ちょうどその瞬間を、テレビで見ていました。最後の投てきを待たずに優勝が決定した瞬間、見ている私は欣喜雀躍!ても、そこで欣喜雀躍せずに、しっかり80メートルオーバーを投げて締めくくった室伏選手の集中力、そして精神力、素晴らしいと思いました。また、その後、ともに競い合った他選手と健闘をたたえ合う姿も清々しかったです。最高の練習と、最高の調整をしてきた者同士が、最高の舞台で最高水準の競技を繰り広げたからこそ分かち合えるものがあるのだ、と少しうらやましくなりました。

 それにしても、他の種目や、他のスポーツならピークを過ぎていてもおかしくない36歳という年齢での優勝。ハンマー投げが決して怪力に頼ったものではないということを、高度な投てき技術をもって証明してくれました。他の選手と比べても、段違いに美しいフォームに見とれてしまいました。それにあの研ぎ澄まされた集中力が加わったわけですから、5投目くらいで既に解説者が「これはもう室伏は優勝ですよ!」と言っていたのも納得です。

以前のようながむしゃらな練習はせず、量より質を重視したトレーニングをしているのだとのこと。中でもユニークなのが、「赤ちゃんの動き」を取り入れた練習。テレビでも少し映っていましたが、ひょっとすると、新たな練習法として、他の競技にも広まるかもしれませんね。それどころか、その理論が「筋肉が発達していない赤ちゃんが、転ばずに、バランスがとれているから」という根拠に基づいているじゃあありませんか!これって、「筋力が低下した高齢者が、転ばない方法」に結びつきはしないでしょうか!?そうだとすれば、老健のリハビリに是非是非取り入れたい!と思った次第です。室伏選手が自らの身体を実験台にして取り組み、そして結果を出したわけですから、これほど説得力のあるものはありません。競技終了後、室伏選手と喜びの抱擁を交わしていたのは理学療法士のロバート・オオハシさん。老健の理学療法士のみなさん、室伏選手の「赤ちゃん体操(?)」いかがでしょうか?

ひとりよりみんなで

   アメリカの実業家、カーネギーは「人間はすぐれた仕事をするには、自分ひとりでやるよりも、他人のたすけをかりるほうがよいのだと悟ったとき、その人は偉大なる成長を遂げる」と言ったそうです。老健に勤める者にとっても、この考えは大事です。他職種によるチームプレイで、利用者様を多角的、総合的にケアしていかなくては老健の真の機能は発揮されませんし、ADL、そしてQOLの向上は望めません。

 他者の能力を認め、仲間を信じて仕事を任せる、という意味において、それを体現していた人物というと、アメリカの伝説的バスケットボール選手、マイケルジョーダンを思い浮かべます。空中を歩いているかと錯覚するような滞空時間の長いジャンプ力、それをいかしたフリースローラインからのダンクシュート、シュートを放った直後に試合終了のブザーが鳴るという絶体絶命の中での冷静かつ正確な逆転シュート(いわゆるブザービートですね)・・・。彼自身のすごさを語れば枚挙にいとまがありませんが、そんな中でも、とりわけすごいと思うのは”ノールックパス”。激しい動きの中で相手選手を引きつけるだけ引きつけておいて、あさっての方向を見ながらおとといの方向に矢のようなパス。あっけにとられる相手選手の間を抜けたパスは、待ち構えるフリーの味方選手(スコッティーピッペンとか)の手に渡り、楽々とシュート。「ジョーダン様よ、あなたの目は魚眼レンズですか?」と問いたくなります。しかし、彼は、仲間を信じ、仲間がそこにいることを心の目で見て、自分がおとりになりながら仲間にボールを渡し、シュートを託すのでしょう。自分ひとりでやるのではない。仲間のたすけを借りて、仲間と共に勝利し、仲間と喜びを分かち合う。すばらしい仕事ぶりです。

 マイケルジョーダンを見習いましょう!と言っても、相手の顔も見ない、言葉も交わさない、というのは真似するところじゃないですね。それができるのは、よほどの神業の持ち主か、はたまた職務怠慢かのどちらかでしょう。しっかり相手を見て、言葉のパスで情報を伝達しあって、「ほうれんそう」を徹底して、仲間を信頼し、チームプレイで仕事をしていきたいものですね。 

フライングX

  中年のロックファンなら「フライング・・・」と言えば「V(ヴィ)」!」と答えたはずです。そうです。エレキギターのフライングVです。特徴はなんといってもその見た目。ボディがVの字になっていて、いかにも攻撃的で斬新でした。ただし、演奏しやすいか、というと、必ずしもそうではなかったのですが。

 このかっこいいフライングVを、多くの日本人が初めて見たのは、たぶんアメリカの伝説的(?)人気ロックバンドKISSのヴォーカル、ポール・スタンレイのそれではないでしょうか。歌舞伎のようななメイクとゴジラのような出で立ち(特にジーン・シモンズ)20センチはあろうかと思われるブーツ。血を吐く、火を噴く、ギターを燃やす壊す、と日本人の度肝を抜いたステージに、当時のロックファンはとりこになったものですが、その時にポールが弾いていたのがフライングVだったのです。ストラップを伸ばし、ギターを下げてかき鳴らすそのスタイルも相まって、それまでのレスポール、ストラトキャスターというエレキギターの両横綱の間にどどーんと割って入ってきました。ただし、実際に買って、弾いていた人はそこまで多くなかったようですが・・・。

 一方、陸上競技では、「フライング」はダメなのです。一発失格をくらうわけです。以前は1回目は許され、2回目だと、アウト(1回目フライングじゃない人でも)だったのですが、1回目にわざとフライングして他選手を動揺させる人もいるからとのことで、一発勝負となったようです。

 日曜日の世界陸上。世界中が世界新を期待し、注目した100メートル男子決勝でのボルト選手。なんとなんと、そのフライングをしてしまいましたね。これこそ「千慮の一失」とでも言うのでしょうか。もちろん、失格。ユニフォームを脱いで悔しがるボルト選手の姿が、にわかに現実のものとして受け止めることができませんでした。

 そんなわけでかつては、「フライング」とくれば「V」。victoryにもつながらうVだったのですが、今や、フライングは「V」じゃなくて「X」。エックスですが、バツにもつながるX。つまり、「フライングX」になってしまいました。何とも残念です。一番がっかりしているのは当の本人だと思います。立ち直るのには時間がかかるかもしれませんが、失格からの復権は、リハビリテーションの哲学とも相通ずるものがあります。世界は待っています。ロンドンオリンピックでの復活を。あの超人的な走りで、そして記憶と記録に残る走りで、私たちを再び魅了してほしいと願います。

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