雑談

備えあっても憂いあり。

 「防災」から「減災」へ。東日本大震災を契機に、災害に対する向き合い方が変わろうとしています。昨日も台風15号が、宮崎だけでなく、日本列島の広きに渡って猛威を振るいました。土砂災害や河川の氾濫、そして首都圏では交通機関が麻痺し、いわゆる「帰宅難民」が長蛇の列をなしていました。

 西暦2011年。これほどまでに天変地異の恐ろしさをまざまざと見せつけられたことがかつてあったでしょうか。日本中どこにいても、「絶対に安全!」という地はないのだと思い知らされました。

 同じように「備えあれば憂いなし」ということは決してないのだと、考えずにはおれませんでした。「備えはバッチリだから、これで心配ない」と思う油断があれば、その中にこそ危険が潜んでいるのだ、と。今までの自分を振り返り、反省すべき点が多いことに気づかされました。

 「備えがあっても憂いはある」と気持ちを引き締め、万が一の際でも、最小限の被害に食い止められるようにすること。それが「減災」につながるのではないだろうか、と思いました。

台風15号上陸の恐れ

  台風15号は非常に強くなり、今日にも本州に上陸の恐れが出てきました。宮崎県内各地でも既に少なからぬ被害が発生しています。本県直撃の恐れはないようですが、今までの大雨の影響がこれから出ないとも限りません。通所サービスや訪問サービスに携わられる方々はもとより、通勤、帰宅の際にも十分お気をつけ下さい。

台風15号接近中!

  台風15号はこれから宮崎県に最接近するものと予測されています。既に県南部の一部が強風域に入っており、激しい雨も降っています。県内各地に各種警報・注意報が発令されています。情報を迅速・正確に入手して早めの備えに努めましょう。以下のリンクもご参照下さい。

 

気象庁台風情報 

 

国土交通省 川の防災情報

 

宮崎河川国道事務所 

MRT宮崎放送警報・注意報

人生百年!

 今日は敬老の日。一昔、いや二昔前の敬老の日(915日でしたね)は、各地区の公民館で敬老のお祝いがあったものです。数人のお年寄りを高座に上げ、子どもから中年までの住民が総出でお祝いしたものです。ごちそうを囲みながら、子どもは学校で習った歌を歌ったり、踊りを踊ったりしてやんやの喝采を受け、お菓子ももらって上機嫌。大人は酒盛りで賑わって、「長生きするっていいなあ」と子供心に思ったものでした。

 時代は平成に代わり、日本は世界一の長寿国家になりました。913日付けの日本経済新聞に、「人生100年時代を生きる」という記事が掲載されていました。これによると、日本では100歳以上の長寿者が急増しているとのこと。1963年に153人だったの対し、2010年には44,449人に増加しているそうです。厚生労働省の予測では、2050年には68万人を超えると予測されており、これは87年で4,444倍の増加ということになります。

 上智大学教授の鬼頭宏さんのコメントが印象的です。「日本人は、今や生物として別の種類になった」と。人間の平均寿命は縄文時代15歳、江戸時代前期でも20代後半だったのだそうですから、必死で川を遡上し、産卵の後に寿命を全うする魚のように、当時は「種の保存」のために持てる命のすべてを注ぎ込んでいたのでしょうか?

 時代は変わって現代。「長生きするっていいなあ」と思っていたあの頃に思い描いていた未来に、今はなっているのだろうか?と、思っても、答えは出てきません。だけど、老健に勤める者の一人として、高齢者が生き生きと、まさしく「生きがい」を持って過ごせる社会になるよう、やるべきことは本当にたくさんあると思います。そして、それを実践していくことが、将来の自分のためでもある、とも。

 敬老の日が915日から、第3月曜日に変わりましたが、人生の大先輩を尊び、敬う心を持ち続けること、そして、日々の業務の中で、あるいは日常生活の中で、その心を忘れないために、今日という一日を大切に過ごしたいと思います。

若さが減ると老いる!?

 12日付ブログで、(社)宮崎県老人保健施設協会支援相談部会が研修会を開き、社会福祉法人愛泉会日南病院疾病制御研究所の峰松俊夫所長に講演されたという報告は既にさせていただいたところです。しかし、その中で峰松所長が「若さが減ると老いる」という、あっと驚く、そして非常に興味深いお話をされたので、ここにその実証実験を踏まえながら紹介したいと思います。

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 ↑まず、「若」と書いた紙を準備します。これを減らしていきますよ。

 

DSCN1221.JPG ↑図のように、右側から紙で隠して「若」を減らしていきます。必ず右側からですよ。左や上下からではだめです。すると・・・!?

 

DSCN1222.JPG ↑いかがでしょうか?「老」という字になりました。この説明に、会場全体が愕然!

 本来の「老」の字は、「腰の曲がった老人が、杖をついて立っている姿」からきた象形文字と言われていますが、こっちの説明の方が説得力ある、と考えさせられました。なぜならば、峰松所長はその後のお話で、高齢者は色々な身体機能・能力が「減っていく」ということを、わかりやすく説明してくださったからです。

 「若さが減って老いる」。そのために高齢者は、生活上いろいろと困ることが生じたり、様々なリスクに脅かされたりする・・・。そのことを私たち老健職員は、しっかりと認識して、日々の業務に当たっていかなければならない、と峰松所長のお話を聞いて痛感しました。

 間違っても「○○さん、こんげなこつもできんとね」などといった事は絶対に言ってはいけないのです。「若」と違って「老」は、色々な機能や能力が「減って」いるのです。その中で高齢者は一生懸命努力して、やろうとしてるのです。だけど、できないこともある。それを嘲ったり、罵ったり、蔑んだりするとは老健職員として言語道断!です。「なぜできないか?」を様々な視点から考えて、どうすればできるか、考究し、工夫する。そしてもし介助が必要ならば、その方にとって最も適した介助方法を考え、提供し、家族等の介助者にも指導する。よってもってADLQOLの向上を目指す。それが老健の使命なのではないでしょうか。

 「目からうろこが落ちる」とはこういうときに使うのだろう、と思いました。本当にためになるお話でした。

仲秋の名月

 

IMG_1210.JPG 昨日は十五夜。おやつがお月見団子だった老健も多かったのではないでしょうか。そして夕刻を過ぎると、袋を下げて「じゅうごやで?す」と家々を回る子供達。お菓子を渡す家の人達。あるいは公民館の駐車場にござを敷いてテーブル出して、月見酒を楽しむ人達、十五夜踊りをする人達、一句ひねる人達・・・。いいものです。風流です。

 十五夜に限らず、こういう日本のならわしは、未来永劫受け継がれていって欲しいものです。モノが溢れて、情報が溢れる現代ですが、その一方で、人の心が渇いていってはいないでしょうか。老健の利用者様がまだまだ若い頃、モノも情報も決して豊かとは言えなかった時代、そのぶん人と人とのつながりは強かったのではないか、と思うのです。四季折々の行事を通じて、あるいは農林漁業などにおける協業を通じて、人と人、家と家、地域と地域は強い絆で結ばれていたのではないでしょうか。

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 不便だったゆえに、今よりも心が豊かだったかもしれない、そんな時代を生きてきた人生の先輩方に、その時のことを聞いてみたいな、と思った十五夜様の夜でした。

研修会を開きました(支援相談部会)

  ()宮崎県老人保健施設協会支援相談部会は10日、宮崎市の宮崎観光ホテルで今年度第1回の研修会を開きました。会員施設はもとより、特別養護老人ホームや病院関係者、そして専門学生など92人が受講しました。

 はじめに、「高齢者施設における医療?高齢者の特徴および感染対策?」と題し、社会福祉法人愛泉会日南病院疾病制御研究所の峰松俊夫所長が講演。その中で、「高齢者は特に脚の筋力が落ちやすい。しかし、筋力トレーニングの効果は脚に現れやすく、実験の結果、肘を曲げる筋力が49%増大したのに対し、膝を曲げる筋力は163%も増大した(」と、トレーニングの必要性を訴えられました。

 

 

IMG_0369.JPG その他にも骨粗鬆症をはじめ、循環器、肝腎機能、代謝系、感覚系、神経系、そしてご専門である感染症についてなど、楽しくてためになる話が盛りだくさんでした。

 引き続き、口腔機能維持管理加算について、宮崎市郡東諸県郡歯科医師会地域歯科担当理事である青山歯科医院の青山修院長に講演していただきました。その中で、青山院長はよく噛むこと、口腔乾燥を予防すること(高齢者は20代に比べ、唾液が7分の1に減るのだそうです)などを踏まえ、「温度、湿度、栄養と、口の中は好条件が揃っており、300種類の細菌が住みついており、その数は1mgの歯垢に1億個以上だ」と、口腔ケアの必要性を強調しました。その一方で、実際に口腔機能維持管理に取り組んでいる施設はまだ少ないことを指摘し、加算算定の要件や、課題の把握、目標の設定等の具体的な進め方について説明して下さり、受講者達はメモを取りながら熱心に聴き入っていました。

 

IMG_0381.JPG 同研究部会の今年度の研修会は、来年2月もしくは3月にもう一度開催する予定です。次回も今回同様、楽しく、ためになる内容になるものと、期待が持たれます。

 

IMG_0372.JPG70歳の男女を対象に週3回、11週間の筋力トレーニングを実施した結果だそうです。

秋袷(あきあわせ)

 秋袷(あきあわせ)とは、広辞苑によれば「秋になり、単(ひとえ)では冷える感じがして着る袷(あわせ)」の事を言うそうです。昨日(8日)、そして一昨日(7日)の明け方は、秋袷が欲しくような肌寒さでした。日中の暑さはまだ残っていますが、季節は確実に移り変わっていることを、まさしく「肌で感じる」ようになった今日この頃です(今朝は蒸し暑かったですけどね)。

 この「袷」を更に広辞苑で調べると、「陰暦四月一日から五月四日までと、九月一日から八日まで着る習慣であった」そうです。陰暦の九月一日とは、陽暦の927日に当たりますから、本当に「秋袷」がいるのは、もう少し先なのでしょうか。ちなみに、「春袷」というのは広辞苑には見当たりませんでした・・・。

 いずれにせよ、気温の日較差が大きくなれば、健康を崩しかねません。利用者様の、そして自分自身の体調管理に務めましょう。

雨車軸の如し

  大粒の雨が激しく降るさまを「雨車軸の如し」と例えた記載が、源平盛衰記にあるそうです。書かれたのは鎌倉時代から南北朝時代にかけて、様々な説があるそうですが、いずれにせよ、そんな昔にも、”車軸”のような太く激しい雨があったということでしょう。

 だけど、当時の車軸(当然、自動車なんてありませんでした)と今の車軸が違うように、今の雨の降り方は、昔とは違うと思うのです。台風12号が紀伊半島を中心に極めて甚大な被害をもたらしました(そして今もなお、危険な状態が続いています)。復旧にはかなりの時間を要するものと懸念されます。被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 しかし、これを対岸の火事などと高をくくることはできません(ましてや、対岸の土砂が、川を渡って家屋を飲み込むという、考えもつかないような事も実際に起きてしまっています)。6年前の96日は、台風14号が宮崎県に記録的な大雨を降らせ、多くの家屋が全半壊の被害に遭った日です。交通網も遮断され、犠牲者も出ました。自然災害の脅威をいやというほど思い知らされました。避難所での生活がどれだけ苦痛かということも。だから、96日になると、毎年そのことを思い出さざるを得ませんでした。そんな折りに、今回の災害。胸が痛みます。

 災害は一度来ればもう終わり、という保証はどこにもありません。常日頃から防災への備えを怠ってはいけないと改めて思いました。

今日もまた医務室に直行

  「今日もまた、医務室に直行ということになります」──。

 世界陸上最終日、男子マラソンで、市民ランナーながら代表入りした川内優輝選手(埼玉県庁)。粘りの走りで18位!大健闘です。まさに全力疾走。ゴールした途端にその場にばったり。それを見たアナウンサーが放ったのが冒頭の言葉です。トップでゴールし、堂々の2連覇を果たしたケニアのアベル・キルイ選手が42.195kmを走り終えたとは思えないような軽い身のこなしでダンスを披露していたのもすごいと思いますが、川内選手の魂の走りはあっぱれです。重ね重ねで恐縮ですが、全力を尽くすというのは本当にこういうことを言うのでしょう。

 だけど、この「今日もまた、医務室に直行・・・」というフレーズ、流行語になってしまうと困ります。川内選手が世界陸上代表入りを決めたのは東京マラソン。この時もそうだったのですが、同選手は医務室直行の常連なのだそうです。スーダラ節よろしく、「これじゃ身体にいいわけないよ、わかっちゃいるけどやめられない」ではいかがなものかと思います。ましてや、時あたかも未曾有のマラソンブーム。美容と健康のために走る人も多いのでしょうが、ゴールする人が次から次にバタバタと倒れては元も子もありません。

 老健におけるリハビリ、特に運動療法も然り。頑張りすぎは本末転倒の結果になりかねません。こだわり、頑張り過ぎる故に、望ましからぬ結果に陥ることを「こだわり症候群」とも言います。老健で「今日もまた、医務室に直行」という事態は絶対に避けなければなりません。適正な内容、頻度を心がけたいものです。

 

 市民ランナーの星、川内選手の話題が先行した男子マラソンでしたが、ご当地、旭化成の堀端宏行選手の堂々7位入賞を忘れてはいけません。恵まれた身体を活かした粘りの走りで追い上げ、日本人最高の見事な結果です。そしてまだまだ発展途上とのことですから、今後に更なる期待が持たれます。ロンドンオリンピックの代表入り、そしてメダル獲得、是非是非目指してほしいと思います。

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