はくほうが弱くなる

  南山堂医学大辞典によると、老年者の肺は、「加齢に伴って形態学的、生理学的な変化を示しており、老人肺と呼ばれる」そうです。その特徴がいくつか挙げられていましたが、その中に、「肺の弾性収縮力の低下」、そして「残気量の増加」、というのがありました。

 これはつまり、加齢に伴い、息を吐く力が弱くなって、肺に残る空気が増える、と言い換えることができるのではないかと思います。我々人間に限らず、動物は酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出して生命を維持していくわけです。吸って、はいて、吸って、はいて、この繰り返しです。加齢に伴い、その「はくほう」の力が弱くなってしまい、肺に残る空気の量がだんだんと増えて来るということです。「3秒吸って7秒はく」という呼吸健康法を耳にしたことがありますが、これも「はくほう」を重視しているのでしょうか。他にも詩吟が静かなブームを呼んでいたり、更には「スポーツ吹き矢」というのも注目されてきました(これ、面白いですよ)。いずれも息を「はくほう」に重点があるようです。

 ならば、「宮崎民謡呼吸健康法」を提案したいと思います。宮崎県には息をはく練習をするのにとてもふさわしい民謡があります。しかも2曲も!その民謡とは、「刈干切り唄」、そして「日向木挽唄」です。

「刈干切り唄」は、「(吸って)ここぉ????ぉのぉ?????おおおおおやまぁ??????ぁあああああのぉ?????????(息継ぎ)かりぃ???ぼしゃぁあ?????あああああああ(息継ぎ)すぅうん??????????んんんんん????だぁあぁあああぁああ??よぉお?????????ぉおおおおおお???おお??お?お??????(息継ぎ)・・・」という具合に、息を吸う箇所は少なく、あとは「はくほう」ばかり。「刈干はすんだ。明日は稲刈りだ」と言うだけのために、肺にある空気を全部吐き絞り出すかのごとく(実際にはそれは無理ですが)歌い上げます。全国大会も開催されるほどの有名な民謡ですが、なかなかに難しい一曲です。

 一方、「日向木挽唄」は「(吸って)インヤァア???????レェ????????ェエエエエ?????????????(息継ぎ)やまでぇええこぉがぁあなぁああくぅ??????(息継ぎ)やぁまぁああああしぃい???????のぉおおおこじゃあ?????ぁろぉ???????(息継ぎ)・・・」という具合。特に最初のフレーズを威勢よく発声します。「木挽唄」というくらいですから、山から山に届き渡るように歌うのでしょう。子供が民謡を習うに当たって、最初にこの曲を稽古することも多いのですが、これもまた、吸うところはちょっとだけ。「はくほう」がうんと鍛えられる名曲です。

 日本には何千(何万?)という、たくさんの民謡がありますが、「はくほう」が鍛えられる曲ベストテンの中に、宮崎が全国に誇るこの2曲は入っているのではないでしょうか。そういう意味において、宮崎県は恵まれていると言えるのではないかと思います。「はくほう」が弱くならないよう、宮崎民謡で「はくほう」を強くしましょう。

 なお、「”はくほう“が弱くなる」と銘打っておりますが、あくまでも呼吸の話。相撲の話ではありませんので念のため。こっちの「はくほう白鵬)」は見事20回目の優勝を果たしたばかり。弱くなるのはまだまだずーっと先のことのようですね。

認知症について学びました(西都市ケアマネ連絡会)

  西都市の総合福祉センターで22日夜、認知症について理解し、支援のあり方を学ぼうという研修会がありました。

 この研修会を開いたのは、西都市介護支援専門員連絡会(小野 美穂子会長=菜花園事務長)。同会は、会員間の意見交換や情報収集・提供、そして研修会の開催などを通じて介護支援専門員としての役割を認識し、会員相互の連携と資質の向上をはかろうと、平成16年に設立されました。市内の介護支援専門員等により構成され、現在77人の会員が加入しています。

 

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       (↑開会にあたり、挨拶に立った小野会長)

 

 この日の研修会テーマは「認知症の基本的理解と支援のあり方」。医療法人慶明会けいめい記念病院脳神経外科(もの忘れ外来)の岡原一徳副院長を講師に招いての講演会でした。

 

 

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 (↑1時間半があっという間。岡原先生の講演は盛りだくさんの内容でした)

 

 講演の中で、岡原先生はアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などについて、その特徴や対応の仕方をわかりやすく説明されました。その中で、アルツハイマー型認知症の場合、早期に治療を始めることができれば進行を50%遅延させることができるとし、早期発見、早期治療の必要性を強調されていました。また、認知症の症状を分析して、対応を考える方法について、具体的に示しながら、支援のありかたを説かれていました。

 業務終了後の夜間の研修会にも関わらず、同市内の老健施設はもとより、特養、病院関係者など、130人の会員らが参加し、メモを取るなどして熱心に聞き入っていました。

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     (↑多数の参加者で、会場の外から聞き入る人もいました)

暑さ寒さも彼岸まで

  全くその通り。彼岸とともに、朝の冷え込みが急に来ました。じわじわじゃなくて、急に、です。「出番ですよ!」とばかり、彼岸花も一斉に開花しました。天変地異が人々を脅かす一方で、なんとも律儀に、暦通りに切り替わる(”移り変わり”というより”切り替わり”の方が適切に思えます)自然現象があるのか、と複雑な心境になってしまいます。

 日曜日(18日)が中止のため、今日が運動会、という学校もあるかと思いますが、絶好の日和となりそうです。

 今日は秋分の日。気候もいよいよ本格的に秋モードに突入していくのではないでしょうか。利用者様の、そして職員の皆様も体調管理に努めましょう。

備えあっても憂いあり。

 「防災」から「減災」へ。東日本大震災を契機に、災害に対する向き合い方が変わろうとしています。昨日も台風15号が、宮崎だけでなく、日本列島の広きに渡って猛威を振るいました。土砂災害や河川の氾濫、そして首都圏では交通機関が麻痺し、いわゆる「帰宅難民」が長蛇の列をなしていました。

 西暦2011年。これほどまでに天変地異の恐ろしさをまざまざと見せつけられたことがかつてあったでしょうか。日本中どこにいても、「絶対に安全!」という地はないのだと思い知らされました。

 同じように「備えあれば憂いなし」ということは決してないのだと、考えずにはおれませんでした。「備えはバッチリだから、これで心配ない」と思う油断があれば、その中にこそ危険が潜んでいるのだ、と。今までの自分を振り返り、反省すべき点が多いことに気づかされました。

 「備えがあっても憂いはある」と気持ちを引き締め、万が一の際でも、最小限の被害に食い止められるようにすること。それが「減災」につながるのではないだろうか、と思いました。

台風15号上陸の恐れ

  台風15号は非常に強くなり、今日にも本州に上陸の恐れが出てきました。宮崎県内各地でも既に少なからぬ被害が発生しています。本県直撃の恐れはないようですが、今までの大雨の影響がこれから出ないとも限りません。通所サービスや訪問サービスに携わられる方々はもとより、通勤、帰宅の際にも十分お気をつけ下さい。

台風15号接近中!

  台風15号はこれから宮崎県に最接近するものと予測されています。既に県南部の一部が強風域に入っており、激しい雨も降っています。県内各地に各種警報・注意報が発令されています。情報を迅速・正確に入手して早めの備えに努めましょう。以下のリンクもご参照下さい。

 

気象庁台風情報 

 

国土交通省 川の防災情報

 

宮崎河川国道事務所 

MRT宮崎放送警報・注意報

人生百年!

 今日は敬老の日。一昔、いや二昔前の敬老の日(915日でしたね)は、各地区の公民館で敬老のお祝いがあったものです。数人のお年寄りを高座に上げ、子どもから中年までの住民が総出でお祝いしたものです。ごちそうを囲みながら、子どもは学校で習った歌を歌ったり、踊りを踊ったりしてやんやの喝采を受け、お菓子ももらって上機嫌。大人は酒盛りで賑わって、「長生きするっていいなあ」と子供心に思ったものでした。

 時代は平成に代わり、日本は世界一の長寿国家になりました。913日付けの日本経済新聞に、「人生100年時代を生きる」という記事が掲載されていました。これによると、日本では100歳以上の長寿者が急増しているとのこと。1963年に153人だったの対し、2010年には44,449人に増加しているそうです。厚生労働省の予測では、2050年には68万人を超えると予測されており、これは87年で4,444倍の増加ということになります。

 上智大学教授の鬼頭宏さんのコメントが印象的です。「日本人は、今や生物として別の種類になった」と。人間の平均寿命は縄文時代15歳、江戸時代前期でも20代後半だったのだそうですから、必死で川を遡上し、産卵の後に寿命を全うする魚のように、当時は「種の保存」のために持てる命のすべてを注ぎ込んでいたのでしょうか?

 時代は変わって現代。「長生きするっていいなあ」と思っていたあの頃に思い描いていた未来に、今はなっているのだろうか?と、思っても、答えは出てきません。だけど、老健に勤める者の一人として、高齢者が生き生きと、まさしく「生きがい」を持って過ごせる社会になるよう、やるべきことは本当にたくさんあると思います。そして、それを実践していくことが、将来の自分のためでもある、とも。

 敬老の日が915日から、第3月曜日に変わりましたが、人生の大先輩を尊び、敬う心を持ち続けること、そして、日々の業務の中で、あるいは日常生活の中で、その心を忘れないために、今日という一日を大切に過ごしたいと思います。

「老健みやざき」もうすぐ発行!

 ()宮崎県老人保健施設協会が年に2回発行している広報誌「老健みやざき」。その第24号の原稿が昨日、協会企画広報委員会の元を離れ、ついに印刷会社入りをいたしました。

 今回の内容は何と言っても巻頭企画、「老健ルポルター寿(じゅ)」!これは、昨秋発行した第22号から始まった隔号掲載予定の新コーナーです。県内の会員施設(現在43の老健がありますが、来春44施設になる予定です)を協会企画広報委員で構成する”ルポルター寿隊”が訪ね、そのいいところ、ユニークな取り組み、すごい経歴を持つ有名職員、利用者様の声、そしてトップの熱い思い、などなどを盛りだくさんに織り交ぜながら紹介していくものです。

 今回、我々ルポルター寿隊が探訪したのは、宮崎市にあるシルバーケア野崎!!宮崎駅から大島通線を北上すること約5kmにある老健施設です。このシルバーケア野崎のすごいところは、何と言っても・・・おっと、「それを言っちゃあおしめえよ」と寅さんに怒られてしまうところでした。続きは読んでからのお楽しみ!です。

 「老健みやざき第24号」はこのほか、協会研究部会の活動報告や、会員施設の職員によるリレーコーナー、さらにはおすすめ人気メニューコーナーなど、読みどころ満載・・・とは決して言えませんが、ご笑覧いただければ幸いに存じます。

 なお、今回は「編集後記」に替えて「みやろうけんブログ」を巻末に掲載しました。つまり、この協会ホームページで好評(?)連載中のブログを、一部改編したものです。果たして、いつのブログを使ったのか?これもまた読んでのお楽しみ!・・・となるものかどうだか?ただし、「編集後記」を新たに書くのが面倒くさかったからブログを使った、というわけでは決してありません。格好良く言うと、ネットとペーパーのメディアミックスを狙った、というところでしょうか。

 「老健みやざき第24号」は、県内の会員施設や宮崎県とその出先機関、県内市町村役場、そして全国老健協会および同協会の各都道府県支部などに配布予定です(10月上旬までにはお届けできるかと思います)。そして、それだけではありません!「老健みやざき第24号」は、このホームページにもPDFファイルにてアップする予定ですので、どなたでもご覧いただけます。どうぞ、どうぞお楽しみにお待ち下さい。

第9回研究大会開催決定!!

 9()宮崎県介護老人保健施設研究大会が、平成24316日の金曜日、宮崎市の宮崎観光ホテルで開催することが決定しました。詳しい内容は追って第ご案内いたします。年々盛り上がって来ている同大会、今回もより充実した内容にしようと、スタッフ一同、頑張って準備をすすめていきますので、奮ってご参加下さい。

 また、今回も研究発表の演題を大・大・大募集!!いたします。詳細は近日中にお知らせしますので、たくさんのエントリーをお待ちしております。

 平成24316日は宮崎観光ホテルでみんなで明日の老健を語り合いましょう!!

 今後、文書やホームページ上で、情報を逐次お知らせしていきますので、どうぞお楽しみに!!!

若さが減ると老いる!?

 12日付ブログで、(社)宮崎県老人保健施設協会支援相談部会が研修会を開き、社会福祉法人愛泉会日南病院疾病制御研究所の峰松俊夫所長に講演されたという報告は既にさせていただいたところです。しかし、その中で峰松所長が「若さが減ると老いる」という、あっと驚く、そして非常に興味深いお話をされたので、ここにその実証実験を踏まえながら紹介したいと思います。

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 ↑まず、「若」と書いた紙を準備します。これを減らしていきますよ。

 

DSCN1221.JPG ↑図のように、右側から紙で隠して「若」を減らしていきます。必ず右側からですよ。左や上下からではだめです。すると・・・!?

 

DSCN1222.JPG ↑いかがでしょうか?「老」という字になりました。この説明に、会場全体が愕然!

 本来の「老」の字は、「腰の曲がった老人が、杖をついて立っている姿」からきた象形文字と言われていますが、こっちの説明の方が説得力ある、と考えさせられました。なぜならば、峰松所長はその後のお話で、高齢者は色々な身体機能・能力が「減っていく」ということを、わかりやすく説明してくださったからです。

 「若さが減って老いる」。そのために高齢者は、生活上いろいろと困ることが生じたり、様々なリスクに脅かされたりする・・・。そのことを私たち老健職員は、しっかりと認識して、日々の業務に当たっていかなければならない、と峰松所長のお話を聞いて痛感しました。

 間違っても「○○さん、こんげなこつもできんとね」などといった事は絶対に言ってはいけないのです。「若」と違って「老」は、色々な機能や能力が「減って」いるのです。その中で高齢者は一生懸命努力して、やろうとしてるのです。だけど、できないこともある。それを嘲ったり、罵ったり、蔑んだりするとは老健職員として言語道断!です。「なぜできないか?」を様々な視点から考えて、どうすればできるか、考究し、工夫する。そしてもし介助が必要ならば、その方にとって最も適した介助方法を考え、提供し、家族等の介助者にも指導する。よってもってADLQOLの向上を目指す。それが老健の使命なのではないでしょうか。

 「目からうろこが落ちる」とはこういうときに使うのだろう、と思いました。本当にためになるお話でした。

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