協会活動報告

R4システム学びました(ケアプラン部会:その1)

(公社)宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン部会は1128日、宮崎市のJAアズム別館で「リーダー研修会」開きました。

 今回の研修テーマは老健独自のケアプランシステムである「R4システム」の基礎知識。このR4システムは、介護老人保健施設でのケアを、老健の理念にかなったものにするべく開発されたもので、老健(Roken)のRおよび4つのステージおよびアセスメントで構成されることから「R4システム」と命名されたもので、本県でR4システムに関する研修会は今回が初めて。県内会員施設から40人が受講しました。

開会に当たり、同部会の原 貴子副委員長は「本日のテーマは『R4システムとはどういうものか?』ということを学んでいただくわけですが、現在R4システムの普及率は、県内45老健施設ある中で、2施設のみが導入という、ほとんど知られていない状況があります。では県内では何が最もシェアを占めているかというと、包括的自立支援プログラムが70.8パーセントと圧倒的です。しかし本年度の法改正で、老健は今後在宅復帰を推進していかないと生き残っていけないという報酬額が打ち出された中で、今のままのツールではたして今後在宅復帰を進めていけるのか?という疑問点が残ります。今後在宅復帰を進めていく中で、専門職が協働しながらアセスメントし、在宅復帰を実現するのに非常に優れたツールが本日学ぶR4システムということになります。この研修会で是非基礎をしっかり学んで帰っていただきたいと思います」と呼びかけました。

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(↑開会の挨拶に立った原 貴子副委員長)

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講師には長崎県諫早市にある医療法人和光会介護療養型老人保健施設恵愛荘の谷川敦弘事務長、同じく和光会介護老人保健施設恵仁荘の山口慶之支援相談員、そして神奈川県川崎市より東芝情報システム株式会社ヘルスケア事業部営業部の波多野洋一参事をそれぞれお招きしました。

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(↑右から谷川事務長、山口相談員、波多野惨事)

研修会はまず谷川事務長による「R4システムの基礎知識」、次に山口相談員による事例紹介「R4システムを導入して」、そして波多野参事によるR4システムの実演説明という流れで進められました。

 「R4システムの基礎知識」について講義をしていただいた谷川事務長は、公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)のケアマネジメント部会員や、長崎県すこやか福祉用具講座の講師などを務められており、このR4システムの普及のため全国各地で活動を展開されています。この日はその忙しい中を縫って来県して下さいました。

 開口一番、谷川事務長は「あと3年後、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定がありますが、私たち老健が生き残っていくかどうかという重要な改定になると思います。今年度の介護報酬改定では、特に通所系では『参加』や『活動』を促していきなさい、ということになりました。皆さんの施設が参加や活動をどのように取り組んでいるかという調査は既に今年度から始まっていますが、これはものすごく異例です。厚労省は普通、改定があった翌年に調査を始めますが、改定があった今年度から始めていますから、国も本格的に変わっていくのだろうと思います。そして2018年に在宅復帰をしていない施設は、もしかしたら『集合住宅』としてみなす可能性があります。また医療側から見ると、慢性期の患者さんを対象にした療養病床は減らされますが、どのように減らされるかというと、そこは『病院じゃなくて施設でもいいのではないか。病院機能をなくしましょう、ドクターはいりませんよ、看護師を施設長として認めますよ』という動きを日本慢性医療協会はしています。するとどういうことになるかというと、病院の一部が、今私達がやっている老健の機能を担う可能性があります。ということは私達老健はそこも視野に入れながら、在宅復帰を進めていかないといけません。研究、統計ではR4システムをやっている施設は在宅復帰率が上がってきています。しかしR4システムの導入率は低いということを考えると、本格的に在宅復帰をやっている施設の一部がR4システムを導入しはじめているのではないかという気がします」と切り出し、今後老健の在宅復帰機能がますます重要になるばかりでなく、老健が老健として見なされなくなる可能性を示唆しつつ、そうならないためにもR4システムを導入し、老健の本来の機能を発揮していくことの必要性を強調しました。

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(つづく)

第12回研究大会開きました(その13:最終回)

【発表その3:春草苑 ひょっとこ隊】

レクレーション研究発表のトリを務めたのは春草苑の役職員による「ひょっとこ踊り」。緒方克己施設長はじめとする13人が自慢の踊りを披露しながら会場を一周。会場は大いに沸きました。

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レクレーション研究発表も終わり、7時間にわたって行われた第12回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会もいよいよフィナーレ。協会副会長で介護老人保健施設さくら苑の丹 光明施設長が閉会の挨拶をしました。

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施設や職種の垣根を越えた情報の交換、そして交流の輪が広がった大変有意義な1日となった大会の幕が下りました。

(終わり)

第12回研究大会開きました(その12)

 分科会が終わり、参加者は緋燿の間に集合。レクレーション研究発表が始まりました。これは各会員施設において、役職員がそれぞれの特技を活かし、日々のレクレーションや各種行事、そして地域交流などの場で披露しているもの。こんかいは3施設からの発表がありました。感動あり、笑いありで会場はにぎやかな中にも、自施設で取り組んで試みよう!という熱い視線が発表者に注がれ、大変有意義な発表会となりました。

 【発表その1:サンフローラみやざき 矢野大樹さんによる津軽三味線演奏】

 全国大会優勝の経験もある矢野さん。時に激しく、時に優しく演奏される津軽三味線に会場は魅了されました。

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【発表その2:ひむか苑 木下朋恵さん ほか】

 木下さんによるエレガントかつダイナミックな演奏に続き、甲斐久子さんのピアノ伴奏と後藤奈保子さんによる歌謡ショー。感動あり、笑いありの印象深いステージでした。

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(つづく)

第12回研究大会開きました(その11:分科会スナップ(3))

 分科会スナップ、最後は第7分科会(看護・介護(3))、第8分科会(介護、全般(2))、第9分科会(支援相談・在宅支援、全般)です。

7分科会(看護・介護(3))】

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【第8分科会(介護、全般(2))】

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【第9分科会(支援相談・在宅支援、全般)】

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(つづく)

第12回研究大会開きました(その10:分科会スナップ(2))

 分科会スナップ全3回のうち2回目。今回は第4分科会(リハビリテーション)、第5分科会(栄養・給食、介護)、第6分科会(全般)です。

【第4分科会(リハビリテーション)】

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【第5分科会(栄養・給食、介護)】

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【第6分科会(全般)】

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(つづく)

第12回研究大会開きました(その9:分科会スナップ(1))

 117日、宮崎市の宮崎観光ホテルで開いた第12回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会。特別講演に続き、研究発表がありました。43題の研究発表が9つの分科会で行われ、各会場では発表者と座長、そして参加者が熱心な質疑応答を行い、それぞれの施設における実情や参加者自身の経験を交えた意見のやり取りを行い、大変有意義な分科会となりました。

 各会場での様子を3回に分けてアップします。今回は第1分科会(看護・介護(1))、第2分科会(介護、全般(1))、第3分科会(看護・介護(2))です。

【第1分科会(看護・介護(1))】

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【第2分科会(介護、全般(1))】

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【第3分科会(看護・介護(2))】

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(つづく)

第12回研究大会開きました(その8)

特別講演終了後、公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)の東憲太郎会長は、全老健が作成した「老健施設の介護のやりがいと魅力」の動画を上映して下さいました。

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 この動画は「介護ポジティブキャンペーン」の一環として、介護のやりがいと魅力を発信するために作成したもので、全老健のホームページhttp://www.roken.or.jp/about/movie.php)でも公開されています。

 動画は

(1)3Kの介護から3LDKの介護へ

(2)介護を通じて、自分自身もステップアップ

(3)多職種協働で自宅へ帰る日

3本。それぞれ介護の仕事の魅力や老健の果たす役割などについて、実際に老健施設で働く職員による体験談も交えながらわかりやすく紹介しています(東会長も出演されています)。

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 特別講演でも取り上げられた通り、2025年問題を10年後に控え、全国的な介護の担い手不足が問題となっている中、参加者は自身の仕事に対する考え方や各職場における取り組みの現状と照らし合わせるとともに、介護のやりがいと魅力について再確認しながら、興味深く見入っていました。

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なおそれぞれの動画は、以下の通りユーチューブからも閲覧できますので是非ご覧下さい。

【動画「老健施設の介護のやりがいと魅力」、ユーチューブからの閲覧】

(1) 3Kの介護から3LDKの介護へ」(https://www.youtube.com/watch?v=mTT67NG-uSc

(2) 介護を通じて、自分自身もステップアップ」(https://www.youtube.com/watch?v=l_z8HVfY0MM

(3) 多職種協働で自宅へ帰る日」(https://www.youtube.com/watch?v=3X6nBSBPCGk

(つづく)

第12回研究大会開きました(その7)

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公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)の東憲太郎会長による特別講演、「老健が担う地域包括ケア」は「(4)老健施設の介護職(他職種協働)」のテーマに移りました。東会長は老健施設における他職種協働は「ピラミッド型」ではなく、「ドーナツ型」が望ましいとして、スライドを用いてそれぞれの特徴を説明しました。

【ピラミッド型=オーダー型(命令型)】

・・・医師を頂点としたヒエラルキー(階層制)。急性期医療モデル=医療保険型

【ドーナツ型=カンファレンス型】

・・・利用者を中心に全ての職員が対等に関与。生活期モデル=介護保険型

 「ピラミッド型では医師が頂点となり、その下に看護師、リハ職・技師などのコメディカル、そして看護助手・介護職などという階層になっていて、下の職種は上からの指示によって働きます。しかし老健は違います。ドーナツ型、他職種協働であり、医師はそのひとつです。医療的な管理をきちんとすればあとは他の役職の役割が大きい、つまり『他職種平等』です」と述べた東会長は、看護師が医師からの指示で動くのではなく、自らの判断で行動できるよう、全老健の各都道府県支部および各都道府県の看護協会とで老健の看護師のための研修事業を計画しているとのことでした。

 最後の「(5)次期改定に向けての課題」については、「もう既に次の改定に向けての議論は始まっています」と切り出した東会長。「介護職員の処遇改善」に関して現在の介護報酬に介護職員処遇改善加算が組み込まれているやり方ではなく、介護報酬とは別に消費税で財源を確保する方式を提言しました。そして「処遇改善は賃金の改善だけでなく、キャリアアップや職場環境の整備も重要」とし、(a)キャリアアップ段位制度、(b)認定介護福祉士制度、(c)介護助手の雇用・・・など介護の専門技術の向上を目指す取り組みを推進することの必要性をスライドに示しながら、「職員が働きやすいよう託児所を作ったり、研修会の費用を出してやるなど、色々なお金を出してやるべき」と言い添えました。

 そして次期改定に向けての「最大のテーマ」と前置きし、「介護保険施設等における医療提供のあり方」をあげ、「ひとことで言うと『老健にもっと医療の自由度を与えて欲しい』ということです。ADLや認知症が悪化するなど、本人や家族、そして老健のためにも良くありませんから、老健から医療機関にやるのは極力避けたいところです。現在老健における所定疾患は肺炎・尿路感染・帯状疱疹の3つですが、将来は6から9疾患へ、もっと増やして欲しいと考えています」と述べるとともに、そのことが「医療費の削減にも貢献する」と言及しました。

 これに伴い「老健施設における『医療の質の担保』が求められます」と述べながら講演最後のスライドとして「老人保健施設管理医師研修制度」のスライドを示した東会長は、「これは私の長年の夢でした」と言葉に力を込めました。この研修制度は一般社団法人日本老年医学会が主催し、全老健が運営に協力するもので、既に今年の6月と9月に東京都で開催されました。その内容は診療報酬における「総合評価加算」の要件である「高齢者医療研修会」(全16時間)を老健施設向けに特化・発展させた全30時間にわたる内容の濃いカリキュラム。平成30年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた、医療の質の担保に関する取り組みとして、この研修会が厚労省の医療と介護の連携に関する議論の俎上(そじょう)に載せられ、研修会の受講・修了が介護報酬上で何らかの形で評価されることに大きな期待を寄せているとのことでした。

講演の最後を「老健施設が今までの事業運営では成り立たなく時代がすぐ目の前まで迫っています。入所も在宅強化型老健施設や在宅復帰・在宅療養支援機能加算算定施設を目指して頑張る、通所リハビリテーションもリハビリテーションマネジメント加算?をとる、訪問リハビリテーションも手がける、というような形で地域から『在宅支援をやってくれる老健だ』と認知されるような老健になってください」と呼びかけて締めくくった東会長に会場からは感謝の拍手がおくられました。

(つづく)

第12回研究大会開きました(その6)

「『総合的な確保方策』の目指す姿・・・『まんじゅう型』から『富士山型』へ・・・」というスライドを前に全老健の東憲太郎会長は「介護職が何もかもやる『まんじゅう型』だと専門性が不明確で将来の展望やキャリアパスが見えづらく、早期離職にもつながりかねません。下膳や配膳、認知症の見守りなどは介護助手でもやれます。だから『富士山型』にするべきです」と説明しました。

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この「富士山型」のメリットについて、(a)すそ野を広げる(→人材のすそ野の拡大を進め、多様な人材の参入促進を図る)、(b)道を作る(→本人の能力や役割分担に応じたキャリアパスを構築する)、(c)長く歩み続ける(→いったん介護のしごとについた者の定着促進を図る)、(d)山を高くする(→専門性の明確化・高度化で、継続的な質の向上を促す)、(e)標高を定める(→限られた人材を有効活用するため、機能分化を進める)の5つを呈示し、「なぜ『富士山型』かというと、40年前、”看護師”が”看護婦”だった頃、看護婦はおむつ交換などまでやっていましたが、『それは看護の仕事ではない』と、看護助手を雇い、看護師は看護師の仕事をするようになりました。それから一気に看護師の社会的地位は上がりました。だから元気な高齢者に”介護助手”になってもらい洗濯や掃除をしてもらい、介護は介護の仕事に専念する。そうすると富士山型になり、人材が有効に活用できます。そして10年後、20年後にはかつての看護師のように介護職の地位は向上します」と言い添えました。

らにサービス付き高齢者向け住宅が増加の一途をたどり、そこに介護職が流れている現状をグラフで説明。このような状況に鑑み、三重県老人保健施設協会では地域医療介護総合確保基金を活用している事例(モデル事業)を紹介。元気な高齢者を介護助手として導入し、その人材育成や就労マッチングなどを通じて介護職が本来の介護業務(直接業務)に専念することで、介護職員配置を、「正職員を多く、パートなどの職員を少なめに配置する『まんじゅう型』から、「正職員を少数精鋭(介護専門業務に特化)にしぼり、パートや介護助手を多めに配置する『富士山型』」に変えることで、「人件費の節約になる上に元気な高齢者の介護予防にもなります。元気な高齢者を介護助手として施設に受け入れて富士山型にしてほしいと思います。そして介護職が自分の仕事にプライドが持てます。介護の学校の定員が減ってきていますが、学校で学んできた介護職でしかできない仕事がやれるとなると増えてきます」と述べ、三重県での取り組みが成果を上げていることが全国的に注目され、他の都県でも取り組んでいく予定であることに触れ、「宮崎県でも地域医療介護総合確保基金に手を挙げて欲しい」と呼びかけました。

(つづく)

第12回研究大会開きました(その5)

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 「(2)地域包括ケアシステムにおける老健の役割」については、まずその法律的根拠を示した上で、「街づくりが重要です。サービス付き高齢者向け住宅ばかりではいけません。古い団地や空き家を再生・再利用して生活できるようにするとともに、若者と障害者や高齢者が共生できるような街づくりをしていくことが大切」とし、厚生労働省だけでなく、国土交通省や総務省などによる横断的な取り組みの必要性を指摘しました。

 一方「医師の責任も大きいです。現在、医療機関の医者が認知症のことを知らなすぎです。ちょっと認知症が出たら『家での生活は無理』と言います。家族はびっくりして『どこか探さないと』と慌てます」述べ、認知症高齢者や中重度者などでもできる限り住み慣れた自宅で生活する「覚悟」が持てるよう説明するとともに、安易に終生施設を紹介せず、自宅で暮らす「覚悟」を支える様々な介護保険サービスを詳しく説明して不安を取り除くことなどを通じ、本人および家族の選択と心構えを支援することの大切さを強調しました。

 そして地域包括ケアシステムの拠点として老健施設が担う役割として(a)リハビリテーションの充実、(b)R4システム(:全老健で開発したICFに基づいた新しいケアマネジメントシステム)を基盤としたケアの充実、(c)医療の充実、(d)認知症へのより高度な対応・・・の4つを呈示。地域包括ケアシステムは都市部や地方などそれぞれの特性に合わせ、既存の社会資源サービスを有効活用した「地域完結型」であるとし、中学校区にほぼひとつあり、介護保険施設であるとともに医療提供施設でもある老健施設は「地域包括ケアシステムの要になる施設」と老健施設が果たしうる責務の重要性を強調しました。

 「(3)介護職の専門化と地域医療介護総合確保基金の活用」について、2025年に向けた介護人材にかかる需給推計から全国で38万人の介護人材が不足すると推計されている中「宮崎県でも介護職がなかなかいない」という状況に鑑み、東会長は特に時間をかけて説明しました。

 「学生がいないからどんどん減っています」と、年々減少する介護福祉士養成施設の入学定員数や、今年度最低となった三重県における定員充足率を図表で示し、また平成26年度の介護労働実態調査の中で従業員の不足感(「大いに不足」、「不足」、「やや不足」)が増加傾向にあり、平成25年度より2.8パーセント増加の59.3パーセントとなっていることを説明。その一方で、同調査の中で介護の仕事を選んだ理由として「働きがいのある仕事だと思ったから」が最も多い52.6パーセントであることも紹介しました。

 その上で東会長は会場を見渡し「みなさんの老健の介護職は、排泄介助や入浴介助、食事介助以外の仕事をやっていませんか?」と問いかけました。そして「居室の掃除や利用者の洗濯、下膳、そしてお風呂の掃除にエプロンたたみなど、介護職がなにもかもやっています。日本の介護の現場は『まんじゅう型』です」と言いながら「『総合的な確保方策』の目指す姿・・・『まんじゅう型』から『富士山型』へ・・・」というスライドを示し、説明を続けました。

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(つづく)

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