「R4システム」触れて学びました(ケアプラン部会:その2)

001IMG_0628 山野先生は(1)R4システムがこのICFステージングで誰でもが利用者の変化を簡単に評価できる、(2)そのことにより介護やリハビリの質、そしてスタッフの意識向上にも役立つ、(3)ICFステージングは医療と介護の連携の共通言語(共通の物差し)となりうる、(4)R4システムを理解し、使うことで在宅復帰・在宅支援がよりスムーズにできる・・・とR4システムの有用性を強調しました。002IMG_0625

 これを踏まえて、R4システムのねらいやメリット、特徴などについて学んでいきました。R4システムが「利用目的の明確化により在宅復帰につながり、自立支援・社会参加を促進する」、「ICFステージングは『穴埋め型介護』ではなく、利用者の『していること』に着目した『自立支援型介護』の実践に役立つ」、「他職種協働でのケアプラン作成を支援し、実効性のあるケアやケアマネジメントの質の担保ができる」、「利用者の自立につながるケアは介護のやりがい、職員のモチベーション向上に寄与し、離職率低下が期待できる」などといったR4システムの特徴を目の当たりにし、受講者は同システムに高い関心を示していました。004IMG_0637003IMG_0630

 R4システムの導入にあたっては(1)「長」が決断する、(2)最初からR4システムのすべての機能を使おうとする必要はない、(3)ICFステージングはみんなが使えるように常々慣れ親しむように、(4)ケアマネはとにかくパソコンのR4システムをいろいろ触って機能に慣れる・・・という4つのポイントがあるとのことでした。005IMG_0619

 このようにR4システムを活用したケアを提供しながら、地域包括ケアシステム実現のための老健のあるべき姿として山野先生は「長期療養機能」、「中間施設機能」、「在宅復帰機能」、「ショートステイ機能」、「認知症ケア強化機能」、「医療提供施設」、「ターミナルケア機能」、「緊急ショートステイ機能」、「強化型通所リハ機能」、「薬剤適正化機能」、「在宅医療バックアップ機能」、「アウトリーチ機能」、「リハビリ強化機能」、「地域包括ケア拠点機能」、「自己実現機能」、「自立支援機能」・・・の16の機能をスライドに提示。これらを組み合わせながら利用者の多様なニーズに対応できる地域包括ケアのハブとしての老健であるべきと訴えました。

 さらに底辺の「施設理念・組織力・教育力」から順に「チームワーク」、「職員の資質(技術・知識・意識)」、「生活課題などの情報共有」、「ケアプラン、リハ計画」、「他職種での協業」と積み上がり、頂点の「目標達成」で構成される「目標達成のためのチームピラミッド」を図示し、「皆で目標を達成するためには、プランの内容も大切だが、施設の質の向上、人材育成などの基礎部分も重要」と言い添えました。006IMG_0645

 最後に「平成30年改訂に向けて、さらに平成36年改訂に備えて、そして地域包括システムの中核となるように頑張っていきましょう」と呼びかけると、受講者からは感謝の拍手がおくられました。

※この全老健版ケアマネジメント方式「R4システム」ファイルは全老健ホームページからダウンロードできます。

(おわり)

「R4システム」触れて学びました(ケアプラン部会:その1)

 高齢者ケアプラン研究部会は2月25日、JAアズム別館でリーダー研修会を開きました。R4システムを学ぼうと33人が受講しました。001IMG_0598

 開会にあたり、介護老人保健施設ひむか苑施設長で当協会の櫛橋弘喜会長が挨拶を行いました。002IMG_0587004IMG_0584

 全老健版ケアマネジメント方式「R4システム」は公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)が老健でのケアを老健の理念にかなったものにするべく開発され、2010年11月に産声をあげました。「老健」の頭文字「R」、そして4つのくくりが随所に出てくることから「R4システム」と命名されました。老健が老健らしくあるためにいかにケアを提供したらよいか、そのためにケアプランはどのようにすべきか、ケア実施にあり方や評価、モニタリングのしかたはいかにあるべきか?などがR4システムには盛り込まれています。

※この全老健版ケアマネジメント方式「R4システム」ファイルは全老健ホームページからダウンロードできます。

 同部会ではこれまでも「R4システム」に関する研修会を実施した経緯がありますが、今回は初めて「R4システムを実際に『触れて学ぶ』」形式をとりました。開催に当たってはNDソフトウェア株式会社様のご協力を得て、受講者実習用パソコン20台を用意しました。

 講師は全老健ケアマネジメント部会委員を務められている和歌山県の医療法人明成会介護老人保健施設紀伊の里の施設長、山野雅弘先生にお越しいただきました。山野先生は全老健の管理運営委員委員長や人材対策委員会委員も務められています。著書や多くの執筆活動、そしてこのR4システムの普及のため全国を精力的に飛び回っておられます。そんなご多忙の合間を縫って来県下さった山野先生による研修会は「R4システムに関する研修会~ICFステージングをマスターしよう~」というテーマで進められました。003IMG_0593

 ICFステージングは、全老健が独自に開発した利用者の心身機能評価ツールです。利用者の心身機能が改善したか?悪化したか?に関し、14項目の心身機能(「できるか?」ではなく「行っている事実」)を1~5で簡単に評価・記録することができるICFステージングは、全職員が使え、ケアの質の向上にも役立つだけでなく、評価の質の向上につながるマネジメントシステムを構築することで、根拠に基づいたケアの実施が期待でき、自発的で多様なアプローチも可能になるそうです。医療の世界では根拠に基づいた医療(EBM)が当然になっている一方で、介護の世界では客観的な利用者目線の指標がないことから「介護の質の評価に挑む」ため、ケア側の主観が入らない客観性のある指標を設けたのがICFステージングの意義であるとのこと。受講者は「基本動作」や「社会参加」、「歩行・移動」、「認知機能」、「食事」など各項目における指標や判断基準がICFステージングに明示されていることを実際にパソコンを操作しながら確認していました。このICFステージングはイラスト付きの解説により、職員が判定しやすいだけでなく、利用者や家族にも大変わかりやすいように工夫が施されていました。005IMG_0634

 さらに生活リハビリ視点でのICFステージングは、ケア介入前後の状態像の変化や継時的な変化についても、折れ線グラフやレーダーチャート、そしてイラスト、などにより客観的で簡単に把握できるようになっていました。「日常的にしていること」と「やればできること」の対比がわかり、リハビリの目標が設定できたり、現時点のICF Standingを知って自立支援のきっかけにできたりするなどの利点があるとの説明に、受講者はこれまでの自施設でのやりかたと比較しながら興味深く見入っていました。006IMG_0612

(つづく)

完成しました!「『介護の仕事』PRパンフ」

  「『介護の仕事』PRパンフレット」が完成しました!001介護の仕事パンフ2016年度

 このパンフレットは「地域医療介護総合確保基金」に関わる宮崎県の委託事業として当協会が昨年度より取り組んでいるもので、増加する介護ニーズに対応すべく、地域住民や学校の生徒などに対して介護の仕事に対する理解促進およびイメージ向上をはかり、介護人材のすそ野を広げ、介護従事者の確保をはかることが目的に昨年度より作成しているものです。

 今年度は介護の魅力がより伝わりやすくするため、昨年度と装いを一新。マンガ形式としました。タイトルも「介護が教えてくれたこと。~マンガでわかる『介護のしごと』」。4人の現役介護福祉士にインタビューした介護の仕事の素晴らしさをマンガに仕立てるとともに、「介護の先輩」としての立場から本人のコメントも紹介しています。002介護の仕事パンフ2016年度_02

 また介護の仕事の内容や介護福祉士になるためのプロセス、養成校などの情報も掲載するなど、介護の情報満載の一冊となっています。県内に45ある介護老人保健施設の情報も載せていますので、実際に介護の現場を見学したり直接介護のプロから話を聞いたりするのにも役立つパンフレットです。003介護の仕事パンフ2016年度_03

 「介護が教えてくれたこと。~マンガでわかる『介護のしごと』」は県内の学校等に配布するほか、当協会ホームページからも閲覧・ダウンロードしていく予定ですのでお楽しみに。004介護の仕事パンフ2016年度_06

「食べられる口」学びました(リハ部会研修会:その3)

001BQ8V8293 2月18日(土)にリハビリテーション研究部会が開いた第2回研修会「食べられる口を目指して」。後半の講師は介護老人保健施設メディケア盛年館の管理栄養士、小林真喜子先生。小林先生からは症例を通して栄養マネジメントや経口維持加算に取り組むことで多職種との連携がとれるようになり、誤嚥性肺炎を起こすことなく経口摂取が継続できているとの紹介がありました。

 自分の体重管理はどうしてますか?ということで、何を基準にすればよいのか。質問1、最近、血糖値が気になるAさん、体重も年々増加傾向です。とうとう医師からダイエットをいいわたされました。管理栄養士の指導のもと、食事記録をつけて指定のカロリーを守っているはずなのに瘦せません。どうしてでしょうか。答え、食事記録に書いた食事量より、実際に食べた量のほうが多いと思われるから。詳細の何グラムかの食材かや外食などでの記録は難しいところもあり、また間食などや無意識以外のものは書き漏れたりする場合がありますので、違いがでてくるのではないでしょうか。002BQ8V8302

 質問2、どうしても1日当たりの摂取カロリーが知りたいと思ったAさんはできるだけ正確に1週間分の食事記録をつけてみました。ところが、それを基に管理栄養士が算出した数値をみて、Aさんはびっくりしています。それはいったいなぜでしょうか。答え、予想以上に、日によって摂取カロリーに違いがあったから。 同じ人でも、食べる量は毎日変わる。普段と同じ食事をしているつもりでも食材や調理法によってカロリーが多かれ少なかれ変わります。数日程度の食事記録からその人の食習慣や平均的な摂取カロリーを把握するのは難しいところです。それでは、自分にとって適正なカロリーをどのように判断すればよいのか?というと自分の「体重」で判断するのがわかりやすいと思います。自分の体重が適正かどうかはBMIを指標にします。(標準:18.5~25未満)。

 話題のダイエットとして、カロリー制限や糖質制限がありますが、摂取カロリーと消費カロリーの大小でカロリー制限はダイエットにつながります。糖質制限では、まず糖質で太るのは体に糖質が入ってきた時に分泌されるホルモンのインスリンが、エネルギーとして使いきれなかった栄養分を、体脂肪としてため込んでしまうから。糖質をとらなければ、脂肪の蓄積が妨げられ、糖質の代わりに体脂肪が使われていくことで、ダイエットにつながっていきます。003BQ8V8297

 太りやすいのはどっち?ということで同じカロリーのコーラとごはんではどちらでしょう。正解はコーラになります。コーラの単純炭水化物とごはんの複合炭水化物の分解吸収などのちがいによるものになるからです。ジュース類の砂糖の量のスライドや似たカロリーのラーメンと1汁2菜の定食スタイルでも塩分や野菜量などが異なります。

 大切なのは、カロリー(食事)の中身であり、中身(栄養バランス)が大事であります。食品は、それぞれのもつ栄養素によって6つのグループに、働きによって3つのグループに分かれます。毎日の食事のそれぞれのグループから食品を選び組み合わせて食べることで、簡単に栄養のバランスのとれた食事ができます。(6つの基礎食品、3つの食品群)。

 体重を1か月に1㎏減らすには?体脂肪1㎏には、約7000kcalのエネルギーがあります。7000kcalの体脂肪を1ヵ月で減らすには、7000kcal÷30日≒233kcalになります。ごはんでいうと軽く茶碗1杯(120g)、消費カロリーでいうとジュギング30分、自転車50分、水泳20分となり、自分のやり易い範囲で自分にあった方法で自己管理をしていただければと思います。と締めくくりあっという間に時間が流れていきました。

 歯科衛生士と管理栄養士それぞれの講演を聞き、口腔ケアの重要性や栄養マネジメントなど、また1つ知識の引き出しが増えて自分自身や利用者様に還元できるものとなりました。004BQ8V8306

(おわり)

「食べられる口」学びました(リハ部会研修会:その2)

001BQ8V8264 関連施設であるメディケア盛年館の入所では、訪問歯科や歯科受診にて平成25年から7月から28年5月までで216名の方が治療を実施されています。また地域ケア会議に参加させていただく中で思うことは、プラン前のアセスメントは大切だと感じます。摂食嚥下機能の目安になる基本リストとして、

(1)半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか?

(2)お茶や汁物等でむせることがありますか?

(3)口の渇きが気になりますか?002BQ8V8269

 つまり、かみにくい=咀嚼機能の問い、むせ=嚥下(飲み込み)機能の問い、口の渇き=口が渇くと口腔内の細菌叢が変わる為、肺炎や上気道感染リスクを問う、ものになりますので、しっかり聞き分け判断することが大事になります。003BQ8V8268

 摂食嚥下機能障害がもたらすものとして、低栄養や脱水、誤嚥や窒息、転倒や閉じこもり、気道感染(誤嚥性肺炎)がありますので、口の中を観察して評価し情報を共有することがリスク低減につながるものと考えます。

 口腔細菌が関与する全身の病気として誤嚥性肺炎がありますが、平成23年には死因の第3位になりました。誤嚥性肺炎は口の中の細菌が肺や気管に入って起きることで1年中いつでも起こり再発を繰り返します。反対に考えると口の中飲み込む菌を減らすと肺炎になりにくいということになります。なぜ、口の中の細菌が肺に入るのかということですが、004BQ8V8262

(1)通常食道へ行くべき食べ物が誤って気管へ入ってしまう。

(2)細菌を含んだ唾液が誤って肺に入ってしまう。

(3)胃液から食道への逆流に伴って入る

ということで、姿勢が大事になってきます。誤嚥性肺炎になると、元気がなかったり発熱や咳、痰、呼吸状態の悪化などみられます。高齢者になると訴えが少なく自覚症状がでにくいので日頃の観察や気づきは大切です。誤嚥性肺炎防止姿勢角度は30度と言われ、頭部挙上などタオル等で調整し、顎を引き軽くうなずく程度に調整していただくといいと思います。005BQ8V8281

 歯科清掃用具としてブラシや低刺激オーラルケア用品等、吸引器使用の口腔清掃の様子、舌苔清掃用具、口腔清掃時の装備、音波電動ブラシの取り組みなどの紹介や実際に商品に触れたり口腔内改善例を示しながら紹介いただきました。

 ひとくち30回とは噛む回数のことで、

(1)よく噛むと唾液が増える

(2)肥満予防・認知症予防

(3)脳の血流も良くなる

といわれています。普段私たちは口を閉めていますが、歯は当たっていません。1日3回の食事1時間としても上と下の歯が当たっている時間というのは約9分程、唾液を飲み込む時間とを合わせると1日約18.5分間しか当たっていないとの事。よく噛むというのは、強く噛む事ではなく噛む回数を増やす事です。口腔内改善や肥満、認知症などの予防や改善に、意識して噛む習慣をつけていきましょう。007BQ8V8289

 8020運動というのを知っていますか。8020運動とは、1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。食べることは命を支える大切なことです。20本以上あればほとんどの食べ物を嚙み砕き味を楽しむことができます。自分の歯は何本あるか知っていますか?日頃から自分の体を知ることは大事です。私たちは食べ物を舌に乗せただけでは味を味わうことはできません、噛むことで味わうことができますので、今残っている歯を残していただき、できるだけ最後まで自分の口から食べられるようにしていただけたらと思います。006BQ8V8276

 自分の事(口)を知る観点からも鏡やペーパーの位置など、自分で見やすく利用し易いように利用者様の目線でみる環境づくりも大切なことだと思います。物品管理も工夫し気付きや感染防止の点からも環境づくりを行いましょう。大切なことは口の中の観察から、確実な口腔清掃を徹底することです。食べることは命を支える大切な事であり、すべては口から始まります。口から食事を摂って、噛んで飲み込みます。そこから健康につながることに波及していきます。008BQ8V8261

 何かを変える事や変わることはすごく大変だと思います。変わることで利用者様が気持ちよく過ごすことができるのであれば、変わる必要があるのではないでしょうか?と多職種との連携や理解、継続と取り組むことが口腔内の改善につながります。と、口腔ケアの大切さや多職種での連携のあり方など学びました。009BQ8V8287 010BQ8V8254

(つづく)

「食べられる口」学びました(リハ部会研修会:その1)

 2月18日(土)にリハビリテーション研究部会第2回研修会が開催されました。「食べられる口を目指して」と題し、和田病院の歯科衛生士、河野佳織先生とメディケア盛年館の管理栄養士、小林真喜子先生を講師として42名程が参加されました。

 001BQ8V8240歯科衛生士の河野佳織先生からは口腔ケアや誤嚥性肺炎予防について講義され、口腔ケア用品を実際に触りながら進めていきました。まず口の中をしっかり観察していますか?という所から、奥までしっかりかみ合わせができているのか、義歯の有無、ぐらつきの有無などしっかり観察し、アセスメントしそこから必要な物品を選択し、早期に介入することが大切になります。002BQ8V8241

 口の中には700~800種類の細菌・真菌が存在し、歯を磨かないでいると虫歯や口臭、歯周病など合併症が起こります。必要な常在菌もいますので口腔ケアと細菌バランスを整える事が重要になります。口の中の細菌や細菌のかたまり(歯垢)をスライドで示し磨くことの大切さを感じました。歯周病の進行についても説明され、歯ぐきがはれたり出血、痛み、排膿、歯のぐらつきそして抜け落ちたりするということになりますので、しっかり歯と歯ぐきの間を磨くことが重要になってきます。003BQ8V8246

 口腔ケアはなぜ必要なのでしょう?それは、口の中の細菌を減らし歯周病や全身の病気や予防に役立てると言われています。歯周病菌は歯と歯ぐきの境目に深い溝がありますのでその中で増え血小板の中へと入り血管を介し全身へと巡ることになります。そして臓器や体の組織に影響することで、糖尿病や心臓病、脳梗塞のリスクを高めるということが言われています。では、どんな手入れが必要なのでしょうか?ということで、基本的な事ですが(1)歯磨き、(2)うがい、(3)義歯の手入れが大事になります。

 (1)歯磨き方法ですが、実際にテーブル上に用意された、取っ手が細くヘッドが小さい、曲げることができる、毛先が長めなどの歯ブラシに触れ紹介をいただきました。歯ブラシは消耗品ですのでこしが無くなったり、汚れがついたり、弱っているブラシがあれば交換して下さい。交換時期を過ぎた歯ブラシは歯面や歯間の磨きが不十分で、歯と歯ぐきを傷つける事になります。005BQ8V8252

 次に(2)うがいですが、うがいができる人はうがいをしましょう。健康成人で1日約1~1.5ℓの唾液がでますが、年を重ねるごとに唾液分泌は少なくなります。また夜間帯から朝にかけては唾液の分泌が減るので、口の中の細菌が増えることになります。うがいをすることで口中の細菌を減らし乾燥防止にもなりますのでうがいをお願いします。寝ている間に増えた細菌を除去する為にまず起きたらうがい。細菌を飲み込まない為食前にうがい、就寝前には細菌が増えるのを抑えるためにうがいをしましょう。

 うがいは、唇や頬っぺた、舌など口に関係するものすべての器官を使いますので、口腔内に関する機能低下を防ぐことができます。

 (3)義歯の手入れですが、義歯は柔らかい樹脂でできています。歯磨き粉などは研磨剤が入っていますので、傷がつき細菌が増えるなど影響しますから流水で洗い流したり夜間帯は外して洗浄剤使用し除菌対応をするなどして下さい。義歯も長く使用しているとかみ合わせの部分がすり減ってきたり、ばねを使用している義歯などは部品がゆるくなったりします。義歯を入れなかった場合の弊害としても結果しっかりと噛むことができなくなりますので、歯科受診をしっかりしましょう。004BQ8V8227

 義歯安定剤の正しい使用についてですが、「装着」は⑴義歯の水分をふきとる⑵安定剤1㎝を3ヶ所塗布⑶上顎義歯口内装着後指で1分間固定⑷下顎義歯口内装着上下噛んで1分間固定。 「取り外し」は⑴下顎義歯外し上顎義歯外す⑵流水で洗い流し⑶夜間は洗浄剤使用で除菌。 「義歯ケース」は⑴次亜塩素ナトリウム(ハイター)に浸け除菌。となります。

(つづく)

「失敗学に学ぶ」研修会開きました(看護・介護部会:その2)

001IMG_0479
この病院内の失敗につながる「11種類の原因」を踏まえ、「役に立つ報告書」の書き方を学びました。「真の原因が明確になっており、ドンピシャリな改善が提案されているもの」が役に立つ報告書であるとして、実際に起こった事故およびこれに対して提出された「役に立たない報告書」をもとに、失敗の原因を11種類の中のどれに該当するかを検討しながら、Before→After形式で報告書の「リフォーム」を受講者同士によるワークも交えながら進められました。004IMG_0514005IMG_0498

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【例:「夕薬を2日分服用させた場合」】

〔Before〕

(×原因)Aナース:配薬車から○氏の配薬ケースを引き出し、定期の夕薬2包(ホッチキスで留めている)の△△日分を取り、臨時薬1包をホッチキスで留めた。この時△△日・△□日を一緒に取ってしまったことに気づかなかった・・・・・・・・

(×対策)与薬する時に、日付、時間を1包ずつ確認する。

〔After〕

(○原因)1日分とったつもりが、2日分取ってしまった。うっかりミス。

(○対策)うっかりしてても、2日分取ることができない仕組み

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「確認不足だった」では真の原因分析にはなっておらず、「以後注意する、しっかり確認する」などといった精神論は有効な対策とはいえず失敗や事故は繰り返されることを念頭に置き、リフォームされた「役に立つ報告書」が示されると、受講者は身を乗り出して見入っていました。004IMG_0438

 続いて三好先生は野尻中央病院における取り組みを紹介しました。「原因追及≠責任追及」、「報告書≠始末書」という考えのもと、「報告書は病院の宝」として“計画(Plan)”、“実施・実行(Do)”、“点検・評価(Check)”、“処置・改善(Act)”からなる「PDCAサイクル」を繰り返し再発防止・未然防止に取り組んでいるとのこと。また報告書の提出件数が多かった職員や、顕著な改善を行った部署を対象にした「ご褒美制度」を設けたり、想定しうる失敗のからくりや罠を伝えるために「失敗想定手順書」を作成したりしているそうです。006IMG_0505

 最後に野尻中央病院に他病院から転職してきた職員が受けた院内レポート(抜粋)が紹介されました。「前の病院では同じ失敗を繰り返しては怒られ、反省し落ち込むばかりだったが、野尻中央病院では失敗すると先輩たちが一生懸命話を聞いてくれ、一緒になって真の原因を探し、対策を考えてくれる。人を責めることなく改善に力を貸してくれる、そんな風土にものすごく助けられる。(医療版失敗学に基づき)真の原因を解明し、再発防止だけではなく未然防止にも活用する、それをみんなで情報共有するという活動が重要であることを知った」といった内容のレポートがスライドに示されると、受講者はうなずきながら聞き入っていました。005IMG_0516

 三好先生の講義は軽快な語り口でありながら熱意あふれるパワフルなもので、大変わかりやすく有意義なものでした。医療版失敗学を初めて学ぶ受講者も多く、講義終了時には会場からは感謝の拍手がおくられました。007IMG_0527

(おわり)

「失敗学に学ぶ」研修会開きました(看護・介護部会:その1)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会看護・介護研究部会は2月18日、宮崎市のJAアズム別館で研修会を開きました。「医療版失敗学」を通じたリスクマネジメントを学ぼうと70人が受講しました。001IMG_0465

 今回の研修会テーマは「医療版失敗学の導入事例から学ぶ医療安全」。講師は野尻中央病院の経営統括部長、三好彰範先生。三好先生は平成23年、「医療版失敗学研究会」に第一期生として入会。以来「医療版失敗学」で各施設における諸問題の解決策を提供するべく、多くの執筆や年間20回以上の講演活動を数多くこなされています。この日はそんなご多忙の中を縫って講師を引き受けて下さいました。002IMG_0450

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《「医療版失敗学」とは》

 「失敗学」は福島原子力発電所事故調査委員会に就任された、東京大学の畑村洋太郎名誉教授が唱えた考え方。そして「医療版失敗学」は畑村先生の研究室を卒業し、「失敗学」を学んだ同大学の濱口哲也特任教授が提唱。2015年「医療版失敗学研究会」を設立し全国の施設から医療従事者が参加し年6回参加施設の実例を研究し、解決策と知識を構造化。再発防止だけでなく、未然防止策も打てるツールと期待されています。

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003IMG_0525 講義はこの失敗学のエッセンス「「言い訳」大歓迎、「真の原因を見つけろ」、「フィクョン考えろ」・・・の3つについて事例を交えながら解説がありました。その中で三好先生は野尻中央病院で2011年9月から翌年3月までに提出された報告書(事故件数403件)を分類した結果「病院内の失敗はたった11種類の原因から生じます」として(1)情報ミス、(2)不適切状態の放置、(3)教育不良、(4)不適任業務、(5)緊急多重業務、(6)過信、(7)変更点不管理、(8)自工程不完結、(9)手順の形骸化、(10)真のヒューマンエラー、(11)患者側原因・・・の11項目を示しました。004IMG_0438

(つづく)

間もなく発行!「老健みやざき35号」

 当協会の広報誌「老健みやざき 第33号」を間もなく発行します。老健みやざき第35号表紙(加工)

 今回の巻頭企画は当協会が昨年11月に開いた「第13回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会」特集。県内会員施設から300人が参加し、「地域の『ひなた』になろう ~老健に求められているものとは~」のテーマのもと繰り広げられた研究大会の模様をレポートしました。

 また、平成28年度における当協会各部会の活動報告なども紹介しています。

 「老健みやざき 第35号」は宮崎県内の会員施設や、県内外の各関係機関に送付するほか、当ホームページからも閲覧、ダウンロードできるようアップする予定です。お楽しみに。

総務委員会開きました

 平成28年度第5回総務委員会を2月13日、宮崎市の介護老人保健施設ひむか苑で開催しました。001DSCN3753(s)

 この日の委員会では、(1)各委員会活動、(2)宮崎県委託事業、(3)第13回(公社)宮崎県老人保健施設研究大会、(4)平成29年度事業計画・予算・・・などについて協議、検討を行いました。

 平成29年度も協会事務局を中心とし、高齢者等の保健、医療および福祉の増進に寄与すべく、諸機関のご支援もいただきながら各部会が連携を密にして各事業を展開していくことを確認しました。002DSCN3752(s)

 皆様方におかれましては、今後も協会へのご理解、ご協力方賜りますようお願い申し上げます。

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