雑談

「活かされる」場所

 「『活かされる』場所」と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。高級割烹店にドーンと構えられた水槽、その中を悠々と泳ぐ鯛にヒラメに伊勢海老・・・。それもたしかにいいですね。一度は行ってみたいものですね。しかし今回はそういう話ではありません。「”『行かされる』場所”から”『活かされる』場所”へ」という話題です。

 去る1012日、西都市総合福祉センターで行われた同市の介護支援専門員連絡会の全体研修会でのこと。講師は櫻井俊司先生。特別養護老人ホームシルバースターうなまの里で生活相談員と介護支援専門員を兼務されているほか、県の介護支援専門員協会の日向・東臼杵担当理事で、介護支援専門員資質向上事業検討委員会の委員長も務め、各地で研修や講演をするなど活躍中です。介護支援専門員の実務者研修、未経験者更新研修を受講された方なら、多くの方がお世話になっているはずです。

 その桜井先生が「デイサービスセンターは、そこを利用されている方にとって、家族などから”『行かされて』いる場所”なのかもしれません。しかし私たちは、その人が”『活かされて』いる場所”にしなければなりません」と言われたのです。はっとした瞬間でした。

 この話に触れる前、桜井先生が紹介したのはマザーテレサの言葉。「この世の最大の不幸は、貧しさでも病気でもありません。自分が誰からも必要とされていないと感じることです。そして今日の世界における最悪の病は、そういう人に対する愛が足りないということです」・・・。つまり、「自分が誰かから必要とされていること」が、その人を活かすことだと思いました。そのような通所サービスをお一人お一人に提供しなければならない、そしてその内容は百人いれば百通りあるのだ、と。

 補足するように桜井先生は「寝たきりの入所の女性でも、その息子さんが面接に来て、耳元で『お母さん、また来るね』と話しかけ、元気になって帰られる。それは彼女が”必要とされている”ということ」とも言われました。これはつまり「”『生かされる』場所”から”『活かされる』場所”へ」と言えます。

 「生活」という言葉を何気なく使っていますが、この「活」という字の持つ深み、そして重みを再認識させられました。さっそく明日からの仕事に役立てたいと感じた、有意義な講演会でした。

ファイト!ケアマネ試験

  もうすぐですね!!ケアマネ試験。1028日に迫りました。受験を予定されている皆様におかれましては、準備のほどはいかがなものでしょうか?

正しくは「介護支援専門員実務研修受講試験」と称されるこの試験。昨年度は非常に難しかったとの声も聞かれましたが、今年度は介護保険法の改正もあったし、いったいどうなるでしょうか。もう既に問題は作られ、印刷も済んで、この日本のどこかにあるわけです。「ああ、事前に見られるものなら、ちょこーっとだけでもいいから見られないもんだろうか?」と思いたくなる心情はよーく理解できます。だけどそれを実際にやってしまっては犯罪になります。絶対ダメ!そんな事せずに、最後の追い込みをかけましょう!

先述の通り、「介護支援専門員実務研修受講試験」ですから、「ケアマネ試験受かったら、もうその日からケアマネヽ(^^)ノ」ではありません。合格者には、年が明けて行われる「介護支援専門員実務研修」を受ける権利が与えられる、というものです。この「実務研修」がなーかなか大変なんですわ。前期と後期があって、いずれも朝から夕方までぎーっしりのカリキュラム。おまけに前期と後期の間に実際に誰かのケアプランを作成すべく、自宅訪問して情報収集、問題点を抽出して短期・長期の目標を立てて・・・という作業があります。

でも今はそんなことを考えていてもしょうがありません。とにかく合格目指して頑張るのみですね。受験皆様のご健闘を心より祈っております。会場の宮崎大学木花キャンパスへは時間に余裕をもってお出かけください。ファイト!!

問題そのものよりも…

How you think about a problem is more important than
the problem itself — so always think positively.

 

「重要なのは、問題そのものより、問題についてどう考えているかである。だから、常に前向きに考えることだ」

 

 これはプロテスタントの伝道師Norman
Vincent Peale
(ノーマン・ヴィンセント・ピール)の言葉です(『世界のトップリーダー英語名言集』、デイビッド・セイン/佐藤淳子、Jリサーチ出版より)。

 私たちが働く老健施設においても、様々な問題が起こります。その問題自体が問題なのではなく、その問題をどのようにとらえ、考えていくか?それが大事だということです。この言葉を反すうしながら、思い出したことがありましたのでご紹介します。

 それは、当協会ケアプラン研究部会が去る91日に開いたリーダー研修会でのこと。講師の明石(あかいし)二郎先生[(社)大分県社会福祉士会理事、Healing forest ~癒しの森~代表]がこんな内容の話を紹介されたのです。

 

 「糖尿病を患っている女性のご利用者がいました。アンパンが大好きで、ご主人が『妻にアンパンを食べさせたい』と相談すると、『ありえません!』と一喝!味気ない食事の毎日で、その方は意欲も力もなくなっていきました。見かねたご主人はこっそり妻にアンパンを食べさせていた。そしてその現場を職員が発見!施設長も連れてきて『医療的指導』として厳しく叱ったのです」・・・。

 

・・・そりゃあそうだ。糖尿病の方にアンパンなんぞ隠れて食べさせたら大変だ!と思ったのですが、明石先生はこう続けました。

 

 「しかし、福祉の視点に医療を取り入れて考えると『どうやったらアンパンを四分の一切れ食べられるか?』という発想になります。つまり、アンパンを四分の一切れ食べたときに、医療的な視点からどういうことになるのかをフォローしながら、四分の一切れアンパンを食べて喜びが得られ、その人が意欲的に生き生きと生活できるよう、発送を転換することがケアマネージャーには求められてくるのです」・・・。

 

・・・なるほどなあ、これが「問題についてどう考えているか」ということなのではないかなあ、と思いました。常に前向きに、利用者様の視点になって考えることが大事だなあ、と思いました。”ハウシンクアバウト,ア,プロブレム”ですね。

鳴るか!?介護負担軽減の福音

 少々前になりますが、826日付の宮崎日日新聞。「福祉従事者の労災後絶たず」という記事が載っていました。全国はもちろん、県内でも高齢者介護施設などで働く社会福祉従事者の労働災害が後を絶たないという内容です。

 厚生労働省によると、社会福祉従事者の労災の発生頻度は全産業従事者の2.5倍にもなるとのこと。また宮崎労働局によると、県内の老人介護施設、保育施設、障害者などで働く人約25,700人で、昨年休業4日以上となった事故は51件発生しているのだそうです。そのおもな内容はぎっくり腰や骨折など。このような状況を受け、県内4つの労働基準監督署では、社会福祉施設への指導強化に着手した、と記事にはありました。この2.5倍という数値、確かに看過できるものではありません。さらに「今後も高齢化が進むのに伴って介護労働者が増え、労災の増加が懸念される」と将来の見通しについての関係者のコメントが紹介されていました。

 月が替わった913日の同紙。「最期まで自分らしく ?デンマークの高齢者介護視察記?」と銘打った連載記事の中で、デンマークでは「法律で高齢者抱え上げることが禁じられている」とありました。これは介護者の身体的負担を減らそうというもので、同国では電動の介護リフトの使用が徹底しているのだそうです。そればかりか、「リフトを使わずに腰を痛めても労災は認められない」とのこと。少なからぬ驚きをもってこの記事を読みました。

 さかのぼって730日の日本経済新聞の一面トップ記事。「介護ロボ保険対象に」と5段見出しの立った記事では、2015年から介護・福祉に役立つ先端機器(介護ロボット)への公的保険の適用を拡大するという、政府の方針が示されていました。これによれば、介護される人が使用するものに加え、介助者の負担を軽減する機器も候補になっているとこと。これにより介護従事者の人材不足の緩和に役立てる狙いがあるのだそうです。

 介護を巡る我が国や本県の現状、そして高齢者福祉の先進地として知られるデンマークにおける介護の取り組みを鑑みながら、この「介護ロボ保険対象に」の記事のように、私たち老健施設に勤める者にとって、そして何よりも利用者様本人にとって、福音がたくさん鳴り響くといいと思いながら、3つの記事を並べ、読み直してみたのでありました。

9月が終わります

 「ああ早く、9月になれば・・・、I love
you
」と歌っていたのは、もちろんオフコース。「天高く馬肥ゆる秋」と申しますが、オフコースのボーカル、小田和正さんの声は天より高くて男子高校生なんぞは1オクターブ下の音で歌わざるを得ないほどでした。今もなお、その美声は衰えを知りません。すごい。あんまりすごくて、言葉にできない()

 それはそうと、あっという間に9月になったかと思いきや、なんと今度の日曜日は三十日(みそか)。早いものです。そして月曜日からはなんと十月!Octoberです。今年も残り三ヶ月というわけです。重ね重ね、早いものです。

しかし待てよ!?オクトーバーの「オクト(oct)」って数字の”8“を表す言葉ですよね。“octagon”(八角形)、“octave”(オクターブ:8音、8行連句、8個一組のもの)、“octopus”(タコ:足8本ですね)そして“octogenarian”と言うと「80代の人」という意味で、全部“8”に関連する単語です。それなのに、八月ならいざ知らず、十月をもってして「オクトーバー(October)」とはこれいかに???実はこれにはちゃんとした理由があるのです。それは一体、どういう理由かといいますと・・・・・。

おくと、もとい、おっと。オフコースの歌から始まり、オクトの話になってついついoff courseしてしまいました。とにかく9月もあとわずかとなりました。金曜、土曜、日曜と、しっかり頑張りましょう!!

そして928日は、当協会支援相談研究部会の全体会が宮崎市の宮崎観光ホテルで14時から開催されます。講師に財団法人潤和リハビリテーション振興財団潤和会記念病院の医師、櫛橋弘喜先生を招き、『医療依存度の高い高齢者への対応』と題し、講演をしていただきます。参加を予定されている皆様は、どうぞお気を付けてお越し下さい。

口吻を洩らす

 「口吻を洩らす」は”こうふんをもらす”と読みます。「言葉の端々に内心の思いが現れる」という意味です(『広辞苑』より)。

 老健施設の利用者様のお話しに耳を傾けていると、内容が今ひとつ把握し辛い事があります。だからと言って、聞き捨ててしまうわけにはいきません。まさしく「口吻を洩らす」。言葉の端々のみならず、表情や態度に内心の思いが込められているかもしれません。それをくみ取ってやることで、相手の訴えを伺い知るきっかけとなり、それに応じたケアの提供につながるのではないでしょうか。

敬老の日です

 本日、917日は祝日です。敬老の日です。本日ではないとしても、各老健施設でも敬老会が催されているものと思われます。

 介護老人保健施設で働く者にとって、何をさておいても、「敬老の精神」こそは、最も大切にしなければならない心構えと言えるでしょう。

 この機会に、「介護老人保健施設の理念と役割」をおさらいしたいと思います。公益社団法人全国老人保健施設協会が毎月発行している協会機関紙、「老健」からそれを抜粋し、以下に記します。さあ、今日もがんばりましょう!!

 

「介護老人保健施設の理念と役割」

 介護老人保健施設は、利用者の尊厳を守り、安全に配慮しながら、生活機能の維持・向上をめざし総合的に援助します。また、家族や地域の人びと・機関と協力し、安心して自立した在宅生活が続けられるよう支援します。

 

1.包括的ケアサービス施設

 利用者の意思を尊重し、望ましい在宅または施設生活が過ごせるようチームで支援します。そのため、利用者に応じた目標と支援計画を立て、必要な医療、看護や介護、リハビリテーションを提供します。

2.リハビリテーション施設

 体力や基本動作能力の獲得、活動や参加の促進、家庭環境の調整など生活機能向上を目的に、集中的な維持期リハビリテーションを行います。

3.在宅復帰施設

 脳卒中、廃用症候群、認知症等による個々の状態像に応じて、多職種からなるチームケアを行い、早期の在宅復帰に努めます。

4.在宅生活支援施設

 自立した在宅生活が継続できるよう、介護予防に努め、入所や通所・訪問リハビリテーションなどのサービスを提供するとともに、他サービス機関と連携して総合的に支援し、家族の介護負担の軽減に努めます。

5.地域に根ざした施設

 家族や地域住民と交流し情報提供を行い、さまざまなケアの相談に対応します。市町村自治体や各種事業者、保健・医療・福祉機関などと連携し、地域と一体になったケアを積極的に担います。また、評価・情報公開を積極的に行い、サービスの向上に努めます。

「みる」ということ

 828日の日本経済新聞には「みる」ということに関連する記事が上下に並んでいました。一つは「人工網膜で視力回復」という記事。これは、病気で失明した患者に人工の網膜を埋め込んで視力を一部回復させるという大阪大学の実験。失明患者の目の裏側に電極を付け、電気で網膜などを刺激するのだそうです。網膜色素変性症の患者3人を対象に臨床試験を行い、長期間の安全性などを確かめるとのことでした。

 もう一つの「みる」ということに関する記事には、「1センチの顔でも瞬時に人物照合」という見出しがありました。これは、NECが人の顔を見比べる精度を大幅に高めた認証システムを開発したという内容。見出しにある通り、1センチ角の画像でも認証でき、その人が年をとっていても対応が可能で、髪型やまゆの形が変わったり、太って顔の輪郭が大きくなっても見間違うことは少なく、見間違う確率は0.3%というから驚きです。

 いずれも「みる」ことに関する革新的な、そして今後大いに期待と関心がもたれる記事だと思って読みました。その一方で、私たちがよく用いる「みる」という言葉を思い返してみました。

 

 ○見る:視覚によって対象をとらえる。また判断する※(1)

 ○観る(観ずる):よく観察し思い巡らせて正しく知る※(2)

 ○診る:医者が患者の具合を調べる※(1)

 ○看る(看):(よく見る。見まもる。みとる)※(2)

 ○視る:みる。注意してよく見る。みなす、・・・として扱う※(2)

 ○覧る:一通り目を通す。広く見渡す※(1)

 

 一口に「みる」と言っても、このように色々な意味合いがあります。私たち老健施設で働く者にとっても、さまざまな「みる」を、その時々に使い分けていかなければならないのだということを、記事を読みながら改めて感じました。

 コンピュータの進歩により、様々な分野で技術革新が進んでいる昨今です。近い将来、老健の利用者様をカメラでとらえて、「この方は微熱があるようです」「こちらの方は食欲が無いようです」「あちらの方はお悩みを抱えているようです」「その方は昨日と比べて歩き方が不安定で、転倒の恐れがあります」などと瞬時に判断できるようになるかもしれません。もしそうなるとケアを行う上で大変有効な手段になると思います。しかし現実にそうなったとしても、その情報を活かすも活かさないも私たち次第。常日頃から「みる」ということの大切さを忘れずに業務に励もうと思います。

 

(1)ATOKでかんたんビューforニコニコ大百科

(2):広辞苑

よりそれぞれ引用。

夏のクラクションが聞こえるかも?

 831日です。8月も終わりです。海沿いのカーブを白いクーペで曲がったら、夏も終わるのでしょうか・・・って、これは稲垣潤一の「夏のクラクション」ですね。これは優しすぎる女性に甘えすぎていたために別れてしまった事を反省しながら、もう一度彼女とやり直せないだろうか、と二年以上経っても想い続ける男性の悲哀を歌った名曲です。

この「夏のクラクション」、831日に車中で聴く曲ナンバーワンソングと言っても良いのではないか、と個人的に思うところであります。実際に歌の通りにやった人もいるのではないでしょうかって、かくいう私もその一人ですが(^_^;)

 ただし、傷口にジンを注いではいけません!痛いどこの騒ぎじゃ済みません。また、傷跡をナイフで触れてもいけません。傷口が開きます。そしてもちろん、クラクションは不必要に鳴らしてはいけません。周囲に迷惑がかかります。それどころか、道路交通法第54条(警音器の使用等)第2項の規定によりますと、クラクションは警笛区間や危険な場合以外には使用してはならないとのことで、これに違反した場合、2万円以下の罰金又は科料なんだそうです。

 それにしても、「夢をつかまえて」と泣きながら波間で手を振っていた彼女は今頃どうしているのでしょうか?別な誰かと幸せに暮らしているのでしょうか?そして失恋した男性の夢はかなったのでしょうか?今から29年前、1983年のヒットソングです。白いクーペはもう廃車でしょう。二人とも介護保険の保険料を支払う年齢になっていることは間違いないようですが・・・。でも、耳を澄ませば、今でも「誰かのクラクション」が聞こえるかも?って、これは尾崎豊の曲でした。

 とにかく831日です。「夏のクラクション」を聴きながら、ちょっとしんみりした気分になるのも悪くないかなあ、と思った次第です。ちなみに、宮崎県の海岸線は約400キロメートル。走って、みますか?

終わらない夏

 行く夏を惜しむかのように、若者達が寝る間も忘れて青春を語り合う姿を見かけます。若さっていいものですね。

 そんな光景を見ていると、「少年たちの終わらない夜」という小説を思い出しました。著者は鷺沢
萠(さぎさわ めぐむ)さん。河出書房新社から初版が1989929日、そして1992220日には23版が出ていますから、読まれた方も多いかもしれません。ドラマ化もされたんじゃなかったでしょうか。

 この本は、表題作の他、「誰かアイダを探して」「ユーロビートじゃ踊れない」「ティーンエイジ・サマー」の4作品からなります。高校生から高卒、大学生(19歳)までのエネルギッシュだけれど、やり場が無い、煮え切らない、多感で微妙な年頃を描いています。タイトルからして、若さムンムンです。

 ただし、内容そのものは、そんなに重たいものではありません。軽く読み進めていくことができます。ところがそうは問屋が卸さない。読んでいくにつれて自らの若かりし頃の思い出が蘇って来るのです。別に小説の内容が自らの体験と重なるわけではないのですが、作品のストーリーと自らの思い出が、頭の中で同時に進行し、展開していくような、そんな不思議な感覚になってしまうのがこの本の魅力じゃないかと思います。

 読み終わったらちょっとセンチメンタルな気持ちになってしまいます。何だか著者の思うつぼにはまったかな?と思いますが、別に悔しくもありませんし、むしろ「あの頃を思い出させてくれてありがとう」という感謝の気持ちが湧いてきました。夏の終わりのこの時期にしんみりできる一冊です。

 なお、作品中で未成年者が飲酒したり、喫煙したりするシーンが出てきますが、当然ながら当協会は未成年者のそれらの行為を薦めるものではありません。作品は薦めますが、未成年者の飲酒、喫煙は法律で固く禁じられていますので申し添えます。

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