老健みやざきブログ

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その11)

2014年1月20日 | 協会活動報告

【ハラスメントの対処方法(1)事実関係の迅速かつ正確な確認

ハラスメントの対処方法を資料に示しています。まず「事実関係の迅速かつ正確な確認」ですが、これには10項目あります。

(1)事情聴取の対象

 相談者、行為者双方からの事情聴取が必須です。双方の主張に不一致があったり、事実確認が不十分である場合には第三者から聴取することも必要です。

(2)誰が聴取するか

人事部の担当者や専門の委員会など、中立・公平な立場の人が行うことです。また承諾を得て録音したり、複数の人がそこで確認することが必要です。一対一だと後になって「そうじゃなかった」という問題も発生しかねません。聴取日や聴取者、対象者などを書面に記録することが適切な対応につながります。

(3)聴取対象者の発言を誘導しない

聴取する側が決めつけて、「○○ということじゃなかったのか?」だとか、「○○だったんだろう?」などという言い方をすると、記憶を歪めてしまう恐れがあります。

(4)聴取対象者の話をそのまま記録する

これは話をどこまで信用すべきかの重要な材料となります。

(5)過度な同情、否定(疑い)、反論は禁物

最初から「そんな奴は許せないね」などと言って同情し、安心感を与えておきながら、あとから聞いたらそうじゃなかった、誤解だったと否定されると、「裏切られた」という不信感につながります。冷静に事実関係を確認することが大事です。

(6)言い分が異なる場合

どちらの証言の内容がより具体的か、内容に変遷はないか、整合性はあるか・・・などで判断せざるを得ません。「そこまでするか?」と思われるかもしれませんが、場合によっては外部の専門家に依頼することも考える必要があるかもしれません。

(7)関係者の処分とフォロー

行為者に対しては必要な懲戒もしくはその他の措置を講じるとともに、関係改善に向けての援助も必要です。さらに、さらに暫定的に部署や職場の異動といった配置転換や自宅待機なども考えなければなりません。

その一方で、被害者の不利益を回復させることも必要です。

(8)情報管理

まず「うわさや中傷はここで止める」という二次被害の防止です。そして対処方法やプライバシー保護のための規定を整備することです。窓口担当者の研修も大事です。

(9)相談者・協力者に対して

 「相談者や協力者の不利益になるような取り扱いは一切しません」など、必要な措置を講じていることを広報・啓発することでプライバシーの保護に努めることも必要です。

(10)損害賠償等の要求を受けた場合

損害賠償などの要求を受けるかもしれませんから、そういう時にどうするか?ということも考えておかなければなりません。事実が判明している場合は一定の責任を負いますから、被害者と話し合うことになります。一方、確認不明の場合は要求に応じることはできず、押し問答になりかねませんから、そうなったら第三者機関を通じた解決の道を探ることになります。

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(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その10)

2014年1月17日 | 協会活動報告

【職場の「ハラスメント」の特徴】

 職場のハラスメントには、共通して次のような10個の要素があります。

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 これらの共通要素を行為態様から類型化すると次の5つになります。

《第1型「仕事上の意思疎通に対する攻撃」》

(1)上司はあなたの意見を述べる機会を制限してかかる

(2)あなたは絶えず干渉される

(3)同僚や仕事の協力者が、あなたの意見を述べる機会を制限してかかる

(4)あなたの仕事が絶えず非難される

(5)あなたの私生活が絶えず非難される

(6)電話で脅される

(7)言葉で脅される

(8)脅し文句をしたためた文書が送りつけられる

(9)顔色や仕草でもってつきあいを避けられる

(10)当てこすりを通じてつきあいを避けられる

 

《第2型「職場における人間関係形成に対する攻撃」》

(1)人びとがもはやあなたと言葉を交わさなくなる

(2)あなたは誰とも言葉を交わさなくなる、人とのつき合いができないようになる

(3)隔離された職場に配置される

(4)同僚たちがあなたと言葉を交わすことが上司から禁止される

(5)あなたがいないかのように扱われる

 

《第3型「信用名誉に対する攻撃」》

(1)人々が陰であなたの悪口を言う

(2)根も葉もない噂が流される

(3)あなたが物笑いの種にされる

(4)精神を病んでいるかのように扱われる

(5)精神鑑定診断を強制的に受けさせられる

(6)障害のあることを嘲笑される

(7)人々があなたの仕草、歩き方、声を真似してあなたを笑いものにする

(8)あなたの政治信条や宗教上の身上を笑いものにする

(9)あなたの私生活を笑いものにする

(10)あなたの国籍を笑いものにする

(11)あなたの自尊心を傷つけるような仕草を強いる

(12)あなたの努力が正しく評価されず、悪いさげすんだ判断が下される

(13)あなたの決定に対し絶えず疑いの目を向けられる

(14)あなたをさげすむような名前で呼ぶ

(15)性的あてこすりを受ける

 

《第4型「仕事の遂行に対する攻撃」》

(1)あなたは何ら特別な仕事が与えられない

(2)上司に仕事を取り上げられた、新しい仕事ももらえない

(3)無意味な仕事が与えられる

(4)あなたの能力以下の仕事を与えられる

(5)絶えず新しい不慣れな仕事が与えられる

(6)自尊心を傷つけるような仕事が与えられる

(7)あなたの信用失墜を図って、能力以上の仕事が与えられる

(8)一般的な損害に対して、あなたに金銭的負担を負わせる

(9)あなたの家庭や職場に損害を与える

 

《第5型「健康への直接攻撃」》

(1)あなたは体力的に骨の折れる仕事を強いられる

(2)身体的暴力が加えられるという恐怖心を起こさせる

(3)ちょっとした暴力を行使してあなたをおびえさせる

(4)身体に虐待を加える

(5)あからさまな性的嫌がらせをする

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その9)

2014年1月16日 | 協会活動報告

【ハラスメントの対処方法:いかに発見し対処するか】

《認識・・・変化を見つけ出す》

 

 ハラスメントにどう対処すればいいでしょうか。まず、当事者、個人に対して職場でどんな攻撃がなされるか、それを皆さん察知してほしいと思います。

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 当事者、個人に対する攻撃は上の通りで、このような変化があると、「ちょっとハラスメントの問題が出ている」ということになります。

 

 次に、職業上の脅しは下の通りです。

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これらはその人を評価できる立場にある人や、異動する権限を持っている人によるものです。

 

【職場の「ハラスメント」のプロセス】

 資料に「1個の悪性化した癌細胞が急速に広がり生きている組織を破壊する」と書いていますが、これが「ハラスメントをそのままにしておくと大変なことになる」ということを意味しています。ですから「早期の段階で『治癒』が必要」と書いています。

 ハラスメントのプロセスは(1)不和、(2)攻撃的行為、(3)管理者層が「加担」する、(4)被害者に対する「烙印」、(5)組織からの「排除」・・・というステップをたどります。

 ステップ(1)の「不和」は、潜在的な職場いじめの段階です。従業員間で仕事上の意思疎通などで意見の衝突が生じている段階です。

 ステップ(2)の「攻撃的行為」は、従業員間で攻撃的な加害行為が発生する段階です。攻撃には意思疎通に対するものや人間関係形成に対するもの、信用名誉に対するもの、仕事の遂行に対するもの、そして健康に対するものなどがあります。

 ステップ(3)の「管理者層が『加担する』」の段階では、管理者層が加担するだけでなく、被害を「見て見ぬふりをする」、つまり放置するという問題も出てきます。

 ステップ(4)の「被害者に対する『烙印』」では、被害者は「気難しい人、精神疾患にかかっている人」といった烙印が押され、精神的に追い込まれる流れができてきます。

 ステップ(5)の「組織からの『排除』」では、被害者は自主退職あるいは無断欠勤を理由に解雇され、心的外傷後ストレス症(PTSD)に陥り、職場の秩序は乱れ、会社の信用や名誉は落ちていくことになります。

 ですから「癌細胞は早いうちに治癒することが必要」というわけです。

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その8)

2014年1月15日 | 協会活動報告

【ハラスメントの要因】

一般的にハラスメントの要因とされるのは経営と労働環境です。具体的には(1)経営が惰性的でスタッフのレベルが高い事業場、(2)広範な競争概念を導入した経営方法、(3)慢性的な人材不足と過重な動労負担、(4)職務内容が不明確だったり、仕事のやり方がうまく組織化されていない、(5)過度の階級性:指示系統が複雑、(6)不十分な指示と情報不足・・・などがあげられますが、これらは非生産的な職場です。一生懸命頑張っても成果が上がりにくいといえます。

また、立場や地位の違いによる問題、つまり力の濫用があります。ハラスメントの問題が最初に生じた現場は、実は学校です。いわゆる「アカデミック・ハラスメント」であり、アメリカの大学で、教授と学生という立場の違いから生じたものです。学校にはこれに加えて幹部教員と一般教員、先輩教員と後輩教員、教員と講師、教員と実習生、部活の顧問と部員、PTA役員と新任教員などといった立場の違いがあります。本来その力の違いを正しく上手にコントロールするとより良いものになっていくものですが、そこ「濫用」が入ってくると問題が出てきます。

 職場においては雇用者と被雇用者という雇用の関係がありますし、人事考課の考課者と被考課者という関係があります。事務職と現業職という関係、正社員と臨時職、パート、アルバイト、嘱託などという関係もあります。学歴の違いもありますが、これは採用の時に一定の基準を上回っているから経営者や人事担当者が採用したものですから、「高卒だからだめだ、○○大学ではだめなんだよね」などというのはおかしな話です。

 病院や老健施設においても、医師と看護師、医師と患者、看護師と患者、医師・看護師と介護職・一般職員、介護者と被介護者などといった立場や地位の違いがハラスメントの要因になりかねません。

皇帝ナポレオンは「人間を動かす2つのコテがある。それは恐怖と利益である」と言ったそうですが、ハラスメントの諸問題の根本的な原因はここにあると思います。「俺の言うことを聞けばほうびをやる」と。しかしナポレオンは成功したでしょうか?最後は島流しにあいました。

「私はこの2つに『尊敬』を加えたい。『リーダーは、利益と尊敬と、少しの恐怖で組織を動かしていくべきで、その潤滑油が『笑い(ユーモア)』だ」と言ったのは元プロ野球監督の野村克也さんです。「少しの恐怖」とは叱咤激励と適切な指導ということだと思います。そうやって組織を動かしていく上での潤滑油が笑い、ユーモア、これも必要です。また「利益」とは正しい評価と言えます。皆さんもこのことを覚えておいてください。

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(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その7)

2014年1月14日 | 協会活動報告

【ハラスメントが生活の質と社会的負担に及ぼす影響:家族と社会的ネットワークに対して】

 ハラスメントが家族と社会的ネットワークに及ぼす影響には次のようなものがあります。

 ○集会の回避

 ○体調不良と病気の訴え

 ○社会参加を放棄

 ○家族と疎遠

 ○他の仕事に適正を得ることが困難

 ○父親、配偶者、息子/娘としての役割と責任の放棄

 ○家族問題に耐えられなくなる

 ○交友関係の希薄化

 ○収入の喪失

 ○共同作業を放棄

 ○婚姻問題と離婚

 ○医療費の増加

 ○怒りを爆発

 ○暴力

 ○子供の学業成績が低下

 私は家庭裁判所でも仕事をしていますが、時折離婚の問題や、離婚後の紛争調整などをする中で話を聞いてみると、一方が・・・特に男性が多いのですが・・・、うつ病の人がおられて、「ご主人がうつ病で、ずっと耐えてきて、子供にも『お父さんは病気だから』と耐えさせてきたけど、私も辛い、自由が欲しい」と奥様が離婚を決意したという事もあります。

 また、子供が進学の時に「お父さん、どうしようか?」と聞いてもそれに集中できない。家族が本当に必要な時、本当に意見が必要な時にそれができない、そんな問題があります。

 このようにハラスメントは職場だけでなく、個人的にも様々な影響を及ぼします。大変辛いものです。

 

【ハラスメントが生活の質と社会的負担に及ぼす影響:事業主に及ぼしうる影響(損失)】

 ハラスメントは事業主にも影響を及ぼします。まず退職金が増えます。中には「うちは3年以内に辞める者が多いから退職金は払いませんよ」という人もいますが、それはおかしな話です。また企業イメージが悪化します。辞めた理由が業務に起因していて、その人が労災請求したり、また民事的に請求すると企業の名前が出てくる場合もあります。訴訟費用も発生します。

 また優秀な人材が本来の仕事ができない状態になると、他の施設よりサービスが低下し、競争力も下がります。仕事に適さない人材が増加すれば、一部の人に過重な負担がかかるという悪循環に陥ります。そうすると従業員の転職率が増加につながってしまいます。

 ハラスメントの状態が続くと、「それを見るのが忍びない」と有能な人も辞めていきます。生産性は低下し、意欲や満足度、創造力も低下します。配置換えや新人の採用を何度も行うとその費用や時間も必要になります。

 

【ハラスメントが生活の質と社会的負担に及ぼす影響:社会的負担に及ぼす影響】

 社会全体を見ますと、早期退職給付や能力障害、失業による高負担などにより、福祉の負担が増大することから、社会全体が被害を受けることになります。国がメンタルヘルス対策を進めていく理由の一つに、少子高齢化が進んで、労働人口が減っていく中で、いろいろな労働問題や職場の問題で職場を離れていく人たちが増えると、労働人口がさらに減り、そのために国全体が停滞しかねないという恐れがあるからです。それでやらなくちゃならないということで国をあげて取り組んでいるわけです。しかしなかなか難しい問題です。

IMG_8934.JPG(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その6)

2014年1月13日 | 協会活動報告


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【ハラスメント健康に及ぼす影響:うつ病】

精神的、心理的ハラスメントは、うつ病、不安障害、適応障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、健康に様々な影響を及ぼします。この中でまずうつ病について話します。

うつ病は職場でもっとも多い、こころの病の代表格です。これは抑うつ状態を繰り返す病気で、自殺の背景にうつ病が多いと考えられていて、特に20代から30代の死亡原因の第一位が自殺だと言われています。

うつ病に見られる自覚症状には(1)睡眠障害(本当は眠たいのに眠れない、朝早く目が覚めてしまう)、(2)食欲低下(食べたいと思わない、何を食べてもおいしくない、砂をかむようだ)、(3)作業能力の低下(頭の回転が落ちる、作業に時間がかかる、ミスが多くなる)、(4)意欲低下(何をするのもおっっくう、集中困難、決断ができない)、(5)社会的関心の低下(人に会いたくない、新聞やテレビを見る気にならない)、(6)抑うつ状態(気分が沈む、生きている実感がない、自分一人が取り残されている感じ、生きているのがつらい、生きていても仕方がない感じ)、(7)異性に関心が持てなくなった、(8)自殺念慮(死ねば楽になるだろうと思う、死にたいと思う)・・・などがあります。

次に他覚症状としては、?顕著な体重減少(1か月で5から10kg)、?土気色の顔色、表情の豊かさの減少、目つきの力の欠如、?単調で力のない話し方・・・などがあります。

いつもと違う状態や、自覚症状が2週間以上続く場合は要注意です。専門医の受診や産業保健スタッフ等への相談の目安となります。

うつ病を例えるならば、「人が生きていくために必要としている”命のエネルギー”が欠乏している状態」です。したがって、うつ病の治療は、「命のエネルギー」をうまくためることです。その治療の第一はまず休養・休業です。職場から離れる期間は3か月程度が目安です。第二には抗うつ薬を飲むこと、そして第三には心理療法および環境調整です。

 

【ハラスメント健康に及ぼす影響:不安障害/パニック障害】

パニック障害は、動悸や息苦しさ、震え、吐き気、目まいなど、パニック発作を主症状とするものです。また「死んでしまう」などの恐怖感に襲われることもあります。これらは救急車で搬送されても、病院到着時に症状が消えてしまいます。さらに、予期不安(またなるかもしれない不安)や広場不安(逃げ場のない場所、大勢集まる場所等での発作への不安と恐怖)なども起きます。

このようなパニック障害は、医療機関の適切な指導や治療が受けられない場合も多いため、慢性化しやすく、うつ病へとなりやすいので注意が必要です。

 

【ハラスメント健康に及ぼす影響:不安障害/強迫性障害】

強迫性障害の症状には、こだわり(頭では”ばからしい”と思いながらやってしまう)、強迫観念・強迫行為,不潔恐怖(トイレに行った後にばい菌で汚染されていると感じ、何度も手を洗ってしまう:洗浄強迫)、確認強迫(鍵を何度も確認する)、儀式(何か行動する時に、決まった順番にしないと気が済まない)、などがあります。

強迫性障害の治療には抗うつ薬(SSRI)や、認知行動療法などがあります。日常生活に支障をきたす場合は根気よく治療することが必要です。

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その5)

2014年1月10日 | 協会活動報告

【パワーハラスメント行使危険度チェック項目】

 

 「パワーハラスメント行使危険度チェック項目」の17項目を示します。こういう傾向があると危険だと言えます。

 

 1.目障りな部下がいると人一倍気になる

 2.つい、しつこく言ってしまう

 3.部下(人)の人間性まで攻撃してしまうことがある

 4.自分の部下は皆ほとんど意見をいわない

 5.人一倍仕事のストレスを強く感じている

 6.部下(人)を叱るとき、人前か否か関係ない

 7.部下(人)と酒(お茶)を飲むとつい説教をしてしまう

 8.自分はどちらかというと攻撃的なほうだ

 9.人に対して嫉妬心が強いほうだ

 10.できの悪い部下ばかりいるような気がする

 11.自分はこれまで上司のパワハラを耐えてきた

 12.自分は完璧主義者だと思う

 13.病気がち、休みがちな部下が多い

 14.部下は上司の意見に異を唱えてはならない

 15.部下を叱るときは厳しく言う

 16.自分の能力や威厳を誇示する傾向がある

 17.自分の部下は職場を辞めていく者が多い

 

 ご自身の傾向がどうなのか、チェックされるといいと思います。11番などは辛いですね。「自分はこれまで耐えてきたのだから、部下が耐えるのは当たり前だ」など、悪い習慣を継承していくのはいけません。自分を振り返る機会にしてください。

 

【トラブルを起こす人への対応のポイント】

 

 それではトラブルを起こす人に、どのように対応すればいいのでしょうか。まずは話し合いの場を持つことです。批判的になったり、感情的になると問題が別な方向に行ってしまいます。非倫理的になってはおかしくなりますので、遅刻や無断欠勤、規則違反など、客観的な事実をその都度確認し、理由を聞いて注意し、記録します。その際、就業規則などの根拠を示し、「いっしょに見てみましょう。私がこの第一項を読むから、第二項はあなたが読んで」などと確認していくと理解がしやすくなります。また対応者が変わっても同じ対応を貫き、例外をつくらないことも大事です。

ただし、その人のトラブルの原因となるものが、ご本人の健康上の問題なのか、組織の労務管理の問題なのかを分けて考えることが重要です。仕事がしにくい環境がトラブルの原因なら改善していかなければなりません。そして、一番つらいのは同僚や上司かもしれませんので、その人たちのケアも忘れないでください。

 

【厳しい指導で定評のある二人の管理職の違いの特徴】

同じ「厳しい指導で定評のある管理職」でも、問題を起こしやすい管理職と、部下や周囲の信頼が厚い管理職とに分かれます。

自己防衛的で都合が悪いと逃げたり、感情のまま怒鳴ったり、何でも部下の弱さのせいにする管理職は問題を起こしやすいと言えます。一方、自分の意見をむやみに押し付けず、まずは部下の話にじっくり耳を傾け、自分の過ちや欠点は潔く認める管理職は、たとえ指導が厳しくても信頼されます。

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(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その4)

2014年1月9日 | 協会活動報告


【職場における対立】

 

職場における対立はおそらくあると思います。「対立」というと敵対的なもののように思えますが、健全な対立もあります。競争は目標に到達する手段になりますが、対立と論争を生むことがあります。上司との間で意見の相違などのあつれきが生じる場合がありますが、これは組織体である企業においては避けがたいものです。なぜなら、もっとよいサービスを提供しよう、もっと地域社会から認められようとすると色々な意見を出し合います。そうすると言い争いが生じますが、それは良い方向にもっていくためのものならば、健全な対立です。逆に上司と部下の意見が常に一致している職場は不健全だと言えます。何も言わないという職場です。上が言えばそれで通る、という職場は建設的であり生産的であるか、というとそうではありません。

問題となるのは「非倫理的行為」です。これは非生産的な職場になってしまいます。職場の雰囲気が不透明になったり、コミュニケーションがあいまいになったりして、敵対的な関係が生まれます。もしそういうことがあれば、企業の理念、基本方針は達成することができません。

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【パワハラと指導】

「パワハラと指導はどう違うのですか?」とよく聞かれます。この線引きはなかなか難しく、簡単にはいきません。ただしこれに関して、「目的」、「業務上の必要性」、「態度」、「タイミング」、「結果」の5項目を見てみるとわかります。

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私が持っている資料を見てみますと、宮崎県の介護関係の事業所で介護を辞めた人のその理由として一番多かったのは「収入の問題」で全体の26パーセント、次が「法人や施設の理念や運営のあり方に疑問があったから」で、その次に来るのが「職場の人間関係に問題があったから」と続きます。この「施設の理念や運営の有り方」というのは、職場の秩序や環境という問題も入っているかもしれません。

これを全国の介護老健保健施設で見てみると、1番が収入の問題ですが、2番目に職場の人間関係が27パーセントで続きます。このように職場の人間関係を理由に辞めていく人が少なくないことがわかります。

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その3)

2014年1月8日 | 協会活動報告

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 どの病院や施設にも、それぞれその理念や基本方針があると思います。その中には「利用者やその家族に納得していただける医療・介護・福祉サービスを継続して提供する」といった内容が盛り込まれていると思いますが、ということは、そこで働く皆さんの心身が健康でないといけません。職場の人間関係が良好でないと実現は難しいです。

 また職員の資質向上や人材育成、チームワーク等もあると思いますが、ハラスメントはその逆です。チーム医療の推進どころか、停滞や後退してしまいます。「相手の立場に立った目配り・気配り」も、利用者の立場に立ったものでしょうが、まずは職員同士での目配り・気配りができないとうまくいきません。健全な経営管理ができず、地域から信頼されず、施設閉鎖ということもあり得ます。

 

【労働関係におけるハラスメント】

 私は宮崎労働局で働き方・休み方改善コンサルタントをしていますので、労働関係について少しは承知しています。職場ハラスメントには(1)モラル・ハラスメント、(2)パワー・ハラスメント、(3)セクシャル・ハラスメント・・・の3つがあります。

 モラル・ハラスメントとは、言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせる行為をいいます。

 パワー・ハラスメントとは、管理、監督者またはこれに準ずる者がその地位または職務権限を利用し、これに抗しがたい地位にある者に対して、就業上、著しい不利益を与える行為または業務を妨げる行為、また管理、監督者またはこれに準ずるものが不適切な行動または差別的な取扱いにより、就業上の環境を害する行為をいいます。

 セクシャル・ハラスメントとは、時・場所・相手をわきまえずに、相手を不愉快にさせる性的な言動のことです。セクハラとなるかどうかは、あくまでも平均的な女性(男性)がその状況で、そのような言動を受けた場合、不快と感じるかどうかを基準に判断されます。

 この「ハラスメント」とはどういうことでしょうか。これは、「嫌がらせ、いじめ」の事です。英語では「苦しめる事、悩ませること、迷惑」という意味です。また、「モビンング」という言葉もあります。これは「頻繁に繰り返される組織的な嫌がらせ」という意味です。この「ハラスメント」と「モビング」はどう違うのかというと、実は同じような意味です。

 さて、労働関係におけるハラスメントですが、ベルギー法による「労働関係におけるモラル・ハラスメント」の定義があります。これによると、「企業や施設の外部あるいは内部において、とりわけ言動、言辞、脅迫、行為、身振りおよび一方的な書きつけによって表現され、労働の遂行の際に、労働者の人格、尊厳もしくは肉体的あるいは心理的な統合性を損なうことを目的とする、またそのような効果をもたらし、その雇用を危険にさらし、もしくは威嚇的な、敵対的な、品位を貶める、屈辱的なあるいは攻撃的な環境をもたらすあらゆる性質の過度に繰り返される行為」と、法律でしっかり定義されています。この定義が全てあてはまるような職場だと、その職場は戦いの場所になってしまいます。無秩序の場所となってしまうかもしれません。

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その2)

2014年1月7日 | 協会活動報告

【講演の骨子】

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 私は宮崎に来て22年になります。出身は福岡県の北九州市で、ここに来る前は神戸にいて、東京、下関、久留米、埼玉、横浜など色々な所にいましたが、この年齢になってみると、宮崎が一番いいと思います。

 皆さんの仕事は大変だと思います。私の母親も北九州市の老健施設に入っていました。職員に大分迷惑をかけていたのではないかと思いますが、皆さんも本当にストレスの多い仕事をされていると思いますが、でも大きな社会貢献をされています。自らこの仕事を選んで、頑張っていらっしゃることに深い敬意を示したいと思います。

 さて、平成24年の宮崎県民意識調査の中で「あなたにとって『豊かさ』とは何ですか?」という設問がありました。「豊かさ」とは抽象的ですが、「満ち足りた気持ち」とか、「満足度」、もう少し言えば「幸福感」かもしれません。これに対して「心身の健康」、そして「家族と周囲との良好な人間関係」と答えた人が非常に多くいました。この「周囲との人間関係」とは、皆さんにとっては職場や仲間との人間関係と言えます。それと心身の健康とが幸福感につながるわけです。

 しかし、今日の講演のテーマになっている「ハラスメント」はその逆です。色々な問題がでてきます。世界保健機関(WHO)の疫学調査によると、世界におけるうつ病の有病率は人口の5パーセントにあたる35千万人と言われています。また人生において女性は5人に1人、男性は10人に1人がうつ病を経験すると言われています。日本では15人に1人が生涯に1度は経験すると言われています。「経験」ですから、うつ病の質や期間は人によって違います。私も「あのときはへこんだな」という時があります。大きな病気をして、今でも月に一度精密検査をしていますが、ずっと付き合っていかなくてはいけない病気です。妻もへこみました。

 このように、誰しも人生の中でいろんなことがあり、その中で心身の不安定な状況に陥ることがあって、それが強い場合もあれば、そうでない場合もあります。今までにあった人もいれば、これから先にある人もいるかもしれません。

 ストレスの度合いを調べる方法として調査票による簡易ストレスチェックがあります。要チェックの人は医療機関に相談をして下さい。

 

(※心理的ストレス反応、身体的ストレス反応、調査票の評価等について、スライドを用いて説明がありました。厚生労働省ホームページの「5分でできる職場のストレスチェック:https://kokoro.mhlw.go.jp/check/:を活用されるとよいかと思います」

 

 ストレスと付き合うというのは難しいのですが、「気分転換をする」、「落ち着ける環境を。休憩時間に音楽を聴くなど独自の空間を」、「趣味を持つ」、「ストレス解消にタバコやお酒に頼らない」、「内にためずに言葉に出してみる。日記に書くなどもよい」などといったポイントがあります。むずかしいのですが、付き合っていかなければなりません。

 また、笑うことはいいことです。笑うことでナチュラルキラー細胞が活性化されると言われていますが、「最近笑ったことがない」という方もおられるかもしれません。自然を親しむ機会を持ったり、ウォーキングなどの適度な運動をするのもいいです。そして「友人や家族、同僚、上司など、親しい人達とのネットワークを作る。助け・助けられる関係を作る」というのがとても大切です。しかし、ハラスメントの問題というのはこういった関係を壊してしまいます。いろんな影響を及ぼしてしまいます。これがとても残念なことなのです。

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(つづく)

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