「塩麹の伝統」学びました(栄養・給食部会:その2)

  日本の知的財産である発酵文化を次代へ伝えるため、新しい使い方を提案し、広げていこうと、講師浅利妙峰先生が9代目当主を務めるこうじ専門店「糀屋本店」では、様々な商品を開発・販売しています。また、『浅利妙峰が伝える はじめての糀料理』をはじめとする書籍類も好評を博しています。

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(↑この日は著書の販売も行われ、受講者が次々と買い求めていました)

 こうじの歴史や文化をひもといてきた浅利先生は、未来に向けた話、さらに生き方についての話に移り、糀で「食」と「人格」と「命」をつなぐことや、講演のテーマでもある「医食同源」、そして「食べることは生きること」として「食育」の大切さなどについて言及しました。この中で、食べる前の「いただきます」は、神仏、そして食べ物の命に感謝の意を込めて述べるもので、特に後者については「あなたの”命”をいただきます」という意味であり、我々人間は食べ物の命を犠牲に生きており、それを無駄にすることなく、命に対する感謝と畏敬の念を持つことの大切さを学びました。それだけでなく、育ててくれた方、獲ってくれた方、料理した方にも感謝を捧げ、命を輝かせ、立派に生きる自覚が大切だと教わりました。

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また、「健康」という言葉は”すこやかな体”を意味する「健体」と”やすらかな心”を意味する「康心」からできており、「食べたもので身体は作られている。健康はひとり立ちしているのではない」とし、人工のものをやめて天然に従うこと、そして心を広く大きく持って楽しい状態でいることが重要とのことでした。

 そして浅利先生は「未来設計図」』を書くことを提唱しました。これは(1)人生の目標、(2)3か月後に死ぬとしたらどうするか?(3)1年後に成し得たいこと、さらに(1)(2)(3)の中で大事なものを3つ上げる・・・を1分間で書き上げるというもの。「最初のうちは1分間で書けと言われても出てきません。そういうことを考えて生活していないからです。しかし3ヶ月、6ヶ月とやっていくと書けるようになり、必ず自分が変わります。書いて決まったところに置いておくようにしておくといいです」と言い添えました。

さらに「『必ず良い方向に向かう』という強い意志を持って取り組みましょう」とし、「”無理”、”ダメ”、”できない”を言わず、”ほめる”、”認める”、”素直にすごいと言う”など、『言霊(ことだま)』を使って成功に導きましょう」と呼びかけました。加えて「『大器晩成』は魔法の言葉です」とし、「『大丈夫!あなた(私)は”大器晩成”』とあきらめずに声に出して言い続けると必ず伸びてきます」と説明すると、受講者はうなずきながら聞いていました。

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「糀で世界中の食卓に笑顔が集い、みんなのお腹を元気にして命を輝かす」のフレーズを世界地図の上に掲げ、その下に「目指せ ノーベル平和賞!」と書いたスライドを示した浅利先生の眼は生き生きと輝いていました。その世界を股にかけた活動のさらなる展開には各方面から高い関心と大きな期待が寄せられています。「最初は一隅を照らすくらいの小さな灯でも、それが十、百、万と集まれば国中を明るく照らすようになる」という意味の「一灯照隅 万灯照国(いっとうしょうぐう ばんとうしょうこく)」の信念のもと、自分に与えられた命の灯を高く掲げ、誰かを支える光となるために世界中の人々と力を合わせ、「愛の溢れる地球として輝くように掲げよう」という力強いメッセージを発信し続ける浅利妙峰先生から感動と元気、そして勇気をもらった受講者からは感謝の拍手がおくられました。

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(つづく)

「塩麹の伝統」学びました(栄養・給食部会:その1)

 栄養・給食研究部会は225日、宮崎市のニューウェルシティで研修会を開きました。講師に「こうじ屋ウーマン」こと浅利妙峰先生をお招きし、40人がこうじの魅力、そして世界中から見直されている日本の食文化の素晴らしさについて学びました。

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(↑会場となったニューウェルシティ)

 浅利先生は大分県佐伯市で320年以上続く、こうじ専門店「糀屋本店」の9代目当主。

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(↑糀パワーで元気いっぱい!の浅利先生でした)

日本の発酵調味料の源となるこうじの活躍の場を、もう一度家庭の台所に戻したいと講演会や料理講習会などを通じて全国各地でこうじ文化の普及に努めています。その活躍の場は国内にとどまらず、「世界中の人たちをお腹の中から幸せにしたい」と欧米や南米など世界中を飛び回り、食卓を囲む笑顔を広げ、平和を愛する穏やかな心をつなげようと活躍中です。そんな浅利先生の講演「医食同源 美味しく食べて明るく生きる」が聞けるとあって、この日は鹿児島県からの受講者もありました。

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 講演では麹(※)菌が生み出す豊富な栄養素の話にはじまり、「飲む点滴」とも言われる甘酒の効能、「長生きの素」、「生菌効果」、「血の巡りをよくする」などといった「味噌の八徳」、そして1975年、アメリカ上院栄養問題特別委員会によってまとめられた「マクガバンレポート」の中で「最も理想的な食事」としてお米と野菜を中心とした”一汁三菜”の「江戸元禄以前の日本食」と報告されたことなどが紹介されました。

(※)”こうじ”は”糀”と”麹”の2通りがありますが、”糀”は明治時代にできた国字(和製漢字)で、米こうじのみを表し、”麹”はこうじ全般を表す漢字で、中国から伝わった漢字だそうです。

 また和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを受け、日本食を支える発酵調味料「さ・し・す・せ・そ」、その基本となる塩糀は「世界中で使われるようになる」との説明に、受講者は興味津々の表情で聞き入っていました。糀を中心に置き、これら5つの発酵調味料「さ(酒)、し(塩糀)、す(酢)、せ(醤油)、そ(味噌)」が取り巻いているスライドを示しながら「これらの調味料はこうじがあれば作れます、今は店で買うようになっていますが、昔はみんな家で作っていました。私はそういう文化をリバイバルで伝えたいのです」と浅利先生は熱く語っていました。

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(つづく)

間もなく発行!「老健みやざき33号」

 当協会の広報誌「老健みやざき 33号」が間もなく発行されます。

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 年に2回発行している「老健みやざき」。今回の巻頭企画は当協会昨年11月に開いた「第12回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会」特集。県内会員施設から350人が参加し、「2025年に向けて 未来への架け橋 その先の笑顔のために」の大会テーマのもと、将来の老健のありかた等について研鑽を深め合った大会の模様をレポートしました。

 また、平成27年度下半期における当協会各部会の活動報告も紹介しています。

 「老健みやざき 33号」は宮崎県内の会員施設や、県内外の各関係機関に送付するほか、当ホームページからも閲覧、ダウンロードできるようアップする予定です。お楽しみに。

介護ロボで負担軽減(県委託事業)

 221日の宮崎日日新聞をご覧になってご存じの方も多いかと思います。「介護、ケアに一役 ロボット 県老健協来年度導入 職員負担軽減へ」という大見出しで27面トップを飾っていました。

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 これは当協会が平成28年度実施する「地域医療介護総合確保基金」にかかる県の委託事業のひとつ「介護ロボット普及促進事業」で、介護ロボットを試験的に会員施設に貸与し、その有効性や問題点を検証することが目的。先頃同事業に関するアンケートを会員施設に実施し、意向を伺ったところ、44会員施設のうち12施設が協力の申し出がありました(平成28年2月22日現在)。

 介護ロボットの導入により、介護職員の負担が軽減されることはもとより、利用者に対する安全・安心なケアを提供し、ひとりひとりの尊厳を重んじた生き甲斐あふれる生活の支援に大きな期待が寄せられます。

 また同基金では高齢者や専業主婦が老健施設にてパートとして働くことができる環境を整えることを目的とした「介護従事者確保事業」も併せて実施することとなっています。これらの事業が、本県で介護の担い手が4,324人不足すると推計されるいわゆる「2025年問題」の解消の足がかりになることを願うとともに、その実現に向け当協会も皆様のご理解・ご協力を賜りながら各種事業を展開して参る所存ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

「快活」で「明るい」菜の花

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 各地で菜の花の便りが聞かれるようになりました。その花言葉は「快活」、「明るさ」だそうですが、寒い冬が終わりを告げ、心躍る明るい春が訪れようとするこの時期に毎年、淡く黄色い花を咲かせてくれて、まさしくこの花言葉の通りだなあ、と感謝の気持ちが沸いてきます。

 

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上の写真は広報部会の委員が一昨年の3月下旬に撮影した西都原の夜桜と菜の花。宮崎の春を代表する景勝地で、毎年大勢の観光客が訪れ、またテレビなどでも全国に紹介されていますが、夜間に観るとまた違った感動があります。

 桜の時期は短いのですが、菜の花は長い期間楽しめることができます。利用者の皆さんと近場に咲く菜の花を見て、快活で明るい気持ちになれたらいいなあ、と思う今日この頃です。

「ひとみ」輝く

 217日午後545分、種子島宇宙センターからX線天文衛星ASTRO-HH-2Aロケットで打ち上げられました。人々が見守る中、晴れ渡った夕空に白煙を引きながら、無事に宇宙へ旅立って行きました。

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 写真は国富町某所からその様子を撮影した一枚。と言っても、この打ち上げを待ち構えて狙い撮りしたわけではなく、周囲の安全を確認した上で、全く偶然に撮影できたものです。夕日に赤く染まる工場らしき建物の屋根の右側から左斜め上に、まるでカメラ写りを意識しているかのように美しく飛んでくれました。打ち上げが延期されたおかげもあって、この決定的瞬間を納めることができました。

 しかしテレビで見ているのと違い、実際に眺めるとその速いことにびっくりでした。「物体が地球の引力を振り切って、太陽系内の空間を人工惑星として運行するために必要な速度」を「第二宇宙速度(脱出速度とも)と呼び、その値は「地表面で毎秒11.2キロメートル」だそうです(『広辞苑』より)。なるほどその通り、あっという間の出来事でした。

 X線天文衛星ASTRO-Hはロケットから無事に分離された後、「ひとみ」と命名されました。「熱い宇宙の中を観るひとみ」がその由来だそうで、今後その活躍を大いに期待したいと思います。

【完成しました!「介護の仕事PRパンフ」】

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当協会が宮崎県の地域医療介護総合確保基金にかかる委託事業「『介護のしごと』理解促進事業」の一環として企画・取材・編集、そして印刷にあたった「介護の仕事PRパンフレット『幸せとやりがい広がる介護の仕事 誰かの『ありがとう』のために!」が完成しました。内容は実際に介護の現場で仕事に携わっている「介護の仕事の”先輩”」を訪ね、介護の仕事の魅力ややりがい、プライベートとの両立の様子、そして今後の抱負などを伺った内容を、利用者様からのひと言も添えてレポート形式で紹介しています。

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このパンフレットはこれから県内の各学校や会員老健施設等に配布し、活用を呼びかけていく予定です。また、協会Hpからもダウンロードできるようにしたいと考えています。介護の担い手不足が全国的な問題となっている中、このパンフを手にとった方が、「介護の仕事、やってみようかな」と思って下さる事を願っています。

キャリアアップ研修(管理者研修)開きました(その2)

 管理者研修の後半は「介護収入から見る経営指標 地域包括ケア構築に向けて」。講師は(公社)全国老人保健施設協会の社会保障制度委員会報酬部会の部会員で、横浜市にある医療法人社団裕正会介護老人保健施設新吉田の漆間伸之事務長にお越し下さいました。

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 講義は(1)24年と27年介護報酬改定、(2)地域包括ケア研究会報告書からの考察、(3)施設がすべきこと・出来ること、(4)今後の課題・・・という4つのテーマに基づき進められました。

 (1)24年と27年介護報酬改定」については、老健施設の歴史や、平成24年度と27年度の改定の概要、在宅復帰の評価に関する報酬上の変遷などを踏まえ、平成27年度の介護報酬改定では在宅支援強化型デイケアとしてリハビリテーションマネジメントが強化されたことや、社会参加を維持できるサービス等へ移行する体制の評価などに触れた上で、地域包括ケアシステム構築を一層推進する観点から在宅復帰支援機能・在宅療養支援機能といった在宅支援受け皿が充実強化され、これは「平成30年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けての布石」と改定の方向性が示されました。

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 (2)「地域包括ケア研究会報告書からの考察」については、地域包括ケアシステムの法律的根拠や老健施設のサービスの在り方、施設の有効活用、介護保険施設類型の再編の概要を示した上で、横浜市の状況について2025年には要介護認定者数は1.5倍、在宅医療対象者は1.7倍に増加する試算に触れつつ、「よこはま地域包括ケア計画(:第6期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、平成27年度から29年度)」において、老健施設は本来有する在宅生活への復帰を目指すリハビリ支援や認知症高齢者への対応などのノウハウを生かした機能分担を充実させ、在宅復帰するための中間施設としての役割を強化し、また多様な専門職を有する老健施設が地域包括ケアにおける拠点として役割を担う旨明記していることが紹介されました。

 (3)「施設がすべきこと・できること」に関しては、本人や家族の住み慣れた自宅で暮らす「覚悟」を支える上で、老健施設の説明責任は大きく、医療と介護の連携強化は老健の役割であり、地域包括ケアシステムの拠点として老健施設が役割を発揮するために「リハビリテーションの充実」、「医療の充実」、「R4システムを基盤としたケアの充実」、「認知症へのより高度な対応」の4つが提示されました。そして老健施設の往復型利用による在宅生活の継続や老健施設の在宅支援の結果としての看取りなどに言及した上で、「地域包括ケアシステムは地域特性に合わせ、既存の社会資源サービスを有効活用した『地域完結型』。そしてほぼ中学校区にひとつあり、介護保険施設であるとともに医療提供施設である老健施設は『地域包括ケアシステムの要(拠点)になり得る施設』であると、スライドを用いて説明がありました。

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(4)「今後の課題」については、まず人材確保の課題に言及。2025年に向けた人材にかかる需給推計や従業員の過不足状況などの調査結果から、人材の確保が重要な課題であり、総合的な人材確保方策の目指す姿として、専門性が不明確で役割も曖昧なために早期離職につながっている「まんじゅう型」の現状から脱却し、人材の参入を促進することですそ野を広げつつ、専門性の明確化・高度化で継続的な質の向上を促し、限られた人材を有効活用するために機能分化を進めていく「富士山型」を目指していくことが提唱されました。

 最後に次期改定に向けた報酬の課題として、介護人材の確保と処遇改善、介護保険施設における医療提供のあり方、いわゆる「ピラミッド型(命令型)」から「ドーナツ型(カンファレンス型)」へシフトすることで「他職種”協働”」から「他職種”平等”」という体制で、利用者中心に職員が対等に関与していく業務の在り方などについて説明が行われ、研修会終了となりました。

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(おわり)

キャリアアップ研修(管理者研修)開きました(その1)

 28日、当協会主催による「平成27年度キャリアアップ研修(中堅者研修・管理者)研修」を宮崎市の(一財)潤和リハビリテーション振興財団本部棟で開催しました。

この研修会は地域医療介護総合確保基金にかかる介護人材確保推進事業として、宮崎県の委託を受け、今年度初めて開催するもの。午前中に開かれた中堅者研修に続き、午後からは管理者研修があり、36人が受講しました。

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(↑開会式の様子)

最初の講義は「施設運営のためのマネジメント」。講師は中堅者研修でも講義をしていただいた、(株)インターリスク総研の特別研究員、本田茂樹先生。「マネジメントとは何か」ということについては様々な考え方があることを踏まえた上で、その役割には(1)旗を立てる、(2)土俵を守る、(3)部下を動かす・・・の3つがあり、それぞれの内容やポイントを学びました。

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次に近年問題になっている高齢者の虐待について、関連する法律およびその内容に触れた上で、様々な経過や手続き、事故の状況およびその処置などの各々について記録することが極めて重要であるとして注意が喚起されました。

そしてコンプライアンス(法令遵守)について、単に法律や条令を守るだけではなく、それらの背景にある法の精神や社会良識といった社会的規範全般や職場の規則や業務マニュアルなども含めた幅広い規則を遵守していく姿勢まで含まれることを踏まえた上で、「認識していないリスクには備えられない」として、関連する法令や職場の規則などを認識する必要性を再認識しました。

さらに「管理職こそコンプライアンスの要」として管理職はコンプライアンス体性を作るだけでなく、組織の隅々にまでコンプライアンスの意識を浸透・定着することが大事であり、(1)守るべき法律を知る、(2)何をやるべきかを押さえる、(3)教育・周知徹底・・・といったポイントを具体的に教わりました。

続いて管理者に求められるリーダーシップに関し、本田先生は「伝えることはリーダーの仕事」として、「教えること」(:自分の理解したことを仲間の頭で理解してもらう)と「伝えること(:自分の思いを仲間に伝える)」とは違う事を指摘しました。

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最後に「『ほめる』コミュニケーション」と「『叱る』コミュニケーション」について説明があり、ほめたり叱ったりする前に(a)部下に関心を持って観察する、(b)観察に基づいて声かけをする、(c)日々のちょっとしたことを見逃さない・・・ということを踏まえ、ほめる際には(1)タイミングを外さない、(2)具体的にほめる、(3)隠れたインプレーを見逃さない、(4)「ほめる」基準は自分ではない、「ほめる」基準は部下によって違う・・・という4項目を、叱るさいには()「叱る」目的は業務の改善、()性格や人格を責めない、()「叱る」ポイントは具体的に示す、()「叱る」タイミングと場所に注意、()部下の言い分も聞く・・・という5項目について、具体例を交えた解説がありました。

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講義の終わりにまとめとして「自分が思う以上に見られていることを忘れない」というスライドを示した本田先生は「マネジメントの3つの役割をお話しましたが、旗を立て、土俵を守り、部下を動かしていけるのはトップの人であり、管理者。皆さんどうぞそれぞれの施設で組織力を上げていって下さい」と呼びかけた本田先生に、感謝の拍手がおくられました。

(つづく)

キャリアアップ研修(中堅者)開きました(県委託事業:その2)

 中堅者研修は続いて、(株)インターリスク総研の特別研究員、本田茂樹先生による「部下に対するコーチング技術」がありました。本田先生は信州大学経営大学院客員教授、早稲田大学招聘講師、そして公益社団法人全国老人保健施設協会管理運営委員会の安全推進部会の部会員も務められています。

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 「コーチ」とはそもそも馬車(Coach)のことで、「乗客を目的地に運ぶためのもの」ということから、「スポーツの指導者」という意味で「コーチ」という言葉が広がったそうです。そして「コーチング」とは「対話を重ねることを通して、クライアント(コーチを受ける対象者)が目的達成に必要なスキル、知識、考えを備え、行動することを支援し、成果を出させるプロセス」であることを学びました。これを踏まえ、「コーチングの3つのポイント」として(1)人は無限の可能性を持っている、(2)その人が必要とする答えは、その人が持っている、(3)その答えに気づくためには支援が必要・・・の3つが示されました。

 ただし、「新入職員など『答え』を持っていない人には、『コーチング』は使えません。そのような場合には『ティーチング』です」として、スライドを用いながら両者の違いについて次のように示されました。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【コーチング】

〇相手から答えを引き出す

〇自発性を出す

〇動機づけができる

〇個別対応

〇時間がかかる

【ティーチング】

〇指示する

〇アドバイスする

〇教える

〇多数を相手にできる

〇受け身になりやすい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そしてこの「コーチング」と「ティーチング」について、様々な事例を用いながら具体的に説明が行われました。

これを踏まえ、コーチングのスキルには「傾聴」、「承認」、「質問」の3つがあり、それぞれについての解説がありました。この中で「傾聴」については「『傾聴』は『聴く』であり、『聞く』ではありません。初めて乗った電車では『どこの駅に停まるか?どこの駅で降りたらよいか?』と考えるので、車内アナウンスに意識的に耳を傾けて『聴く』わけです。これに対し、いつも乗り慣れている電車だと、停まる駅や降りる駅はわかっています。したがって車内アナウンスは音として入ってきても聴かなくてよく、この場合は『聞く』であり、『聞き流す』というわけです」と述べた本田先生は、傾聴のポイントとして「”話す内容や相手に先入観を持たない”、”自分の評価は横に置く”、”最後まで聴く”というゼロポジションを大切にする」、「”うなずき”、”あいづち”、”オウム返し”などにより『聴いて増すよ』という姿勢を示す」などのポイントを、実際に受講者が21組になって行ったロールプレイなどを交えながら丁寧に解説しました。

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(↑腕を組んでふんぞり返る姿勢は『傾聴』と言えるか?ロールプレイで学びました)

介護職の多くがストレスを抱え、高い離職率を示す現状を踏まえ、「このような状況だからこそ、権威で管理するリーダーではなく、対話を引き出すことで部下の能力を引き出すコーチ型のリーダーが求められています」と呼びかけた本田先生の講義は、それぞれの職場での実践に役立つ大変有意義なものでした。

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(終わり:管理者研修レポートにつづく)

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