協会活動報告

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その4)


【職場における対立】

 

職場における対立はおそらくあると思います。「対立」というと敵対的なもののように思えますが、健全な対立もあります。競争は目標に到達する手段になりますが、対立と論争を生むことがあります。上司との間で意見の相違などのあつれきが生じる場合がありますが、これは組織体である企業においては避けがたいものです。なぜなら、もっとよいサービスを提供しよう、もっと地域社会から認められようとすると色々な意見を出し合います。そうすると言い争いが生じますが、それは良い方向にもっていくためのものならば、健全な対立です。逆に上司と部下の意見が常に一致している職場は不健全だと言えます。何も言わないという職場です。上が言えばそれで通る、という職場は建設的であり生産的であるか、というとそうではありません。

問題となるのは「非倫理的行為」です。これは非生産的な職場になってしまいます。職場の雰囲気が不透明になったり、コミュニケーションがあいまいになったりして、敵対的な関係が生まれます。もしそういうことがあれば、企業の理念、基本方針は達成することができません。

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【パワハラと指導】

「パワハラと指導はどう違うのですか?」とよく聞かれます。この線引きはなかなか難しく、簡単にはいきません。ただしこれに関して、「目的」、「業務上の必要性」、「態度」、「タイミング」、「結果」の5項目を見てみるとわかります。

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私が持っている資料を見てみますと、宮崎県の介護関係の事業所で介護を辞めた人のその理由として一番多かったのは「収入の問題」で全体の26パーセント、次が「法人や施設の理念や運営のあり方に疑問があったから」で、その次に来るのが「職場の人間関係に問題があったから」と続きます。この「施設の理念や運営の有り方」というのは、職場の秩序や環境という問題も入っているかもしれません。

これを全国の介護老健保健施設で見てみると、1番が収入の問題ですが、2番目に職場の人間関係が27パーセントで続きます。このように職場の人間関係を理由に辞めていく人が少なくないことがわかります。

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その3)

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 どの病院や施設にも、それぞれその理念や基本方針があると思います。その中には「利用者やその家族に納得していただける医療・介護・福祉サービスを継続して提供する」といった内容が盛り込まれていると思いますが、ということは、そこで働く皆さんの心身が健康でないといけません。職場の人間関係が良好でないと実現は難しいです。

 また職員の資質向上や人材育成、チームワーク等もあると思いますが、ハラスメントはその逆です。チーム医療の推進どころか、停滞や後退してしまいます。「相手の立場に立った目配り・気配り」も、利用者の立場に立ったものでしょうが、まずは職員同士での目配り・気配りができないとうまくいきません。健全な経営管理ができず、地域から信頼されず、施設閉鎖ということもあり得ます。

 

【労働関係におけるハラスメント】

 私は宮崎労働局で働き方・休み方改善コンサルタントをしていますので、労働関係について少しは承知しています。職場ハラスメントには(1)モラル・ハラスメント、(2)パワー・ハラスメント、(3)セクシャル・ハラスメント・・・の3つがあります。

 モラル・ハラスメントとは、言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせる行為をいいます。

 パワー・ハラスメントとは、管理、監督者またはこれに準ずる者がその地位または職務権限を利用し、これに抗しがたい地位にある者に対して、就業上、著しい不利益を与える行為または業務を妨げる行為、また管理、監督者またはこれに準ずるものが不適切な行動または差別的な取扱いにより、就業上の環境を害する行為をいいます。

 セクシャル・ハラスメントとは、時・場所・相手をわきまえずに、相手を不愉快にさせる性的な言動のことです。セクハラとなるかどうかは、あくまでも平均的な女性(男性)がその状況で、そのような言動を受けた場合、不快と感じるかどうかを基準に判断されます。

 この「ハラスメント」とはどういうことでしょうか。これは、「嫌がらせ、いじめ」の事です。英語では「苦しめる事、悩ませること、迷惑」という意味です。また、「モビンング」という言葉もあります。これは「頻繁に繰り返される組織的な嫌がらせ」という意味です。この「ハラスメント」と「モビング」はどう違うのかというと、実は同じような意味です。

 さて、労働関係におけるハラスメントですが、ベルギー法による「労働関係におけるモラル・ハラスメント」の定義があります。これによると、「企業や施設の外部あるいは内部において、とりわけ言動、言辞、脅迫、行為、身振りおよび一方的な書きつけによって表現され、労働の遂行の際に、労働者の人格、尊厳もしくは肉体的あるいは心理的な統合性を損なうことを目的とする、またそのような効果をもたらし、その雇用を危険にさらし、もしくは威嚇的な、敵対的な、品位を貶める、屈辱的なあるいは攻撃的な環境をもたらすあらゆる性質の過度に繰り返される行為」と、法律でしっかり定義されています。この定義が全てあてはまるような職場だと、その職場は戦いの場所になってしまいます。無秩序の場所となってしまうかもしれません。

(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その2)

【講演の骨子】

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 私は宮崎に来て22年になります。出身は福岡県の北九州市で、ここに来る前は神戸にいて、東京、下関、久留米、埼玉、横浜など色々な所にいましたが、この年齢になってみると、宮崎が一番いいと思います。

 皆さんの仕事は大変だと思います。私の母親も北九州市の老健施設に入っていました。職員に大分迷惑をかけていたのではないかと思いますが、皆さんも本当にストレスの多い仕事をされていると思いますが、でも大きな社会貢献をされています。自らこの仕事を選んで、頑張っていらっしゃることに深い敬意を示したいと思います。

 さて、平成24年の宮崎県民意識調査の中で「あなたにとって『豊かさ』とは何ですか?」という設問がありました。「豊かさ」とは抽象的ですが、「満ち足りた気持ち」とか、「満足度」、もう少し言えば「幸福感」かもしれません。これに対して「心身の健康」、そして「家族と周囲との良好な人間関係」と答えた人が非常に多くいました。この「周囲との人間関係」とは、皆さんにとっては職場や仲間との人間関係と言えます。それと心身の健康とが幸福感につながるわけです。

 しかし、今日の講演のテーマになっている「ハラスメント」はその逆です。色々な問題がでてきます。世界保健機関(WHO)の疫学調査によると、世界におけるうつ病の有病率は人口の5パーセントにあたる35千万人と言われています。また人生において女性は5人に1人、男性は10人に1人がうつ病を経験すると言われています。日本では15人に1人が生涯に1度は経験すると言われています。「経験」ですから、うつ病の質や期間は人によって違います。私も「あのときはへこんだな」という時があります。大きな病気をして、今でも月に一度精密検査をしていますが、ずっと付き合っていかなくてはいけない病気です。妻もへこみました。

 このように、誰しも人生の中でいろんなことがあり、その中で心身の不安定な状況に陥ることがあって、それが強い場合もあれば、そうでない場合もあります。今までにあった人もいれば、これから先にある人もいるかもしれません。

 ストレスの度合いを調べる方法として調査票による簡易ストレスチェックがあります。要チェックの人は医療機関に相談をして下さい。

 

(※心理的ストレス反応、身体的ストレス反応、調査票の評価等について、スライドを用いて説明がありました。厚生労働省ホームページの「5分でできる職場のストレスチェック:https://kokoro.mhlw.go.jp/check/:を活用されるとよいかと思います」

 

 ストレスと付き合うというのは難しいのですが、「気分転換をする」、「落ち着ける環境を。休憩時間に音楽を聴くなど独自の空間を」、「趣味を持つ」、「ストレス解消にタバコやお酒に頼らない」、「内にためずに言葉に出してみる。日記に書くなどもよい」などといったポイントがあります。むずかしいのですが、付き合っていかなければなりません。

 また、笑うことはいいことです。笑うことでナチュラルキラー細胞が活性化されると言われていますが、「最近笑ったことがない」という方もおられるかもしれません。自然を親しむ機会を持ったり、ウォーキングなどの適度な運動をするのもいいです。そして「友人や家族、同僚、上司など、親しい人達とのネットワークを作る。助け・助けられる関係を作る」というのがとても大切です。しかし、ハラスメントの問題というのはこういった関係を壊してしまいます。いろんな影響を及ぼしてしまいます。これがとても残念なことなのです。

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(つづく)

ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その1)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会看護介護部会は1214日(土)、宮崎市の古賀総合病院腎センター5階で研修会を開きました。メンタルヘルスの専門家を招き、職場のハラスメントについて学びました。

 今回の研修会は「職場のハラスメントが及ぼす影響 ~管理監督者の役割~」。これは同部会が昨年会員施設を対象に実施したアンケートの中で、特に要望が多かったことを受けてテーマを決定、開催したもの。この日は会員施設等の管理者ら40人が参加しました。開会にあたり、同部会の仮屋美喜子委員長は「アンケートを分析すると”職場を辞めたい”、”上司の言葉に傷つく”、”モチベーションが下がる”など、ストレスを抱えている人が非常に多いことがわかりました。そこで施設の管理職の皆さんに対象を絞ってこの研修会を開くことになりましたが、一番大事なのは、みなさんがこの現状を踏まえていただくことです。今日の研修会を、自分自身を振り返る機会にして下さい」と呼びかけました。

 

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(↑仮屋委員長)

 講師には独立行政法人労働者健康福祉機構のメンタルヘルス対策支援センターの促進員も務めておられる、オフィス・ナカムラの中村康文先生を招きました。中村先生は「人づくりのプランナー」として同センター促進員のほか、宮崎労働局の働き方改善コンサルタントや宮崎県中小企業団体中央会のキャリアカウンセラー等々を務められており、働く人と企業を両面からサポートすべく大活躍中です。

 

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(↑中村先生)

 開口一番、「私は三股町から来ました。『このくらいの時間に出ればいいだろう』と出発したのですが、よく考えたら食事をする時間を計算に入れてなかったんですね。そこで慌ててコンビニでパンをひとつ買って食べてきました。そのため少しおなかがすいている状態だからいいのですが、皆さんは満腹ですね。満腹は怖いですね。戦いがありますね、そう、睡魔との戦いです。皆さんがその戦いに負けないように、つまり皆さんが寝ないような状態にもっていきたいと思います」と切り出した中村先生はさすがメンタルヘルスのスペシャリスト。会場を一気になごやかな雰囲気に変えて研修会は本番に入りました。

(つづく)

看護介護研修会レポート連載します

 16日(月)より、当協会の看護介護研究部会が1214日に開いた「ハラスメント研修会」のレポートを連載します。この研修会は平成24年度に同部会が各会員施設に対して実施した職員アンケートの結果、メンタルヘルスに関する悩みが少なからずあることがわかったことを受け、管理者を対象に「職場のハラスメントが及ぼす影響」と題して開催してものです。

 講師には独立行政法人労働者健康福祉機構のメンタルヘルス対策支援センターの促進員も務めておられる、オフィス・ナカムラの中村康文先生をお招きました。さすがメンタルヘルスのスペシャリストとあって、会場を笑いと感動の渦に巻き込みながら、わかりやすくためになるお話を聞かせていただきました。

 研修会の模様を撮った写真も交えてレポートします。どうぞお楽しみに。

抄録の書き初め!?

  12日は書き初め。広辞苑には「新年に初めて文字を書くこと。古来、正月二日に、吉方(エホウ)に向かってめでたい意味の詩歌などを書いた」とあります。またウィキペディアには「書き初めで書いたものは左義長で燃やし、その炎が高く上がると字が上達すると言われている」とも書いてあります。しかし今は手書きをする事がうんと減ってしまいました。パソコンに向かって「書き初め」ならぬ「打ち初め」なんてやっても何だか味気ないような・・・。

 それはさておき、例年3月に開催していた当協会の研究大会。本年度は九州大会開催に伴い実施いたしませんが、11回目となる平成26年度の(公社)宮崎県老人保健施設協会研究大会は年度初めの419日(土)に開催します。詳細は協会ホームページやフェイスブック、およびファックス等で追って連絡いたしますが、これから演題募集をしていくことになります。

 回を重ねるごとに発表内容が充実を見せていることは、各会員施設における皆様の日々のたゆまぬ研鑽の現れだと敬服の念に堪えません。第11回大会も、たくさんの演題が集まり、有意義な大会になることを、関係者一同祈念するとともに、そのための協議、準備に取り掛かっているところです。

 年度末から年度初めに移った第11回大会に向けて、「抄録の書き初め」などと申してはいささか奇異に聞こえるかもしれませんが、419日の本番に向けて何かしらのアクションを起こす、そんな12日にされるのもいかがかと存じます。会場は宮崎市のサンホテルフェニックス。多数のご来場をお待ちしております。

2014年スタート!!

 新年あけましておめでとうございます。

 旧年中は当協会へ並々ならぬご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 平成25年、当協会は公益社団法人へ移行し、宮崎県民の保健、医療および福祉の増進に寄与すべく、様々な活動を展開して参りました。とりわけ1114日、15日に開催した”第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき”では、九州各県より800名の参加を賜り、「みんなが安心して老いる社会」およびそのためにあるべき「老健の未来のカタチ」について、忌憚のない意見を交わしあい、互いに研鑽を積みあえる実利ある大会となりましたことは、ひとえに皆様方の多大なるご理解、ご協力の賜物であると、心より感謝いたします。

 平成26年も当協会は、会員施設の皆様はもとより、関係諸機関の皆様、そして広く県民の皆様からご意見、ご要望、ご指導、ご鞭撻をいただきながら諸活動をさらに発展、強化しつつ推し進めて参る所存です。昨年と変わらぬご高配を賜りますようお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

ソフト食学びました(栄養給食部会:その4)

 講義に続き、実際に調理された「高齢者ソフト食」を用いた試食会がありました。

 試食に用いられた「高齢者ソフト食」は「リンゴのコンポート」、そして「肉じゃが」の2品目。参加者はそれぞれを手に取ってじっくりと観察、そして写真に撮った上で試食に臨みました。スプーンですくう際の手ごたえや口に取り込んだ感覚、噛みやすさや口の中でのまとまりやすさ、そして口の奥へ運んで飲み込む際のスムースさなどをひとつひとつ確認しながら試食していました。

 

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(↑講義で学んだ事を復讐しながら、じっくりと観察、試食していました)

 

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(↑リンゴのコンポート)

 

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(↑肉じゃが)

 

 また、「高齢者ソフト食」を開発し、その普及に奔走されている潤和リハビリテーション診療研究所の客員研究員で、農学博士でもある管理栄養士の黒田留美子先生の著書『黒田留美子式高齢者ソフト食スタンダードテキスト(上・下。リベルタス・クレオより出版、各税別2,700円)』を開き、調理方法などを確認しながら試食する参加者もいるなど、美味しく楽しい中にも真剣な雰囲気が漂う試食会となりました。

 

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(↑『黒田留美子式高齢者ソフト食スタンダードテキスト』。現場ですぐに使える「高齢者ソフト食」のノウハウが詳しく書かれてあります)

(おわり)

ソフト食学びました(栄養給食部会:その3)

 このように、摂食・嚥下の各時期およびそれぞれの問題点を述べた船ケ山副委員長。参加者を見渡しながら、「だから『高齢者ソフト食』なんです」と断言しました。そしてこの「高齢者ソフト食」の特徴について、次の6点を列挙しました。

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《高齢者ソフト食の特徴》

〇しっかりとした形がありながら 

〇口にとりこみやすく

〇まとまりやすく

〇移送しやすく

〇飲み込みやすい

 参加者は配られた資料にラインを引いたり、メモを取るなどして真剣に聞き入っていました。

 講義はその後、「高齢者ソフト食」を調理する上での工夫に関する内容に移り、次の4点がスライドを用いて説明されました。

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【「高齢者ソフト食」調理の工夫点】

(1)食材そのものの選択

・・・軟らかいもの、脂肪の多いものを選択する。

〇脂肪の多い魚類:カラスガレイ、銀ダラ、銀ムツ、鮭、はんぺん、スズキ

〇脂肪の多い肉類:しゃぶ肉、ミンチ肉

〇野菜類:山芋、里芋、アボカド、なす、パプリカ、玉ねぎ、ゆり根、根菜類

(2)つなぎに食材そのものを利用

・・・素材のテクスチャーを変化させたり、もとの形に整形したりするときに利用。

→卵白、卵の素(卵黄と油を同量)、くず粉、片栗粉、コーンスターチ、たまねぎ、上新粉、山芋、ポテト

(3)油脂の利用

・・・油脂は加えて口腔内でのすべりをよくする

〇動物性油脂:卵黄、生クリーム、サワークリーム、クリームチーズ、ラード

〇植物性油脂:サラダ油、オリーブ油、ゴマ油、練りごま、ピーナッツバター

(4)調理器具の選択

・・・軟らかく調理できるものが基本

→スチームコンベクション、圧力鍋、蒸し器、真空調理器、湯煎器、裏ごし器、電子レンジ、ブラストチラ?

 

 また、このようにして安全でおいしい「高齢者ソフト食」に取り組むことで何が変わるか?ということについて、船ケ山副委員長は「まず食欲が増して食事摂取量が増える、つまり経口摂取できる範囲が拡大します。このことは同時に残食量が減少することによる食材費の削減にもつながります。また、水分摂取量が増えるので水分補給剤の購入量も減らすことができます。さらにアルブミン値などの栄養指標が向上するなど、『高齢者ソフト食』に取り組む事は様々な面で大きなメリットがあります」と、参加者に「高齢者ソフト食」への取り組みを勧めました。

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(つづく)

ソフト食学びました(栄養給食部会:その2)

【摂食・嚥下の流れ】

 食に関して食べる人、作る人の尊厳、そしてそこから生まれた「高齢者ソフト食」について説明してきた栄養・給食研究部会の船ケ山
塁副委員長。「まずは安全に食べられることが大事です」と前置きし、摂食・嚥下(えんげ=飲み込むこと)機能について説明を行いました。

 この摂食・嚥下機能には(1)先行期、(2)準備期、(3)口腔期、(4)咽頭期、(5)食道期・・・の5つがあるとし、それぞれの問題と観察ポイントを、スライドを用いて次のように示しました。

(1)先行期】

・・・食物を見て認識し、どんな食べ物を、どのくらいの量を食べるのかを判断する時期。

《問題と観察ポイント》

〇食物を認識できない

〇ウトウトしている

〇ぼーっとしている

〇注意散漫

〇感情をコントロールできない

〇食べ物に無反応=口を開けない、スプーンが触れても口を開けない、など。

 

(2)準備期】

・・・食物を口の中に入れ、嚥下ができるように咀嚼(そしゃく=かみ砕くこと)し、食塊を形成する時期。

《問題点と観察ポイント》

〇口が開かない、開けてくれない

〇口が完全に閉じない

〇舌がうまく動くか

〇よだれが多いか、少ないか

〇唇が閉じられるか、左右差

〇咀嚼できない

〇歯や義歯の問題、筋肉が動かない

〇感情をコントロールできない

 

(3)口腔期】

・・・口腔内で食塊にされた食べ物を咽頭に移送する時期

《問題と観察ポイント》

〇舌の運動機能の障害

〇頬筋(きょうきん)の麻痺

〇口腔の感覚障害

〇飲み込む時に上を向く

〇飲み込みに時間がかかる

〇舌で口の天井を押しつけられるか

〇顎が噛みしめられるか

〇食物残渣が残るか

 

(4)咽頭期】

・・・食塊とされた食べ物が咽頭から食道へと運ばれる時期

《問題と観察ポイント》

〇声門がきちんと閉じない

〇咽頭閉鎖不全

〇輪状咽頭筋の弛緩不全

〇せき込み、むせ

〇がらがら声

〇嚥下後に声が変わる

〇喉に食物の残留感がある

〇鼻から食べ物が出てくる

 

(5)食道期】

・・・食塊を食道から胃へと送り込む時期

《問題と観察ポイント》

〇腫瘍による通過障害

〇アカラシア(食道の機能障害により飲食物の通過が困難となる疾患)

〇食べ物が喉につかえる

〇飲み込んだものが逆流してこないか

〇流動食しか飲み込めないか

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(つづく)

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