せしかう(2015残りあと2ウィーク)

 ついこの間スタートしたと思った2015年。気がつくとなんとあと2週間になってしまいましたヽ(゚ω、゚)ノ。月日が過ぎるのが何と早いことでしょう。

 タイトルの「せしかう」は宮崎弁で「慌てている。差し迫っている。差し迫って困っている。忙しい思いをする。うろたえる」という意味です(「新宮崎市方言辞典」、公民協働編集、江南書房)。この「せしかう」の進行形で「せしこちょる」というのもありますが、老健施設で働くスタッフなら、利用者が「せしこちょるが」などと言われるのを耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 各施設では新年に向けたもちつき大会や門松・しめ縄飾りの準備、そして大掃除などなど、まさに「せしこちょる」のではないかと思いますが、だからと言って利用者のケアをおろそかにするわけにはいかないのは言わずもがな。むしろこういう「せしこちょる」時期だからこそ、いつも以上に細心の注意を払ってケアに当たって参りましょう。

 それはそうと、かつてなら年末の各家庭に見られたおせち料理の準備風景、最近はあまり見かけなくなって、お店から購入する方が多くなってきたように思います。ただでさえ慌ただしい、すなわち「せしかう」ようになった現代社会。おせちを作る余裕もなくなってしまい、「せちかう」ようになったのでしょうか・・・・・お後がよろしいようで。IMG_3213-1.jpg

介護未経験者向け講座開催中です(宮崎県長寿介護課)

 宮崎県では今月から来年3月にかけて、介護人材確保の一環として、県内各地で介護未経験者向けのを開催中です。

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 この講座は介護分野での就職を選択肢としているものの、介護が未経験の方や、介護に関心を持った方を対象に、介護に係る基礎的な知識や技能の習得から、現場での実習までを内容とするものです。

 この講座は資格取得ができるものではありませんが、介護について必要な最低限の知識が得られる内容となっており、県では受講を呼びかけています。

 この講座は無料で受講することができます。詳しい内容や開催日時・場所などはこちらのパンフレットもしくは宮崎県ホームページhttp://www.pref.miyazaki.lg.jp/choju/kenko/koresha/20151113105211.html)をご覧下さい。

 なお、この講座に関するお問い合わせは宮崎県長寿介護課(電話:0985-26-7058)までお願いします。

R4システム学びました(ケアプラン部会:その7)

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 このように在宅復帰を効果的に推し進めることのできるR4システムは、利用者の生活や生き甲斐を支援するばかりでなく、職員にとっても良い影響を及ぼすとのこと。介護老人保健施設恵仁荘の支援相談員、山口慶之さんは「職員の意識・使いやすさなど」という表題のスライドを用い、以下の項目を列挙しました。

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《職員の意識・使いやすさなど》

〇身体状態(ADL)の変化がわかりやすい

〇イラストを使用するので、目標が立てやすい(弱い部分がわかりやすくなった)

〇覚えるまでに多少時間がかかるが、覚えてしまえばスムーズに作成できるようになった

〇ケアプラン会議での説明がしやすくなった

〇ケアプラン会議での説明時間が短縮された

〇ポイントを伝えやすくなり、ケアプラン会議の所要時間が短縮された

〇認知面・日常生活面など多項目のため、状態把握がしやすくなった

〇イラストを選択する際、次の目標がわかりやすく理解できるので、自立支援のきっかけとなっている

〇多職種の情報が把握でき、多職種の意見をケアプランに反映しやすくなった(連携の強化)

〇前回(今まで)の状態をすぐに閲覧できるので、前回との比較、評価がしやすくなった

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 今後の課題および方針について、(1)モニター(レーダーチャート)を有効活用したケアプラン会議の確立、(2)インテークの時点での面談を密に行い、入所時点から退所を見据えたプラン作成の確立、(3)多職種で話し合い、内容の濃いケアプランを作成する・・・の3点を上げた山口さんの事例紹介は、R4システムが老健施設の使命である在宅復帰、在宅支援という本質的機能に根ざしたものであるだけでなく、職員や利用者、そして家族にとってもいかに利便性の高いものがよく理解できる、大変ていねいでわかりやすい講義でした。

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引き続き東芝情報システム株式会社ヘルスケア事業部営業部の波多野洋一参事が、R4システムの画面をスライドに映し、パソコンで操作をしながら実演を行いました。

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谷川敦弘事務長、そして山口慶之さんの講義の通り、操作が簡単で入力の負荷が軽減されるだけでなく、モニタリングがしやすく、家族への説明も行いやすい、わかりやすい画面内容となっていました。また、複数の職種が同時並行的に入力できることが、R4システムを導入している施設から高評価を得ているとのことでした。

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 R4システムに関する資料の取り寄せや問い合わせ等は同社(電話:044-246-8639)にて対応しているとのことです。また、全老健のホームページhttp://www.roken.or.jp/wp/r4)にも詳細が掲載されているほか、同システムのダウンロードも可能となっていますのでご参照下さい。

 本県で初めて「R4システム」について学ぶ機会となった今回の研修会。その概要のみならず、同システムがもたらす様々な効果について具体的に理解することができた大変有意義な研修会となりました。長旅の疲れも見せず、熱心かつ懇切な講義をして下さった医療法人和光会介護療養型老人保健施設恵愛荘の谷川敦弘事務長、同じく和光会介護老人保健施設恵仁荘の山口慶之支援相談員、そして東芝情報システム株式会社ヘルスケア事業部営業部の波多野洋一参事、大変ありがとうございました。

(終わり)

R4システム学びました(ケアプラン部会:その6)

 このようにR4システム導入に当たって浮上した様々な問題を解消するため、もう一度勉強会を開催。職員から積極的に意見を出してもらい、それをもとに再検討を行い、使用しやすい状況になり、平成264月から本格導入となったそうです。

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 そしてR4システムを導入したことにより、次のような効果があったことを、介護老人保健施設恵仁荘の支援相談員、山口慶之さんはスライドに示しました。

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《プレ・インテーク・シート》

〇ご本人、ご家族の意向を聞き取り、入所前から方向性を明確にすることができる

〇在宅復帰にはどのようなことをクリアできればよいか?を明確にすることができる

《インテーク:ニーズアセスメント・シート》

〇家族連絡先、既往歴、介護保険情報、生活史、申込み経緯、家族構成(※家族構成図もパソコン上で簡単に作成できる)、介護サービス利用状況が把握しやすい

〇台長作成時間が短縮され、病歴や生活歴が確認しやすい

《インテーク:適正アセスメント・シート》

〇選択方式であり、あてはまる項目を選ぶため、作成時間が短縮

〇イラスト付きなので状態が理解しやすくなった

〇入所判定会議や暫定ケアプランも同じ用紙に記載でき、支援内容は把握しやすくなった

〇サービスの提供項目(加算項目)もあり、加算状況も把握しやすくなった

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 恵仁荘では平日の15時から1630分にかけて、123人を対象にケアプラン会議を開いているそうです(1人の所要時間は15分から20分程度)。スライドに示されたケアプラン会議の様子に、受講者は釘付けになりました。医師や看護師などのスタッフ、そして利用者と家族が机をコの字型に囲み、全員が大型モニターを見ながら会議を進めている状況がスライドに映されていたからです。R4システム導入前の、従来のやり方で問題となっていた「ケアプラン会議で配布する枚数が多く、家族がどの資料をみてよいのかよくわかっていない」ということがなくなっただけでなく、イラスト付きでわかりやすい上に、それぞれの状態の変化をレーダーチャートなどのグラフで示すことができるため、以前の状態との比較が簡単にできる仕組みになっており、受講者は各自の施設におけるケアプラン会議のやり方と比べながら、興味津々に見入っていました。

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(↑このように各項目の状態変化がレーダーチャートで一目瞭然!)

 そんな受講者を前に山口さんは「ケアプラン会議への家族参加率」というスライドを示しました。恵仁荘では現在70パーセント近い参加率があり、「家族と共に利用者を支える体制を強化し、自宅復帰に向けて施設と家族が同じ目標に向かって支援しています」との説明に、受講者は感銘を受けていました。

 このようにR4システム導入によって家族の理解度が高まったことについて、山口さんは以下の項目を挙げました。

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(1)身体状態の変化がわかりやすい

(2)病状の変化も説明されるので、生活状況がよくわかる

(3)各職種からの意見を聞けて、在宅支援に前向きに考えるようになる

(4)書類が少ないので説明場所がよくわかる

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 このようにR4システムを導入以後、家族の理解と協力を得ながら在宅復帰率は少しずつ上がり、現在は60パーセント以上を維持。平成2710月も67.1パーセントという実績を上げていることを、その様子を表したグラフを示しながらの説明に、受講者はR4システムがいかに在宅復帰のために優れたツールであるかを具体的に学び取っていました。

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(つづく)

R4システム学びました(ケアプラン部会:その5)

(公社)宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン部会が1128日、宮崎市のJAアズム別館で開いた「『R4システム』の基礎講座」をテーマにした「リーダー研修会」。医療法人和光会介護療養型老人保健施設恵愛荘の谷川敦弘事務長による「R4システムにおける基礎知識」に続いて、同じく和光会の介護老人保健施設恵仁荘の支援相談員、山口慶之さんによる事例紹介、「R4システムを導入して」がありました。

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 長崎県諫早市にある恵仁荘は平成261日に解説。入所定員100名。併設事業所として短期入所生活介護5名(入所の空床利用)、通所リハビリ(定員70名)、訪問リハビリ、居宅介護支援事業所があります。平成24年当初から在宅強化型老健施設の加算算定をしており、平成264月からR4システムを本格導入しているそうです。平成2710月における在宅復帰率67.1パーセント、平均在所日数216.8日(回転率14.0パーセント)とのことでした。

 恵仁荘がR4システムを導入するまでのケアプラン会議の資料作成にあたっては、次のような問題があったそうです。

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(1)ケアプラン会議前に準備・確認する枚数が多く、時間がかかる

(2)ケアプラン会議時の書類の枚数が多く、印刷費用がかかる(7枚から8枚くらい)

(3)ケアプラン会議で配布する枚数が多く、家族がどの資料をみてよいのかよくわかっていない

(4)エクセルで作成していたため、サービス計画書や処遇計画書を一つ一つ開きながら作成し、手間がかかる

(5)前回のアセスメントとの比較を行う際、前回の状態を確認するのに一回一回エクセルを開かなければいけなく、時間がかかっていた

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 このようなことから恵仁荘ではR4システムの導入を検討。事務長と次長が全老健主催の研修を受講した上で主任会議を開催、その中でR4システムを導入するメリットとして、

〇今までの内容と同様の内容が盛り込まれている

〇パソコン管理ができるため、前回のデータも簡単に閲覧できる。評価もしやすくなる

〇印刷枚数も減少でき、コスト面でもメリットがある

などを挙げて説明。R4システムを導入することとなり、財源確保や事前研修、試験導入などを実施したそうです。

 しかし、その中で次のような問題(混乱)が持ち上がってたとのこと。

●使い方がよくわからず、新しい方法に苦戦(新しいこと・やり方を変えることへの抵抗感)

●どこを誰がどのように入力すればよいのかがわからない

●パソコン操作がわからない

●どこを選択してよいかわからない

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(つづく)

R4システム学びました(ケアプラン部会:その4)

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 このようにR4システムの特徴について説明してきた医療法人和光会介護療養型老人保健施設恵愛荘の谷川敦弘事務長、「R4システムを全面的に導入した施設は、在宅復帰率と回転率が高くなります」と、今後ますます重要となる老健の在宅復帰機能が、R4システムの全面導入で高まることを、「介護老人保健施設における新ケアマネジメント方式(R4方式)の在宅復帰率・回転率への影響に関する調査研究事業報告書(平成 24 年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業))」の調査結果をスライドに示しながら説明しました。

 谷川事務長が挙げた、このような成果が上がる要因は次の通り。

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(1)入所の目的が明確になる

→インテークの重視と独自のプロセス

(2)リハビリテーション・ケアの目的と効果が明確になる

ICF Staging の開発・採用・ブラッシュアップ

(3)他職種の連携・協働がうまくいくようになる

→専門職アセスメントとR4システム自体の設計思想

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この調査は全国47都道府県、全老健会員施設3,485施設(調査時点)の全てに対し、アンケート形式により行ったものですが、R4システムを全面導入した79施設では職員のモチベーションも向上したとのことでした。

 講義のまとめとして「人材育成が一番大事です」と言い添えながら、谷川事務長は最後に次の内容をスライドに示しました。

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R4システムを導入し、ネットワークで複数台のパソコンをつなげることで、同一利用者に同時アクセス、記載が可能

〇ケアプランの原案を、誰もが記入することができる

〇他職種の関わりを画面で確認でき、自分たちの関わりを見直すことができる

〇皆で評価や計画書を完成させる(他職種共同)

〇費用対効果(人材育成、在宅復帰)

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 R4システムの導入率が低い本県(45施設中2施設)において、今回初めて「R4システムとはどういうものか?」を学ぶ受講者がほとんどであり、会場では熱心にメモを取る姿が数多く見られました。

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 谷川事務長による「R4システムにおける基礎知識」に続き、研修会は同システムを実際に導入し、活用した事例紹介、さらに実際の同システムの操作画面を用いた実演に移りました。

(続く)

R4システム学びました(ケアプラン部会:その3)

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 専門職のアセスメントに関しては、他職種で生活機能の低下の原因を分析し、課題を明らかにして目標を設定していくことが重要で、(1)各専門職の意見を持ち寄り、理解しようとすることで自然とディスカッションが行える、(2)実際の生活場面を評価し、リハビリにつなげる、(3)専門職の知識や技術が大きく左右する、(4)各専門分野のアセスメントが適切なケアにつながること、そして施設のケアの基本となることが重要・・・などのポイントを学びました。

 その中で(2)について講師の医療法人和光会介護療養型老人保健施設恵愛荘の谷川敦弘事務長は、「介護職がベッドサイドに車椅子をつけて、靴を履かせてリハビリ室に連れて行き、平行棒を歩かせる、などということでは効果的なリハビリはできません。平行棒で歩くより介護職が利用者に自分で靴を履いてもらうようにした方が効果です。自宅で食事を摂る際、テーブルを伝って歩く必要があるのなら、平行棒ではなく食堂に行ってそこを伝い歩きした方が効果的です」と述べ、そのためにも(3)に掲げた「みなさんの専門職の知識や技術を使って下さい」と呼びかけました。そしてR4システムを使用して他職種でケアマネジメントを行う上で、インテークの情報(ニーズ、適正)が大切だと繰り返しました。

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(↑立ち上がりの介助方法について実演を交えて説明。介助の『質』の大切さを教わりました)

  また、アセスメントを活用し、個々の目標にあったプランを作成し、介助にあたって行く中で、「一部介助の場合、大事なのは介護の『質』です。介助の『量』ではありません」と述べ、その介助を続けることで利用者が元気になる介助が大事だと注意を促しました。

 自立支援のためのケアプランは「”残存能力”+”福祉用具等の環境”+”適切な介助”」という足し算であることを、スライドに示しながら、「『自立支援』は主語が2つあります。『自立』は利用者本人、『支援』は私たちです」と、高齢者の意欲や能力を引き出して自立へ導くために、支援する職員はそのための意識や知識、技術を高めることが必要と説明。「人的環境であるみなさんがスキルアップすると、利用者は良くなります。そしてR4システムのコメント欄で意見や情報を出し合ってチーム力を発揮しましょう」と呼びかけました。

 続いてICF(国際生活機能分類:International Classification of
Functioning, Disability and Health
)ステージングについて、「包括的自立支援プログラム」では多くの評価が必要だったことを踏まえ、全老健作成した「より少ない項目で」、「変化が捉えやすく」、「状態増がわかりやすい」指標を紹介。これは全老健が統計学手法を用い、むずかしい動作から簡単な動作に並び替えたもので、R4システムではイラストを添付し、14項目(※)に絞り作成されています(※:基本動作、歩行・移動、オリエンテーション、コミュニケーション、精神機能、嚥下機能、食事動作、排泄動作、入浴、衣服着脱、口腔ケア、整容、余暇、社会交流)。それぞれの項目の各ステージにイラストと説明文が添えられており、これをもとに利用者ひとりひとりの状態像を把握し、具体的な目標設定やそのために他職種が協働して実施するケアの内容決定がスムースに行えるなど、職員が使用しやすいだけでなく、利用者本人や家族もわかりやすいといった説明に、受講者は高い関心を示していました。

つづく)

R4システム学びました(ケアプラン部会:その2)

 「老健の役割や機能を反映させた新しいケアマネジメントシステムを」とR4システムの開発に向けた検討が始まったのは平成20年。平成222月に完成したR4システムは同年3月に厚労省に報告、承認を得ました。平成231月に電子化シートの無料配信を開始、翌243月にICFステージングに「余暇と交流」を追加、同年12月には通所版を全老健ホームページにアップするなどして現在に至っているそうです。

 従来は入所後にアセスメントを行ってからケアプランを作成していたのに対し、R4システムでは最初の面談、出会いである「インテーク」を重視。これを適切に行い、「なぜ老健を利用したいのか?」、「ここで何をしたいのか?」、「利用者や家族はどうなりたいのか?」、「当施設に何を期待しているのか?」、「利用者はどんな人生を送りたいのか?」などといった情報を、多職種で早期に共有することが大切で、インテークで実際の生活場面を見たり、自宅退所に向けての調査、情報収集、評価をする中で、退所時のイメージ(生活目標)を設定し、目標達成のためにクリアすべき課題を明確にすることが重要とのことでした。

 従来は各職種がそれぞれの関わる場面のみを見てしまいがちで、話し合いでの発言も安全確保やリスク回避に関することが中心になりがちだったのに対し、R4システムを用いてインテーク情報を活用することで、「生活」や「地域での暮らし」を意識したディスカッションができるようになり、「その方が地域で暮らすために、我々は何をすべきか?」という発言が増えるのだそうです。このことに関して谷川敦弘事務長は「(入所利用者については)『在宅復帰』ではなく『地域復帰』です。通所利用者も同様で、老健と自宅を行ったり来たりしているだけで、自宅では閉じこもっているのでは『在宅支援』になっていません。『在宅復帰』は『地域復帰』に変えた方がいいと思います。買い物や老人会の集まりなど、地域に復帰していかないといけません。そのためには何をすればいいかを考えることが重要です」と強調し、インテークの際に心身機能や物的および人的環境、そして活動や参加の状況など、様々な情報を収集し、評価していくことが地域復帰につながると指摘しました。

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 例えば、自宅のお風呂やトイレの評価を行い、それに応じたリハビリを行うことが大切で、それが適切でないと、施設ではできていたのに自宅に帰ってみるとできなかった、ということもあり得るとのこと。同様に「家に帰ったのはいいが、家の車の乗り降りができない」という事のないよう、家の車を持って来てもらった上で、実際に乗降動作の練習をしたり、訪問リハで実際の生活に合わせたトレーニングを行うなどのアプローチも、インテークで適切な情報を把握し、多職種で生活機能の原因を分析、課題を明らかにしていくことで可能となるとのことでした。

 R4システムでは専門職のアセスメントを打ち込む欄があり、他の職種がどのように評価し、何をしているのかが同時にアクセスしてできるのが特徴の一つ。在宅復帰への効果的なケアができるだけでなく、「各職種がスキルアップできます。そのためのツールとしてR4システムを使って行くことも大事です」という谷川事務長の説明に、受講者はうなずきながら聞き入っていました。

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(つづく)

R4システム学びました(ケアプラン部会:その1)

(公社)宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン部会は1128日、宮崎市のJAアズム別館で「リーダー研修会」開きました。

 今回の研修テーマは老健独自のケアプランシステムである「R4システム」の基礎知識。このR4システムは、介護老人保健施設でのケアを、老健の理念にかなったものにするべく開発されたもので、老健(Roken)のRおよび4つのステージおよびアセスメントで構成されることから「R4システム」と命名されたもので、本県でR4システムに関する研修会は今回が初めて。県内会員施設から40人が受講しました。

開会に当たり、同部会の原 貴子副委員長は「本日のテーマは『R4システムとはどういうものか?』ということを学んでいただくわけですが、現在R4システムの普及率は、県内45老健施設ある中で、2施設のみが導入という、ほとんど知られていない状況があります。では県内では何が最もシェアを占めているかというと、包括的自立支援プログラムが70.8パーセントと圧倒的です。しかし本年度の法改正で、老健は今後在宅復帰を推進していかないと生き残っていけないという報酬額が打ち出された中で、今のままのツールではたして今後在宅復帰を進めていけるのか?という疑問点が残ります。今後在宅復帰を進めていく中で、専門職が協働しながらアセスメントし、在宅復帰を実現するのに非常に優れたツールが本日学ぶR4システムということになります。この研修会で是非基礎をしっかり学んで帰っていただきたいと思います」と呼びかけました。

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(↑開会の挨拶に立った原 貴子副委員長)

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講師には長崎県諫早市にある医療法人和光会介護療養型老人保健施設恵愛荘の谷川敦弘事務長、同じく和光会介護老人保健施設恵仁荘の山口慶之支援相談員、そして神奈川県川崎市より東芝情報システム株式会社ヘルスケア事業部営業部の波多野洋一参事をそれぞれお招きしました。

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(↑右から谷川事務長、山口相談員、波多野惨事)

研修会はまず谷川事務長による「R4システムの基礎知識」、次に山口相談員による事例紹介「R4システムを導入して」、そして波多野参事によるR4システムの実演説明という流れで進められました。

 「R4システムの基礎知識」について講義をしていただいた谷川事務長は、公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)のケアマネジメント部会員や、長崎県すこやか福祉用具講座の講師などを務められており、このR4システムの普及のため全国各地で活動を展開されています。この日はその忙しい中を縫って来県して下さいました。

 開口一番、谷川事務長は「あと3年後、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定がありますが、私たち老健が生き残っていくかどうかという重要な改定になると思います。今年度の介護報酬改定では、特に通所系では『参加』や『活動』を促していきなさい、ということになりました。皆さんの施設が参加や活動をどのように取り組んでいるかという調査は既に今年度から始まっていますが、これはものすごく異例です。厚労省は普通、改定があった翌年に調査を始めますが、改定があった今年度から始めていますから、国も本格的に変わっていくのだろうと思います。そして2018年に在宅復帰をしていない施設は、もしかしたら『集合住宅』としてみなす可能性があります。また医療側から見ると、慢性期の患者さんを対象にした療養病床は減らされますが、どのように減らされるかというと、そこは『病院じゃなくて施設でもいいのではないか。病院機能をなくしましょう、ドクターはいりませんよ、看護師を施設長として認めますよ』という動きを日本慢性医療協会はしています。するとどういうことになるかというと、病院の一部が、今私達がやっている老健の機能を担う可能性があります。ということは私達老健はそこも視野に入れながら、在宅復帰を進めていかないといけません。研究、統計ではR4システムをやっている施設は在宅復帰率が上がってきています。しかしR4システムの導入率は低いということを考えると、本格的に在宅復帰をやっている施設の一部がR4システムを導入しはじめているのではないかという気がします」と切り出し、今後老健の在宅復帰機能がますます重要になるばかりでなく、老健が老健として見なされなくなる可能性を示唆しつつ、そうならないためにもR4システムを導入し、老健の本来の機能を発揮していくことの必要性を強調しました。

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(つづく)

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