協会活動報告

糖尿病の食事療法学びました(栄養給食部会:その3)

「糖尿病の食事療法 ?最近の私の考え方?」と題した松尾剛志先生の講演は、糖尿病の食事療法の歴史(世界・日本)を踏まえて、「食事法は、個人の好みで選べばよい」、「おすすめは地中海食」、「カロリー制限は肥満者のみ」、「適度のアルコールはOK」などの項目が盛り込まれた、最新の欧米の糖尿病の食事療法が紹介されました。また、インスリン抵抗性改善という点で食事療法を考えると、(1)肥満防止、(2)高齢者(サルコペニア防止)、(3)歯科医師、(4)腸内細菌・・・の4つがキーワードになるとのことでした。

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 また、「高齢者はどういう人達かと言うと、『特殊』で『多様な集団』だと思います。若い人とは違うし、同じ年齢の高齢者でも違いがあり、ものすごくバラエティーに富んでいます」とし、体成分構成(筋肉と水分が減り、脂肪が増える)やエネルギー消費量(基礎代謝量や運動での消費量、NEAT=non-exercise activity thermogenesis非運動性身体活動”による消費量が低下する)、 生理機能(肺、腎、心、消化吸収などの機能が低下する)などに関する特殊性を、スライドを用いて説明。「筋肉が落ちるとインスリン抵抗性が必ず増悪します」、「運動だけでやせようと思ったら、プロ並みにやらないと落ちません。NEATは身体活動量。ビルの4階にいる人が1階に忘れ物をした場合、電話をかけて持って来させるのと、エレベーターで下りて取りに行くのと、階段で下りて取りに行くのとでは大きく活動量が違います」などとわかりやすく具体的な例を示しました。また口腔機能や消化管運動、嚥下機能などの低下や貧困、社会的孤立、認知症などといった高齢者の特殊性が食欲低下を来していることを指摘しました。

 そして高齢者の多様性については「エベレストに登頂する80歳もいれば、ベッドに寝たきりになっている80歳もいます。男女でも、そして昔と今でも違います」とし、「常に『ひそれぞれ』だと考えて下さい」と強調しました。

 このような事から、「高齢者糖尿病の栄養管理は『ひとそれぞれ!』、『画一した管理方法はない』」とし、高齢者のQOL(生活の質、人生の質、生命の質)を維持するように、ケースバイケースで進めていきましょう」と呼びかけました。

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(つづく)

糖尿病の食事療法学びました(栄養給食部会:その2)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会が218日、宮崎市のニューウェルシティー開いた研修会。午後からは「糖尿病の食事療法 ?最近の私の考え方?」と題した講演がありました。講師には独立行政法人地域医療機能推進機構
宮崎江南病院の副院長、松尾剛志先生にお越し頂きました。

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 多尿が症状の一つであることから、紀元前16世紀から2世紀にかけては「腎臓・膀胱の病気」と考えられていた糖尿病。19世紀から20世紀になるとインスリンの分泌が障害される「膵臓の病気」と考えられるように。しかし「インスリン値が高い人も糖尿病になっている。おかしい」ということから、インスリンがききにくい「インスリン抵抗性」が注目され、骨格筋が問題になっている現状を踏まえ、「糖尿病はインスリン作用不足に基づく慢性の高血糖を主徴とする代謝症候群である」ということから講演は始まりました。

「日本人のインスリン分泌能は、欧米人の2分の1しかないため、もともと糖尿病になりやすい」、「インスリン抵抗性は環境因子が大きく、1番のリスクは肥満。欧米人で糖尿病はものすごく太った人しかいないのに比べ、日本人はちょっと太っただけでも糖尿病になる」、「日本人はもともと糖尿病になりやすい傾向が遺伝的にある。だから体重を増やさないように気をつける必要がある」など、日本人が糖尿病になるリスクの高さを指摘した松尾先生。糖尿病の食事療法のポイントとして、(1)食事療法は、すべての糖尿病患者において、治療の基本であり、出発点である。(2)個々人の生活習慣を慎重した個別対応の食事療法が、スムーズな治療開始と持続のために必要であり、そのためには食生活の内容をはじめ、食事の嗜好や時間などの食習慣や身体活動量などをまず十分に聴取する。(3)はじめに行うことは、摂取エネルギーの決定。それから糖質、脂質、たんぱく質など摂取成分量を決めていく・・・の3つをスライドに示して説明すると、参加者は真剣な表情で聞き入っていました。

(つづく)

糖尿病の食事療法学びました(栄養給食部会その1)

 (公社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会は218日、宮崎市のニューウェルシティー宮崎で研修会を開きました。17人が参加し、情報交換や講義を通じて研鑽を深めました。

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(会場となったニューウェルシティー宮崎)

 午前10時から始まった研修会。午前中は平成27年度の事業計画検討会と情報交換が行われました。同部会副委員長の松浦美和子さん(ひむか苑)が司会を努め、あらかじめ実施したアンケート結果に基づき、意見を出し合いました。

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(司会の松浦副委員長)

 各施設の食事形態の種類やトロミ剤などの種類、在宅復帰時における摂食嚥下障害の利用者への栄養指導、行事食への取り組み状況、認知症と食事摂取、ソフト食への取り組みなどについて、各施設における現状を出し合いながら情報と問題意識を共有しました。

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特に認知症の利用者の食事に関しては、「食べてもらえない人に対してどうすればいいか?」という悩みを抱えている参加者が多く、「栄養士だけの力ではできない。他職種が連携を密にして取り組んでいくことが大事」ということを再認識しました。

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 また、施設と在宅では調理機器をはじめとする環境が異なるため、在宅復帰に向けた訪問指導をどのようにすればいいか?といった疑問も提起され、参加者は真剣に意見を交わしていました。

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 同部会の平成27年度の事業の展開方針については、会員施設の栄養・給食スタッフをはじめ、より多くの人を対象にした研修会を開くことや、屋外での実習、施設厨房見学、工場見学、会場を各地に移しての開催など、様々な意見が出され、これらをもとに来年度の事業を進めていくこととなりました。

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(つづく)

「老健みやざき31号」発行しました!

 当協会の広報誌「老健みやざき 31号」をこのほど発行しました。

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 年に2回発行している「老健みやざき」。今回の巻頭を飾るのは、県内44ある会員施設のうち1施設を訪問し、紹介する不定期掲載企画「老健ルポルター寿(じゅ)」。5施設目となる今回の訪問先は小林市にある「さわやかセンター」。雄大な霧島連山を一望できる広々とした屋内、四季折々の草花が楽しめる内庭、そしてそこで日々活躍するスタッフの様子や利用者の声などをお届けします。

 これに続いて協会各研究部会の活動報告、さらに会員施設の様々な職種の方にご寄稿いただいた「リレーコーナー」、そしてラストページは毎回好評の「人気のおすすめメニュー」などを掲載しています。

 「老健みやざき 31号」は宮崎県内の会員施設や、県内外の各関係機関に送付するほか、当ホームページからも閲覧、ダウンロードできるようアップする予定です。どうぞお楽しみに。

研修会開きます(在宅支援部会)

(公社)宮崎県老人保健施設協会在宅支援研究部会は320日(金)、1530分から宮崎市中央公民館中研修室で研修会を開きます(17時まで)。

この研修会では、去る121日、会員老健施設を対象に行った在宅復帰等に関するアンケートの調査結果報告を行います。

この研修会は無料で参加できます。くわしくはこちら会をご覧の上、「参加申し込み用紙」により、介護老人保健施設サンヒルきよたけ(担当:支援相談員 黒木、Fax0985-84-0700)までお申し込み下さい。申し込み締め切りは313日(金)です。

なお、研修会終了後、1830分より懇親会を開催します(場所:『よしの』、宮崎市高松町1-29 よしみビル1F、参加費3,500円)。介護保険制度改定・介護報酬改定への対応や、在宅復帰に関する取り組みについて、職種を越えて情報交換できる場にしたいと考えていますので、ふるってご参加下さいますようお願いいたします。

研究発表の手法学びました(ケアプラン部会:その8)

 グループワークに続き、それぞれのグループで真剣に話し合ってまとめ上げた研究計画書の発表会がありました。各グループとも小野先生の講義の内容が反映されており、研究動機や研究目的、研究方法等がよく吟味されたものでした。受講者は自分達のグループと他グループとの研究に対する切り口の相違などを比較しながら聞き入っていました。

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このように熱心な雰囲気の中で行われた研修会。あっという間に時間が過ぎ、閉会を迎えました。「研究というのは対象の理解を深めることにもなるし、私達のネットワークを広げ、スキルワークを深めることにもなるし、それを公表していくこで、それぞれの専門職の地位を高めることにもなります。とりかかりは苦痛だし、業務と並行して研究し、まとめていくのは大変辛いと思いますが、出来上がった時の達成感、そしてそれを活用して利用者が変わっていったときの満足感はとても大きいものです。今日の研修会が、『よし、研究をやってみよう!』と前向きに考えるきっかけになれば幸いです。私達も仕事の中で研究をやっています。皆さんが研究をやっている中で行き詰まったり、悩んだりした時にはお役に立てると思いますので連絡、相談して下さい」と、受講者に心強い言葉をかけて下さった小野先生に、会場からは感謝の拍手が贈られました。

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《お知らせ》

(※)先頃もお伝えしましたが、今年度は以下の日程で老健関係の研究発表大会が開催されます。いずれの大会も演題登録はこれからですので、各会員施設の皆様におかれましては、現在既に研究を進めている方もおられるかと思いますが、より多くの研究発表につながるよう、今から取り組まれた上で、その研究の成果をそれぞれの大会の場でご報告下さいますようお願いいたします。

老健関係の今年度の研究発表大会の予定】

16回九州ブロック介護老人保健施設大会in大分(平成27716日から17日、別府市ビーコンプラザ他)http://oita-roken.com/oshirase_kyushu-taikai.html

 

26回全国介護老人保健施設大会神奈川in横浜(平成2792日から94日、パシフィコ横浜)http://www.roken2015-kanagawa.jp/

 

◎第12回公益社団法人宮崎県老人保健施設協会研究大会(平成27117日、宮崎観光ホテル)

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(おわり)

研究発表の手法学びました(ケアプラン部会:その7)

 (公社)宮崎県老人保健施設高齢者ケアプラン研究部会が131日、宮崎市のJA 
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別館で開き、58人が受講した「事例研究発表のまとめ方」の研修会。宮崎県立看護大学看護研究・研修センター長で地域看護学教授の小野美奈子先生の講義に続き、グループワークが行われました。9つのグループに分かれた受講者は、講演の内容を振り返りながら、「研究計画書」の作成に取りかかりました。

 また、グループワークでは、ファシリテーターとして同大学から川原瑞代先生、多々良佳代先生、高橋秀司先生も加わり、小野先生と一緒に各グループを回って指導に当たっていただきました。

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(小野先生とファシリテーターの先生方。懇切丁寧に指導をしていただきました)

 実際の研究・発表に取り組むような心構えで熱心に行われたグループワークの様子(スナップ写真)を紹介します。

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(つづく)

研究発表の手法学びました(ケアプラン部会:その6)

 研究課題、そして研究方法が決まれば、次に行うのが「研究目的の明文化」。まず「研究の顔」となるタイトルを付けるにあたっては、「研究が何を求めているかを大づかみに理解できるもので、副題をつけることで研究の限界や、現状を述べることもある」とのこと。「日中の傾眠や夜間不眠がある。この利用者の生活リズムが調整できないか」という事例について、小野先生は「認知症高齢者に対する安眠へのケアに関する一考察 ?昼夜逆転に対する生活リズム調整への取り組みを振り返って?」というタイトルを示し、「『一考察』とつけることで、読む人に何かが見いだせていると思ってもらえることができます」と説明。このほか、「認知症高齢者の傾眠や夜間不眠の要因 ~A事例の生活実態からの分析~」、「認知症高齢者の傾眠や夜間不眠を解消するケア方法 ~A施設職員のケア方法の分析から~」など、研究方法に即したタイトルのつけかたも教わりました。

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 そしていよいよ研究計画を立案し、研究の実施に入ります。研究計画は研究テーマに関する実施手順を示した設計図のようなもので、
(1)研究テーマ、(2)研究メンバー、(3)研究動機(テーマを設定した背景、自己の問題意識、研究の意義)、(4)研究目的(どのような成果を求めているか)、(5)研究方法(どのような取り組みが可能か:研究デザイン、研究対象、データ収集方法、分析方法)、(6)倫理的配慮(研究協力者へ同意を得る方法、人権の擁護、個人の不利益への対処)、(7)社会化の方法(どこの学会で発表するか、など)、(8)スケジュール、(9)その他(疑問、研究課題)・・・など、これまで吟味したことを記録に整理し、メンバーで共有していくために重要とのことでした。

 研究計画に沿って実際に研究を行い、データ収集、データ分析をして抄録や論文を作成していきますが、「研究で得たものは、他の人には文字を通してしかわかりません。研究の成果を文章化し、報告することによって社会化ができます。力を入れて書いて行きましょう」と小野先生。そのポイントは「内容を浮き彫りにするための形式となっているか」、そして「他人に伝わる文章表現がなされているか」の2点とのこと。これを踏まえて抄録・論文の作り方を学んでいきました。

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《抄録作成のポイント》

1.【はじめに】を書く

〇問題を自覚し、研究に取り組もうと思った動機について書く

〇テーマにつながる事実を端的に述べる

〇課題に対する社会的動向、先行研究で明らかにされていることおよび未解決な問題についてなどにもふれる

〇研究テーマとの整合性を考えて、この研究で何を明らかにしたいか、研究目的を書く

2.【研究方法】を書く

※【はじめに】や、研究目的との整合性を考えて、追試ができるようにわかりやすく記述する→?研究対象とデータ収集の方法(研究論理上の問題への手続きをふむこと)、?分析方法・手順、?倫理的配慮

3.【結果】を書く

〇得られた結果をすべてそのまま示すのではなく、研究テーマや研究目的を説明するのに必要な項目を選定して書く

〇表や図を効果的に用いる

〇事実を淡々と述べる

4.【考察】を書く

〇考察のねらいはディスカッションすること

〇結果で明らかになった事を自分自身で意味づけ、解釈した私見を他の研究者の意見(文献)と討論しあう過程を書く:?研究目的に照らしながら得られた結果を解釈し、意味づけていく。何がどこまで明らかになったか吟味する、?得られた結果を文献と照合しながら、従来の知見との共通性、または新たな知見が何かについて論じる。自己のなし得たことの評価をする

5.【まとめ】を書く

〇研究のすべての総括

〇研究目的と目標の簡単な説明、方法、結果、結論、意義に関する簡潔な記述

6.引用文献を書く

〇引用文献は引用順に書く。参考文献は、著者名の五十音順になど、法則性を持たせて欠く

〇引用文献の書き方:雑誌は「引用順番)著者名【共著者全員】:論文題名,雑誌名,巻(号):引用箇所の頁,発行年」の形で示す

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(つづく)

研究発表の手法学びました(ケアプラン部会:その5)

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 「研究課題を吟味する過程で研究方法を決定します」と講師の宮崎県立看護大学看護研究・研修センター長で地域看護学教授の小野美奈子先生。「日中の傾眠や夜間不眠がある。この利用者の生活リズムが調整できないか」という事例をもとに、次のようにその考え方を示しました。

(1)「この事例はなぜ傾眠や夜間不眠になっているのか?」

・・・事例の対象特性を把握して、傾眠や夜間不眠の要因を見出す研究。看護に役立つ。期限内にもできる。データは看護記録や観察する内容。事例の承諾を得る手続きが必要

→【事例研究】

 

(2)傾眠や夜間不眠の時、職員はどんな対応をとってきたんだろう?どんな対応をとった時には夜よく眠ったのだろう?

・・・職員へインタビューし、職員が行ったこととその時の対象の反応がデータ。看護に役立つ。期限内にもできる。職員と事例の承諾を得る手続きが必要。

→【調査研究】

 

(3)生活リズムを調整する方法はなにかないか?足浴はどうだろう?

・・・生活リズムを整えるために良いと思われることを取り入れながら実践し、その結果生活リズムが整ったかを評価する。看護に役立つ。期限内にもできる。介入(実験)なので、事例の承諾を得る手続きが特に必要。

→【介入(実験)研究】

 

 これらを踏まえて、その目的を達成するには、欲しい結果を得るためには、「その方法(事例研究か、調査研究か、介入研究か、評価研究か)」、「その対象(誰を、どのように、どれくらいの数)」、「そのデータ収集の方法(いつ、誰が、どこで、何を、どのように)」、「そのデータの分析の方法(データの解釈をどのような方法・手段で)」が適当かの吟味をして研究方法を決定するとのことでした。

(つづく)

研究発表の手法学びました(ケアプラン部会:その4)

 問題意識(疑問)が明確になったら、次に行うのが「研究課題の明確化」。「日中の傾眠や夜間不眠がある。この利用者の生活リズムが調整できないか」という事例の場合、「なぜ傾眠や不眠になっているのか?」、「傾眠や夜間不眠の時、職員はどんな対応をとってきたのか?」、「どんな対応をとった時には夜よく眠ったのだろう?」、「生活リズムを調整する方法はなにかないか?」など、疑問を突き詰めてくるといろいろな切り口が出てくるので、それを吟味して、問題意識(疑問)の焦点をしぼっていくとのこと。

 そして、「その問題意識(疑問)を経験者や先輩に尋ねたり、文献を調べるなどして考えつくすべての方法で解いてみます」と小野先生。「研究という取り組みはとてもエネルギーがいります。しかし、既になされている研究などでその疑問が解けるなら、それを積極的に使っていけばいいわけです。経験者や先輩に尋ねたり、文献を調べた上で、『それでもうちの施設には合わない、実態に合わない』など、疑問の答が見つからない場合は研究に着手していきます」と続けました。

 なお、文献を調べて検討する目的には(1)研究課題のアイデアを得たり、問題の焦点を絞り込む時の参考にする、(2)先行研究ではすでにどれくらいの知識が集積されているかを確認して、自己の研究課題の意義を明らかにする時の参考にする、(3)先行研究からその課題に取り組むための研究方法についての示唆を得る、(4)他者の研究結果と照らし合わせ、研究結果の解釈を深める・・・の4つがあるとのことでした。

 次のステップは「研究課題の吟味」。その内容は次の通り。

〇研究する価値があるかどうか→実践の向上に役立つか?

〇研究が可能なテーマであるか→観察や測定が可能か?

〇期限内に結果が出せるか→テーマの絞り込み、研究の限界を見通し、次の研究につなげる。

〇費用や設備、物品に問題はないか

〇研究対象や協力者の了解が得られるか→倫理的配慮

 この中で?の「倫理的配慮」については、「今はとても大切になっています」として「研究対象者の権利」として、「危害を加えられない権利」、「全面的な情報開示を受ける権利」、「自己決定の権利」、「プライバシー及び匿名性、秘密が保護される権利」を挙げ、「施設において倫理的配慮の承認が必要です。不備がある場合には研究できないし、発表もできません」と注意を促しました。

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(つづく)

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