この研修会は、同事務長会が会員施設を対象に行ったアンケートの中で、「各施設において苦情が入ってきたとき、それを拡大させないために第一報に対する対応処理が聞きたい」という要望が多かったことを受けて開催したもの。予定していた80名を大幅に超えるこの
日の受講者数は、その関心の高さを伺い知ることができるものでしたが、スタッフは総出で座席数を増すなど、会場設営や受付に追われました。
(予想を超えた受講者で満員の会場。後ろの皆さんには机が準備できない事態となってしまい申し訳ありませんでした)
開会にあたり同事務長会の川崎豊彦委員長は「介護保険サービスになって13年経ちました。その中でご利用者やご家族の世代も下がってきています。これに伴い、私どもに向けられるご批判などの苦情は多種多様化しており、どの施設でも苦慮しているところではないでしょうか。これに対する最初の対応が曖昧で不適切だと、更なるお怒りを買うこととなり、苦情処理をする際にその対応の悪さからお詫びしなければならず、本題に入れないということにもなりかねません。本日学んだことは自分だけのものにせず、帰ってそれぞれの施設の人に伝えていただけるようなセミナーにして欲しいと思います」と挨拶しました。
(予想を超える多数の受講者に感謝の意を表した川崎委員長)
講師にお招きしたのは、潤和リハビリテーション振興財団潤和会気記念病院医療安全管理室で医療安全管理者を務められている長谷 真秀美(ながたに まほみ)先生。看護師である長谷先生は日本看護倫理学会、そして医療の質・安全学会の会員であるとともに、日本医療メディエーター協会の認定する医療メディエーターでもあり、「患者やその家族との間で意見の食い違いなどが起こった場合、仲介役を担う医療対話推進者」として平成22年4月より同病院安全管理室で活躍されています。
(第一声から会場の空気をなごやかにした長谷先生)
言わば「苦情処理のプロフェッショナル」から、実際的で実践的な話しを聞こうと会場を埋め尽くした受講者を見渡しながら、長谷先生は「今日は『苦情初期処理セミナー –患者さんとのコミュニケーション–』というタイトルで、病院での対応を中心に話をさせていただきますが、『病院』を皆様方の『施設』に置き換えて聞いてくださるといいと思いますのでよろしくお願いいたします」と笑顔で話し始めました。その好印象を与える身振りと、わかりやすい柔らかな語り口調から、日常の業務の中で、患者様やご家族といかに良好な人間関係を構築されようと努められているか、その片鱗が早くも垣間見られた瞬間でした。