雑談

リッチー古希

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 ”ざっ、ざっ、ざーっ、ざっ、ざっ、ざざーっ、ざっ、ざっ、ざーっ、ざっ、ざーっ”・・・という強烈なインパクトを持つイントロで始まるのは「スモーク・オン・ザ・ウォーター(Smoke on the Water)」。伝説のハードロックバンド、ディープ・パープルが1972年に出したアルバム「マシン・ヘッド」に収録されている名曲です。今から43年前のリリースでありながら、このイントロを聴くと魂を揺すぶられるような気持ちになります。

 このディープ・パープルのギタリストと言えば、泣く子も黙るリッチー・ブラックモア。その演奏法やステージパフォーマンスなどは今のロックシーンにも大きな影響を与えています。

 そしてこの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は、かつて(今もそうかもしれません)のギター少年ならば必ず弾いた事があると言っても過言ではない”ロックギターの入門曲”的存在でした。「ヤング・ギター1月号増刊 初心者のためのロックギター奏法(昭和55115日発行、()新興楽譜出版社)」には、「ちょっと聴いただけでは割合地味な印象のソロなのですが、内容的にはロック・ギターのベーシックなテクニックがギッシリ詰まっているプレイで、その上4本指のフィンガリングを要求されるフレーズも多いのです。(中略)ギター・キッドにとって大変参考になる要素を多く含んでいる曲だと思います」と紹介されている通り、この曲のギターソロの部分にはロックギターの基本テクが多用されていることから、様々なギター教本で取り上げられていました。

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 しかしクレイジーケンバンドのギタリストである小野瀬雅生も「スモーク・オン・ザ・ウォーターを笑うものはスモーク・オン・ザ・ウォーターに泣く」という言葉を残している通り(ウィキペディア抜粋)、この曲を完全に弾きこなすのは容易なことではありません。同アルバム1曲目のハイウェイ・スター(Highway Star)よりはるかにテンポは遅いものの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の方が難易度が高いと言えます。

 このようにギターソロの部分を弾きこなすには、かなりの練習が必要な一方で、イントロの”ざっ、ざっ、ざーっ、ざっ、ざっ、ざざーっ”の部分は簡単で、しかもかっこいいことから、ロックギターを初めて手にした少年・少女達はこぞってこの曲にチャレンジしたものです。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」で、2003年は第55位、2011年の改訂版では第50位に今なお位置づけられるリッチー・ブラックモアは1945414日生まれ。今年でなんと古希を迎えました。そのあまりにも大きすぎる功績にあやかった者の一人として、この記念すべき日を心よりお祝いしたいと思います。

 一方、リッチー・ブラックモアが70歳ということは、彼が世に出した名曲の数々に酔いしれたロックファンも、彼と同じだけの年月を重ねてきたということでもあります。老健施設に勤める者の一人として、利用者の生活歴の中でその背景となるミュージックシーンを今一度掘り下げて見直してみたい、とそのように考える次第です。

山鳥川陽(さんちょうせんよう):美しき宮崎の自然

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 写真は国富町を流れる深年川。2月のある日の夕方に撮影したものです(写真をクリックすると大きな画像で見られます)。はるか西に高千穂の峰が雲間からの夕陽を受けてそびえ立ち、その夕陽は一方で、まっすぐな黄金の帯をS字にくねった川面に延ばし、染めていました。

 それだけでもうっとりするところに、なんと手前から水鳥たちが夕陽に向かって泳ぎ始めたではありませんか。まるで申し合わせたような絶妙のタイミング!!思わずシャッターを切った次第です。

川と山と夕陽と水鳥。この映画のワンシーンのような光景を「花鳥風月(かちょうふうげつ)」的に表現するなら「山鳥川陽(さんちょうせんよう)」といったところでしょうか。観光地でも何でも無い場所ですら、このような美しい景色を見せてくれる宮崎県の自然。その魅力には計り知れない底力があると感じざるを得ませんでした。

4月になり屋外活動をするには良い季節を迎えました。利用者の皆様と連れだって、この美しき宮崎の自然を満喫しに行っててみてはいかがでしょうか。

ネバーエンディング・ケアプラン

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 このながーく伸びる雲、3月のとある午後に、南から北に向けてにょろにょろぉっと泳いでいくところを撮影したものです。その様子を見ながら、いまからちょうど30年前の1985年の316日に公開された映画、「ネバーエンディング・ストーリー」に登場する「ファルコン」を連想しました(画像をクリックすると大きな写真が見られます)。

 ご存知の方も多いかと思いますが、このファルコンは、顔は犬のようですが、東洋の竜のような身体をしてます。そして主人公である少年バスチアンが、学校をさぼって密かに読みふける「ネバーエンディング・ストーリー」という物語の中の主人公アトレイユを乗せて空を飛び回って大活躍します。そして最後はバスチアンを乗せて・・・。

 この物語の中の舞台となったのは「虚無」によって崩壊の危機に瀕している「ファンタージェン」という世界を救うため、草原の勇者アトレイユが冒険の旅に出るものですが、当時としては最新鋭の特撮技術を駆使しており、大変な話題になりました。また、元カジャグーグーのボーカルだったリマールが歌ったタイトルと同名の主題歌「ネバーエンディング・ストーリー」も大ヒットし、今でも時々テレビやラジオでも流れるなど、思い出深い名作です。

 さて、この映画に出てくるタイトルと同名の「ネバーエンディング・ストーリー」という本、カバーは本革(たぶん)、で2匹の蛇が絡まったデザインの紋章が施されている重厚な重厚な仕上げとなっています。そしてその外見はさておき、最大の特徴は「読んでいる人の考えが、物語の展開に反映される」と言えます。読書好きのバスチアンは、この本を一人の読者として読みながら色々と考えるわけですが、その考えが物語の中に反映されていく事に驚きます。そして物語の終盤に、バスチアンはその結末を大きく左右する決断を迫られます。そんなあり得ないような事が起こってしまう、というのがこの「ネバーエンディング・ストーリー」という本ですが、考えようになっては読む人が主体となった本、つまり「読者本位の本」と言えるのではないでしょうか。

 これは介護保険におけるケアプランも同じ事が言えると思います。ケアを受ける利用者本人の考え、希望、生きがい、夢、目標などが、おひとり、おひとりごとに盛り込まれ、反映された「利用者本位のケアプラン」に基づき、他職種が連携を密に取り合いながら総合的かつ多角的なケアを提供することで、利用者自らが主人公となった「人生」という名の物語を生き生きと過ごすことができるのではないかと思います。

 利用者本位の考えに基づいた「ネバーエンディング・ケアプラン」で、利用者おひとり、おひとりが主人公となった「ネバーエンディング・ストーリー」が生き生きとしたものとなるように、「ネバーエンディング・ケア」を提供していきたい!・・・ファルコンのような雲を眺めながら、そのように考えた次第でした。

青い山脈

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 写真は国富町木脇の六野原台地から九州山地を眺めたものです(画像をクリックすると大きな写真が見られます)。畑作地ののどかな風景が広がる中にひっそりとたたずむトーチカ(コンクリートで作られた小型陣地)。国富町ホームページによると大正1512月に補助着陸場が設置され、昭和1811月に大刀洗陸軍飛行学校・木脇教育隊が開校。同205月閉校までの16カ月の間、 甘木生徒隊を中心に少年飛行生および特幹生による操縦訓練が連日行なわれたのだそうです。当時を物語るトーチカは、写真以外にもこの台地に点在しています。

 このような歴史を今に伝える六野原台地から、後方に青く、そして美しくそびえる九州山地を眺めていると、「若く明るい歌声に
雪崩は消える花も咲く」と口ずさみたくなるのがご存知「青い山脈」。藤山一郎さんが昭和24年、同タイトルの映画の主題歌として大ヒットした昭和を代表する名曲の一つです。

 平成4年に国民栄誉賞を受賞され、翌年821日に亡くなられた藤山一郎さんの明るく爽やかで透き通った歌声は、理論や楽典に忠実であり、「楷書の歌」とも呼ばれました。そしてこの「青い山脈」をはじめ、「丘を越えて」や「青い背広で」など、春を舞台にした曲もたくさん歌われています。

 そんな藤山一郎さんが生まれたのが明治44年(1911年)481911年。今年生誕104年を迎えた藤山一郎さんがのこした名曲の数々は、今でも色あせることなく歌い継がれています。老健を利用されている方々の胸にも、それらの曲は当時の思い出と共に深く刻まれていることと思います。宮崎の美しい青い空、青い山々を眺めながら、一緒に歌ってみてはいかがでしょうか、今日もわれらの夢を呼びながら。

花と宇宙

 菜の花畑に入り日薄れ、見渡す山の端かすみ深し・・・。春です。菜の花が各地で綺麗に咲き、人々の目を楽しませてくれています。

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 そんなわけで、当協会広報部会が技術の粋を集め・・・たわけではなく、業務時間以外を利用し、何日も失敗を重ねた後に撮れたのがこの一枚です(画像をクリックすると大きな写真で見ることができます)

咲いていた菜の花に、南から真北にカメラを向けてシャッターを開くこと36分間。すると北極星を中心に北の空の星が回転する様子が撮れます。しかしそれだけでは手前の菜の花が暗いままなので、最後にライトで8秒間、光を散らしながら照射しました。

その結果、何とも不思議な(?)一枚ができました。普段眺めている菜の花や星とは一風違った印象があるのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。

それはともかく、四季折々の美しい自然が楽しめる日本、そして宮崎県。特に寒い冬が終わりを告げ、暖かい春が訪れたこの時期は、桜をはじめ様々な花が咲き誇って心が癒されます。利用者の皆様と楽しみたいと思います。

ヘッドライト・テールライト

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 この写真は、とある早朝に撮影した一枚。266秒、つまり426秒の間、シャッターを開きっぱなしにしていたものです(画像をクリックすると大きな写真で見ることができます)。「早朝」と言っても、まだ日は昇っておらず、明るく見える空も、肉眼ではまだ暗かったのですが、長時間露光することで、このような赤、白、青という3色模様になりました。

 そしてその間に、2台の車がレンズの前を通過しました。まず1台が写真左端から右斜め上に前進。そのため後部の赤いライトが右上がりの直線の軌跡を描きました。次にもう1台が地上部中央やや左から右に向かって走り去って行ったため、前方の白っぽいライトが水平な直線の軌跡を描きました。その結果、この2直線は地上部のほぼ中央で交わり、さながらアルファベットの「X」のようになりました。なお、この2台の車は誰かに依頼して走ってもらったものでもありませんし、ましてやその間他の車輌を通行止めにしたものでもありません。したがって、全くの偶然で撮れた一枚であり、何らかの「プロジェクト」のもとで「X」「ヘッドライト」「テールライト」によって描かれたわけではありません。

 ・・・と、前置きが長くなりましたが、老健施設に勤める者の一人として、利用者の皆様の夢や希望、目標などを照らし、示し、導くヘッドライトでありたいと思います。同時に、これまで積み重ねてこられた人生の歴史に光を当てるテールライトとなりたいと思います。

 ヘッドライト、テールライト。利用者の人生の旅路の前後を照らしながら、お一人お一人の尊厳を守り、利用者本位のケアを多職種共同で実践していこう!・・・偶然撮れたこの一枚を眺めながら、そのように考えた次第でした。

笑わないのはもったいない

 「すべての日々のなかで1番もったいないのは、笑わなかった日である」と言ったのはシャンポール(『いい言葉は、いい人生をつくる』、斎藤茂太、成美堂出版)。

 Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%91%E3%81%84)で調べると、笑いの生理的な効果として(1)安らぎや安心を感じた時に優位となり、それが続くとストレスが解消される「副交感神経」が優位の状態になる、(2)身体中の様々な器官に刺激が与えられる。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)が活性化し、ガンの予防と治療の効果がある、(3)神経ペプチド(免疫機能活性化ホルモン)が全身に分泌される、(4)糖尿病の治療にも有効との研究がある・・・などが載っていました。

 さらに「医学的証明」として、「笑いというのは体にとってよい影響を及ぼす。笑うことで頬の筋肉が働き動くことにより、ストレスを解消し、また鎮痛作用たんぱくの分泌を促進させ、ストレスが下がることにより血圧を下げ、心臓を活性化させ運動した状態と似た症状を及ぼし、血液中の酸素を増し、さらに心臓によい影響を与えることから、循環器疾患の治療に用いられることもある」と続いていました。

 老健施設で働く者の一人として、「笑い」は大切だと日々実感しています。「意欲や能力が低下して、自らの生活に無頓着になり、心身の健康や安全が脅かされる状態になる『セルフネグレクト』の高齢者が、最も多ければ全国に約12千人いる(内閣府2010年度調査、推計)」と、昨年1117日の日本経済新聞に載っていました。「このセルフネグレクトの方々は、一日に何回くらい笑うことがあるのだろうか?あるいは、一度も笑うことのない日々をずっと続けておられるのではないだろうか?”1番もったいな日”を重ねておられるのではないだろうか?」と思いながらこの記事を考えました。利用者の笑顔は、私達高齢者ケアに携わる者の喜び。そう考えながら仕事にあたる今日この頃です。

 「(介護の)現場を見て痛感するのは、シャレや遊び心、ユーモアの大切さ」と、昨年1217日の朝日新聞で述べているのは漫画家のくさか里樹さん。高校生の時に介護の仕事に出会った成年、百太郎が、理想の介護を求めてヘルパーとして奮闘する姿を描いた作品、「ヘルプマン!」の作者です。「すべての日々のなかで1番もったいないのは、笑わなかった日である」というシャンポールの言葉と相通じるものがあると思いました。くさかさんは記事の中で「『どうしてもこうしなくては!』と減点方式で考えるのではなく、『できないことはしょうがない。できたことを喜ぼう』と加点方式の心構えでいったらいい」とも説いています。

あらゆる動物の中で「笑うのは人間だけ」と言われています(ちなみに「笑うのは人間だけ」で検索すると、1,440,000件ヒットしました)。そして笑うことで得られる良い効果はたくさんある・・・。それにもかかわらず、笑わない日々を送るのは本当にもったいないことだと思います。加点方式の心構えで臨み、利用者といっぱい笑い合って業務にあたって参りましょう。

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↑猫が笑っているように見えますが、実は少し違うそうです。「単に飼い主のにおいを感じるために息を深く吸い込んだ際、笑顔に近い表情に偶然なっていることが考えられる」とのこと(Happy Life Style 『猫についての30の質問』https://happylifestyle.com/7793より)

元気という字はにのしのさんしめ

「いちにっさーんのしのにのご、さんいちしのにのしのにのご」。つまり、「1,2,3の4の2の5,3,1,4の2の4の2の5」という指遊び唄。老健施設に勤める方なら、一度は耳にしたり、実際に利用者とレクレーションや体操などで歌いながら指を折ったりしたことがあるのではないでしょうか。認知症予防の一環として、指を使った体操は動画投稿サイトでも多数紹介されていて、この「いちにっさーんのしのにのご、・・・」はその古典的なものの一つと言えるのかもしれません。

さて、それはさておき、「にのしのさんしめ」という言葉をご存知でしょうか?なに!知らない!?・・・ごもっともです。これは「『元気』という字は”にのしのさんしめ”」という、当協会オリジナル(?)の指遊び。今回初めて世に発表、発信するのですから(^_^;)

「『元気』という字は”にのしのさんしめ”」というのは、「元気」という文字を分解したものです。それでは図を用いて解説していきます。

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〔↑(1):最初にカタカナの「」を書きます〕

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〔↑(2)(1)の下やや左側にカタカナの「」をくっつけて書きます〕

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〔↑(3)(2)の下やや右側にひらがなの「」をくっつけて書きます〕

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〔↑(4):カタカナの「」を書きます〕

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〔↑(5)(4)の右に漢字の「」を書きます〕

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〔↑(6)(5)の右側からひらがなの「」を下ろして書きます〕

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〔↑(7):最後にカタカナの「」を書き入れると・・・〕

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・・・あーら不思議!!“にのしのさんしめ”で、「元気」という文字が完成しましたヾ(v)k

この「『元気』という字は”にのしのさんしめ”」という指遊び、「いちにっさーんのしのにのご、・・・」と同様に、「『元気という字は』に続き、両方の指を「2の4の3、4」と折った後、「め」で両方の人差し指でそれぞれ左右の目を指さしてフィニッシュすると、これが結構むずかしいです。まずはスタッフの皆さんで試してみて、それから利用者の方々も交え、スピードを徐々に上げて難易度を高くするなどしてやってみられてはいかがでしょうか。

「身体の『元気』」、「心の『元気』」、そして「頭の『元気』」・・・。どの元気も皆大切です。「『元気』という字は”にのしのさんしめ”」を実践して、どのような成果があらわれるか?当協会ではその実験、検証等はしておりませので、その効果を保証するものではありません。しかし、みんなで「元気」の大切さを考える機会の一つにしていただければ幸いに存じます。

宮尾登美子さん逝去

 「天璋院篤姫」や「鬼龍院花子の生涯」などの小説で知られる作家の宮尾登美子(みやおとみこ)さんの訃報が18日の新聞各紙で伝えられました。亡くなられたのは昨年の1230日、老衰のためとのこと。

 同日付け日本経済新聞に「苦難を乗り越えて強く生きる女性たちを描いた」と紹介されている宮尾さんの作品の中に、「蔵」という長編小説があります。19923月から19934月まで毎日新聞に連載されていた当時から大きな反響を呼び、その後同年9月に毎日新聞社から出版され、テレビドラマや映画、そして舞台でも演じられました。

 「蔵」は大正から昭和にかけての新潟県の酒蔵を舞台に、全盲となった女性、田乃内烈が、ハンディを負いながらも前向きに生きて、父意造の酒蔵を継いでいく長編小説です。実母賀穂が若くして世を去り、後妻に治まったせき、賀穂の妹で病弱な姉に代わり意造へ密かな思いを寄せながら烈を育ててきた佐穂などが登場し、女同士の愛憎が入り混じる複雑な関係の中、烈は美しく、たくましく、「四感」を働かせて生きていきます。脳卒中で半身不随となった意造が、酒蔵「冬麗」を手放そうと考える中、烈は断固たる意思を持って田乃内家と「冬麗」を継いでいきます。また後に杜氏の涼太に初恋、周囲の反対を押し切り、成就させます。

この作品は、(財)日本障害者リハビリテーション協会発行の「『ノーマライゼーション 障害者の福祉』199512月号(第15巻 通巻173号) 21頁から23頁」の中で「文学にみる障害者像」として筑波大学附属盲学校の大内進教諭により「障害を乗り越えて、一女性として、男性中心の社会に切り込み、家業の酒蔵を継いでいく烈の自立した生き方に感動を呼ぶものがあったのであろう」と取り上げられています(http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n173/n173_021.html)。

 上下2巻からなるこの作品は、必ずしもハッピーエンドというわけではありませんが、当時の世の中の習慣や偏見を打ち破り、障害を乗り越えて生きて行く烈のひたむきさに深い感銘を覚えました。作品の内容はもちろんのこと、土佐出身の宮尾さんが、新潟弁による難解な言い回しを駆使して(ご自身が新聞連載中に「毎回のように誤りを指摘された」と述べてはいますが)書き上げた力作だと思います。

「障害を持つ人がほかの人びとと同様に生活の糧を得て、住んでいる家庭や地域を動きまわり、特別の集団でなく、障害をもつ普通の市民として生活する」というノーマライゼーションの精神を、作品を通じて教えていただいたことは、老健施設に働く者の一人として感謝の念に絶えません。宮尾登美子さん、本当にありがとうございます。ご冥福をお祈りします。

冬の星空

 寒い日が相変わらず続いています。しかし四季折々の美しさがあるのが日本、そして宮崎の良さでもあります。特に宮崎の冬の星空は美しく、寒い中にも心が癒やされるものの一つです。

 カメラを三脚に固定し、シャッターを開けっ放しにして撮影してみると、星の動きがわかります。そしてその多さと美しさに驚かされます。

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↑西の空。山の端に向けて星がどんどん沈んでいっているのがわかります。

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↑北の空。北斗七星を中心に、たくさんの星がぐるぐる回っていてすごいです。

 環境省水・大気環境局大気生活環境室が平成253月に発表した「スターウォッチングネットワーク
平成24年度冬期 全国星空継続観察実施結果報告書
」によると、「同一観察地点での『夜空の明るさ』の推移(冬期)」において、都城市高崎町のたちばな天文台で観測された夜空の明るさは20.6mag/mag/□”」は星空の明るさを示す単位で、値が大きいほど夜空が暗く、星がみえやすい)。これは全国6地点で観測した中で、愛知県東栄町に次いで2番目に明るい値となっています。また調査が始まった昭和63年度から平成24年度までずっと20mag/□以上の明るさを記録しているのは、同じく東栄町と都城市高崎町だけであり、いかに宮崎の星空が綺麗かということが伺えます。

上出の都城市高崎町にある「燈台 たちばな天文台」では冬の星空を楽しみたい方を対象に、さまざまなイベントが行われています。もちろん天文台まで行かなくても、満天の星を見上げれば心が癒やされます。防寒対策を施した上で、「観月会」ならぬ「観星会」をされてみるのも良いのではないでしょうか。

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